眺望が良いから、花火大会を観たいから、友達とたむろしたいから。このような理由でマンションの最上階からはしごを登って、あるいは施錠された柵を乗り越えて屋上まで上がる方がいます。しかしここで、
このようにお考えの方もいるのではないでしょうか。
結論から言いますと、正当な理由なくマンションの屋上に許可なく上がると不法侵入の罪に問われる可能性があります。
この記事では、刑事事件に強い弁護士が、以下の3つのケースでマンションの屋上へ上がることが不法侵入にあたるのかどうかを解説していきます。
- ①自分が住んでいないマンションの屋上へ上がる
- ②自分が住んでいるマンションの屋上へ上がる
- ③マンションの住人の許可を得て屋上へ上がる
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目次
マンションの屋上にあがると不法侵入?ケース別で解説
マンションの屋上に上がることが不法侵入にあたるかどうかは、その行為が刑法上の建造物侵入罪(刑法第130条前段)にあたるかどうかによります。
建造物侵入罪とは、正当な理由がないのに建造物に侵入することです。罰則は「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」です。
マンションの屋上は、マンションという「建造物」に付属したもの、つまり、マンションの一部と考えることができます。他人の家の庭は、他人の家という「住居」に付属し、住居の一部として考えることができますから、住人の許可なく庭に立ち入る行為は住居侵入罪に問われることと同じように考えるとわかりやすいのではないかと思います。
「侵入」とは、建造物の看守者の意思に反する立ち入りをいいます。看板などが設置されて立ち入りが明示的に禁止されている建造物に立ち入った場合はもちろん、明示的に禁止されていなくても社会常識的に看守者の意思に反するだろうと思われる立ち入りも「侵入」にあたる可能性があります。
「正当な理由がない」とは、立ち入りの目的や態様等に照らして社会常識に反しているということです。仮に、正当な理由があると認められる場合には不法侵入にはあたりません。
不法侵入や建造物侵入罪について詳しくは、以下の記事をご覧になってください。
不法侵入はどこから?住居侵入罪になる分かれ目と逮捕後の流れを解説
以下、ケース別に不法侵入に問われるかどうかみていきましょう。
自分が住んでいないマンションの場合は?
まず、自分が住んでいないマンションの屋上への立ち入りは不法侵入に問われる可能性があります。
例えば、マンションの屋上にあるライフラインの設備(貯水槽や給水設備等)を修理する目的で修理業者が立ち入ったのであれば、管理者の承諾または推定的承諾がありますので不法侵入にはあたりません。
他方で、眺望が良いから、開放的な気分で友達とまったりしたいから、などの理由で住人でもない者がマンションの屋上に侵入することは管理者の意思に反していることは明確ですので不法侵入の罪に問われる可能性があります。
2023年5月には、静岡県浜松市のマンションの屋上に正当な理由なく侵入した男二人が付近の住民からの通報で現行犯逮捕される事件が発生しています。
自分が住んでいるマンションの場合は?
次に、自分が住んでいるマンションでも、マンションの管理者(規約等で定められている)が立ち入りを明確に禁止している場合のほか、明確に禁止していなくても周囲の状況等からして禁止するであろうと認められる屋上に立ち入った場合には不法侵入に問われる可能性があります。
マンションの屋上に住人が自由に出入りできるとすると、小さな子供の転落事故の危険もありますし、ライフラインの設備の破損や事故等のリスクもあります。また、住人とはいえ、ロープを使って他の住人のベランダから部屋に侵入して窃盗等の犯罪を行わないとも限りません。
そのため、マンションの屋上スペースを住人に開放している物件でない限りは、住民の屋上への侵入は禁止されていると考えた方が良いかもしれません。
マンションの住人の許可を得た場合は?
最後に、マンションの住人の許可を得た場合ですが、不法侵入が成立するかどうかは、マンションの管理者の意思に反するか否かにかかっています。許可を得た住人がマンションの管理人だった場合には、管理人の意思に反しない立ち入りだとして不法侵入には問われませんが、管理人でない場合には意思に反する立ち入りだとして不法侵入に問われる可能性があります。
まとめ
マンションの屋上への立ち入りは不法侵入(建造物侵入罪)に問われる可能性があります。
マンションの屋上に上がって不法侵入で逮捕されるのは、窃盗・強盗・盗撮・ストーカーなどの犯罪目的である場合がほとんどですが、たとえ違法な目的がなくとも正当な理由なく管理者の意思に反して侵入すれば、罪に問われる可能性があります。
また、たとえあなたが住むマンションの屋上やマンションの住人の許可を得た場合であっても、マンションの管理者の意思に反する立ち入りだった場合には不法侵入に問われる可能性がありますので注意が必要です。
万一、マンションの屋上への不法侵入で罪に問われた場合には、不法侵入に精通した当事務所の弁護士までご相談ください。お力になれると思います。
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