未成年との淫行で逮捕されることを回避したい、不起訴を獲得したいとお考えの方は、未成年者の保護者と示談を成立させることが最も重要なポイントとなります。
もっとも、未成年との淫行を含む刑事事件の示談交渉をした経験のある方はほとんどいないでしょうから、
- 「示談金(慰謝料)をいくら払えばいいのだろう…」
- 「示談をどう進めていいのかわからない…」
とお考えの方もいるかと思われます。
そこでこの記事では、未成年との淫行事件に強い弁護士が、
- 淫行事件で示談するメリット
- 淫行の示談金相場
- 淫行で示談をする流れ
- 淫行事件で示談により解決した事例
などについて解説していきます。
なお、未成年と淫行をして逮捕されるおそれがある方、既に逮捕された方のご家族の方で、この記事を最後まで読んでも問題解決しない場合には全国無料相談の弁護士までご相談ください。
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目次
淫行事件の示談について
そもそも淫行とは?
淫行とは、18歳未満の者との不健全な性交または性交類似行為をすることです。「性交または性交類似行為」の「性交」とは男性器を女性器に挿入する行為、「性交類似行為」とは肛門性交、口腔性交、手淫などの性的行為を指します。
淫行で問われる罪
18歳未満の者(未成年者)との淫行は各都道府県の淫行条例(青少年保護育成条例)で禁止されています。
真剣交際であった場合には淫行にあたらない可能性がありますが、真剣交際であったかどうかは、未成年者の保護者の同意があったか、知り合った経緯、性行為に至る経緯(会ったその日に行為に及んでいないかなど)、年齢差などの客観的要素を総合的に勘案して判断されます。
相手が18歳未満であることを知らずに淫行した場合には、故意(18歳未満であるという認識)がないため、淫行条例で処罰されません。もっとも、この認識は、「18歳未満しかもしれない」という未必の故意で足りるとされています。そのため、相手の容姿や背格好、会話の内容などから、通常であれば18歳未満であると疑いを持つべき状況であったのであれば、未必の故意が認められて罪に問われる可能性もあります。
淫行条例の罰則は都道府県によって異なりますが、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金、とするのが一般的です。
未成年との淫行について詳しくは、淫行とは?逮捕された場合の刑罰と未成年との性行為がバレる経緯をご覧になってください。
他に成立しうる罪について
担任教師による生徒への淫行、児童養護施設職員による入所者への淫行、のように、行為者が児童に対して事実上の影響力を及ぼしうる状況下で淫行を行った場合は児童福祉法違反に問われる可能性があります。罰則は10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又は併科です。
児童(18歳未満の者)に対して、お金などを渡す、あるいは渡す約束をして、性交等をした場合は児童買春罪に問われる可能性があります。罰則は5年以下の懲役又は300万円以下の罰金です。
児童の裸や児童との性交等の場面を撮影した場合は児童ポルノ製造罪に問われる可能性があります。罰則は3年以下の懲役又は300万円以下の罰金です。
また、たとえ未成年者と同意の上で淫行した場合でも、相手が16歳未満であった場合には不同意性交等罪に問われる可能性があります。罰則は5年以上の有期拘禁刑です。
示談するメリットは?
示談とは、民事上のトラブルの当事者である被害者と加害者が、裁判外で示談金等の決めごとについて互いに譲歩しあいながら合意をし、そのトラブルを終局的に解決する民事上のトラブルの解決手段の一つです。
刑事事件において示談は必ずしなければならないというわけではありませんが、淫行事件で示談を成立させることができれば次のメリットを得ることができます。
立件を回避できる
まず、被害者が警察に被害届を出す前に示談を成立させることができれば、立件そのものを回避できるというメリットがあります。示談交渉では、示談金の支払いを条件に、警察に被害届を出さないことを被害者に同意してもらうことができます。被害者が警察に被害届を出さなければ警察に淫行事件のことが発覚することを回避できます。事件のことが警察に発覚しなければ、警察から呼び出しを受けたり、逮捕される可能性はなくなります。
早期釈放につながる
次に、万が一淫行容疑で逮捕されてしまった場合でも、示談を成立させることができれば早期釈放につながる可能性が高いといえます。あとで述べるように、示談を成立させることができれば、刑事処分は不起訴(起訴猶予)となる可能性が高いです。そもそも身柄拘束されるのは犯人に逃亡や罪証隠滅のおそれがあると思われるからですが、刑事処分が不起訴となるということはそのおそれもないと判断されやすくなり、身柄拘束の理由がなく釈放につながりやすくなるのです。
不起訴の可能性が高くなる
次に、先ほど述べましたように、示談を成立させることができれば不起訴となる可能性が高いといえます。示談成立後は示談金が支払われ、淫行の被害者に対する慰謝の措置がとられ、被害者(及びその保護者)の処罰感情も一定程度緩和されたと考えられます。また、被害者が犯人の処罰を望まない、あるいは犯人を許してもいいという意思表示をすることもあります。そうした場合は、ますます不起訴となる可能性が高いといえます。
淫行の示談金相場は?
淫行の示談金相場は、10万円~30万円となるのが一般的です。
もっとも、淫行の示談金の額については、被害者側の精神的苦痛の度合いや、被害者の加害者に対する処罰感情、加害者の社会的立場や経済状況などによって左右されるため、必ずしも上記相場内で収まるわけではありません。
中には、相場を超える金額を提示しても納得していただけない保護者もおられますし、逆に、自分の子どもにも非があるため示談金は不要と仰られる保護者もいます。
淫行の示談の流れは?
①弁護士に示談交渉を依頼する
弁護士がついていない場合は、弁護士に示談交渉を含めた刑事弁護活動を依頼します。淫行事件では、加害者との直接の示談交渉に応じる保護者はまずいません。一方、弁護士であれば、示談交渉に応じてもよいという保護者もいます。そこで、まずは保護者に示談交渉のテーブルについてもらうためにも、弁護士に示談交渉を依頼する必要があります。
また、被害者と面識がなく被害者の連絡先等の個人情報を知らない場合は、捜査機関から被害者の個人情報を取得する必要があります。しかし、捜査機関が被害者の個人情報を加害者に教えることはありません。一方、弁護士であれば、被害者の意向しだいで被害者の個人情報を教えてくれます。被害者の個人情報を取得できれば、被害者の保護者とコンタクトをとることが可能になります。
②被害者に謝罪の意思を伝える
淫行事件の被害者の保護者とコンタクトがとれたら、まずは被害者及び保護者に謝罪の意思を伝えます。いきなり示談の話をもちかけると保護者の処罰感情を悪化させ、その後の示談交渉を難しくしてしまう可能性があるからです。
謝罪の意思を伝える方法は被害者宛の謝罪文を書き、弁護士を通じて謝罪文を渡す方法が一般的です。もっとも、今後の示談交渉にスムーズに移行するためにも、謝罪文の内容にも細心の注意を払わなければなりません。そのため、必ず弁護士が謝罪文の内容をチェックし、必要に応じて加筆・修正するなどして適切な内容に仕上げていきます。
③示談条項について交渉する
謝罪文をとおして淫行事件の被害者の保護者に謝罪の意思を伝えることができたら、適切なタイミングで示談をもちかけます。示談交渉では、まずは被害者の意向をくみ取りつつも、法外な要求に対しては毅然とした態度で交渉に臨むことも必要となる場合があります。また、加害者の意向も伝え、適切な内容で示談できるよう話をまとめていきます。
示談書の内容としては以下の条項を盛り込むことが多いです。
- 事件の概要(被害者・加害者の氏名、日時、場所、被害の内容)
- 謝罪の意
- 示談金額や支払い方法
- 清算条項(取り決めた以外の債権債務が存在しないことを確認する条項)
- 接触禁止条項(今後一切の関係を断つことを約束する条項)
- 違約条項(示談内容を反故にした場合の違約金の支払いに関する条項)
また、上記の加えて、被害者側の宥恕(許すこと)が得られれば「宥恕条項」を盛り込むことができます。この条項を盛り込むことが出来れば、不起訴処分となる可能性が高まります。
④示談書を取り交わす
話がまとまったら示談書の案を作成し、一度、淫行事件の被害者の保護者に目を通していただきます。保護者が内容に誤りがないことを述べた場合は正式な示談書を作成し、被害者用と加害者用の示談書、示談金の振込み先を記載してもらう用紙(示談金を口座振り込みする場合)を被害者に渡します。
淫行事件の被害者の保護者が加害者用の示談書と振込み先用の用紙に必要事項を記入して弁護士に返送したら、弁護士はあらかじめ加害者から預かっている示談金を被害者が指定した口座に振り込みます。また、加害者用の示談書の写しは、状況により、検察官に提出したり、裁判官に提出したりして活用します。
淫行事件の示談による解決事例
当事務所で扱った淫行事件における示談による解決事例は次のとおりです。
女子高生と淫行するも不起訴処分を獲得した事例
【事案】
A(依頼者)は、SNSを通じて知り合った女子高校生V女(当時16歳)をホテルに誘い、V女に対し淫行した事案(本件事案)です。V女の親が同女の言動を不審に思い、学校・警察に相談したところ、V女がホテルでの淫行を認め、その後の所要の捜査によって本件事案が発覚しました。
【解決までの経緯】
依頼者は本件事案のことで警察から呼び出しを受けたことから対応等につき弁護士に相談しました。事情をうかがうと、依頼者は事実をすべて認めており、被害者に対する謝罪と示談意向があったことから、刑事処分前の示談成立を目指して弁護活動を始めました。
警察から被害者の連絡先等の個人情報を取得した後、V女の親御様と示談交渉を始めました。当初、親御様の処罰感情が強く、示談交渉に応じてもらえない期間がありましたが、依頼者の親の監督の下依頼者が更生の道を歩んでいくことを決意していること、二度とV女と接触しないことを誓約していることなどを伝え、粘り強く交渉した結果、示談を成立させ、不起訴処分(起訴猶予)を獲得することができました。
法外な示談金を要求されるも示談成立により被害届が取り下げられた事例
【事案】
A(依頼者)は、ホテルで女子中学生V女(当時15歳)と淫行しました。それから数週間後、V女の親族と名乗るX男から「示談金300万円を一括で払え。」、「もし、払わなければSNSで情報を拡散し、職場に通報する。」などと脅される恐喝被害に遭いました。依頼者は今後の対応について弁護士に相談しました。
【解決までの経緯】
V女側からの要求がエスカレートするおそれがあったため、依頼者から事件の依頼を受けた後すぐに被害者宛に受任通知を発し、今後Aに伝えたいことがある場合は必ず弁護士を通すよう通告しました。また、X男の行為は恐喝罪にあたるため、警察に対し恐喝罪の告訴状を提出しました。一方、依頼者の淫行の件については警察に自首し、在宅事件の捜査が進められる中、並行してV女側と示談交渉を進め、示談金50万円の示談を1週間程度で成立させることができました。その後、淫行の件については被害者が被害届を取り下げたため、恐喝罪の告訴も取下げました。
逮捕されるも早期釈放、不起訴を獲得した事例
【事案】
Aは、自宅に女子中学生V女(当時14歳)を誘い込み、V女に対し淫行しました。その後、V女は親に被害を訴え、親とともに警察に相談したことから本件が発覚。Aは、2年ほど前にも同種事案で警察に検挙されており、独り身で近くに適切な監督者がいないことなどから通常逮捕されてしまいました。
【解決までの経緯】
警察からの連絡により本件を知ったAの母親が弁護士に刑事弁護を依頼しました。弁護士は依頼を受けた後すぐにAと接見し、Aの示談意向を確認したため、示談成立に向けて刑事弁護を始めました。V女やV女の両親の処罰感情は厳しくはなく、勾留から2日後に示談を成立させることができました。示談成立の結果、被害者が被害届を取り下げたことから、Aは同日に釈放されました。また、刑事処分は不起訴(起訴猶予)で終わりました。
淫行事件の示談交渉を弁護士に依頼すべき理由
淫行事件示談交渉を弁護士に依頼すべき理由は次のとおりです。
示談交渉を可能とするため
理由の一つ目が、示談交渉を可能とするためです。
淫行の加害者が被害者に示談を申し入れても断られることがほとんどです。また、淫行事件の場合、被害者の連絡先を知らないことも多く、事件後、被害者と連絡をとることができず、示談交渉を進めることができないでしょう。
一方、弁護士であれば示談交渉に応じてもよいという被害者も多いのが実情です。また、被害者の連絡先を知らない場合でも、弁護士であれば捜査機関に照会し、被害者が許可すれば捜査機関から被害者の連絡先を教えてもらうことも可能です。
示談交渉を弁護士に依頼すれば、まずは示談交渉を始めることが可能となります。
保護者の心情に配慮した示談交渉が必要なため
理由の二つ目が、淫行事件の場合、保護者の心情に配慮した示談交渉が必要なためです。
仮に示談交渉が可能となった場合、その相手は被害者ではなく被害者の保護者となります(保護者が弁護士に依頼することもあります)。そして、多くの保護者が、自分が手塩にかけて育ててきた娘・息子に手を出した加害者に対して強い処罰感情をもっています。そのような保護者と加害者が冷静に示談交渉できるはずがありません。示談交渉をもちかけたことだけで保護者の心証を悪くしてしまいます。
一方、弁護士は事件の当事者ではありませんし、事件の被害に遭われた方との示談交渉に慣れているため、感情に流されることなく冷静に対応することができます。
まとめ
淫行の疑いをかけたれたとき、示談はご自身の身を守るための有効な一手段ではあります。示談成立のタイミングがはやければはやいほど、被る不利益を最小限に抑えることができますので、心当たりのある方ははやめに弁護士に相談することをおすすめします。
当事務所では、未成年淫行の示談交渉を得意としており実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、淫行での逮捕を回避したい、不起訴を獲得したい方は当事務所の弁護士までまずはご相談ください。お力になれると思います。
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