
淫行条例違反の公訴時効は3年です。ただし、未成年との性的行為は淫行条例違反以外にも児童買春罪や不同意性交等罪などに問われる可能性があり、罪名によっては時効が12年〜15年に及ぶこともあります。
「淫行の時効があと何年で成立するのだろう…」「いつ警察が自宅に来るのか…」と不安な日々を過ごしている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、刑事事件に強い弁護士が以下の点について詳しく解説します。
- 淫行条例違反の時効3年と、児童買春・不同意性交等罪など関連犯罪ごとの時効期間
- 被害者が18歳未満の場合に時効が延長される特則
- 淫行の民事上の時効(損害賠償の消滅時効)
- 時効完成を待たずに弁護士に依頼すべき理由
なお、淫行について早急に対応したいとお考えの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談をご利用ください。
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そもそも淫行とは?
淫行の定義については、淫行とは?逮捕された場合の刑罰と未成年との性行為がバレる経緯に書かれていますが、簡単に言えば、淫行とは、18歳未満の者を相手に単に自己の性欲を満たすために性交または性交類似行為をすることです。性交とはセックスのことで、性交類似行為とは肛門性交、口淫、手淫などの性的行為がそれにあたります。
淫行は何罪?
淫行をすると、淫行条例違反となります。
各都道府県では、青少年の健全な育成と環境整備を目的とした条例を定めています。条例の名称は各都道府県により「青少年健全育成条例」「青少年保護育成条例」など様々です。そして、各都道府県の条例には淫行を犯罪行為として禁止する条文が定められています。この淫行を禁止する条文の通称を「淫行条例」といいます。
淫行条例の罰則は都道府県により異なりますが、一般的には、2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金刑となっているところが多いです。
※拘禁刑とは、2025年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑が一本化された刑罰のことです。
淫行条例違反で初犯の場合にどのような処分となるかについては「青少年保護育成条例違反の行為と罰則|初犯だとどうなる?」で詳しく解説しています。
淫行に関連した犯罪
18歳未満の者を相手に性的な行為をした場合、事件の内容によっては淫行条例違反以外の犯罪が成立することもありますので以下で確認しておきましょう。
児童買春・児童ポルノ禁止法違反
「児童買春」とは、児童(18歳未満の者)などに対し、対償を供与したりその供与を約束したりして「性交等」をすることをいいます(同法第2条2項)。
「性交等」とは性交や性交類似行為のみならず自己の性的好奇心を満たす目的で児童の性器・肛門・乳首を触ったり、児童に自己の性器等を触らせることを含みます。
この規定に違反して児童買春をしたものは、「5年以下の拘禁刑」または「300万円以下の罰金」が科されます(同法第4条)。
児童買春の時効期間について詳しくは「児童買春の時効は何年?時効完成を待たずにすべき2つのこと」をご参照ください。
児童福祉法違反
学校の教師による生徒への淫行、児童養護施設職員による入所者への淫行のように、行為者が事実上の影響力を及ぼしうる状況下で児童と淫行を行った場合には児童福祉法違反(児童に淫行させる行為)になります(同法第34条1項6号)。
違反した場合の罰則は、「10年以下の拘禁刑」若しくは「300万円以下の罰金」で、またはこれらが併科されます(同法第60条1項)。
児童福祉法違反の成立要件や罰則、逮捕された場合の対応については「児童福祉法違反とは?定義や禁止行為と罰則を弁護士が解説」をご参照ください。
不同意わいせつ罪・不同意性交等罪
2023年7月13日に施行された改正刑法により、従来の「強制わいせつ罪」「準強制わいせつ罪」は「不同意わいせつ罪」に、「強制性交等罪」「準強制性交等罪」は「不同意性交等罪」に統合・再編されました。
不同意わいせつ罪は、暴行・脅迫、心身の障害、アルコール・薬物の影響、睡眠その他の意識が明瞭でない状態など、被害者が「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態」でわいせつな行為をした場合に成立します(刑法第176条)。「わいせつな行為」とは、陰部を触る、キスをする、胸を揉むなどの行為がそれにあたります。
不同意わいせつ罪を行った場合には「6月以上10年以下の拘禁刑」が科されます。
また、同様の状態で「性交等」(性交、肛門性交、口腔性交、膣・肛門への身体の一部や物の挿入)をした場合には不同意性交等罪が成立します(刑法第177条)。
不同意性交等罪を行った場合には、「5年以上の有期拘禁刑(20年以下)」が科されます。
なお、性交同意年齢が13歳から16歳に引き上げられたため、16歳未満の者に対しては、たとえ本人の同意があった場合でも不同意わいせつ罪・不同意性交等罪が成立します。ただし、相手が13歳以上16歳未満の場合は、行為者が相手より5歳以上年長である場合に限り処罰の対象となります。
監護者わいせつ罪・監護者性交等罪
「18歳未満の者」に対し、その者を現に監護する者(親、子を預かって養育している親類、養護施設の長など)であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をすることは「監護者わいせつ罪」として禁止されています(刑法第179条第1項)。
監護者わいせつ罪の罰則は「6月以上10年以下の拘禁刑」です。
また「18歳未満の者」に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をすることは「監護者性交等罪」として禁止されています(刑法第179条第2項)。
この規定に違反したものは、「5年以上の有期拘禁刑(20年以下)」が科されます。
監護者わいせつ罪の構成要件や同意の有無との関係については「監護者わいせつ罪とは?罰則・構成要件と逮捕後の流れを解説」で詳しく解説しています。
淫行の公訴時効は?
公訴時効とは?
公訴時効とは、犯罪が終了してから一定期間が経過すると検察官が公訴提起(起訴)できなくなる制度です。
起訴できなければ刑事裁判にかけられることもなく、犯人が処罰を受けることはありません。
公訴時効の期間が経過しているのに誤って起訴された場合には、免訴判決が言い渡されます(刑訴法第337条4号)。「免訴」とは刑罰権の存否について実体の内容に踏み込まず門前払いする裁判のことです。
淫行及び淫行に関連した犯罪の公訴時効一覧
公訴時効の期間は、その犯罪の法定刑の重さにより決まります。公訴時効の期間について定めた刑事訴訟法250条を見てみましょう。
第二百五十条
(前略)
② 時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
一 死刑に当たる罪については二十五年
二 無期の拘禁刑に当たる罪については十五年
三 長期十五年以上の拘禁刑に当たる罪については十年
四 長期十五年未満の拘禁刑に当たる罪については七年
五 長期十年未満の拘禁刑に当たる罪については五年
六 長期五年未満の拘禁刑若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については三年
七 拘留又は科料に当たる罪については一年
③ 前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる罪についての時効は、当該各号に定める期間を経過することによって完成する。
一 刑法第百八十一条の罪(人を負傷させたときに限る。)若しくは同法第二百四十一条第一項の罪又は盗犯等の防止及び処分に関する法律(昭和五年法律第九号)第四条の罪(同項の罪に係る部分に限る。) 二十年
二 刑法第百七十七条又は第百七十九条第二項の罪 十五年
三 刑法第百七十六条若しくは第百七十九条第一項の罪若しくはこれらの罪の未遂罪又は児童福祉法第六十条第一項の罪(自己を相手方として淫行をさせる行為に係るものに限る。) 十二年
④ 第二項の規定にかかわらず、刑法第百七十六条、第百七十七条若しくは第百七十九条の罪又は同法第百八十一条の罪(人を負傷させたときに限る。)の犯罪行為が終わった時において、当該罪の被害者が十八歳未満である場合における当該罪についての時効は、当該犯罪行為が終わった時から当該被害者が十八歳に達する日までの期間に相当する期間、その進行を停止する。出典:e-Gov法令検索
淫行条例違反の法定刑は、前述したように、一般的には「2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金刑」です。これを上記条文に当てはめると、刑事訴訟法250条2項6号に該当し、淫行条例違反の時効期間は3年ということになります。
なお、犯罪の法定刑を上記条文に当てはめる際には、法定刑の上限を基準としてください。例えば、不同意性交等罪の法定刑は「5年以上の有期拘禁刑(有期刑の上限は20年です)」ですので、上限の20年を当てはめれば刑事訴訟法250条2項3号に該当し公訴時効は10年となりますが、2023年の刑事訴訟法改正により性犯罪については特則が設けられ、不同意性交等罪の公訴時効は15年に延長されています(同条3項2号)。
淫行と関連した犯罪の公訴時効の期間についても、その刑罰と上記条文を照らし合わせて以下の表でまとめておりますのでご確認ください。
| 罪名 | 法定刑 | 公訴時効期間 |
| 淫行条例違反 | (一般的には)2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金刑 | 3年 |
| 児童買春・児童ポルノ禁止法違反(児童買春) | 5年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金 | 5年 |
| 児童福祉法違反(児童に淫行させる行為) | 10年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金 | 7年または12年※ |
| 不同意わいせつ罪 | 6月以上10年以下の拘禁刑 | 12年 |
| 不同意性交等罪 | 5年以上の有期拘禁刑(20年以下) | 15年 |
| 監護者わいせつ罪 | 6月以上10年以下の拘禁刑 | 12年 |
| 監護者性交等罪 | 5年以上の有期拘禁刑(20年以下) | 15年 |
| 不同意わいせつ等致傷罪 | 無期または3年以上の拘禁刑 | 20年 |
| 不同意性交等致傷罪 | 無期または6年以上の拘禁刑 | 20年 |
| 不同意わいせつ等致死罪・不同意性交等致死罪 | 無期または3年以上の拘禁刑(致死)/無期または6年以上の拘禁刑(致死) | 30年 |
※児童福祉法違反(児童に淫行させる行為)の時効について:2023年の刑事訴訟法改正により、自己を相手方として淫行をさせる行為については12年に延長されました(刑事訴訟法250条3項3号)。第三者を相手方として淫行をさせる行為については従来どおり7年です。
※2023年6月23日の刑事訴訟法改正により、性犯罪の公訴時効は5年延長されました。同改正時点で公訴時効が完成していない事件についても延長後の時効が適用されます。
被害者が18歳未満の場合の時効の特則
2023年の刑事訴訟法改正により、被害者が18歳未満の場合は、被害者が18歳に達するまでの期間、公訴時効の進行が停止するという特則が設けられました(刑事訴訟法250条4項)。
例えば、不同意性交等罪の被害者が15歳だった場合、被害者が18歳になるまでの3年間は時効が進行しません。そのため、通常の15年に3年が加算され、公訴時効は実質18年となります。
この規定は、未成年の被害者が成長して自ら被害を申告できるようになるまでの期間を考慮し、被害者保護を強化するために設けられたものです。
時効の起算点
時効の起算点とは、時効の進行が開始する日のことです。公訴時効の起算点は、犯罪行為が終了した日となります。
例えば、令和7年8月8日に淫行をした場合、公訴時効の起算点は令和7年8月8日となりますので、令和10年8月8日午前0時になった時点で公訴時効が完成します。
時効の停止について
公訴時効は一定の事由がある場合には、その進行がストップする場合があります。これが「時効の停止」という制度です。
公訴時効が停止するのは以下のような事由がある場合です。
- 当該事件について公訴が提起された場合
- 共犯の1人に対してした公訴が提起された場合:他の共犯に対しても時効が停止する
- 犯人が国外にいる場合:国外にいる期間は時効が停止する
- 犯人が逃げ隠れているため有効な起訴状の謄本の送達・略式命令の告知ができなかった場合:逃げ隠れている期間は時効が停止する
ただし、上記の停止事由がなくなれば時効の進行が再開されます。例えば、淫行条例違反をした者が海外に行っている間は時効が停止しますが、日本に帰国した時点から停止していた時効の進行が再開します。
淫行の民事の時効は何年?
淫行を行った場合には刑事責任のみならず、加害者と被害者の間には民事上の法的責任も発生します。淫行事件の場合、加害者は被害者の身体や名誉、性的羞恥心などを侵害したとして慰謝料を含む損害を賠償するように求められる可能性があります。
このような責任は不法行為に基づく損害賠償責任です。不法行為とは、故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者がこれによって生じた損害を賠償しなければならないという責任です(民法第709条)。
そしてこの不法行為に基づく損害賠償責任についても独自の消滅時効が規定されています。
不法行為による損害賠償の請求権は、以下の場合に時効によって消滅します(民法第724条)。
- 被害者またはその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないとき
- 不法行為の時から20年間行使しないとき
なお、人の生命または身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効については上記「3年間」から「5年間」に延長されます(民法第724条の2)。したがって淫行に際して被害者の生命・身体を害する不法行為があった場合には、損害または加害者を知った時から「5年」が経過することで時効消滅することになります。
淫行の時効完成を待つリスク
淫行に関しては、密室で被害者と加害者の2人のみで行われることが多いため、その場で発覚して検挙されることは少ないといえます。そのため刑罰に処せられないように放置して、公訴時効が完成するまでやり過ごしたいと考える方もいるでしょう。
しかし、淫行条例違反の時効期間は3年です。この3年の間には犯罪事実が警察に発覚して突然自宅に警察が逮捕しに来たり、自宅などが捜索され所有物が差押えられたりする可能性もあります。マスコミで実名報道されれば社会的信用を失いますし、場合によっては会社を懲戒解雇、学生の方は退学処分もあり得ます。ご家族の方も周囲からの視線に耐えられずに引っ越しを余儀なくされることもあるでしょう。
また、不同意わいせつ罪や不同意性交等罪などの他の犯罪にあたる行為をしたのであれば時効期間は12年~15年とさらに長くなります。被害者が18歳未満であれば、被害者が18歳になるまでの期間が加算されるため、さらに長期間にわたって訴追される可能性が続きます。長期間こうした事態を想像しながら月日を過ごすことは、健康やメンタルにも大きな悪影響を及ぼしかねません。
事件が警察に発覚するのか、それはいつになるのか、ということは全く予測できません。事件が警察に発覚するには早くても数週間~数か月~数年かかる場合もあります。あるとき逮捕・起訴・有罪判決を受けた場合にはこれまでの生活は一変してしまうことになります。
見えない未来に怯えて日々精神的な不安を抱えたままでは、あなたらしく生きていくことができなくなります。そのような不安を払拭するためにも、一刻も早く弁護士に相談し、逮捕の回避、不起訴処分の獲得に向けた弁護活動をしてもらうことをお勧めします。
時効完成を待たずに弁護士に依頼
自首の同行により逮捕回避が期待できる
刑法上の自首にあたる場合には、刑の任意的減軽が規定されています(刑法第42条)。具体的には「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に」自首する必要があります。これは犯罪の発覚前または犯人が誰であるかが判明する前を意味しています。
そして刑法上の自首が成立しない場合であっても、自ら出頭して罪を告白する行為は被疑者にとって有利な情状となり、その後の刑事手続きにおいてプラスに働く可能性があります。
弁護士は依頼人が自首をする場合に同行することができます。
その際には被疑者が逃亡・罪証隠滅のおそれがないため逮捕の必要がないという意見書を捜査機関に提出します。被疑者が定職に就きそれなりの役職である場合や、同居の家族が身元引受人になってくれていたり監視・監督を誓約してくれていたりする場合には逮捕されない可能性もあります。
弁護士による自首同行の具体的な流れやメリット、費用については「自首に弁護士が同行するメリットと費用|弁護士なしでも大丈夫?」をご参照ください。
示談交渉により逮捕回避・不起訴が期待できる
淫行事件で逮捕や起訴を回避したいと考えているのなら、早期に被害者と示談することが重要です。
示談とは、加害者が被害者に真摯に謝罪の意向を示し、慰謝料を含む損害を填補するために示談金の支払いを話し合いで取り決め、裁判手続外で和解することを指します。
淫行事件の場合には被害者が未成年のケースも多いため、保護者である両親と和解を話し合うことも多いでしょう。弁護士を介して示談交渉を行うことで、被害者側も冷静に話し合いに応じてくれることが期待できます。
淫行事件における示談金の相場や示談の具体的な進め方については「未成年と淫行した場合の示談金相場と流れ、示談による解決事例」もあわせてご確認ください。
淫行でお悩みの方は弁護士にご相談ください
淫行条例違反の公訴時効は3年ですが、児童買春罪や不同意性交等罪など他の犯罪に該当する場合には時効が12年〜15年に及ぶこともあります。時効の完成を待つ間、逮捕や起訴のリスクがなくなるわけではありません。
弁護士に依頼すれば、自首同行によって逮捕を回避できる可能性がありますし、被害者との示談交渉を通じて不起訴処分を獲得できる道も開けます。何もせずに時効の完成を待つよりも、早い段階で適切な対応をとることが、結果として最も負担の少ない解決につながります。
「いつ警察が来るのか」「被害届が出されているのではないか」と不安を抱えたまま過ごす日々は、精神的にも大きな負担です。おひとりで悩まず、まずは弁護士に今後の見通しを相談してみてください。
弊所では、淫行で逮捕回避するための弁護活動、不起訴処分を得意としており、実績があります。全国どこからでも無料相談をご利用いただけますので、一人で抱え込まず、まずはお気軽にご連絡ください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

