司法統計が根拠の離婚原因ランキング。妻・夫ともに1位に選んだのは?

「一生一緒にいようね」と誓い合った仲であっても、離婚の危機はおとずれるものです。

最近は、一昔まえより離婚をする夫婦が増えたといわれています。

永久の愛を誓い合ったはずのカップルがどうして、離婚の選択をするにいたったのか、この記事ではランキング利用して離婚原因の疑問について解説をしていきます。

誰でも気軽に弁護士に相談できます
  • 全国どこからでも24時間年中無休で電話・メール・LINEでの相談ができます
  • 弊所では、ご相談=ご依頼とは考えておりません。お気軽に無料相談をご利用ください
  • 離婚問題で依頼者が有利になるよう弁護士が全力を尽くします
  • 弁護士が親身誠実にあなたの味方になりますのでもう一人で悩まないでください

夫婦が離婚を考えた原因ランキング

結婚という重大な人生の決断と同様に、夫婦が別れを選択するには原因があります。

では、何が原因で離婚を決意するに至ったのか、性別離婚原因の状況が裁判所作成の司法統計により公開されていますのでランキング形式で見て行きましょう。

※司法統計では離婚申し立て1件につき3個まで離婚原因を重複計上しています

2017年度 妻が離婚を考えた原因ランキング
1位 性格が合わない(39.4%)
2位 生活費を渡さない(28.9%)
3位 精神的に虐待する(25.3%)
4位 暴力をふるう(21.6%)
5位 異性関係(16.7%)
6位 浪費する(10.5%)
7位 家庭を捨てて省みない(8.3%)
8位 性的不調和(7.3%)
9位 家族親族と折り合いが悪い(6.8%)
10位  酒を飲みすぎる(6.2%)
2017年度 夫が離婚を考えた原因ランキング
1位 性格が合わない(61.6%)
2位 精神的に虐待する(20.2%)
3位 異性関係(14.2%)
4位 家族親族と折り合いが悪い(13.7%)
5位 性的不調和(12.9%)
6位 浪費する(12.4%)
7位 同居に応じない(8.8%)
8位 暴力を振るう(8.4%)
9位 家庭を捨てて省みない(5.6%)
10位  生活費を渡さない(4.0%)

以上のとおり、男女ともに“性格が合わない”を離婚原因の第1位としてあげています。

なかでも、夫の方が、離婚原因として性格の不一致が61.6%であるのに対して、妻は39.4%であることが特徴的です。

また、妻の離婚原因の2位をみると、“生活費を渡さない”としており、妻の方が婚姻関係について現実的に考える傾向があるといえます。

一方で夫については、夫は“精神的に虐待をする”を2位として挙げていることから、近年夫は妻に精神的に追い込まれることが多い傾向がありそうです。

次にそれぞれのランキングを概括して内容を詳しくみてまいります。

性格・性の不一致を理由として離婚を考える場合

まずは妻と夫ともに1位であった離婚原因として、性格の不一致があります。

また、同様に、性の不一致については、妻では8位、夫では5位と夫の方が性の一致性について重要視している傾向があります。

このように性格の不一致や性の不一致を原因として離婚を考える場合どうしたらよいのか。

まずは、民法上(法律上)離婚できる要件について簡単に説明します。

民法上(法律上)離婚といえるのはどういった場合か

原因がなければ、法律上離婚(裁判離婚)がみとめられることはありません。

具体的には、次の5つの要件(原因)をみたす必要があります(民法770条項参照)。

  • 1配偶者に不貞な行為があったとき
  • 2配偶者から悪意で遺棄されたとき
  • 3配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
  • 4配偶者が郷土の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
  • 5その他婚姻原因を継続し難い重大な事由があるとき(破綻主義)

以上のなかでも、性格の不一致や性の不一致を原因として、離婚原因が認められるのは、“その他婚姻原因を継続し難い重大な事由があるとき”です。

その他婚姻原因を継続し難い重大な事由があるときとして、性格の不一致や性の不一致を原因として離婚が認められるかどうかは、個別具体的な事案によります。

肉体的・精神的に虐待をする

“虐待”の有無が妻・夫の両者において、離婚の動機として高い順位にあります。

とくに、妻の場合、夫の精神的虐待(モラハラ)や暴力(DV)により、離婚を決意していることから、夫の生活能力と同様に、“夫婦として一緒に生活できるかどうか”について、近年は重視する傾向があります。

肉体的虐待が減少したのは、DV法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)の施行により、社会の家庭内暴力に対する意識が高まったことが原因と考えられます。

相手の浪費が離婚原因となる

妻も夫も離婚原因の6位として、相手の浪費を挙げています。

また、妻の場合、昨今の経済状況を反映してか、夫が生活費を渡さない場合、または浪費がある場合と、お金に関する問題で離婚を動機づける傾向があります。

次にこの相手の“浪費”を原因とする離婚について説明をしていきます。

相手の借金が離婚原因となる

夫の浪費の結果として、多額の借金があります。

また、夫も妻の浪費を離婚原因として6位とあげていることから、妻も高額商品の買い物によって浪費を行い、結果として夫から離婚を請求されていると考えられます。

妻は離婚原因として、夫の生活費を渡さないことや、浪費に関して敏感であることから、夫の借金が、妻が離婚を考える1つの要因として考えることができます。

同様に、夫も自分の気が付かない間に、妻が浪費を重ね、結果として借金が膨らんだ場合などが、夫が離婚を考える原因のようです。

妻または夫がギャンブルにはまって離婚の原因となる

日本は諸外国に比べてギャンブルに依存する傾向が高いようです(日本経済新聞電子版:2017/9/29)。

報道の厚生労働省の調査のよると、日本人のギャンブル依存の男女比は男性のほうが多い傾向にあるとの報告があります。

このように考えると、夫婦の離婚の原因として、浪費の原因としてギャンブルを結びつけて考えてよさそうです。

また、傾向として妻よりも夫の方が、ギャンブルに依存している場合が多いようです。

その理由は、男性のほうが女性よりもギャンブルに依存する割合が4倍ほど高いという調査結果に基づきます。

お金の問題は重要な夫婦の問題

夫婦生活において、意外にもお金の問題は互いの性の不一致よりも重要視する傾向があります。

とくに、妻の場合には、“生活費を渡さない”と“浪費する”が性の不一致よりもともに高い位置にあり、妻は非常に現実的理由で離婚を決意している傾向があるといえそうです。

相手の浮気が問題で離婚原因となる

異性関係(浮気)が原因として離婚原因となる場合としては、妻は5位、夫において近年は4位としており、いずれも高い順位となっています。

離婚原因のランキングをみてみると、相手の浮気を、夫のほうが離婚原因として考える順位が高いことから、夫の方が妻よりも貞操を護ることを重要視する傾向がみてとれます。

信頼していた妻の浮気は、夫にとって心理的につらく、精神的に追い込まれてしまい、仕事にも影響がでてしまうことがあるでしょう。

妻に限らず、夫が不貞行為(不倫・浮気)をした場合は、離婚原因となります(民法770条1項1号)。

しかし、“民法上の離婚原因にあたるから即離婚”、というほど単純ではないことをお心に止めておいて下さい。

例えば、妻の浮気が原因で、婚姻関係が修復不能なくらい破たんしてしまっている場合に、離婚が認められます。

なお、いわゆる“有責配偶者から離婚が認められるか”(浮気した本人からの離婚請求はできるか)については、別居期間が相当程度長期間にわたる場合などに認められた判例があります(最高裁判所判例平成2年11月8日 判例時報1370-55)。

両親(舅・姑)とうまくいかず離婚原因となる

妻が家族・親族と折り合いが悪いとして離婚をする場合は、離婚ランキング上9位と、それほど高くはありません。

嫁姑問題がそのまま離婚原因となることは比較的少ないことを表しているといえそうです。

しかし一方で、例えば夫が姑や舅が妻に対して行う“いびり”を放置した結果、離婚へとつながる場合があります。

この場合、夫は婚姻生活維持のために、妻と協力すべきであるところ、自分の両親が妻との婚姻生活を妨げる行為をとめずに、結果、破たんしてしまうということです。

何事にも、“ものには限度”があり、程度をあまりにも逸脱して、婚姻を破綻させる程度までに至った場合は、離婚原因となります。

これに対して夫の場合、家族・親族と折り合いが悪いことは、離婚原因の3位としていて、家族関係を重視している傾向があります。

夫が離婚原因の3位と考える要因は、妻に「夫の家族とうまくやってほしい」と考え、家族関係を重要視するからだといえます。

相手が家庭を省みないので離婚原因となる

相手が家庭を省みず、子供の面倒や教育について関心をもたない場合も、離婚原因となっているようです。

しかし、性格の不一致や、浪費、虐待等と比べると相対的には低い順位となっています。

順位が低い理由として異性関係やギャンブルに入れ込んだ場合には、浮気や浪費が離婚理由となるためだと考えられます。

また、別の理由としては、とりわけ夫に多いと考えられますが、夫が家庭を省みず仕事に没頭する場合、離婚原因と考えない妻が多いことが考えられます。

婚姻生活に必要な費用を稼ぐためにやむを得ないと考えられるからです。

それでも一定数は我慢の限度を超え、離婚原因となるようです。

子供に関する理由が離婚原因となる場合

これまで司法統計に基づくランキングから、最近の夫婦が離婚を考える場合の動機・原因について説明をしてきました。

ここからは、ランキングには顕れませんでしたが、最近のデリケートな離婚問題となる原因を簡単に扱います。

まずは、夫婦間の子供の教育方針の対立、あるいは不妊(子供ができない)ことによる夫婦関係のこじれを原因とする離婚の問題です。

夫婦の教育方針の違いが問題となって離婚原因となる場合

夫婦の教育方針の対立が離婚原因となる場合、互いに合意をすれば、協議離婚することができます。

しかし、一方が離婚に反対した場合には、裁判離婚の要件にあたるかどうかが問題となります。

夫婦の教育方針が対立するとは、例えば、妻は子の将来を案じ、さまざまな塾や習い事に通わせようとします。

一方夫は、子の自主性を尊重し、また、自分の子供時代と対比して、そこまで塾等に通わせる必要がないと主張する場合です。

あるいは、妻が子の教育問題で悩みを夫に打ち明けた場合でも、「夫が仕事で疲れている」等を理由として、話を聞かない場合等も教育方針の対立となり、離婚原因となります。

子供ができず(不妊)に悩み夫から離婚を要求され離婚原因となる

夫婦のすれちがいや互いの心の溝が、不妊によってできてしまい、離婚原因となってしまう場合があります。

どのくらいの夫婦が不妊に悩んでいるのかを示す事例としては、人工授精の統計があります(日本産婦人科学会作成ARTデータ集)。

近年の傾向をみると、人工授精件数が10年前は5万件程度であったところ、近年は約35万件となり、不妊治療件数が増加しています。

このことから、年間婚姻数が約65万件であることから、多くのご夫婦が子供のできないことに悩んでいることがわかります。

ただし、このように多くの夫婦に子供ができないことに悩む一方で、“子供ができないからすぐに離婚できる”わけではありません。

離婚原因となるかどうかは、“子供ができないことが夫婦の間に埋めることのできない大きな溝をつくってしまい、結果として婚姻生活が破たんしてしまっている事実があるかどうか”によって判断されます。

子供は欲しくないまたは不必要が理由となって離婚原因となる

子供ができずになやむ夫婦もいれば、逆に子供を作りたくないという場合もあります。

妻が「子供が欲しくない」と考える原因としては、自分のキャリアをつぶしたくない、あるいは出産を“子供を産む権利”として考え、「子供を産まない自由もある」という理由があります。

妻がキャリアを理由として、子供を望まないのは、いまだに日本においてキャリアにおける男女格差が存在し、妊娠を負の要因として考えられることを背景としています。

これに対して夫が子供を不要と考えるのは、1経済的問題、2生活リズム変えたくないという問題、3子供が嫌い・好きではないという問題があります。夫が子供を欲しくない理由は、妻よりも深刻さが低いといえるでしょう。

いずれの理由も、妻・夫の内面に関わる問題であって、法律で線引きできない問題である一方で、最近の夫婦の離婚原因として増加傾向にあります。解決には妻と夫で互いに話し合いをしていくしかないでしょう。

しかし、夫婦の子供にまつわる“価値観”があわず、婚姻生活が破たんした場合には離婚原因となりえます。

まとめ

最近の夫婦の離婚原因となる場合とは、依然として“性格の不一致”が妻・夫ともに1位となっています。

傾向として、妻は婚姻性格の現実的な側面を考えて離婚の動機にいたりますが、夫は“理想的な家族とはなにか”のように現実面よりも理想面を離婚の動機にする傾向があります。

また、社会の多様化と、価値観の多様化にともない、離婚原因(動機)が多様化しています。

その傾向は夫において顕著といえますが、妻はそれほどでもないといえます。

本稿が離婚を検討される方々の参考になれば幸いです。

誰でも気軽に弁護士に相談できます
  • 全国どこからでも24時間年中無休で電話・メール・LINEでの相談ができます
  • 弊所では、ご相談=ご依頼とは考えておりません。お気軽に無料相談をご利用ください
  • 離婚問題で依頼者が有利になるよう弁護士が全力を尽くします
  • 弁護士が親身誠実にあなたの味方になりますのでもう一人で悩まないでください
離婚問題の悩みは弁護士に無料で相談しましょう

全国対応で24時間、弁護士による離婚問題の無料相談を受け付けております。

弁護士と話したことがないので緊張する…相談だけだと申し訳ない…とお考えの方は心配不要です。

当法律事務所では、ご相談=ご依頼とは考えておりません。弁護士に解決方法だけでもまずは聞いてみてはいかがでしょうか。

ご相談のみで問題が解決する方も多くおられますので、誰でも気軽に相談できる法律事務所にメールまたはお電話でご連絡ください。