養育費を払わないと罰則はある?踏み倒しによる逃げ得を防ぐ改正民事執行法について

厚生労働省が実施した「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果」によると、母子世帯の母の養育費の受給状況は、僅か24.3%しかありません。つまり、約4人に一人の割合で、母親は元夫から養育費を受け取れていないことになり、言い換えれば、約4人に3人の父親が養育費を支払っていない現状となります。

しかし、養育費は子どもが経済的に独立するまでに必要となる重要な金銭です。養育費を受け取れていない親の側からすれば、

元パートナーに何らかの罰則(刑事罰)が適用されてしかるべきではないだろうか…。実際のところ罰則はあるのだろうか?

と考える方もいることでしょう。

結論から言いますと、養育費を払わないこと自体に罰則はありませんが、改正民事執行法により、養育費の回収のための財産開示に応じなかった場合の罰則が強化されました

離婚問題に強い弁護士が以下で詳しく解説していきます。最後まで読むことで、養育費の不払いと罰則に関する知識、法改正により養育費を踏み倒して逃げることが難しくなった現状を知ることが出来ます

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養育費を払わないと罰則がある?

たとえ離婚したとしても、子と離れて暮らすようになった親(非監護親)は未成熟な子に対して扶養義務を負います(民法877条1項)。子に対する扶養義務とは、経済的自立ができていない子に金銭的援助をすることです。非監護親は「養育費」を支払う形でこの扶養義務を果たす必要があります

しかし、養育費を支払わずに逃げたとしても現行そのことを直接の理由として罰則が科されるということはありません。また、養育費の不払いを取り締まる法律もありません。養育費の未払いは民法上は債務不履行ですが、刑罰が科されるような犯罪行為ではないということには注意が必要です。

もっとも、令和2年4月から改正民事執行法が施行されたことにより、債務者(養育費の未払い問題でいえば「非監護親」)が財産開示に応じない場合の罰則が強化されました

以下では、改正前の民事執行法における養育費回収の問題点、民事執行法の改正ポイントについて詳しく解説していきます。

改正前の民事執行法における養育費回収の問題点

上記の通り、養育費の未払い自体に罰則はありませんが、非監護親に養育費の支払い義務があることに変わりはありません。そこで、債権者である監護親は強制執行を申し立て、債務者である非監護親の財産を差し押さえることが考えられます。

しかし、強制執行を申し立てるには、債権者は債務者の財産情報を特定しなければなりません。債務者に差し押えできるだけの財産がなければ差し押えが絵に描いた餅になるためです。

とはいえ、債権者は債務者の財産状況を把握していないことが通常であることから、改正前の民事執行法においても、債務者の財産に関する情報を債務者自身に陳述させるという「財産開示手続」という制度がありました。

この財産開示手続きについて改正前の民事執行法では、債務者が手続きに無断で出頭しなかったり、自己の財産について過小に陳述したりする場合には罰則が法定されていました。しかし、その罰則が「30万円以下の過料」という行政罰であったため、今後長期的に養育費を支払うことに比べると30万円の過料のリスクを負ってでも不出頭・虚偽陳述をする方が経済的に得だと考え、あえて財産開示に応じない債務者(非監護親)もいました。

しかしそれでは、過料を払うだけで養育費を踏み倒しする”逃げ得”がまかり通ってしまいます。

そこで、このような問題点を踏まえ、改正民事執行法では財産開示に応じない債務者に対する罰則を、行政罰から刑事罰へと改正しました。この点については以下で詳述します。

民事執行法の改正ポイント

強制執行について規定する民事執行法が改正されたことにより、未払いの養育費回収の実効性が向上されました。以下で改正のポイントを詳述していきます。

財産開示手続きの不出頭や虚偽陳述の罰則が強化された

民事執行法の改正によって、債務者の財産開示手続きへの不出頭や虚偽陳述に対しては「6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金」という制裁が科されるようになりました(改正民事執行法第213条)。改正前の民事執行法の罰則が行政罰であるのに対し、改正民事執行法の罰則は刑事罰です

実刑の懲役刑になれば刑務所に収監され、それにより仕事を失うことになるでしょう。また、有罪判決を受けると前科がつきます。前科がつくことで、海外渡航が出来なくなることがある、一定の職業に就けなくなる、一定の資格の取得が制限されることがある、などのデメリットがあります。

このように罰則を重くすることで、財産開示手続きの実効性を強化する狙いがあります。

財産開示手続きの申立権者の範囲が拡大された

養育費の取り決めについては公正証書にするケースが多いにもかかわらず、改正前の民事執行法では財産開示手続の申立権者が確定判決等を有する債権者に限定されていました。つまり、公正証書があっても、養育費支払義務者(非監護親)の財産開示手続きを利用することができませんでした

しかし法改正により申立権者の範囲を拡大して、公正証書がある場合も財産開示手続きの制度を利用できるようになりました。これにより、公正証書を有する監護親は、養育費を支払わない非監護親の財産開示手続きを申し立てることができるようになりました。

第三者機関から情報を取得できるようになった

先ほど、財産開示手続きの不出頭、虚偽陳述の罰則が強化されたことをお伝えしましたが、罰則が強化されてなお、財産開示に応じない債務者もいます。

しかし法改正によって、公正証書などの債務名義(強制執行を行う前提として必要な公的な文書)がある債権者は、債務者以外の第三者から財産状況についての情報を取得できる手続きが新設されました。今回新設された制度の概要は以下のようなものです。

  • 銀行等の金融機関から預貯金や上場株式、国債などに関する情報を取得することができるようになった
  • 登記所から土地・建物に関する情報を取得できるようになった
  • 市町村、日本年金機構等から給与債権(勤務先)に関する情報を取得できるようになった

これにより、養育費を払わない非監護親の預貯金や所有する不動産、勤務先や給与が明らかになりますので、これらを差し押さえることで未払いの養育費を回収しやすくなりました。

まとめ

養育費の未払いは犯罪ではありませんので刑事罰が科されることはありません。

ただし、改正民事執行法により、財産開示に応じない債務者への罰則が行政罰から刑事罰へと強化されるなど、未払いの養育費回収の実効性が増しました。

もっとも、監護親(養育費を受け取る側の親)が財産開示手続きを利用するためには、公正証書等の債務名義が必要です。そのため、できれば離婚する前に、養育費についての約束事を公正証書にしておくべきでしょう

ただし、公正証書の作成や財産開示手続き、財産特定後の強制執行~差し押え~取り立てといった手続きも煩雑かつ専門知識を要します。

≫養育費の未払いで強制執行するための条件や流れを詳しく解説

そのため、公正証書の作成や養育費の回収は弁護士に一任することをお勧めします。

当法律事務所では、養育費に関する公正証書の作成や未払いの養育費を回収してきた実績があります。親身誠実に、弁護士が依頼者を全力でサポートしますので、まずはお気軽にご相談ください。相談する勇気が解決への第一歩です。

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