モラハラ夫と離婚後に妻が後悔した3つのこととは

夫による配慮を欠いたひどいモラハラ言動によって精神的に追い詰められている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そして、こんな毎日が続くくらいなら離婚した方がマシと考えるのも当然です。

しかし、「夫と離婚して後悔しないだろうか?」と不安で離婚に踏み切れない方が多いのも事実です。

そこでこの記事ではモラハラ夫と離婚した場合、どのような事項に後悔を抱くことが多いのかという疑問点を、数多くのモラハラ離婚に携わってきた弁護士が解説します。この疑問点を明らかにすることで是非後悔のない離婚を実現できる一助になればと思います。

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1.モラハラ離婚後に後悔したこと

1-1.離婚によって収入が大幅に減少する

モラハラ夫との離婚で大きく生活環境に影響を与えるのは経済的な変化でしょう。

夫と離婚をするとこれまで家計に入ってきていた夫の収入を頼りにすることができなくなります。したがって、共働きだった夫婦は自分の収入だけで生活していかなければなりませんし、専業主婦だった方は何らかの方法で収入を得る必要が出てきます。

モラハラ夫の収入が大きかった場合には離婚後の生活の変化は大きいものとなるでしょう。これまで贅沢な生活ができていた方は、質素な生活を志す必要に迫られるかもしれません。
また小さなお子さんがいて教育に費用をかけたいと考えている方も生活様式の見直しを迫られるかもしれません。

もちろん、離婚の際には婚姻費用の分担・慰謝料の請求・月々の養育費の取り決めなどは夫と決めることができます。しかし、実際には取り決めのとおり支払われていないケースも往々にして存在していることが問題となっています。

この問題については新宿区が平成28年に行った「ひとり親家庭等アンケート調査結果報告書」が参考になります。ひとり親家庭で「働いている」人の割合は86.0%、「働いていない」人が12.8%です。養育費については以下のような調査結果になっています。

  • 「定期的に支払われている」割合は17.8%
  • 「不定期に支払われている」割合が3.9%
  • 「支払いがない」割合が17.4%
  • 「取り決めなし」の割合が36.7%

全体として養育費が支払われている割合(「定期的に支払われている」「不定期に支払われている」)は約20%程度と非常に少ない割合なのです。

1-2.離婚後もモラハラ夫が接触を図ってくる

離婚後に夫が養育費や慰謝料などの約束を守らないことがあることを説明しましたが、離婚後も約束を守らずに接触を図ってくるモラハラ夫もいます。子どもがいる場合には、決められた面会日以外についても子どもとの面会を要請してくることもあります。

モラハラ夫は依存または共依存の夫婦関係であった場合も多いですので、離婚することでパートナーが不在となることに耐えられない夫がいることも事実です。そこで無用の付きまといや身勝手な話し合いを強要してくるのです。

モラハラ夫の影響圏から脱出して新しく生活を始めるために離婚したのにもかかわらず、いつ何どきモラハラ夫が目の前に現れるかもしれないというのでは全く意味がありません。
ご自身の精神状態・メンタルのコントロールが相手に影響されるという状態は日々の生活を送る上で非常にネガティブな影響を与えてくる結果になってしまいます。

1-3.子どもに父親がいなくなってしまうこと

夫と離婚をして自分が子どもの親権者となると、子どもには父親がいない状態が発生してしまいます。「子どもから父親を奪ってしまったのではないか」「結婚生活に耐えられなかったことを後々子どもに恨まれるのではないか」といった罪悪感を抱いてしまうかもしれません。妻にとってはモラハラ夫でしたが、子どもにとっては一見「良き父親」だったという印象の夫もいるからです。

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2.モラハラ夫との離婚で後悔しないための対策

2-1.離婚後の生活資金を用意しておく

上記で説明したようにモラハラ夫と離婚をすると、今後は夫の収入を家計の当てにはできなくなります。別居をして生活様式が変わることに備えて生活資金を用意しておくことが重要です。そのためには、離婚する前に貯金を貯めておく、実家からの援助を受けられないか確認しておくなどの対策が必要です。

離婚に際して引っ越しを行う必要があり、どこからも援助を受けられない場合には当面の生活費も含めて少なくとも50万円ほどはかかると考えておきましょう。月に1万円~2万円ほど貯金できれば1年~2年で貯めることができる金額です。

専業主婦の方でも夫に黙って副業をするだけでも月に1万~2万円を貯金することは現実的に可能です。今ではネットで在宅でもできる副業がたくさんありますので外に働きに行かずとも月に数万を稼ぐことは現実的に可能です。

また、副業やパートなどで得た収入は夫とは別の自分の銀行口座に入ってくるように設定しておきましょう。ネット銀行であればスマホやパソコンから開設可能ですし口座管理もアプリででき紙の通帳がない金融機関であれば夫にも資金管理がばれにくいというメリットもあります。

さらに「モラハラ夫とは離婚したいけどできない」と毎日悔やみながら時間を過ごすより、1年~2年後には必ず離婚をすると決めて生活資金の準備を初める方が自分の人生を生きるための準備をすることができるようになるでしょう。明確な目標がありますので準備期間には今後のライフスタイルについてリサーチする余裕も生まれます。

なかには2年などの準備期間はとてもでないが長くて無理だと思われる方もいると思いますが、女性の平均寿命は87歳です。80年の人生に対して2年間の準備期間は非常に短い時間です。今から2年前を思い浮かべてみてください。それほど大昔ではないと実感できるのではないでしょうか。人生は一度きりですので長い時間を望まない状態で無駄にしないようにすることは重要でしょう。

2-2.自分の中で「もう一度これをされたら離婚する」という条件を設定しておく

何事にも明確な基準が存在していることは重要です。モラハラやDV被害での離婚も同じで「次に同じことをされたら離婚する」という条件を自分の中に持っておきましょう。

人間誰しもが、喉元過ぎれば熱さを忘れるというようにモラハラ・DVを受けた際には「もう耐えられない」「絶対に離婚してやる」と強く思うものですが、ある程度時間が経ったり、夫が「二度とやらない」などという言葉を口に出されたりすることでその決心も薄らいでいくことは往々にしてあります。売り言葉に買い言葉で事態が収束を見せれば何の問題もないでしょうが、何度も何度もモラハラ・DVの被害に遭ってそれが繰り返されている場合、その先に待っているのはあなたの健康やメンタルの崩壊です。

そこで、「自分に一番ダメージを与えている相手の行動や発言は何か」を整理してみて下さい。そのうえで最も我慢ならないものを選びだして「次同じことをされたら離婚する」という明確なルールを自分の中に設定しましょう。

ルールを設定することの意味はモラハラ・DVが起きた際には、自分の次の行動が自動的に決まるということです。モラハラ被害を受けた際には相手に対する悲しみや憎しみで動揺することが普通ですが、このルール設定をしておけば「次は離婚」と決まっていますので意思決定の負担もありません。

また、夫に対しても「次同じことをやったら離婚する」と伝えられる状態であればより良いでしょう。なぜなら相手に突きつけた条件が「抑止力」になる可能性があります。夫も離婚などの大ごとにしたくないと思っている場合、離婚の条件とされたモラハラやDVは極力避けるようになるかもしれません。そうすればあなたを最も苦しめていた相手の言動のひとつを生活の中から取り除くことができます。

2-3.収入源を確保するために資格やスキルを身に付けておく

離婚後は夫の収入を家計の頼りにすることができませんので収入源を確保する必要があります。専業主婦だった方などが離婚後にいざ就職して働こうとしても未経験からのスタートになりますので選択肢が限られてくる可能性が高いです。そこで離婚するまでの間にパートや副業で収入を得る練習をしてみたり就職に役立つ資格を手に入れることも検討しましょう。

夫の収入が家計に入ってくる婚姻期間中に少しでもスキルアップのための準備をしておくことは今後の人生においてもプラスにはたらくでしょう。
在宅でできる仕事であってもプログラミングやライティングスキルについてはコストをかけずに実践しながら(収入を得ながら)訓練を積むことも可能でしょう。

2-4.夫に慰謝料を請求できるように証拠収集をしておく

夫がモラハラやDVを行っている場合には有責配偶者として離婚の際に慰謝料を請求できる可能性があります。別居してから証拠を集めようと思っても実際上不可能な場合が多いです。

そこで同居している間にできるだけたくさんの証拠を収集しておくことが後々非常に役に立ちます。
例えば、以下のようなものが有力な証拠となります。

  • モラハラ的な言動についてICレコーダーやスマホの録音アプリで録音しておく
  • 夫からの過剰な束縛を証明するためのLINEやメールなどの文面を保存・スクリーンショットを撮っておく
  • モラハラやDVが原因で内科や精神科に通院した場合にはその診断書を保管しておく
  • 日々の夫の言動や自分が感じたことを詳細に日記に記録しておく
  • 夫のモラハラ・DVについて普段から相談していた知人・友人に証言してもらう

モラハラは証拠が残りにくい事案であると言われています。そして「この証拠があれば一発でモラハラが認められる!」という証拠があるわけでもありません。その点は不貞や暴力と大きな違いだということができるでしょう。そのため小さな証拠をできるだけたくさん集めることで日常的にモラハラが行われていたということを推認するといったイメージです。

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2-5.夫婦共有財産を分割請求できるように準備しておく

婚姻中に夫婦が協力して得た財産は夫婦の共有の財産であると考えらていますので原則として財産の2分の1の権利を妻は有しています。夫婦共有財産であれば名義が夫のものであっても妻は分割請求できます。離婚後にスムーズに財産分与請求ができるように「夫がどのような財産を持っているのか」を把握しておきましょう。

財産分与の対象となる典型的な財産は以下のようなものです。

  • 現金
  • 銀行預金
  • 婚姻中に購入した土地・建物
  • 自動車
  • 家具・家電
  • 保険料

夫がどこに銀行口座をいくつ持っているのかを知らないという方は同居している機会に把握しておくようにしておきましょう。なぜなら別居後、財産分与を請求した段階で妻が知らない財産について夫が申告せずに分与財産を小さく見積もることに成功してしまうリスクがあるからです。

3.モラハラ夫とは「もっと早く離婚すればよかった」という後悔も。その理由は?

3-1.精神的苦痛からの解放は絶大

モラハラ夫からの管理・支配圏から抜け出すことで、もう日々の言動に怯えたり消耗したりする必要がなくなります。ストレス源から離れて時間を過ごすことで、心身共に衰弱していた方も回復でき日々の生活に活力が戻ります。精神的苦痛から解放され長らく忘れていた自分の人生について自分で意思決定していく生活に大きな幸福を感じる方はたくさんいます。

3-2.自分の人生を自由に生きられるようになる

モラハラ夫と離婚することで、あなたが普段からさまざまな行動に意識的・無意識的に多くの制限がかけられていたことに気づけるでしょう。夫の許可を取らなければ友人や外出もままならないといった過剰な束縛でなくても、趣味や嗜好品について否定的な反応をされないというだけでも自由を手に入れたことを実感することができます。

3-3.第三者を頼ればストレスフリーで手続きも進められる

モラハラで苦しんでいる方は一人で悩みを抱え込みがちです。特に精神的に参っている方は正常な判断ができない状態に陥っている可能性もあります。そこで信頼できる友人・知人・同僚などの第三者に相談することで客観的な視点を獲得することができます。

そして、モラハラ夫に困っている場合に相談すべきは離婚問題に精通した弁護士です。弁護士に相談することで適切な法的アドバイスを受けることができますし、離婚調停や離婚訴訟になった場合でも手続きはすべて弁護士に一任することができます。そして、夫との連絡についても代理人としての弁護士にすべて任せることができます。手続きについても意外とストレスなく進められることが分かると思います。

まとめ

今回はモラハラ夫との離婚によって後悔するケースを紹介しましたが、この記事を参考にできるだけ後悔のない離婚を実現できることを願っております。

モラハラ離婚を検討されている方は、当法律事務所までご相談ください。慰謝料・親権・財産分与等、依頼者が有利に離婚を進められるよう、弁護士が全力を尽くして対応します。相談する勇気が新しい人生への第一歩です。

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