モラハラ(モラルハラスメント)についての明確な定義はありませんが、一般的には、倫理や道徳に反する言葉や態度による精神的な暴力や嫌がらせ行為を指します。
明確な定義がない上に、体への暴力などがないため、被害を受けても被害者自身が気がつきにくいところが特徴です。しかしモラハラは離婚原因として見過ごせないほど多くなっており、令和2年度の司法統計データによれば、妻が離婚を申し立てた動機の3位に「精神的な虐待」がランクインしています。
そこでこの記事では、モラハラ離婚に強い弁護士が、
- モラハラ夫の特徴
- モラハラ夫になる原因
などにつきわかりやすく解説していきます。
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目次
モラハラ夫の特徴
日本では、まだまだ女性が男性を立てて一歩下がるということが美徳だと考えられています。そのため、夫婦間の関係が対等ではなくて、男性の方が決定権を持っていたり、支配的だったりする夫婦も少なくありません。
そうすると、夫から高圧的な言動を受けたとしてもなかなかモラハラとの区別がつかないこともしばしばです。中には、夫婦喧嘩の一種と捉えてしまい、モラハラ被害にあっていることに気付いていない妻もいます。
そこで以下では、モラハラ夫によくある特徴を詳しく解説していきます。
自尊心が異常に高い
モラハラ行為を繰り返す夫の特徴として、まず「自尊心」つまりプライドが異様に高いという点を挙げることができます。
プライドが高い人物は自分に自信があると受け取られがちですが、実際は他人からどう思われているのかが気になって仕方がない性格な人が多く、常に「他人によく思われたい」「尊敬されたい」という欲求に支配されいてる人物です。
モラハラ夫が、妻に向かって「常識的には…」とか「みっともない・恥ずかしい」という言葉を多様しがちなのは、人一倍自分が他人の評価を気にしていることを表しているのです。
平気で嘘をつき虚栄心が強い
自尊心が強く他人の評価を気にする夫は、平気で嘘をつき虚栄心が強い傾向もあります。
モラハラ夫はプライドが高いため、「他人に見せたい自分」と「実際の自分」との間には埋められないギャップが生じてしまっています。
そのため、そのギャップを埋めるために平気で嘘をついたり、実際よりも自分を過剰に良く見せたりうわべだけを飾ろうとする心(虚栄心)が人よりも強かったりする傾向があります。
そのためモラハラ夫は、これまで日常的に嘘をついて自分を見せてきたことから、嘘をつくことに罪悪感も良心の呵責を感じることも少ないのです。
何事も否定から入る
プライドが高いモラハラ夫は、相手を否定して他人より優位に立つことで自分の存在価値を見出してきました。
そのため、他人と会話したりやり取りする際には、「否定的なリアクション」が目立ちます。
モラハラをするような人にとっては、人間関係とは対等な人間同士が横並びになっている関係というよりは、ピラミッドのような上下関係の縦社会と感じています。
そのため自分は相手より上か下かという尺度でしか人間関係を測れない人なのです。したがって何としても相手を否定して自分がピラミッドの頂点に立ちたいと願っています。
話し始めが「いや、」「でも、」「そうじゃなくて、」といった否定形から入る人物は、上記のような傾向があるため要注意です。
嫉妬深く束縛する
このようなモラハラ夫は、自分が持っていないけれども、相手が持っているというものを非常に羨ましがります。それは高級品のような物ばかりでなく、その人の能力や人間関係に対しても同様です。
そのため、妻が外出して第三者と時間を過ごしていることに消極的な感情を抱き報告を求めたり、そもそも外出を嫌がったりする傾向があります。
嫉妬や束縛は恋愛関係では愛情表現のひとつとして取り立てて問題視されない場合もあります。しかし、執拗な嫉妬や束縛は相手の人格を無視した独占欲でしかありませんので、モラハラ夫の特徴のひとつとして考えることができます。
間違いを認めて謝ることができない
プライドが高い夫は、自分の間違い・ミスを素直に認めて、謝罪することができません。
モラハラ夫は、自分が上か相手が上かという硬直的なマインドセットの人物である傾向が強く、どうしても自分のミスを認めることができません。「謝ったら負け」だという感覚で生きている人物もいます。
明らかに夫が間違っているにもかかわらず「こうさせたお前も悪い」と論点をすり替えたり、なんとなくうやむやに事態を収束させたりする傾向のある場合には注意が必要です。
自分の行動を棚にあげて他人を批判する
モラハラ夫の特徴として、自分と全く同じことをしている人を、平気で口汚く罵倒するという特徴もあります。
このような人物は「自分は許されるが、他人が同じことをするのは許されない」というダブルスタンダードな考え方をとっています。
さらに、こちらが「あなたも同じだ」と指摘すると、不機嫌になったり怒り出したりしますが、明確な理由や根拠を挙げることはできないでしょう。
感情の起伏が激しい
感情の起伏が激しいというのも、モラハラ夫の特徴です。
モラハラ夫の最終的な目標は、「自分の意のままに周囲が行動してくれる」ということに尽きます。
そのため突然激昂したり怒鳴ったりして、妻に一定の行動を強要したり禁止したりしてコントロールしようとします。
普通の時との感情の差が激しすぎるという点がモラハラ夫の特徴なのです。
その他、モラハラ夫によくある特徴
- 結婚前は優しかったのに、手のひらを返したように態度が高圧的になった
- 些細な間違いも認めず、むしろ妻のせいにして責めてくる
- 異常なほどに束縛する・行動を監視してくる
- 妻以外には人当たりが良く優しいなど、二面性が激しい
- 感情的になると物に当たったり、大声で恫喝したりする
- 妻が話しかけても無視をしたり、ため息や舌打ち、時には睨みつけてくる
- 感情や態度がコロコロ変わる
- 妻だけでなく妻の家族や友人を馬鹿にしたり人格否定をする
- 自分を正当化し、妻の意見を受け入れない
モラハラ夫になってしまう原因は?
そもそも、なぜ夫はモラハラをするようになってしまったのでしょうか。明確な原因を突き止めることはとても難しいところですが、原因として考えられる要因はいくつかあります。
人間関係を上限関係で考えている
日本には古くから男尊女卑の価値観が根付いていましたが、人間関係を上下で見る傾向がある男性は、女性の地位を男性よりも下に設定し、女性に対して高圧的な言動をするようになることがあります。
家庭を支えなければという思いが空回り
「結婚したら男が家庭を支えなければならない」「男は外で働き、女は家庭を守る」といった価値観に縛られている男性も、一歩間違えるとモラハラの加害者になりやすいといえます。
特に責任感の強い男性は、「自分が家庭を支えなければ」「大黒柱としてしっかりしなければ」という責任感が裏目に出て、「俺は頑張ってるのに、おまえは妻のくせにこんなこともできないのか」「俺が養ってやってるんだからおとなしくいうことを聞け」という言動に至ってしまうケースが散見されます。
もちろん、責任感の強い全ての男性がモラハラ行動に移るわけではありませんが、こういった傾向が強いという特徴はあるようです。
共感力が欠如している
男性は女性に比べて、過程よりも結果を重視するため、女性に比べて共感力に乏しいといわれていますが、この共感力の欠如がモラハラを生み出している場合があります。
「いなくなれ」「黙れ」というような強い否定的な言葉を投げかけられた相手がどれだけ傷つくかが理解できないために、次々に人格否定となる言動を重ねてしまうケースです。
自己愛性パーソナリティ障害
モラハラは心の病気とも言われますが、親和性が強いとされているのが「自己愛性パーソナリティ障害」です。ありのままの自分を愛せず、自分は人よりも優れていると示すことによって自分を守る特徴があります。
「自分の方が相手よりも優れている」という意識がモラハラに繋がりますが、その前提として、「自分は存在価値がない」「自分は人よりも劣っている」という自己肯定感の欠如があるのです。自己愛性パーソナリティ障害も、傲慢さや支配力を誇示することで、自分を防衛していると考えられています。
アダルトチルドレン
アダルトチルドレンとは、子供の頃に家庭内で何らかのトラウマを経験し、それが解消されずに大人になった人のことを指すとされています。
- 小さい頃に自分も両親などからモラハラを受けていた
- 両親の仲が険悪で自分は構われず両親がケンカばかりしていた
- 両親に愛されずに育った
などの幼少期の影響が、モラハラを生んでいる可能性も指摘されています。
仕事などでストレスを抱えている
現時点でストレスを抱えており、そのためにイライラして妻に八つ当たりしている可能性もあります。
例えば、疲れてイライラしているところに「たまには子供の面倒も見てよ」と言われ、カッとなって「誰の金で生活できていると思ってるんだ」と怒鳴ってしまうようなケースです。この場合は、他の要因に比べればまだモラハラを改善できる余地があります。
まとめ
この記事ではモラハラ夫の特徴と、モラハラ夫になる原因について解説してきました。
モラハラ夫は異常なまでに自尊心が高く、間違いを認めることがないばかりか、自分が妻を教育し、コントロールすることは正しいことであると信じ切っています。
そのため、妻がモラハラ夫を改善させるために話し合いやカウンセリングを受けるよう促しても応じる可能性は極めて低いです。
1度きりの大切な人生、貴重な1分1秒をモラハラ夫との生活に費やしたくないとお考えの方は離婚して新しい人生をスタートさせることも検討しなくてはなりません。
当事務所では、モラハラ夫への離婚請求や慰謝料請求、親権の獲得を得意としており実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力でバックアップしますので、モラハラ夫との離婚を進めたい方は当事務所の弁護士までご相談ください。お力になれると思います。
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