このようにお考えではないでしょうか。
爆サイは月間10億PV超えを誇る巨大掲示板であることから、爆サイに誹謗中傷や悪口を書き込みされると多くの人の目に触れてしまいます。そのため、爆サイで誹謗中傷の書き込み被害にあった方からしてみれば、発信者情報開示請求で書き込みした犯人を特定して、刑事や民事(損害賠償請求・慰謝料請求)で法的な責任追及をしたい考えるのは自然な感情です。
もっとも、爆サイへの開示請求の方法がわからない方や、難しいとお考えの方もいることでしょう。
そこでこの記事では、ネット誹謗中傷の犯人特定に強い弁護士が、
- 爆サイで開示請求が可能な書き込みと開示請求が難しい書き込み
- 爆サイへの開示請求で犯人を特定する方法
などについてわかりやすく解説していきます。
なお、この記事を最後まで読んだうえで、ご自身で爆サイへの開示請求をするのが難しいと感じた方は、弁護士までご相談ください。
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記事の目次
爆サイで開示請求が可能な書き込み・難しい書き込み
開示請求が可能な書き込み
爆サイに書き込まれたというだけで、発信者情報開示請求ができるというわけではありません。なぜなら発信者の個人情報を保有している爆サイの管理者についても適切に顧客情報を管理・保存する義務があるからです。
そのため、発信者の個人情報の開示請求が認められるのは、投稿の内容が請求者の権利・利益を侵害しているケースです。
爆サイでの誹謗中傷トラブルで権利侵害が認められる例としては、以下のような投稿があります。
名誉棄損 | 公然と事実を摘示して、特定の人の社会的評価を低下させるような内容を投稿した場合:Aは不倫/脱税/横領している など |
侮辱 | 公然と事実を摘示せずに、特定の人の社会的評価を低下させるような内容を投稿した場合:Aはバカ/ブス/カス/きもい など |
プライバシー侵害 | 公表されていない私生活上の事実について、本人の意思に反して公表する投稿をした場合:Aの氏名・住所・電話番号、職歴、病歴、前科・前歴を公表したケース など |
信用棄損・業務妨害 | 虚偽・偽計・威力を用いて他人の信用を毀損したり業務を妨害したりする投稿をした場合:A社は反社と関りがある/A店は有害な商品を提供している/A社を爆破・放火する など |
上記のように投稿内容が他人の権利利益を侵害している場合には、発信者情報開示請求によって、爆サイに投稿した者の氏名や住所などを特定できる可能性があります。
開示請求が難しい書き込み
以下のような内容の投稿の場合には、権利侵害が認められないため、発信者の情報の開示を求めることは難しくなります。
開示請求できる期間が過ぎてしまっている
爆サイに投稿されてから時間が経過しすぎている場合には、発信者情報開示請求ができない可能性があります。
まず発信者の氏名・住所などを保有するアクセスプロバイダを特定するためには、IPアドレス等がコンテンツプロバイダから開示される必要があります。
しかし、このIPアドレスなどの情報がコンテンツプロバイダのサーバーに保存されている期間は無期限ではなく制限時間があります。
一般的にこれらの保存期間は、発信者が使用したインターネット機器によって変わってくる可能性がありますが、ドコモ・ソフトバンク・auの3大携帯キャリアや光回線などでは、「3か月〜半年程度」であると言われています。
したがって、この保存期間を徒過してしまうとデータが残っていないため、爆サイへの投稿者を特定することが難しくなるのです。
発信者情報開示請求をしようと考えている場合には、問題のある投稿がされてから1か月以内には具体的な手続きに着手できることが理想的です。
権利侵害されている人が特定できない
投稿内容を見て権利侵害されている対象が具体的に特定できない場合にも、発信者情報開示請求をすることは難しくなります。
名誉棄損やプライバシー侵害などは特定の個人や法人に対する権利侵害行為ですので、単一評価が可能な程度に具体的に対象が特定されている必要があります。したがって、「関西人」や「朝鮮人」など抽象的で曖昧な記載の場合には権利侵害が否定される可能性があります。
ただし前後の文脈や投稿されたスレッドなどから、イニシャル・伏字・源氏名を用いて書き込まれていた場合であっても、一般的な閲覧者を基準に請求者のことと特定可能である、と評価される場合がありますので注意が必要です。
爆サイへの開示請求による犯人特定方法の流れ
爆サイへの開示請求で誹謗中傷などの書き込みを行った犯人を特定する流れは以下となります。
- 第一段階:爆サイにログの開示請求
- 第二段階:プロバイダに個人情報の開示請求
以下、それぞれの手順について解説していきます。
第一段階:爆サイにログの開示請求
誹謗中傷や名誉毀損、プライバシー侵害などの被害に遭った時、プロバイダ責任制限法に基づいて「発信者情報開示請求」をすることでその書き込んだ本人を特定します。
発信者情報開示請求は2段階になっていて、第一段階として、爆サイ.comに対して投稿のログ(ログとは、IPアドレスやタイムスタンプ、SIMカード識別番号等の通信記録のこと)を任意で開示するよう請求します。
その方法としてはまずログ照会依頼フォームを開き必要事項を記載します。
必須の記載事項に「所属機関名・部署名・担当者名」の欄がありますが個人の場合は自分の名前の記載で構いません。また、任意の記載事項に「詳細・備考」欄がありますが、ここには、投稿内容がどんな権利を侵害しているのかを書きましょう。例えば「投稿により名誉権(プライバシー権)が害されています」といった形です。
フォームからメッセージを送信して2日~7日前後すると爆サイ.comよりログの保存が完了した旨のメールが届きます。またそのメールには、保存されたログを爆サイに開示してもらうための手続き方法が記載されています。
具体的には以下の書類を全て用意し、爆サイ.comの指定する住所に送るよう指示されます。
- ①発信者情報開示請求書(クリックでpdfファイルが開くのでダウンロードしてご利用ください)
- ②3ヶ月以内に発行した印鑑登録証明書1通
- ③免許証・保険証・パスポート等の本人確認書類1通
※法人の場合は資格証明書 - ④権利侵害の証拠となるページを印刷したもの
※問題のある書き込みがわかるよう下線を引いたり丸で囲む
※著作権侵害を主張する場合は自分が正当な権利者であることを証明する書類も添付 - ⑤切手を貼った返信用封筒1通
※爆サイが宛先として指定する住所は常に一定とは限りません。必ず爆サイからの返信メールに記載された宛先に郵送するよう注意しましょう。
なお、郵便事故で書面が爆サイに届かないといつまでも手続きが進みませんので、郵便物の追跡が可能な簡易書留やレターパックを利用しましょう。
爆サイが発信者情報開示請求の書類を受け取って審査が通ればおよそ1週間~2週間前後でIPアドレス等のログが開示されます。
仮処分の申し立て
爆サイが任意にログの開示をしなかった場合には、裁判所に対して、発信者情報開示請求の仮処分の申し立てをしなくてはなりません。
仮処分の申し立てとは、権利を守るため緊急性が高い場合に、正式な裁判(本訴訟)の前に、勝訴したのと同じ状態を確保する手続きです。裁判が長期化することで権利侵害が進行してしまうのを防ぐための救済的手続きです。
もちろん、”仮”ですので、仮処分のあとに相手方が正式な裁判に持ち込むこともあります。しかし、申し立てが通り裁判所から爆サイに仮処分命令が下されると、通常は爆サイも仮処分命令に従いますので裁判にまで発展することは極めて稀です。
爆サイからログの開示を受けたら次の第2段階に移りましょう。
第二段階:プロバイダに個人情報の開示請求
第一段階の発信者情報開示請求によって爆サイからログ(IPアドレス等)の開示がされたら、「IPアドレスからプロバイダーを検索 | IP SEARCH」を利用して、IPアドレスから書き込みした者の契約しているプロバイダ(OCN・so-net・BIGLOBE等のインターネットサービスプロバイダ)がどこかまずは調べましょう。
次に第二段階として、このプロバイダに対して発信者情報開示請求を行い、契約者の氏名や住所、メールアドレス等の連絡先を開示するように求めます。
ただし、プロバイダに任意で情報開示してもらうことは難しいでしょう。契約者の氏名や住所等は個人情報の最たるものですので、契約者のプライバシー権や通信の秘密との兼ね合いから、開示について慎重にならざるを得ないのです。
そこで、プロバイダが任意で契約者情報を開示しない場合には、裁判手続きが必要となります。この場合は、先ほどの仮処分の申し立てではなく、発信者情報開示請求訴訟という正式な裁判を提起する必要があります。
そして、裁判で権利侵害の事実が認められれば、裁判所がプロバイダに発信者情報開示命令を出します。これにより、請求者はプロバイダから投稿者の個人情報を教えてもらうことができるようになります。
なお、犯人がネットカフェから誹謗中傷の書き込みをした場合は、開示請求によって知ることができるのはネットカフェの運営会社等の情報です。
しかし、ネットカフェ利用に際しては身分証の提示が必要とされており、〇時〇分~〇時〇分の間、誰が〇番席でネットを利用していたことを店は把握しています。この場合、弁護士に依頼すれば、ネットカフェの運営会社に対して弁護士照会という手続きを用いて書き込みした犯人を特定できる場合があります。
新たな開示請求の手続きについて
プロバイダ責任制限法が法改正され、新たな裁判手続き(非訟手続)が創設されました(令和4年10月1日施行)。この手続きにより上記2段階の手続き(実際はほかにも段階を踏む必要があります)が1回の裁判手続で済むようになり、簡易かつ迅速な開示請求が期待できます。
ただし、この新たな裁判手続きを利用することで必ずしも開示されるまでの期間を短縮できるとは限りませんので、上記で解説した従来の開示請求の方法によるべきか、新たな裁判手続きを利用すべきかについては弁護士に相談するようにしましょう。
爆サイへの開示請求で犯人特定ができたら法的対応ができる
爆サイに書き込んだ犯人の身元がわかれば、名誉毀損による慰謝料や損害賠償請求が行えます。住所と名前がわかりますので、まずは内容証明郵便を送付し、それでも請求に応じないのであれば訴訟を起こす形となります。
また、誹謗中傷のケースでは、名誉毀損罪や侮辱罪(企業の場合は、信用毀損罪・偽計業務妨害罪でも可能)で警察に刑事告訴することも可能です。
名誉毀損で慰謝料や損害賠償請求する人のための全手順と相場を公開
爆サイへの開示請求にかかる費用
爆サイへの開示請求を弁護士に依頼した場合の費用相場は以下の通りです。
着手金 | 報酬金 | 裁判にかかる実費 (印紙代等) | |
爆サイへの開示請求(仮処分の申し立て) | 20万円~40万円 | 15万円~20万円 | 約3万円 |
プロバイダへの開示請求(発信者情報開示請求訴訟) | 20万円~30万円 | 15万円~20万円 | 約6万円 |
爆サイへの開示請求とプロバイダへの開示請求の両方を弁護士に依頼した場合の相場は、実費も含めると、おおよそ70万円~90万円が目安となります。
ただし、法律事務所によって料金や価格体系が異なりますので、具体的な額については見積もりを出してもらいましょう。
また、相談料については、30分あたり5,000円が一般的な相場ですが、無料相談を受け付けている事務所も多いため、事前確認が必要でしょう。
まとめ
爆サイへの開示請求の流れは、基本的には以下の2段階の手続きを踏む必要があります。
- 爆サイへのログ(IPアドレス等)の開示請求
- プロバイダへの開示請求
ただし、爆サイの運営会社やプロバイダに任意で情報開示してもらうことは難しいため、仮処分の申し立てや訴訟といった裁判手続きが必要になることがほとんどです。
そのため、爆サイの誹謗中傷の犯人を開示請求により特定して、損害賠償(慰謝料)請求や刑事告訴をしたいとお考えの方は、弁護士への依頼も検討しましょう。
もっとも、前述の通り、爆サイへの開示請求の弁護士費用の相場は70万円~90万円程度ですので、書き込みをした犯人から得られる賠償金よりも弁護士費用が上回ってしまうこと少なくありません。
そのため、爆サイへの開示請求を弁護士に依頼する目的は、賠償金を得ることよりも、
- 爆サイへの誹謗中傷の書き込みにより日常生活に支障をきたしているのでやめさせたい
- 犯人を許せないので法的責任を負わせたい
と考えておくべきでしょう。
もっとも、爆サイに書き込みされた内容の悪質性、書き込みされた回数や期間、被害者と犯人との関係性、被害者が被った損害の程度などによっては高額な慰謝料が望めるケースもありますので、ネット誹謗中傷に精通した弁護士にまずは相談するようにしましょう。
当事務所では、爆サイへの開示請求はもちろん、犯人特定後の犯人との交渉、損害賠償請求(交渉および訴訟)を得意としており豊富な解決実績がございます。親身誠実に弁護士が依頼者を全力でサポートしますので、爆サイへの開示請求を弁護士に依頼することをご検討中の方は当事務所の弁護士までご相談ください。お力になれると思います。
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