
「盗撮は現行犯以外では逮捕されない」という噂を聞いたことがある方もいるかもしれません。しかし、結論として、現行犯で捕まらなくても、後日逮捕される可能性は十分にあります。防犯カメラの映像や目撃者の証言などから犯人が特定され、数週間〜数ヶ月後に警察が自宅を訪れるケースも実際にあります。
この記事では、盗撮事件に強い弁護士が以下の点について解説します。
- 「盗撮は現行犯以外では逮捕されない」は誤りである理由
- 現行犯以外の逮捕が難しいと言われる背景
- 後日逮捕される具体的なケース
なお、盗撮をしてしまい後日逮捕されるのではないかと不安な方は、この記事をお読みいただいた上で、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談をお気軽にご利用ください。
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盗撮と逮捕についての前提知識
盗撮で逮捕される場合の罪は?
盗撮で逮捕される場合に考えられる主な罪は以下の通りです。
- ①撮影罪
- ②迷惑行為防止条例違反
①撮影罪とは、スマートフォンなどを使用して、ひそかに他人のスカート内や下着、または性的な部位を撮影した場合に成立する罪です。この罪は、2023年7月13日に施行された「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」(通称「性的姿態撮影等処罰法」)に基づいています。罰則は、「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」となります。
※拘禁刑とは、2025年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑が一本化された刑罰のことです。
②迷惑行為防止条例は都道府県ごとに制定されています。撮影罪が施行される前(2023年7月12日以前)の盗撮については、迷惑行為防止条例違反で処罰されます。また、撮影罪が適用されないケース(例えば、衣服の上からの盗撮)については、迷惑行為防止条例の「卑わいな言動」として処罰される可能性があります。罰則は、「1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」となります。
逮捕の種類は?
逮捕の種類は次の3つです。
- ①現行犯逮捕
- ②通常逮捕
- ③緊急逮捕
①現行犯逮捕とは、現に犯罪を行っているまたは犯罪を行った直後に犯人を逮捕する行為を指します。現行犯逮捕では、逮捕者にとって犯罪と犯人が明白なこと、あらかじめ裁判官が発する令状を受け取る暇がないほど犯人を逮捕しなければならない緊急性が高いことから、令状がなくても犯人を逮捕できるのが特徴です。また、現行犯逮捕は一般人でも行えます(私人逮捕)。
②通常逮捕とは、事前に裁判所から発せられた逮捕状にもとづいて警察や検察官が被疑者を逮捕する行為を指します。犯行行為が終了した後日に捜査機関が被疑者を逮捕することから「後日逮捕」とも呼ばれます。
③緊急逮捕とは、一定以上の法定刑の罪について、逮捕状の請求をする時間がない場合に無令状で緊急に行われる逮捕を指します。逮捕後は直ちに裁判所に逮捕状を請求し発布を受ける必要があります。
盗撮は現行犯以外では逮捕されない?
では、盗撮は現行犯逮捕以外で逮捕されることはないのでしょうか?また、なぜ「盗撮は現行犯逮捕以外では逮捕が難しい」と言われるのでしょうか?
「現行犯以外は逮捕されない」は間違い
まず結論から申し上げますと、「盗撮は現行犯以外で逮捕されることはない」というのは誤りです。
法律上(刑事訴訟法第199条1項、2項)では、「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」があり、「犯人に逃亡または罪証隠滅のおそれがある」と判断された場合、盗撮に限らずどんな罪でも通常逮捕(後日逮捕)が行われることがあります。そもそも、現行犯以外で逮捕できないといった法律の規定は存在しません。
なお、緊急逮捕については、「死刑、無期拘禁刑、または長期3年以上の拘禁刑」に該当する罪が対象となりますが、撮影罪も緊急逮捕の対象です。つまり、盗撮で緊急逮捕される可能性もあるのです。
「盗撮は現行犯以外の逮捕は難しい」と言われている理由
上記の通り、「盗撮は現行犯以外で逮捕されることはない」というのは誤りです。しかし、「盗撮は現行犯以外の逮捕は難しい」という意見には、一定の理由があります。
逮捕の種類には、現行犯逮捕・通常逮捕(後日逮捕)・緊急逮捕の3つの種類があることは既にお伝えしましたが、このうち、盗撮で逮捕されることが多いのは現行犯逮捕による逮捕です。盗撮は第三者に見られる可能性が高い公共の場で行われることが多く、第三者が盗撮を目撃したときにその第三者でも令状なしに逮捕できるのが一番の理由です。通常逮捕、緊急逮捕では警察官など一部の人しか逮捕する権限がありませんが、現行犯逮捕は誰でもできます。
また、現行犯逮捕の場合、犯人が所持していたカメラに記録された画像や動画がそのまま証拠となり、逮捕時点で犯人の特定ができます。これに対して、通常逮捕(後日逮捕)の場合、逮捕までに犯人が証拠隠滅のために盗撮データを消去することもありますし、警察の捜査で犯人を特定できない場合もあります。
盗撮で後日逮捕される確率や逮捕の可能性があるケースについて詳しくは「盗撮で後日逮捕される確率は?逮捕の可能性があるケースや証拠を解説」で解説しています。
実際、盗撮の常習者に対しては捜査員が現場で見張りをし、盗撮した場面を直接抑えるというシーンをよく目にしますが、これは、捜査機関が盗撮の立証のことを考え、できる限り盗撮したその場面を証拠として押さえたいという意図があるためです。
このように、盗撮が現行犯逮捕以外で逮捕するのが難しいと言われる理由は、現行犯逮捕ではその場で証拠を確保でき、犯人を即座に特定できるのに対し、後日逮捕では証拠が消失したり、犯人の特定が難しくなることが多いためです。
ただし、次に示すようなケースでは、現行犯ではなく後日逮捕される可能性も十分にあるため、現行犯逮捕されなかったからといって安心することはできません。逮捕を回避するためには、被害者との示談交渉が重要となります。盗撮の示談について詳しくは「盗撮の示談金相場は?示談しないとどうなる?弁護士が解説」をご参照ください。
盗撮が現行犯以外で逮捕されるケース
盗撮した場合に現行犯逮捕以外で逮捕されるケースは次のとおりです。
- ①防犯カメラの映像が証拠となるケース
- ②目撃者がいたケース
- ③別件で押収されたスマホ等から盗撮が発覚するケース
①防犯カメラの映像が証拠となるケース
まず、防犯カメラ映像が証拠となるケースです。
たとえば、駅構内のエスカレーターで前に立っていた女性のスカート内にスマートフォンを差し入れたケースで、仮に被害者、目撃者から呼び止められることなくその場を過ごしたとします。しかし、通常、駅構内や駅構内のエスカレーターには防犯カメラが設置されています。したがって、エスカレーターで盗撮すれば、盗撮した場所によっては盗撮行為そのものが防犯カメラに映っている可能性があります。また、複数の防犯カメラの映像を精査すれば、盗撮をした犯人を特定することも可能となるでしょう。
なお、近年は駅構内に限らず、公共の場所、公共の施設には複数の防犯カメラが設置されていますので、駅構内以外で盗撮した場合でも同じことがあてはまります。
②目撃者がいたケース
次に、目撃者がいたケースです。
目撃者が盗撮行為を目撃し、かつ、犯人の顔や服装、身体などの特徴を明確に記憶している場合には、後日逮捕される可能性はあります。もっとも、目撃者の勘違いや思い込みなどによって誤認逮捕してしまう可能性もあることから、目撃者の供述のみで逮捕されることは少なく、それ以外の証拠とあわせて犯行と犯人の特定が可能な場合に逮捕される可能性があるでしょう。
③別件で押収されたスマホ等から盗撮が発覚するケース
次に、別の事件で押収されたスマホ等に保存された動画などから発覚するケースです。
先に出されていた被害届の申告内容と一致する動画などが見つかった場合は、それを端緒に逮捕されてしまう可能性はあります。盗撮が発覚した後の流れや対処法については「盗撮がバレたらどうなる?バレる理由と逮捕後の流れ・対処法を解説」で詳しく解説しています。
盗撮をしてしまい後日逮捕が不安な方へ
この記事で解説したとおり、「盗撮は現行犯以外では逮捕されない」というのは誤りです。現行犯で捕まらなかった場合でも、防犯カメラの映像や目撃者の証言などから後日逮捕される可能性は十分にあります。
現行犯逮捕されなかったからといって安心せず、できるだけ早い段階で弁護士に相談することが重要です。早期に弁護士が介入すれば、被害者との示談交渉や自首同行などを通じて、逮捕の回避や不起訴処分の獲得につながる可能性が高まります。
「いつ警察が来るのか分からない」「このまま何もしなくて大丈夫なのか」と不安を抱えている方も多いかと思います。当事務所では、盗撮事件の逮捕回避・不起訴処分の獲得を得意としており、豊富な実績があります。全国どこからでもご相談いただけますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

