
「盗撮は現行犯以外では逮捕されないと聞いたけれど、本当だろうか」と、その場で捕まらなかった後も落ち着かない日々を過ごしている方もいるのではないでしょうか。結論として、現行犯で捕まらなくても、後日逮捕される可能性は十分にあります。防犯カメラの映像や押収されたスマホのデータをきっかけに身元が割り出され、後になって警察が自宅を訪れることもあります。
一方で「現行犯でなければ捕まりにくい」と言われるのにも理由はありますが、逃げたり画像を消したりすれば済むわけではありません。
この記事では、盗撮事件の解決実績が豊富な弁護士が、次の点について解説します。
- 「現行犯以外は難しい」と言われる理由
- 盗撮が現行犯以外で逮捕されるケース
- 逮捕された後の流れと問われる罪
- 逮捕を避けるために今できること
お読みいただくことで、ご自身の逮捕のリスクを把握し、いま何をすべきかを判断できます。
なお、盗撮をしてしまい逮捕されるのではないかと不安な方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。地域を問わずご相談を承っており、早期対応が結果を左右します。
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盗撮は現行犯以外では逮捕されない?
盗撮は「現行犯で捕まらなければ逮捕されない」と言われることがあります。法律上は現行犯以外でも逮捕できますが、実務上は難しいと言われる事情もあります。
「現行犯以外は逮捕されない」は間違い
「盗撮は現行犯以外で逮捕されることはない」というのは誤りです。現行犯でなければ逮捕できないという法律の定めはありません。
捜査機関は、事件の後でも、裁判官が発付した逮捕状によって被疑者を逮捕できます。これを通常逮捕といい、犯行から日数がたって行われることが多いため「後日逮捕」とも呼ばれます。
通常逮捕が認められるのは、罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があり(刑事訴訟法199条1項)、かつ逮捕の必要がある場合です。逮捕の必要は、逃亡や証拠隠滅のおそれがあるかどうかなどから判断されます。明らかに必要がないと認められるときは、逮捕状が発付されません(同条2項ただし書、刑事訴訟規則143条の3)。
盗撮も例外ではなく、証拠がそろって犯人が特定されれば、後から逮捕される可能性があります。
逮捕の種類は現行犯逮捕・通常逮捕・緊急逮捕の3つ
逮捕の種類は次の3つです。
- ①現行犯逮捕
- ②通常逮捕(後日逮捕)
- ③緊急逮捕
①現行犯逮捕とは、罪を犯している最中や犯し終えた直後の者を、逮捕状なしで捕まえることです(刑事訴訟法212条1項)。警察官に限らず、被害者や居合わせた人など誰でも逮捕できます(私人逮捕・同法213条)。
その場から逃げても、現行犯とみなされることがあります。「犯人だ」と追いかけられている場合や、呼び止められて逃げ出した場合などで、犯行から間がないことが明らかなときです(準現行犯・同法212条2項)。
②通常逮捕は、前述の逮捕状による逮捕です。盗撮では、被害届や通報をきっかけに捜査が始まり、犯人が特定されると逮捕状が請求され、自宅などで逮捕されるのが典型的な流れです。
③緊急逮捕は、死刑・無期拘禁刑・長期3年以上の拘禁刑にあたる罪を犯したと疑うに足りる十分な理由があり、急を要して逮捕状を求められないときに、逮捕状なしで行う逮捕です。逮捕後は、ただちに逮捕状を請求しなければなりません(同法210条1項)。
盗撮に適用される性的姿態等撮影罪(撮影罪。詳しくは後述)は法定刑の上限が拘禁刑3年のため、条文上は緊急逮捕の対象となり得ます。一方、東京都の迷惑防止条例違反は、常習の場合でも上限が拘禁刑2年のため対象外です。
※拘禁刑とは、2025年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑が一本化された刑罰のことです。
「盗撮は現行犯以外の逮捕は難しい」と言われている理由
「現行犯以外の逮捕は難しい」と言われるのは、主に次の3つの事情があるためです。
- 犯行の後では証拠を確保しにくい
- その場を離れた犯人を特定しにくい
- 被害者が気づかず、被害届が出にくい
1つ目は証拠の問題です。現行犯であれば、犯人のスマホやカメラに撮影したばかりの盗撮画像・盗撮動画が残っており、その場で証拠として押さえられます。時間がたつと、データの消去や端末の処分によって、裏づけとなる材料を集めにくくなります。
2つ目は犯人の特定です。盗撮は駅や商業施設など人の多い場所で行われやすく、犯人がその場を離れてしまうと、人混みにまぎれて誰なのかを割り出す手がかりが少なくなります。
3つ目は被害の発覚です。スマホを使ったひそかな撮影は、被害者本人が気づかないことも少なくありません。気づかなければ被害届も出されず、捜査が始まるきっかけが生まれにくくなります。もっとも、撮影罪や迷惑防止条例違反は被害届がなくても捜査を始めることができ、目撃者の通報などから捜査が進むこともあります。
つまり、現行犯以外の逮捕が「難しい」とされるのは、事件が発覚しにくく、証拠集めと犯人の特定に時間と手間がかかるからです。難しいことと、捕まらない(逮捕されない)ことは同じではありません。次のようなケースでは、現行犯でなくても逮捕される可能性があります。
盗撮が現行犯以外で逮捕されるケース
盗撮が現行犯逮捕以外で発覚し、逮捕につながる主な事例(ケース)は次の3つです。
- ①防犯カメラの映像が証拠となるケース
- ②目撃者がいたケース
- ③スマホやカメラに残ったデータから発覚するケース
①防犯カメラの映像が証拠となるケース
駅のエスカレーターや階段、電車内、商業施設、公共のトイレの周辺などには、防犯カメラが数多く置かれています。呼び止められずにその場を離れたとしても、盗撮の様子そのものが映像に残っているかもしれません。
1台に顔がはっきり映っていなくても、周辺の複数のカメラをたどって移動の経路を追えば、犯人を特定することも可能です。駅での盗撮であれば、改札通過時刻と交通系ICカードの利用履歴を映像と照合して、人物を割り出すこともあります。
もっとも、画質が粗い、死角になっている、マスクで顔が分かりにくいといった事情から、映像だけでは特定に至らないこともあります。その場合も、目撃証言や端末のデータと組み合わせて特定が進むことがあります。
映像の解析や照合には時間がかかるため、犯行から逮捕までに数週間から数か月かかることもあります。盗撮で後日逮捕される確率や逮捕の可能性があるケースについて詳しくは「盗撮で後日逮捕される可能性は?逮捕されやすいケースと対処法」で解説しています。
②目撃者がいたケース
盗撮の場面を見た人が、その場では声をかけず、後から警察に通報するケースもあります。犯人の顔や服装、体格などの特徴や、車で立ち去った場合のナンバーを覚えていれば、捜査の手がかりになります。被害者自身が後から撮影に気づき、被害を申告することもあります。
ただし、目撃者の記憶には勘違いや思い込みが入り込むおそれがあるため、目撃証言だけで逮捕されることは少なく、防犯カメラの映像など他の証拠とあわせて犯人と犯行を特定できたときに、逮捕に至る可能性が高まります。
③スマホやカメラに残ったデータから発覚するケース
別の事件の捜査でスマホやパソコンが押収され、その中から盗撮の画像や動画が見つかることがあります。撮影の日時や場所が、先に出されていた被害届の内容と一致すれば、それを端緒に盗撮でも捜査が進み、逮捕に至る可能性があります。
トイレや更衣室などに小型カメラを仕掛けた場合は、カメラが見つかることで発覚します。カメラの映像には、取り付けや回収の際に犯人自身が映り込んでいることがあります。記録の日時と周辺の防犯カメラに映った出入りを照合すれば、仕掛けた人物をたどることもできます。
「撮影したデータを消せば大丈夫」とは限りません。削除したデータでも、専門的な解析によって復元できる場合があります。クラウドへの自動バックアップを設定していれば、端末から消してもサーバー上に残っていることもあります。画像をSNSなどに投稿・共有していた場合には、そこから発信元がたどられる可能性もあります。
データから盗撮が発覚した後の流れや対処法については「盗撮がバレたらどうなる?逮捕の流れと対処法を解説」で詳しく解説しています。
盗撮で逮捕された後の流れと問われる罪
現行犯逮捕か後日逮捕かにかかわらず、逮捕後の手続きや問われる罪は基本的に同じです。
逮捕されると最長23日間身柄を拘束されることがある
逮捕されると、警察は身柄を拘束した時から48時間以内に、被疑者を釈放するか、書類や証拠とともに検察官へ送致する手続をとります(刑事訴訟法203条1項)。送致を受けた検察官は、24時間以内に、裁判官へ勾留(引き続き身柄を拘束すること)を請求するかどうかを決めます(同法205条1項)。
勾留が認められると、請求の日から10日間、やむを得ない事情があるとしてさらに延長されれば最大10日間、身柄の拘束が続きます(同法208条)。逮捕からの72時間と合わせると、起訴か不起訴かが決まるまでに最長23日間拘束される可能性があり、その間は仕事や学校に行けません。
一方で、逃げたり証拠を隠したりする心配が小さいと判断された場合などには、逮捕されずに自宅で生活しながら捜査が進められる「在宅事件」となることもあります。ただし、在宅事件でも、起訴されて有罪となれば、正式な裁判を開かない略式命令による罰金であっても前科がつきます。
逮捕後の対応について詳しくは「盗撮で逮捕される?逮捕後の流れと勾留を回避する方法を解説」をご覧ください。
撮影罪と迷惑防止条例違反の刑罰
撮影罪は、正当な理由なく、ひそかに、他人の性的な部位や、下着のうち性的な部位を覆っている部分などを撮影した場合に成立します。2023年7月13日に施行された性的姿態撮影等処罰法の2条に定められた罪で、罰則は「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」です。
撮影罪について詳しくは「性的姿態等撮影罪(撮影罪)とは?施行日や盗撮罪との違いを解説」をご覧ください。
撮影罪にあたらない撮影は、迷惑防止条例違反として処罰される可能性があります。条例の定めは都道府県ごとに違います。東京都では、衣服で覆われている身体や下着を撮影する行為は「1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」、常習の場合は「2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」です。
撮影せずに、浴場や更衣室、トイレなどをひそかにのぞき見ただけでも、軽犯罪法違反(拘留または科料)に問われる可能性があります。なお、拘留・科料のみの罪では、逮捕状による逮捕は住居不定か正当な理由のない出頭拒否の場合にしか認められません(刑事訴訟法199条1項ただし書)。
関連記事:盗撮はどこからが犯罪?該当する5つの罪名と刑罰を解説
盗撮で逮捕を避けるために今できること
現行犯で捕まらなかった今だからこそ、してはいけないことと、できることがあります。
まず、逃げたり証拠を消したりすると、かえって逮捕のリスクを高めます。逃亡や証拠隠滅のおそれは「逮捕の必要」を判断する事情であり、所在をくらませたり端末を処分したりすれば、そのおそれがあると見られます。
また、撮影罪や東京都の条例違反の公訴時効(起訴できる期限)は3年です(刑事訴訟法250条2項6号)。その間は起訴される可能性が続きます。
逮捕や起訴を避けるうえで重要なのが、被害者との示談です。示談が成立していれば、逮捕の必要が低いと判断されたり、不起訴処分の事情として考慮されたりする可能性があります。ただし、盗撮の被害者は見知らぬ人が多く、本人は連絡先を知りようがありません。弁護士であれば、被害者の同意が得られた場合に捜査機関を通じて連絡先を教えてもらい、示談を申し入れられることがあります。犯人と特定される前であれば、連絡先を尋ねること自体が名乗り出ることになるため、自首とあわせて検討するのが一般的です。盗撮の示談について詳しくは「盗撮の示談とは?相場は10万~50万円|弁護士が解説」をご参照ください。
犯人が誰か捜査機関に分かっていなければ、自ら名乗り出る自首という方法もあります。自首が成立すると、刑が減軽される可能性があります(刑法42条1項)。すでに特定されている場合は法律上の自首にあたりませんが、出頭すれば逃亡のおそれが低いと評価されることもあります。ただし、自首や出頭をしても逮捕されることはあります。弁護士が同行して事情を説明すれば、在宅のまま捜査が進む可能性もあります。
示談や自首をどう進めるかは、事件の内容や証拠の状況で判断が分かれます。一人で決めずに弁護士に相談してください。
関連記事:盗撮で自首するメリット・デメリット|逮捕回避を弁護士が解説
盗撮で現行犯以外の逮捕が不安な方は弁護士にご相談ください
盗撮は、現行犯で捕まらなかったとしても、防犯カメラの映像や目撃証言、端末に残った記録などから身元が判明し、逮捕に至ることがあります。「難しいと聞くから大丈夫」と何もせずにいるのは危険です。
弁護士に相談すれば、逮捕の可能性を見立てたうえで、被害者との示談交渉や自首の判断、逮捕された場合の早期釈放に向けた活動まで任せられます。早い段階で動くほど、取れる選択肢は多くなります。
「いつ警察が来るのか分からない」と不安な日々を送っている方や、すでに警察から連絡が来ている方、ご家族が逮捕された方も、できるだけ早くご相談ください。
当事務所では、盗撮事件の逮捕回避・不起訴処分の獲得を得意としており、豊富な実績があります。ご依頼者の不利益を最小限に抑えるため弁護士が迅速に動き、全力を尽くして守ります。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

