盗撮の証拠となるものは?証拠なしでも逮捕される?

盗撮の証拠として考えられるものには、どのようなものがあるのだろう…」
証拠がなければ、盗撮の容疑で逮捕されることはないのだろうか…」

このように考えている方も多いのではないでしょうか。

盗撮の証拠として思い浮かぶのは、防犯カメラや監視カメラの映像ですが、その他にも、盗撮した写真や動画被害者や目撃者の供述調書・証言盗撮犯人の自白調書盗撮に使用された道具、さらには現場に残された遺留物などが証拠となり得ます。また、盗撮の証拠が一切ない場合は、逮捕の要件を満たさないため逮捕されることはありません

この記事では、盗撮事件に強い弁護士が、次の点について詳しく解説していきます。

  • 盗撮の証拠となるもの
  • 盗撮の証拠がなくても逮捕されるのか
  • 盗撮の証拠を隠滅すると罪に問われるのか
  • 逮捕回避や不起訴を獲得する方法

なお、盗撮事件を起こしてしまい、逮捕回避や不起訴獲得に向けて早急に対応したい方は、この記事をお読みいただいた上で、全国無料相談の弁護士までご相談ください

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盗撮の証拠となるものは?

盗撮の証拠とは、犯行が行われた証拠を示すもので、盗撮行為を裏付けるあらゆる痕跡を指します。これらの証拠が揃うことで、警察や検察が被疑者を盗撮犯として立件する根拠となり、最終的に逮捕や起訴につながる可能性があります。

それでは、さっそく盗撮の証拠となり得るものについて、具体的に解説します。以下の項目が、盗撮事件の証拠として考えられます。

  • ①盗撮した写真や動画
  • ②被害者や目撃者の供述調書・証言
  • ③盗撮犯人の自白調書
  • ④防犯カメラや監視カメラの映像
  • ⑤盗撮に使用された道具
  • ⑥現場に残された遺留品

①盗撮した写真や動画

まず、盗撮の証拠として最も有力なのは、犯人がスマートフォンなどで撮影した画像や動画です。

スマートフォンなどの電子機器に盗撮した写真や動画が保存されている場合、撮影した内容はもちろんのこと、日時や場所まで特定されてしまう可能性があります。また、通常、盗撮した本人だからこそ盗撮した写真や動画もっているわけですから、盗撮した直後に盗撮したことが見つかってしまい、警察官などにスマートフォン等を差し出し(押収され)中身を確認された場合は、写真や動画が盗撮の犯人であることを裏付ける有力な証拠となってしまうことは間違いありません

なお、盗撮で撮影された写真や動画は、それのみでは写真に映っている人が被害者であることや盗撮犯人であることを証明することが難しいものであることがほとんどです。したがって、たとえば、盗撮で検挙されたのち、スマートフォン等の解析で、別の日に撮影された写真や動画が見つかってしまっても、これらの写真や動画のみでは別の日に盗撮したことを証明することは難しく、余罪として立件される可能性は低いと考えられます。もっとも、スマートフォン等に保存してある写真や動画が複数見つかった場合は、常習性の立証として使われる可能性はあります

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②被害者や目撃者の供述調書・証言

次に、被害者や目撃者が警察官、検察官に話した供述、法廷で述べた証言も盗撮の証拠になります。

被害者はまさに盗撮の被害を受けた本人です。その被害者が直接盗撮の状況を見ていた可能性はあります。そして、実際に盗撮の状況を見ていた場合は、前述した写真や動画と同じ程度に有力な証拠となる可能性があります

もっとも、通常、盗撮は被害者に気づかれないようにするものです。そのため、被害者が盗撮の状況を見ていないケースも多く存在します。その際に、有力な証拠となりうるのが目撃者の供述・証言です。盗撮した場所などによっては、窃盗犯の保安員のような盗撮犯の保安員もいます。そうした保安員から盗撮の状況を一部終始見られている可能性があります。また、他の目撃者が見ている可能性がありますし、目撃者が見ていた位置や角度などによっては、被害者の供述・証言よりも有力な証拠と扱われる可能性があります

③盗撮犯人の自白調書

次に、盗撮犯人の自白も証拠になります。

盗撮した本人の供述である上、盗撮犯人にとって不利益な内容をあえて供述していることから自白には強い証明力があると考えられています。そのため、捜査機関はあの手この手を使って盗撮犯人から自白を得ようとします。自白すると供述調書という書面が作られます。供述調書は自白した犯人が作るのではなく、取調べにあたった捜査官が作ります。したがって、実際に話したことと異なったことが書かれてある可能性もあります。一度供述調書にサインすると、裁判などで自白の証拠として使われる可能性がありますので、サインするかどうか迷ったら弁護士に相談した方がよいでしょう。また、違法な取調べによって得た自白は、自白の証拠として使うことができません。取調べに不安、不満がある場合は、はやめに弁護士に相談した方がよいでしょう。

④防犯カメラや監視カメラの映像

次に、盗撮行為が映っている防犯カメラや監視カメラの映像も重要な証拠となります。

近年、駅や駅のホーム、ショッピングモールのテナント内、コンビニエンスストアなど、さまざまな場所に防犯カメラや監視カメラが設置されています。そのため、これらの場所で盗撮が行われた場合、盗撮行為そのものが映っていなくても、犯行後に現場から逃走する姿などが映像に記録されることがあります。防犯カメラや監視カメラの映像技術は年々進歩しており、顔や表情、犯行の状況など、詳細に確認できる可能性も高まっています。仮に盗撮後に犯人が逃走した場合でも、複数のカメラ映像を解析することによって、最終的に犯人を特定できる場合があります。

ただし、盗撮行為そのものが映像に記録されていない場合、その映像単独では盗撮行為を証明する証拠としては不十分です。しかし、他の証拠と組み合わせることで、盗撮行為を裏付ける有力な証拠となることがあります

例えば、男性が女子更衣室に入る姿が防犯カメラに映っているだけでは、その男性が盗撮行為をしたと断定することはできません。ですが、女子更衣室内に設置された小型カメラにその男性の指紋が残っていた場合、これらの証拠が組み合わさることで、盗撮行為が行われたことを裏付ける有力な証拠となり得ます。

⑤盗撮に使用された道具

次に、盗撮で使用された道具も証拠となり得ます。

前述のとおり、盗撮において最も有力な証拠は、犯行現場で押さえられた写真や動画です。しかし、その写真や動画がどのように撮影されたのかも証明の対象となります。そのため、盗撮で使用された道具も証拠として押収され、証拠能力を持つことがあります

例えば、隠しカメラを使用してトイレや更衣室などで盗撮を行った場合、その隠しカメラ自体が証拠となります。特に、カメラに付着した指紋や購入履歴、設置場所の状況などから犯人が特定されることがあります。また、カメラを設置する際に自身が映り込むケースも多く、その映像が証拠として活用されることもあります。

最近では、盗撮の手法が巧妙化しており、鞄や靴に穴を開け、その中にスマートフォンや小型カメラを隠して盗撮するケースが増えています。穴が開いているだけでは盗撮が行われた証拠とは限りませんが、目撃証言や他の証拠と合わせて犯行が立証されることがあります。そのため、盗撮に使用された鞄や靴も証拠として重要視されます。

なお、盗撮で使った道具は犯行方法の証明に役立つのはもちろん、犯行の悪質性・計画性など、悪情状の証明のために使われることもあります。

⑥現場に残された遺留品

次に、犯人が盗撮現場に落とした遺留品も証拠となり得ます。

例えば、盗撮犯が現場に落とした身分証明書などは、それだけでは盗撮を証明する証拠としては不十分ですが、犯人の特定に役立つ重要な手がかりとなります。

盗撮の証拠なしでも逮捕される?

盗撮において前述した証拠がない場合でも逮捕されることはあるのでしょうか?

証拠がまったくない場合は逮捕されない

逮捕には通常逮捕、緊急逮捕、現行犯逮捕があります。このうち、通常逮捕と緊急逮捕は裁判官が発布する逮捕状(令状)によって逮捕される逮捕です。一方、現行犯逮捕では、裁判官が発布する逮捕状がなくても逮捕できます。そして、裁判官に逮捕状の発布を請求できるのは警察官などの権限をもった人ですが、警察官らは、裁判官に逮捕状の発布を請求する際に盗撮犯人が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由(通常逮捕の場合)」、「罪を犯したと疑うに足りる充分な理由(緊急逮捕の場合)があることをある程度明らかにして請求しなければいけません

では、警察官はこれらの理由があることをどのような方法で明らかにするかですが、それは当然、捜査で集めた証拠で明らかにしなければいけません。したがって、盗撮の証拠がまったくないという場合に逮捕状発布の請求をしても、逮捕状発布の要件を満たさず、逮捕状発布の請求は却下されてしまうでしょう。というよりも、警察が盗撮の証拠をまったく集めることができていない場合には、そもそも逮捕状発布の請求はしないはずです

一方、前述のとおり、現行犯逮捕の場合は逮捕状なしに逮捕できる逮捕です。これは、逮捕者にとって犯人と犯罪とが明白であって、逮捕状発布の手続きをとる暇がないほど緊急性が高いことから無令状による逮捕が認められています。つまり、現行犯逮捕の場合は、盗撮行為を見た被害者や目撃者の供述があることが前提となっています。現行犯逮捕は一般人でも可能ですが、証拠もないのにむやみに他人の身柄を拘束すると、逮捕罪や暴行罪などの罪に問われてしまう可能性があります。現行犯逮捕の場合でも証拠は必須なのです。

盗撮未遂で盗撮画像・動画の証拠がない場合は?

前述のとおり、盗撮において、スマートフォンに保存されてある写真や動画は有力な証拠になりえます。では、これらの証拠がない場合には逮捕されないかといえばそうとも限りません。なぜなら、盗撮を処罰する「性的姿態撮影処罰法」には、盗撮(撮影罪)の未遂を処罰する規定が置かれているからです(同法22項)。したがって、電車内で前に立っている女性のスカートの中を撮影しようと、持っていたスマートフォンを手にとって、その女性のスカートの中に向けて差し向けたところ、スカートの中を撮影する前に目撃者に手首をつかまれ取り押さえられた、というケースでも同法で逮捕・処罰される可能性があります。

盗撮未遂は処罰される?逮捕される?罪名や刑罰を詳しく解説

盗撮の証拠を隠滅すると罪に問われる?

警察の捜査を免れるため、盗撮した本人が盗撮の証拠を消去したり、隠したりしても罪には問われません

形式的な理由としては、証拠隠滅罪を規定している刑法104条が「他人の刑事事件」に関する証拠を隠滅することを処罰すると規定しているからです。つまり、盗撮した本人以外の第三者が盗撮の証拠を消去したり、隠したりすると証拠隠滅罪に問われるというわけです。実質的な理由としては、自分で犯した証拠を消去したり、隠したりするのが犯人の通常の心理状態であるから、その犯人に証拠を消去しない、隠さないということを期待できないからです。

もっとも、犯人が第三者に頼んで自分の犯した事件の証拠を消去したり、隠した場合には証拠隠滅罪の教唆犯が成立するとされています。また、近年の技術では、証拠を消去しても簡単に復元されてしまう可能性があります。仮に、警察に証拠を消去等した事実を把握されてしまった場合には、証拠隠滅のおそれがあるとして逮捕されてしまう可能性がありますので注意が必要です

盗撮で逮捕回避・不起訴を獲得する方法は?

最後に、盗撮で逮捕を回避し、不起訴を獲得するためにできることについて解説します。具体的には、以下の方法が有効です。

  • ①自首する
  • ②被害者への謝罪・示談交渉
  • ③弁護士に相談する

①自首する

盗撮で逮捕されるとしたら現行犯逮捕が最も多いです。しかし、盗撮が見つからなかった、見つかったものの逃げ切ることができたという場合などは、後から逮捕される可能性があります。その後日逮捕を避けるためにやるべきことが自首です

盗撮で後日逮捕される確率は?逮捕の可能性があるケースや証拠を解説

自首するということは、盗撮したことを認めることが前提となります。また、自ら警察に出頭するわけですから、警察に逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれがないと判断され、逮捕回避につながる可能性があります。また、自首が成立すると、不起訴や刑の減軽につながる可能性もあります

もっとも、警察に出頭したからといって必ずしも自首が成立するとは限りません。すでに警察が、防犯カメラの捜査等によってあなたを盗撮の犯人として把握している場合は自首は成立しません。そのため、出頭が有効かどうかは慎重に判断する必要があります。自首のタイミングや状況については、弁護士に相談し、最適な対応を取ることが重要です

②被害者への謝罪・示談交渉

次に、被害者への謝罪と示談交渉です。

検察官が起訴・不起訴を決めるにあたって重要視するのが示談成立の有無です。示談が成立していなくてもマイナスに大きく影響することはありませんが、成立しているとプラスに大きく影響します。示談交渉では、示談金の支払いを条件に、被害者が被害届を取り下げることに合意してもらうことが通常です。検察官が被害届が取り下げられた事件を起訴することはほぼありませんから示談が成立すれば不起訴となる可能性が大きいでしょう

もっとも、盗撮の場合、被害者と面識がなく、被害者の連絡先がわからず示談交渉を始めたくても始めることができないケースがほとんどだと思います。したがって、後述するように、示談交渉を含めた一連の対応は弁護士に任せるべきです。

③弁護士に相談する

次に、弁護士に相談し、最終的には依頼をすることです

自首するにしても、ただ単に警察に出頭すればいいという話ではありません。事前の入念な準備が必要で、弁護士のアドバイスを受けながら準備を進めた方がよいでしょう。また、実際に出頭する際は、弁護士に同行してもらうと心強いです。また、謝罪や示談交渉は、弁護士のサポートがなければ話を前に進めることは現実的に難しいと考えた方がよいでしょう。自首しようかどうか、示談交渉をどのように進めたらいいのか迷ったら、はやめに弁護士に相談しましょう。

まとめ

盗撮の証拠となり得るものは様々ありますが、盗撮現場で押収された電子機器に保存された写真や動画は証拠価値の高い証拠になり得ます。これらの証拠を自分で消去したり、隠したりしても罪に問われることはありませんが、他人に依頼して消去したり、隠したりした場合は罪に問われる可能性があります。また、逮捕のリスクを高めてしまう可能性がありますので、取り扱いに困ったときははやめに弁護士に相談した方がよいでしょう。弁護士に弁護を依頼した際は、自首の同行や示談交渉などのサポートを受けることができ、うまく事が進んだときは逮捕回避や不起訴獲得などの結果につながります。

当事務所では、盗撮事件の逮捕回避、不起訴の獲得を得意としており豊富な実績があります。親身かつ誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、盗撮事件を起こしてしまいお困りの方は、ぜひ当事務所の弁護士までご相談ください。

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