- 「盗撮事件を起こしたら、罰金刑、懲役刑のどちらになるのだろう…」
- 「盗撮の罰金刑の相場はいくらぐらいだろう…」
このようにお考えの方もいるのではないでしょうか。
結論から言いますと、盗撮が初犯の場合、罰金刑が科されることが多いです。しかし、前科がある者が再犯した場合や、盗撮の手口が悪質であった場合、または被害者が多数であったり、重大な被害が発生した場合には、懲役刑が科される可能性もあります。罰金刑が科される場合、初犯であれば、相場として30万円~40万円程度が一般的ですが、再犯の場合は、前回よりも重い罰金刑が科される可能性が高くなります。
この記事では、盗撮事件に強い弁護士が、
- 盗撮の刑罰
- 盗撮事件が罰金刑ではなく懲役刑になりやすいケース
- 盗撮の罰金相場
- 盗撮で懲役刑を避け、罰金や不起訴処分を目指す方法
などについて詳しく解説していきます。
なお、盗撮事件を起こしてしまい、逮捕回避や不起訴獲得に向けて早急に対応したいとお考えの方は、この記事を読まれた上で、全国無料相談の弁護士までご相談ください。
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目次
盗撮は罰金刑になる?それとも懲役刑?
盗撮で問われる罪とは?
盗撮は、2023年7月13日に施行された「撮影罪(正式名称:性的姿態等撮影罪)」に基づいて処罰されることが原則です。この撮影罪における刑罰は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金となります。
ただし、撮影罪が施行される前に行われた盗撮行為については、基本的に各都道府県に定められた「迷惑防止条例」に基づき処罰されます。迷惑防止条例違反の罰則は、都道府県によって異なります。例えば、東京都の迷惑防止条例では、盗撮行為に対して1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。また、常習的に盗撮行為を行った場合には、罰則が強化され、2年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されることがあります。
さらに、盗撮目的で建物に侵入した場合には、建造物侵入罪(3年以下の懲役または10万円以下の罰金)が適用される可能性があります。また、18歳未満の人物を被写体にした場合には、児童ポルノ禁止法違反(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)として処罰されることもあります。
以上のとおり、盗撮行為は法的に厳しく規制されており、違反した場合の刑罰は、罰金刑のみならず懲役刑も科される非常に重いものとなっています。
盗撮事件が罰金刑ではなく懲役刑になりやすいケース
盗撮が初犯の場合、罰金刑が言い渡されることが多いです。一方、以下のような事情がある場合には、懲役刑が科される可能性が高くなります。
- ①前科がある人が再犯した場合
- ②盗撮の手口が悪質な場合
- ③盗撮の被害者が多数いる場合
- ④盗撮によって重大な被害が発生している場合
①前科がある人が再犯した場合
盗撮で懲役刑が科される可能性が最も高いのは、過去に同様の前科がある場合です。
一度罰金刑など軽い処分を受けながら、再び盗撮を行った場合、より厳しい処罰が必要とみなされる傾向があります。特に、執行猶予中にもかかわらず再犯を繰り返した場合、懲役刑が科される可能性が非常に高くなります。このようなケースでは、裁判所が「再犯防止のためには実刑が必要」と判断することが多いためです。
また、再犯を防ぐためにも早期に適切な弁護活動を受けることが重要です。
②盗撮の手口が悪質な場合
盗撮の手口やその後の行動が悪質である場合には、罰金刑ではなく懲役刑になる可能性が高まります。
たとえば、教師が学校内で生徒の性的な姿を盗撮する場合や、社会的地位や立場を利用して盗撮を繰り返すケース、専用の盗撮機材を用意するなど計画性が高い場合などには、盗撮行為自体の悪質性が認められます。
また、盗撮した映像や画像をSNSで公開したり、他人に販売したりする行為も、被害の拡大や社会的影響の大きさから厳しく処罰される傾向にあります。
このような場合、初犯であっても罰金刑ではなく懲役刑の実刑判決が言い渡される可能性があります。
③盗撮の被害者が多数いる場合
盗撮事件で被害者が複数おり、それぞれの被害が事件化されている場合、懲役刑が科される可能性が高くなります。
盗撮の余罪が立件されることは少ないものの、余罪の日時や場所が特定できれば、余罪が立件されることがあります。特に、被害者が特定され、被害届が出されている場合、余罪捜査で新たに立件される可能性が高まります。複数件の盗撮が同時に立件されると、全体の事件としての悪質性が増し、刑罰も重くなる傾向にあります。例えば、複数の被害者をターゲットにして盗撮を行っていた場合、裁判官に常習性や計画性が疑われ、懲役刑を科される可能性も高まります。
④盗撮によって重大な被害が発生している場合
盗撮が児童ポルノ禁止法違反に該当する場合、通常の盗撮よりも重い刑罰が科される傾向にあります。
18歳未満の児童を対象に盗撮を行い、その画像や映像を制作・公開した場合、被害が特に重大であるとみなされ、実刑判決が下される可能性が非常に高くなります。これは、被害者の人権が深刻に侵害されるため、社会的な影響が大きいと判断されるからです。
また、盗撮によって被害者が甚大な精神的苦痛を受けた場合も、裁判所は厳しい刑罰を科すことがあります。
さらに、被害者が18歳未満でなくても、高校生や大学生など比較的若年層である場合や、盗撮動画がネット上で売買・拡散された場合にも、重大な被害が発生したと見なされることがあります。
これらのケースでは、盗撮行為が引き起こす社会的影響の大きさや、被害者への被害の深刻さが考慮され、罰金刑ではなく懲役刑が言い渡される可能性が高まります。
盗撮の罰金相場はいくら?
盗撮行為に対する罰金額は、犯行の内容や再犯の有無によって異なりますが、一般的に初犯の場合の罰金相場は30〜40万円程度です。再犯の場合は、前回の罰金刑が前科調書に記録されているため、前回より重い罰金刑が科される可能性があります。
なお、2023年に施行された「撮影罪」により、盗撮行為に対する法定刑が従来よりも厳しくなりました。このため、初犯であっても高額な罰金が科される可能性があります。
一方で、示談が成立している場合には、不起訴処分となる可能性もあります。不起訴処分になれば、罰金刑が科されることはなく、前科がつくこともありません。ただし、示談が成立したからといって必ずしも不起訴になるわけではなく、他の要因も考慮されます。盗撮事件で不起訴を獲得する方法については、後述します。
盗撮で罰金刑になった場合でも前科はつく?
盗撮事件で罰金刑が科された場合、前科がつきます。
前科とは、刑事裁判で有罪判決を受けた経歴を指します。交通違反で反則金を支払った場合には前科がつかないため、罰金刑も同様に前科がつかないと誤解されることがありますが、これは間違いです。
罰金刑は刑事罰の一種であり、公判請求(公開の法廷で審理を求める起訴)されて罰金刑になった場合はもちろん、略式起訴(公開法廷での審理を省略し、検察官が罰金や科料を求めて行う簡略化された起訴)で罰金刑が確定した場合でも前科が記録されます。略式裁判は書類のやり取りだけで簡略化された手続きで進むため、前科が付いた実感が薄いかもしれませんが、有罪判決を受けたのと同様に前科として扱われます。
そして、罰金刑により前科が付くと、以下のようなデメリットが生じる可能性があります。
- 資格や職業の制限
医師、歯科医師、薬剤師などの国家資格が必要な職業において、免許の取得や更新が制限される場合があります。これらは裁量的な制限のため、必ず制限されるわけではありませんが、大きなリスクとなります。 - 就職活動への影響
前科がある場合、履歴書の賞罰欄に記載が必要です。正直に記載すると、採用担当者が採用をためらう場合があります。また、記載を偽った場合、後から発覚すると懲戒処分を受ける可能性もあります。 - 親族の就職活動への影響
官公庁や防衛省など、一部の組織では応募者の親族についても調査が行われることがあります。これにより、親族の前科が原因で採否に影響を及ぼすことも考えられます。 - 海外渡航の制限
就労ビザの取得時に無犯罪証明書の提出を求められる国では、罰金刑が理由で証明書が発行されず、ビザ取得が困難になる場合があります。一方、観光目的の短期渡航であれば、問題となることは少ないでしょう。
以上から、前科を避けるためには、起訴そのものを防ぐ必要があります。
盗撮で懲役刑を避け、罰金や不起訴処分を目指すには?
盗撮事件で懲役刑を避け、罰金刑や不起訴処分を目指すことは、将来に大きな影響を与えます。懲役刑を回避できれば、社会的信用や職業生活への影響を最小限に抑えることが可能です。さらに、不起訴処分となれば、刑事裁判にかけられることなく、前科がつくことも避けられます。
懲役刑を回避し、罰金刑や不起訴を目指すためには、以下のような具体的な方法を取ることが重要です。
- ①被害者と示談を成立させる
- ②再犯防止措置を講じる
- ③盗撮事件に強い弁護士に弁護活動を任せる
①被害者と示談を成立させる
盗撮事件で罰金刑や不起訴処分を目指す上で最も効果的な方法は、被害者と示談を成立させることです。
示談が成立し、被害者から重い処罰を望まない意思が示された場合には、検察官が不起訴処分や軽い罰金刑で済ませる可能性が高まります。特に、初犯の場合や悪質性が低いと判断される事案では、示談の成立が不起訴を獲得する大きな鍵となります。
ただし、被害者との示談交渉を加害者本人が行うことは極めて難しいでしょう。
被害者の連絡先が不明である場合や、感情的な衝突から交渉が進まないことがほとんどです。このため、盗撮事件の経験が豊富な弁護士に示談交渉を任せることが不可欠となります。弁護士が第三者として介入することで、円滑な交渉が可能になり、示談成立の可能性を大幅に高められます。
②再犯防止措置を講じる
再犯防止に向けた具体的な取り組みも、罰金刑や不起訴処分を目指す上で重要なポイントです。
盗撮事件では、再犯率が比較的高い犯罪とされるため、検察官が再犯リスクを低いと判断することが処分内容に大きく影響します。
再犯防止措置としては、治療機関への通院や専門カウンセリングの受講、生活習慣の見直しが挙げられます。たとえば、盗撮が衝動的な行動に基づいていた場合、専門家の治療やカウンセリングを受けることで、同様の行為を繰り返すリスクを減らせます。
また、家族や職場の協力を得て、日常生活の中で盗撮行為に及ばないような環境を整えることも有効です。
こうした取り組みを検察官にアピールすることで、「社会復帰に向けて十分な改善が見られる」と判断される可能性が高まり、罰金刑や不起訴処分が選択されやすくなります。
③盗撮事件に強い弁護士に弁護活動を任せる
盗撮事件で懲役刑を避けるには、専門知識と経験を持つ弁護士の助けを得ることが不可欠です。
盗撮事件は、示談交渉や再犯防止策の提案など、弁護活動の内容次第で処分が大きく変わる可能性が高い犯罪類型です。
盗撮事件に強い弁護士は、示談交渉を円滑に進めるだけでなく、再犯防止の取り組みについても具体的なアドバイスを提供します。また、検察官や裁判官に対して、依頼者が真摯に反省し、再犯の可能性が低いことを効果的に伝えるための方策を講じます。このような活動により、処罰の必要性を低く評価してもらえる可能性が高まります。
弁護士に依頼することで、被害者との示談成立などの弁護活動を行ってもらえます。また、必要に応じて早期の身柄解放を目指すことも可能です。懲役刑を回避し、罰金刑や不起訴処分を目指すためには、盗撮事件に強い弁護士による専門的なサポートを受けることが最善の方法といえます。
まとめ
盗撮事件を起こした場合、撮影罪や各都道府県の迷惑防止条例違反などの罪に問われる可能性があります。
一般的に、初犯や被害が軽微な盗撮事件の場合には、罰金刑が科されることが多いでしょう。しかし、再犯の場合や被害が甚大な場合には、実刑が科されるおそれもあります。
盗撮事件を起こした場合、速やかに弁護士に相談し、不起訴の獲得や実刑の回避を目指した弁護活動を行ってもらうことが重要です。刑事事件に詳しい弁護士に依頼することで、適切な解決方法を模索することが期待できます。
当事務所では、盗撮事件の不起訴獲得や懲役刑の回避に関する豊富な実績があります。親身かつ誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、盗撮事件を起こしてしまい、罰金刑や不起訴獲得を目指す方は、ぜひ当事務所の弁護士にご相談ください。
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