
暴力行為等処罰に関する法律は、凶器を使った脅迫や集団での暴行、常習的な暴力行為などを、通常の暴行罪・脅迫罪よりも重く処罰するための特別法です。最も重い場合には15年以下の拘禁刑が科される可能性があります。
「包丁を見せて脅してしまった」「繰り返し手を上げてしまい、警察から連絡が来た」など、自分の行為がこの法律に該当するのではないかと不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、暴力行為等処罰法の解決実績が豊富な弁護士が、次の点について解説します。
- 暴力行為等処罰法の構成要件と罰則
- 暴力行為等処罰法違反の公訴時効
- 罪に問われた場合の対処法
なお、暴力行為等処罰法違反についてお悩みの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談へお気軽にご連絡ください。
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暴力行為等処罰に関する法律とは
「暴力行為等処罰ニ関スル法律」は、刑法に定める暴行罪や脅迫罪などの罪と比較して、集団的・常習的な暴力行為や凶器を用いた暴力行為・脅迫・器物損壊・強要などを、特に重く処罰することを目的とした特別法です。
略称として「暴力行為法」や「暴力行為処罰法」などと呼ばれます。
元来は暴力団などによる集団的な暴力行為の取り締まりを念頭に大正時代に制定されましたが、現代においては、学校や職場における集団的ないじめや、常習的な家庭内暴力(DV)といった事案にも適用されることがあります。
団体による威力の誇示や凶器の使用、常習性の有無が、刑法犯よりも重い刑罰を科すかどうかの分かれ目です。
なお、暴力行為等処罰法が実際にどのような事案で適用されているかについては、以下の記事で判例を解説しています。
暴力行為等処罰に関する法律で処罰対象となる行為・構成要件・罰則
暴力行為等処罰法は、1条から3条にかけて処罰対象となる行為を規定しています。それぞれの条文について、どのような行為が該当するのか、構成要件と罰則を解説します。なお、通常の暴行罪・傷害罪の構成要件や罰則については「暴行罪と傷害罪の違いは?どこから成立?構成要件や罰則を解説」で詳しく紹介しています。
1条(集団的暴行・脅迫・凶器の使用)
暴力行為処罰法1条は、団体または多衆の威力を誇示したり、それを仮装したり、凶器を示したり、数人共同で、刑法上の暴行罪(刑法208条)・脅迫罪(刑法222条)・器物損壊罪(刑法261条)を犯した場合に成立します。
ここでいう「凶器」には、銃刀類だけでなく、包丁、はさみ、カッターナイフ、金属バット、木刀、鉄パイプなど、用法によって人の生命・身体に害を加えるに足り、社会通念上人に危険感を抱かせる物も含まれます。
本条の犯罪が成立した場合には、3年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科されます。
※拘禁刑とは、2025年6月施行の改正刑法により「懲役」と「禁錮」が一本化された刑罰です。
1条の2(銃砲刀剣類による加重傷害)
同法1条の2第1項は、銃砲(クロスボウを含む)または刀剣類を使用して人の身体を傷害した場合に成立します。ここでいう「傷害」とは、他人の生理機能に障害を与えることを指します。殺傷能力の高い危険な凶器を使用している点で、刑法上の傷害罪よりも厳しい刑が定められています。
法定刑は1年以上15年以下の拘禁刑です。
一方、傷害結果が生じず、他人の身体に対する不法な有形力の行使(暴行のみ)に留まった場合には、未遂罪として処罰されます(同条2項)。
1条の3(常習的な傷害、暴行、脅迫、毀棄)
同法1条の3第1項は、常習として刑法上の傷害罪、暴行罪、脅迫罪、器物損壊罪を犯した場合に適用される規定です。ここでいう「常習性」とは、暴力行為を繰り返し行う性癖が身についている者が、その性癖に基づいて再び犯罪を行うことを意味します。過去に同種の事件で逮捕歴や前科があるという事実だけで直ちに常習性が認定されるわけではなく、行為の回数・頻度・態様・動機などを総合的に考慮して判断されます。常習性が認められた場合、通常の刑法犯よりも加重された刑の対象となります。
これらの犯罪により常習犯が他人に傷害を負わせた場合には、1年以上15年以下の拘禁刑が科されます。これ以外の場合には、3月以上5年以下の拘禁刑に処せられます。
2条(集団的、常習的な面会強請・強談威迫の罪)
同法2条1項は、財産上不正な利益を得る、または得させる目的で、1条に規定された集団の威力の誇示や凶器の提示といった手段を用いて相手方に面会を強要したり、気勢を示して脅しつける(強談威迫)行為をしたりした場合に適用されます。
また、同条2項では、上記のような目的や手段の限定がなくても、常習として正当な理由なく面会強請や強談威迫を行った場合に同様の刑が科されます。
これは、暴力団などの反社会的勢力が金銭を得るために行う、不当な面会要求や脅迫行為などを想定した処罰規定です。
法定刑は1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金です。
3条(集団的犯罪等の請託)
同法3条1項は、1条に定める集団の威力の誇示や凶器の提示といった方法により、殺人罪、傷害罪、暴行罪、脅迫罪、強要罪、威力業務妨害罪、建造物損壊罪、器物損壊罪を犯させる目的で、第三者に対して金品などの利益を供与・約束したり、事情を知りながら利益を受け取ったりした場合に適用されます。
実際に犯罪が実行されなくても、依頼や約束をした時点で犯罪が成立します。これは、集団的な犯罪の実行を未然に防ぐことを目的としています。
法定刑は6月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金です。なお、同条2項では、公務執行妨害罪(刑法95条)を犯させる目的で同様の行為をした場合についても同じ刑が定められています。
暴力行為等処罰に関する法律の公訴時効
暴力行為処罰法違反の公訴時効は、適用される条文の法定刑によって3年・5年・10年と大きく異なります。
刑事訴訟法に基づき、暴力行為処罰法違反の罪の公訴時効は以下のとおりです。
| 成立する犯罪 | 法定刑 | 公訴時効の期間 |
|---|---|---|
| 1条(集団的暴行、脅迫、毀棄) | 3年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 | 3年 |
| 1条の2(銃砲刀剣類による傷害) | 1年以上15年以下の拘禁刑 | 10年 |
| 1条の3(常習傷害) | 1年以上15年以下の拘禁刑 | 10年 |
| 1条の3(常習暴行、脅迫、毀棄) | 3月以上5年以下の拘禁刑 | 5年 |
| 2条(集団的、常習的な面会強請・強談威迫の罪) | 1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金 | 3年 |
| 3条(集団的犯罪等の請託) | 6月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金 | 3年 |
時効の起算点は、原則として犯罪行為が終わった時点(行為時)からとなります。常習的に暴行を行っていた場合には、常習性の発露として行った最後の行為から起算されます。
また、時効期間は単に時間が経過すれば成立するわけではありません。被疑者が国外にいる期間は、理由を問わず時効の進行が停止することが刑事訴訟法によって定められています。
暴力行為等処罰法はDV・家庭内暴力にも適用される
この法律は、暴力団や見知らぬ第三者による犯罪に限らず、夫婦間や親子間など配偶者・親族間で発生した暴力行為にも適用されます。
特に、家庭内での暴力が常習的に行われており、その結果、被害者に傷害を負わせたような場合は、本法1条の3の常習傷害罪が適用され、刑法上の傷害罪よりも重い刑罰を受けるおそれがあります。
また、口論がエスカレートして包丁などの凶器を持ち出し、相手を脅した場合には1条の罪が成立する可能性もあります。家庭内の出来事であっても、凶器の使用や常習性が認められれば、通常の暴行罪・脅迫罪よりも厳しく処罰されることを認識しておく必要があります。
本法は非親告罪であるため、配偶者や親族が告訴を取り下げたとしても、検察官は独自の判断で捜査を進め、起訴することができます。DVで逮捕されるケースや逮捕後の対処法については「DVで逮捕される基準は?逮捕された場合の対処法を弁護士が解説」もあわせてご確認ください。
暴力行為等処罰法違反で罪に問われた場合の対応
暴力行為等処罰法違反で罪に問われた場合、次のような対応を検討してください。
- ①被害者と示談をする
- ②刑事事件に強い弁護士に相談する
- ③減刑や執行猶予の獲得を目指す
①被害者と示談をする
暴力行為等処罰法違反の事実に争いがない場合、できる限り速やかに被害者へ謝罪し、示談を成立させることが、事件解決に向けて最も有効な手段となります。
示談が成立し、処罰感情が和らいだり被害届が取り下げられたりすれば、検察官が事件を起訴せず、不起訴処分となる可能性が大幅に高まります。
不起訴となれば、刑事裁判にはならないため、加害者に前科が付くことを回避できます。また、すでに逮捕され身柄拘束を受けている場合でも、示談の成立は早期の身柄解放や社会復帰に繋がる大きな有利な情状となります。示談の具体的な流れや示談金の相場については「刑事事件で示談するメリットは?示談金相場と流れを徹底解説」をご参照ください。
②刑事事件に強い弁護士に相談する
暴力行為処罰法違反は、集団性や凶器の使用といった構成要件の判断が複雑であり、単なる暴行罪などと比較して量刑が重くなりやすい傾向があります。
そのため、「身に覚えがない」と無罪を主張する場合でも、「自分の関与の程度が軽微だ」と責任範囲を争う場合でも、速やかに刑事事件を専門とする弁護士に相談することが不可欠です。
弁護人となった弁護士は、警察・検察での取調べ対応について適切なアドバイスを行い、証拠の検討や被害者との示談交渉、共同正犯としての責任の範囲を争うといった、被疑者・被告人にとって最善の弁護活動を行います。
③減刑や執行猶予の獲得を目指す
検察官によって起訴されて刑事裁判になった場合でも、弁護活動を通じて減刑や執行猶予付きの判決の獲得を目指します。
具体的には、被害者との間で示談を成立させることを前提として、裁判所に対し、深く反省していること、再犯防止のための具体的な環境を整備していること、犯行に至った経緯や背景にくむべき事情があることなどを主張・立証します。
特に、常習性が問題となる場合や、銃刀類を使用した重い傷害事件の場合は、実刑を回避するハードルが高くなります。執行猶予の獲得や量刑の軽減を目標として、入念な弁護活動を展開する必要があります。
暴力行為等処罰に関する法律についてのよくある質問
暴力行為等処罰法について、ご相談の際によくいただく質問をまとめました。
緊急逮捕されることはある?
緊急逮捕は、長期3年以上の拘禁刑にあたるような一定の重大犯罪について、「罪を犯したことを疑うに足りる十分な理由」があり、「急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないとき」に、例外的に逮捕状なしで行われる逮捕手続きです(刑訴法第210条)。
暴力行為等処罰法が定める罪のうち、1条の2(銃砲刀剣類による傷害)や1条の3(常習的な傷害・暴行・脅迫など)の罪を犯したと強く疑われる場合、証拠隠滅や逃亡のおそれがあれば、緊急逮捕される可能性は十分にあります。
銃刀法違反にはならないの?
暴力行為等処罰法と銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)は、それぞれ異なる目的の法律ですが、銃器や刀剣類を使用して暴力行為等処罰法に違反する行為を行った場合、原則として両方の罪が成立し、併合罪として処断(最も重い罪の刑に一定の加重)されることになります。
しかし、暴力行為等処罰法の実行行為に着手せず、正当な理由なく刃物を所持・携帯していただけの場合は、暴力行為処罰法違反は成立せず、銃刀法違反や軽犯罪法違反(正当な理由なく刃物を携帯)のみが成立することになります。
親告罪なの?
暴力行為等処罰に関する法律に定められた罪は、全て非親告罪です。
非親告罪であるため、被害者が告訴しなくても、検察官は公訴を提起(起訴)することができます。
暴力行為等処罰法違反でお悩みの方はすぐにご相談ください
暴力行為等処罰に関する法律は、集団性・常習性・凶器の使用が認められることで、通常の暴行罪や傷害罪よりも格段に重い刑罰が科されるおそれがあります。どの条文が適用されるかによって法定刑や時効も大きく異なるため、早い段階で状況を正確に把握し、適切な対応をとる必要があります。
被害者との示談交渉を速やかに進めることで不起訴処分の可能性が高まり、前科を回避できるケースも少なくありません。起訴された場合でも、弁護活動を通じて執行猶予の獲得や量刑の軽減を目指すことができます。
「警察から連絡が来ている」「家族が逮捕された」といった状況にある方にとって、今後どうなるのか見通しが立たない不安は大きいものです。おひとりで悩まず、できるだけ早い段階でご相談ください。当事務所では、刑事事件を専門とする弁護士が、事件の見通しから取調べ対応、示談交渉、裁判での弁護活動まで一貫してサポートいたします。全国どこからでも無料相談を受け付けておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

