胸ぐらを掴むだけで暴行罪になることも!逮捕されるとどうなる?

胸ぐらを掴む行為は刑法上の「暴行」に該当し、暴行罪が成立する可能性があります。相手に怪我を負わせていなくても逮捕されることがあり、最大23日間にわたる身体拘束を受けるおそれもあります。

「胸ぐらを掴んだだけで本当に犯罪になるのだろうか」「洋服を引っ張っただけなのに暴行罪に問われるのか」と疑問に感じている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、刑事事件に強い弁護士が以下の内容について詳しく解説します。

  • 胸ぐらを掴む行為が暴行罪になる理由
  • 怪我をさせた場合に問われる傷害罪との違い
  • 暴行罪で逮捕された後の流れと身体拘束の期間
  • 被害者との示談が早期釈放・不起訴につながる理由

なお、胸ぐらを掴んでしまい早急に対応したいとお考えの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談をお気軽にご利用ください。

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胸倉を掴むとなぜ暴行罪になるのか

胸倉を掴むと暴行罪が成立しうる理由は、胸倉を掴むという行為が暴行罪の成立要件である「暴行」に当たるからです。

暴行罪は刑法208条に規定されています。

(暴行)
第二百八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の拘禁刑若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

※2025年6月1日施行の改正刑法により、「懲役」と「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されました。

暴行罪の暴行とは人の身体に対する不法な有形力を行使することです。たとえば、

  • 殴る
  • 蹴る
  • 叩く
  • 押し倒す
  • 羽交い絞めにする
  • 体当たりする
  • 腕をつかむ
  • 腕を引っ張る
  • 胸倉を掴む
  • 頭を揺らす
  • 物を人の身体に命中させる

など、直接人の身体に触れる行為(接触型)が典型ですが、他にも、

  • 着衣を引っ張る
  • 髪の毛を引っ張る
  • 人に向けて物を投げつける

など、直接人の身体に触れない行為(非接触型)も暴行罪の暴行に含まれます。

胸倉を掴む行為は、着衣の上からとはいえ相手の身体に直接力を加える行為であり、上記の暴行に当たることから、胸倉を掴むと暴行罪が成立する可能性があるのです。

暴行罪で被害届を出された場合にとるべき対応については「被害届を出されたらその後どうなる?処分までの流れと対処法」で具体的な方法を紹介しています。

胸倉を掴むと傷害罪が成立することもある

前述のとおり、暴行罪の成立要件は「暴行」に加えて、「(人を)傷害するに至らなかったこと」が要件です。「傷害」の意義については諸説ありますが、まずは怪我のことだと認識されておけばよいです。つまり、怪我させなかったことが暴行罪の成立要件の一つです。

一方、暴行の結果、人を傷害させた場合は傷害罪が成立する可能性があります。

(傷害)
第二百四条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。

「胸倉を掴んだだけで怪我を負わせることってあるの?」と思われるかもしれませんが、実際には、胸への切り傷や首の捻挫(頚椎捻挫)などの怪我を負わせてしまうことは十分に考えられます。

なお、傷害罪が成立するには怪我をさせることまでの故意(認識・認容)は必要ではありません。つまり、胸倉を掴むこと(暴行)の故意しかなくても、その暴行によって結果的に怪我を負わせてしまった場合は傷害罪が成立します。

逮捕されるとどうなる?

胸倉を掴んだだけでも逮捕(現行犯逮捕、通常逮捕)される可能性があります。暴行罪で逮捕された後の流れは以下のとおりです。

  1. 留置場に収容される
  2. 警察官の弁解録取を受ける
  3. 事件と身柄を検察庁に送致される(送検)
  4. 検察官の弁解録取を受ける
  5. 検察官に勾留請求される
  6. 裁判官の勾留質問を受ける
  7. 勾留決定が出る
  8. 警察官から勾留状を呈示される→勾留される
  9. 取調べなどの捜査を受ける→起訴・不起訴が決まる

①留置場に収容される

警察に逮捕されると警察署内の留置場に収容されます。釈放されるまでは留置場が生活の場となります。集団生活が基本で、自由やプライベートはありません。

②警察官の弁解録取を受ける

収容手続きと並行して弁解録取の手続きを受けます。弁解録取とは、警察官があなたから事件に関する言い分を聴く手続きのことです。実際は取調べと同様で、ここで話したことが証拠として使われることもあります。

弁解録取を経た上で、警察官が被疑者に逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれがないと判断した場合は釈放の手続きが取られます。

③事件と身柄を検察庁に送致される(送検)

一方、警察官が逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれがあると判断した場合は、逮捕から48時間以内に、事件と身柄を検察庁に送致する手続きをとります。この手続のことを「送検」といいます。

④検察官の弁解録取を受ける

検察庁へ事件と身柄が送致されると、今度は検察官による弁解録取の手続きを受けます。検察官は警察官とは異なる視点から被疑者に逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれがないかどうかを判断します。

そして、検察官が被疑者に逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれがないと判断した場合は警察官に釈放を指揮して被疑者を釈放させます。

⑤検察官に勾留請求される

一方、検察官が被疑者に逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれがあると判断した場合は、送致を受けた時点から24時間以内に裁判官に対して勾留請求の手続きを取ります。

⑥裁判官の勾留質問を受ける

検察官に勾留請求されると、検察官の弁解録取を受けた日かその翌日に、今度は裁判所内の勾留質問室で、裁判官による勾留質問を受けます。勾留質問は裁判官が事件に関する言い分を聴く手続きです。

裁判官は勾留質問を経て、被疑者に逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれがないと判断した場合は検察官の勾留請求を却下します。

この勾留却下決定に対して検察官は不服(準抗告)を申し立てることができます。そして、検察官が不服申し立てし、かつ、それが認められた場合は勾留されます。一方、検察官が不服を申し立てない、あるいは申し立てたものの認められなかった場合は釈放されます。なお、裁判所が検察官の不服申し立てを認めた判断に対して、弁護士がさらに不服を申し立てることはできません。

⑦勾留決定が出る

勾留質問を経て裁判官が被疑者に逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれがあると判断した場合は検察官の勾留請求を認め、勾留決定を出します。

この勾留決定に対して弁護士は不服を申し立てることができます。そして、弁護士が不服申し立てをし、かつ、それが認められた場合は勾留期間の途中でも釈放されます。一方、弁護士が不服を申し立てない、あるいは申し立てたものの認められなかった場合は勾留が継続します。なお、前述同様、裁判所が弁護士の不服申し立てを認めた判断に対して、検察官がさらに不服を申し立てることはできません。

⑧警察官から勾留状が呈示される→勾留される

最終的に勾留の判断が出ると、「勾留状」という裁判官名義の令状が作成されます。勾留状は検察官宛てに発布され、検察官が勾留状に印鑑(指揮印)を押して留置担当の警察官に交付されます。勾留状を受け取った警察官は被疑者に勾留状を呈示し、その段階から正式な勾留が始まります。

⑨取調べなどの捜査を受ける→起訴・不起訴が決まる

勾留期間ははじめ10日間ですが、検察官が期間の延長が必要と判断して裁判官に勾留期間の延長請求を行い、裁判官がこれを認めた場合は期間(最大10日間)が延長されます。

検察官は1日~10日の範囲内で必要と認めた期間を指定して請求します。裁判官は検察官の指定した期間を参考としつつも、自ら必要と認めた期間を決定することができます。弁護士はこの勾留期間延長決定に対しても不服を申し立てることができます。

そして、基本的にこの勾留期間内に起訴か不起訴かの判断が出されます。勾留のまま起訴された場合は勾留が継続し、刑事裁判を受ける必要があります。起訴後に釈放されるには、保釈請求を行う必要があります。一方、不起訴の場合は釈放され、刑事裁判を受ける必要はありません。

起訴された場合の量刑の見通しについては「暴行罪の初犯はどうなる?罰金の相場と拘禁刑になるケース」もあわせてご確認ください。

被害者と示談すべき理由

被害者と示談すべき理由は以下のとおりです。

早期釈放の可能性が高くなる

逮捕、勾留された場合に示談すると逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれがないと判断され、早期釈放につながりやすくなります。早期釈放を目指す場合は、示談には至っていなくても、裁判官や検察官に示談交渉中であること(示談交渉の進捗状況)を積極的に訴えていく必要があります。

暴行罪の示談金の目安や具体的な交渉の進め方については「暴行罪の示談金・慰謝料の相場は?金額の決まり方も解説」をご参照ください。

不起訴を獲得できる

示談は、検察官が起訴、不起訴を判断するにあたって、被疑者に有利に働く考慮事情の一つです。そのため、示談すれば不起訴となる可能性が高くなります。検察官が起訴、不起訴の判断をする前に示談を成立させ、その結果(示談書の写しなど)を検察官に提示する必要があります。

示談に応じてもらえない場合のリスクや対処法については「暴行・傷害事件で示談しないとどうなる?被害者が示談に応じない時の対処法」で詳しく解説しています。

胸ぐらを掴んで暴行罪に問われている方は弁護士にご相談ください

胸ぐらを掴む行為は、たとえ相手に怪我を負わせていなくても暴行罪が成立し、逮捕や勾留につながるおそれがあります。さらに怪我を負わせた場合は、より重い傷害罪に問われる可能性もあります。

こうした状況で重要になるのが、被害者との示談交渉です。示談が成立すれば、早期釈放や不起訴処分を得られる可能性が高まります。ただし、示談交渉は加害者本人が直接行うことは難しく、弁護士に依頼して進めるのが一般的です。対応が遅れるほど起訴のリスクが高まるため、できるだけ早い段階で弁護士に相談されることをおすすめします。

「相手から被害届を出すと言われている」「すでに警察から連絡が来ている」など、暴行罪に問われるかもしれないという状況は、精神的な負担も大きいものです。一人で抱え込まず、まずは専門家にご相談ください。

当事務所は刑事事件に注力しており、暴行・傷害事件における示談交渉や早期釈放に向けた弁護活動に豊富な実績がございます。全国対応・無料相談を受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

逮捕回避・早期釈放 不起訴獲得 示談交渉 痴漢・盗撮 性犯罪 暴行・傷害
メディア掲載 フジテレビ「とくダネ」/ ダイヤモンド・オンライン / @DIME / サイゾー 他多数
講演実績 「不当要求対応の基礎」「犯罪組織によるマネー・ロンダリングと投資詐欺への法的処置」等
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