不同意性交等罪は未遂も処罰?刑罰と逮捕を避ける対処法

「性交には至っていないのに、不同意性交等罪の未遂として処罰されるのだろうか」。警察から連絡を受けた方や、家族が逮捕されたと知らされた方の中には、そうした不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。

不同意性交等罪は、性交等に至らなかった未遂の段階でも処罰の対象となり、法定刑の下限は既遂と同じ5年です。もっとも、刑が減軽される可能性があり、示談(被害者との話し合いによる解決)や身柄の解放に向けた動き方によって、その後の結果が変わりえます。

この記事では、刑事事件に注力する弁護士が、次の点について解説します。

  • どの段階から未遂罪が成立するのか
  • 未遂の場合の刑罰と減軽の仕組み
  • 逮捕を避けるため・逮捕された後にできること

お読みいただくことで、ご自身やご家族のケースでどのような処分が見込まれ、何から手を付けるべきかを整理できます。

なお、性犯罪の疑いでお困りの方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。早期対応が結果を左右します。ご相談は地域を問わず承っています。

不同意性交等罪の未遂とは?性交等に至らなくても処罰される

刑法180条は、不同意性交等罪の未遂を罰すると定めています。そのため、挿入などの性交等に至らなかったとしても、犯罪の実行に着手していれば処罰の対象となり、未遂の法定刑が軽く定められているわけではありません。

まずは、不同意性交等罪がどのような犯罪か、そして「未遂」とは何を指すのかを確認しておきましょう。

不同意性交等罪(旧強制性交等罪)とは

不同意性交等罪は、暴行・脅迫や、アルコール・薬物の影響などによって、相手が同意しない意思を持ったり、示したり、貫いたりすることが難しい状態にさせ、またはその状態に乗じて、性交等をした場合に成立する犯罪です(刑法177条1項)。

原因となる行為・事由は、刑法176条1項1号から8号に挙げられています。暴行・脅迫のほか、心身の障害、アルコール・薬物の影響、睡眠などで意識がはっきりしない状態、不意打ちで拒む余裕を与えないこと、予想外の事態に直面させて恐怖・驚愕させること、虐待による心理的反応、経済的・社会的な地位に基づく影響力の8つで、これらに類するものも含まれます。

ここでいう「性交等」には、性交のほか、肛門性交・口腔性交や、膣や肛門に陰茎以外の身体の一部や物を挿入するわいせつな行為も含まれます。また、相手の年齢が16歳未満の場合は、同意の有無にかかわらず本罪が成立します(相手が13歳以上16歳未満のときは、行為者が5歳以上年長である場合。刑法177条3項)。

不同意性交等罪は、2023年7月13日施行の改正刑法で設けられ、同日以降の行為に適用されます。2017年7月13日から2023年7月12日までの行為には旧法の強制性交等罪または準強制性交等罪が、さらにそれより前の行為には強姦罪などが適用されます。旧法との違いを含め、現行法の成立要件の詳細は「不同意性交等罪とは?旧強制性交・強姦罪との違いや構成要件」で解説しています。

なお、法務省の令和7年版犯罪白書によると、2024年(令和6年)の不同意性交等の認知件数(警察などが発生を把握した件数)は3,936件で、前年から1,225件(45.2%)増えています。

未遂とは?実行に着手して遂げなかった場合

刑法43条本文は、「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる」と定めています。この「実行に着手したが、最後まで遂げなかった」状態が未遂です。

もっとも、どの犯罪でも未遂が罰せられるわけではなく、未遂を処罰するかどうかは犯罪ごとに条文で定められています(刑法44条)。

不同意性交等罪では、実行に着手したが性交等に至らなかった場合は不同意性交等未遂罪にあたり、性交等をした時点で既遂となります。どの段階で「実行に着手した」といえるのかは、後ほど詳しく解説します。

不同意性交等未遂罪の刑罰

未遂でも法定刑は既遂と同じ

不同意性交等罪では、未遂であっても、既遂と同じ法定刑(法律が定める刑の範囲)の中で処罰されます。刑法180条は未遂を罰すると定めているだけで、未遂のための軽い法定刑は別に設けられていないためです。

ただし、刑の名前は、行為をした時期によって異なります。2025年6月1日施行の改正刑法で懲役と禁錮が「拘禁刑」に一本化されましたが、それより前の行為には懲役が科されるためです(刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律441条1項、2023年の改正法〈令和5年法律第66号〉附則3条)。

行為をした時期 法定刑(既遂・未遂とも) 未遂減軽された場合
2025年6月1日以降(不同意性交等罪) 5年以上の有期拘禁刑 2年6月以上10年以下の拘禁刑
2023年7月13日〜2025年5月31日(不同意性交等罪) 5年以上の有期懲役 2年6月以上10年以下の懲役
2017年7月13日〜2023年7月12日(強制性交等罪・準強制性交等罪) 5年以上の有期懲役 2年6月以上10年以下の懲役

いずれの時期でも、有期刑の上限は20年です。

未遂だと減軽される可能性がある

未遂の場合は、刑が軽くなる可能性があります。減軽の扱いは、行為が途中で終わった理由によって変わります。

自分の意思で行為をやめた場合は「中止未遂」と呼ばれ、刑は必ず減軽されるか、免除されます(刑法43条ただし書)。一方、被害者の抵抗や通行人が来たことなど、自分の意思とは関係のない事情で遂げられなかった場合は「障害未遂」です。障害未遂では「減軽することができる」にとどまり(同条本文)、減軽するかどうかは裁判所の量刑判断に委ねられます。

減軽されると、法定刑の上限と下限がそれぞれ2分の1になります(刑法68条3号「有期拘禁刑を減軽するときは、その長期及び短期の二分の一を減ずる。」)。不同意性交等未遂罪では、減軽後の範囲は2年6月以上10年以下です(刑の名前は上の表のとおり)。

ここで関わってくるのが執行猶予です。執行猶予は、刑の執行を一定期間見送り、その期間を無事に過ごせば刑の言渡しが効力を失う制度で、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金を言い渡す場合に付けることができます(刑法25条1項)。下限が5年のままでは3年以下の刑を言い渡せませんが、未遂減軽で下限が2年6月まで下がれば、情状によっては執行猶予つきの判決となる余地が生まれます。なお、犯罪の情状をくんで刑を軽くする酌量減軽(刑法66条)によっても、刑の下限が下がることがあります。

不同意性交等罪で執行猶予がつく条件は「不同意性交等罪(強姦)は懲役実刑確定?執行猶予はつく?」で詳しく取り上げています。

未遂はどこから?実行の着手と既遂との境目

不同意性交等罪では、実行に着手した時点から未遂罪の対象となり、性交等をした時点で既遂となります。では、どの段階で「実行に着手した」と評価されるのでしょうか。

不同意性交等未遂罪が成立するケース

実行の着手がいつ認められるかは条文になく、事案ごとに判断されます。不同意性交等罪では、性交等そのものを始めていなくても、性交等に向けて、相手を同意しない意思を示すことなどが難しい状態にさせる行為(暴行・脅迫など)を始めた段階や、相手がすでにそうした状態にある場合は、それに乗じて性交等に向けた行為を始めた段階で、着手と評価されることがあります。

たとえば、次のようなケースでは不同意性交等未遂罪に問われる可能性があります。

  • 性交する目的で、酒に酔って意識がもうろうとしている相手をホテルに連れ込み、服を脱がせようとしたが、相手が意識を取り戻して強く抵抗したため、挿入に至らずに立ち去った
  • 帰宅途中の人を背後から襲って人目のない場所へ引きずり込み、性交しようとしたが、通行人の叫び声に気づいて逃げた
  • 人気のない場所に車を停めてドアをロックし、「言うことを聞かないと置いていく」と脅して性交を迫ったが、相手が隙を見て車外へ逃げ出した

いずれの例でも挿入は行われていませんが、性交等に向けた行為がすでに始まっているため、未遂罪が成立する可能性があります。

強制性交等未遂罪が成立するケース

旧法の強制性交等罪(2017年7月13日〜2023年7月12日の行為に適用。2023年の改正法附則2条1項)は、相手が13歳以上なら、暴行または脅迫を用いることが要件でした。そのため、性交等の目的で暴行・脅迫を始めた段階で、実行の着手が認められることがあります。たとえば、性交しようとして相手の口をふさぎ、押し倒した時点で着手が認められ、通行人が来たために逃げた場合には、強制性交等未遂罪が成立しえます。旧法の強制性交等罪の未遂も、5年以上の有期懲役の範囲で処罰されます。

旧強姦罪の事件ですが、性交の目的で被害者を車内に引きずり込もうとした段階で実行の着手を認めた判例もあります(最高裁昭和45年7月28日決定)。旧法下での裁判例については「強制性交等罪(旧強姦罪)の有名判例・近年の判例を弁護士が解説」をご参照ください。

不同意性交等罪と不同意わいせつ罪はどう違う?

行為が最後まで行われた場合、不同意性交等罪と不同意わいせつ罪(旧強制わいせつ罪)を分けるのは、性交等をしたかどうかです。性交等をすれば不同意性交等罪、キスや体に触れるなど性交等以外のわいせつな行為にとどまれば不同意わいせつ罪(刑法176条)となります。

一方、未遂の場面では、まだ性交等が行われていないため、行為者が何をしようとしていたかが問題になります。性交等をしようとして途中で終わったのであれば不同意性交等未遂罪、体を触るなどのわいせつな行為をしようとして遂げなかったのであれば不同意わいせつ未遂罪です。

行為者の意図は本人の供述だけで決まるものではなく、行為の内容やその場の状況など、客観的な事情も踏まえて判断されます。法定刑は、不同意わいせつ罪が6月以上10年以下、不同意性交等罪が5年以上(上限20年)であり、どちらの未遂罪にあたるかによって刑の重さは大きく異なります。

不同意わいせつ未遂罪の成立要件や刑罰は、「不同意わいせつ(旧強制わいせつ)は未遂も処罰?刑罰と対処法」を併せてご覧ください。

逮捕・起訴を避けるためにできる対処法

不同意性交等罪の疑いをかけられたときに、逮捕や起訴を回避するために取りうる対応として、示談・自首・弁護士への相談があります。

被害者と示談を成立させる

示談とは、被害者に謝罪し、損害を賠償するなどして、事件の解決について当事者の間で合意することです。不同意性交等罪は未遂でも法定刑の重い犯罪ですが、示談が成立し、被害者から処罰を望まない意思(宥恕)が示されれば、検察官が起訴するかどうかを決める際の事情として考慮され、不起訴処分となる可能性があります。不起訴になれば、前科はつきません。また、被害届が出される前であれば、提出を見合わせてもらえることもあります。

もっとも、本人や家族が被害者にLINEなどで直接連絡を取ろうとするのは避けてください。被害者の恐怖心や処罰感情を強めるうえ、口止めや証拠隠滅を疑われ、かえって事態を悪化させるおそれがあります。捜査機関が加害者本人に被害者の連絡先を教えることは通常なく、弁護士が付いていれば、捜査機関を通じて示談の意向を伝えられる場合があります。

示談金の目安や交渉の進め方については「不同意性交(強制性交・強姦)の示談金相場と流れ・メリットを解説」で紹介しています。

自首を検討する

不同意性交等罪の未遂にあたる行為がまだ捜査機関に発覚していない段階であれば、自首(捜査機関に発覚する前に、自ら罪を申告すること)を検討する余地があります。自首した場合、刑が減軽される可能性があります(刑法42条1項)。

自ら出頭したという事実は逃亡のおそれが低いことを示す事情にもなり、逮捕されずに在宅事件として捜査が進む可能性もあります。ただし、自首をしても逮捕されるリスクはあるため、事前に弁護士に相談し、出頭の際に同行してもらうことを検討しましょう。

弁護士に同行を依頼するメリットや費用の相場は「自首に弁護士が同行するメリットと費用|弁護士なしでも大丈夫?」をご参照ください。

弁護士に相談する

不同意性交等罪の疑いをかけられたら、早い段階で弁護士に相談することが大切です。本罪では、相手の同意をめぐる当時の状況などが争点になりやすく、取調べでの不用意な受け答えが不利に働くおそれがあります。

事前に相談しておけば、取調べにどう臨むかの助言を受けられるほか、示談交渉の窓口を任せたり、逮捕された場合にすぐ弁護活動を始めてもらったりできます。まずは刑事事件を扱う弁護士に、現在の状況を伝えることから始めてみてください。

不同意性交等未遂罪で逮捕されたら?その後の流れと家族ができること

逮捕後の流れと身柄拘束の期間

不同意性交等罪(未遂を含む)の疑いで逮捕されると、警察は被疑者の身柄を拘束した時から48時間以内に、事件を検察官に送致する手続をとります(刑事訴訟法203条1項)。送致を受けた検察官は、釈放しない場合、24時間以内に裁判官へ勾留を請求しなければならず、この請求は逮捕から72時間以内に行う必要があります(同法205条)。

勾留とは、逮捕に続いて身柄の拘束を続ける手続です。裁判官が勾留を認めると原則10日間、延長されるとさらに最大10日間、身柄の拘束が続きます(同法208条)。勾留の期間内に起訴されなければ、釈放されます。

つまり、逮捕から起訴・不起訴の判断までに、最大で23日間、身柄を拘束される可能性があります。

不同意性交等罪で逮捕された後の流れ(警察が48時間以内に検察官へ送致→検察官が24時間以内に勾留を請求するか判断→勾留は原則10日・延長で最大10日→勾留されたときは逮捕から最長23日までに起訴・不起訴を判断)

弁護士に接見を依頼する

家族が不同意性交等罪の未遂の疑いで逮捕されたという連絡を受けたら、まず、本人がどこの警察署に留置されているか、どのような容疑(罪名)で逮捕されたのかを確認しておきましょう。弁護士に接見を依頼する際に必要な情報になります。

逮捕直後の最大72時間は、家族であっても本人と面会できないのが通常です。一方、弁護士であれば、逮捕直後から立会人なしで本人と接見できます(刑事訴訟法39条1項)。

弁護士は接見で、黙秘権(言いたくないことを言わなくてよい権利)などの権利や、取調べへの臨み方を本人に伝えます。事実と異なる内容の供述調書(取調べでの話を捜査官が書面にまとめたもの)に署名すると、後の処分や裁判で不利な証拠として扱われるおそれがあります。不利な供述調書が作られるのを防ぐためにも、早い段階での接見が重要です。また、弁護士は外部と連絡が取れない本人に家族の言葉を伝えたり、今後の見通しを説明したりすることで、本人の不安を和らげることもできます。接見の具体的な内容や費用については「弁護士接見でできることは?費用と一般面会との違い」で説明しています。

勾留の阻止・早期釈放を弁護士に依頼する

不同意性交等罪の未遂で勾留されると、身柄の拘束が最大20日間続き、仕事や学校への影響も大きくなります。弁護士は、検察官が勾留を請求する前に、証拠隠滅や逃亡のおそれがないことを示す意見書を提出し、勾留請求をしないよう働きかけることができます。勾留が請求された後も、裁判官に対して勾留を認めないよう意見を述べることが可能です。家族が身元引受人となり、本人を監督することを約束する書面を添えて、釈放を求めることもあります。

勾留が決定された場合でも、弁護士はその判断に不服を申し立てる準抗告や、勾留の理由がなくなったときの勾留取消請求によって、早期の釈放を目指します。被害者との示談が成立すれば、それを理由に釈放される可能性もあります(示談については「被害者と示談を成立させる」で解説しています)。

不同意性交等未遂罪でお困りの方は弁護士にご相談ください

性交等に至らなかった場合でも、不同意性交等罪は未遂として処罰され、法定刑は既遂と同じ5年以上です。ただし、未遂減軽が認められれば刑の下限は2年6月まで下がり、示談の成立や早期の身柄解放に向けた活動によって、処分の見通しは変わってきます。

被害者との示談交渉は弁護士を通じて進めるのが通常で、交渉を始めるのが遅れるほど、起訴・不起訴の判断までに示談をまとめる時間は限られていきます。取調べでの受け答えも、処分の行方に影響しかねません。早い段階で弁護士が関わることで、不起訴や執行猶予に向けた方針を立てやすくなります。

「警察から連絡が来た」「家族が突然逮捕された」など、先の見えない状況では、精神的な負担も大きくなります。すでに取調べを受けている場合や、家族が逮捕された場合は、できるだけ早くご相談ください。

当事務所は、刑事事件・少年事件を専門的に取り扱っており、性犯罪事件の弁護実績も豊富です。依頼者の不利益を最小限に抑えるため弁護士が迅速に動き、全力を尽くして守ります。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

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