告訴と告発の違いとは?仕組みと取り下げを解説

告訴と告発はよく似た言葉ですが、誰が行えるのか、どんな法的効果があるのかと聞かれると答えに詰まる方は少なくありません。

告訴は被害者や法定代理人など決まった人しか行えませんが、告発は犯罪を知った人なら誰でも行えます。さらに、親告罪と呼ばれる一部の犯罪では告訴がなければ起訴できないため、被害者が処罰を望む場合は告訴を選ぶ必要があります。

この記事では、刑事事件の解決実績が豊富な弁護士が、告訴・告発の意味から具体的な違いまで以下のポイントを解説します。

  • 告訴と告発はどう違うのか
  • 告訴と被害届の違いと使い分け
  • 親告罪における告訴の重要性
  • 告訴の取消と再告訴の可否

なお、告訴・告発についてお悩みの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談へお気軽にご連絡ください。

気軽に弁護士に相談しましょう
  • 全国どこからでも24時間年中無休でメール・電話・LINEでの相談ができます。
  • 逮捕回避・早期釈放・不起訴・執行猶予の獲得を得意としております。
  • 親身誠実に、全力で弁護士が依頼者を守ります。

告訴とは|被害者等が処罰を求める手続き

告訴とは、犯罪の被害者や法律で告訴できると規定されている人(以下、告訴権者といいます)が、捜査機関に対して、犯罪事実を申告して犯人の処罰を求める意思表示のことをいいます。

告訴権者が告訴状という書面に必要事項を記入して捜査機関に提出し、受理されれば告訴したことになります。告訴状の具体的な書き方や提出先については「告訴・告発の方法|告訴状を受理してもらうための5つの注意点とは」で詳しく解説しています。

告訴できる人(告訴権者)

主な告訴権者は以下の方です。

  • 犯罪により罪を被った方(=被害者)
  • 被害者の法定代理人
  • 被害者が死亡した場合の配偶者、直系親族又は兄弟姉妹
  • 被害者の親族(被害者の法定代理人が被疑者(犯罪の疑いをかけられた者)の場合など)

被害者

「犯罪により罪を被った方」とは直接の被害を被った方、という意味です。したがって、ネット上で誹謗中傷を受けた妻(名誉毀損罪の被害者)の夫は被害者にはあたりません。

被害者は人に限らず、法人、国、地方公共団体や法人格のない社団・財団も被害者に含まれます。

被害者が人である場合は、年齢に制限はありませんが、告訴することがどのような意味をもつのかを理解する能力を有することが必要とされています。おおむね15歳前後が一応の基準ですが、告訴能力を13歳11か月で認めた判例(最高裁昭和32年9月26日)、12歳3か月で認めた判例(東京地裁平成15年6月20日)があります。

なお、被害者の告訴能力が問題となりそうな場合は、後述する法定代理人の告訴とあわせて行うのが通例です。

被害者の法定代理人

法定代理人とは親権者(両親、親が離婚した場合の親権をもつ親)及び後見人(親がいない場合の子どもの預け先の施設長など)のことです。

法定代理人は被害者から独立して告訴できます。

「独立して」とは、被害者本人に告訴の意思があるかどうかに関係なく、また、被害者本人の告訴権が消滅(※)しても独立の立場で告訴できるという意味です。

※告訴権が消滅するのは告訴期間が経過した場合です。

被害者が死亡した場合の配偶者、直系親族又は兄弟姉妹

被害者が死亡した場合は被害者の配偶者、直系親族(被害者の親、祖父母など)、兄弟姉妹も告訴できます。

ただし、被害者が「告訴しないで欲しい」など言って死亡した場合など、生前、被害者が告訴して欲しくないことを明らかにしていた場合は告訴できません。

被害者の親族

被害者の親族(六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族)が告訴できるのは次の場合です。

被害者の法定代理人が、

  • 被疑者であるとき
  • 被疑者の配偶者であるとき
  • 被疑者の四親等内の血族若しくは三親等内の姻族であるとき

被害者の親族は独立して告訴できます。

告訴の期間(親告罪は犯人を知った日から6か月)

親告罪(告訴がなければ起訴できない犯罪、詳細は後述)の告訴期間は、犯人を知った日から6か月です(刑事訴訟法235条1項)。親告罪以外の罪については告訴期間の制限はなく、公訴時効(一定の期間が経過することで起訴できなくなる制度)が完成するまで告訴できます。

「犯人を知った日」とは、告訴権者が、犯人が何人であるかを知った日という意味です。

犯人の氏名、住所までを知る必要はありませんが、少なくとも他人と区別できていなければなりません。

犯人を知った日の起算点は「犯罪が終了した日」です。

誰でも閲覧可能な掲示板に被害者を誹謗中傷する内容の書き込みをした名誉毀損の事案では、内容が削除されない限り犯罪が終了したとはいえず、告訴期間は進行しません。

このケースの場合、書き込みが削除されてはじめて「犯罪が終了した」といえ、その時点から告訴期間が進行します。

告訴の効果(捜査義務・送致義務・処分通知義務)

告訴が受理されると、捜査機関には主に3つの法的義務が生じます。

  • 捜査開始義務:告訴を受けた捜査機関は、事件を捜査しなければなりません。
  • 送致義務:司法警察員(巡査部長以上の警察官を指します)は、告訴又は告発を受けたときに作成・収集した書類及び証拠物を、速やかに検察官に送付しなければなりません(刑事訴訟法242条)。
  • 処分通知義務:検察官は、告訴のあった事件について起訴又は不起訴を決定した際には、速やかにその旨を告訴人に通知しなければなりません。告訴人から請求があれば不起訴の理由も告げる必要があります(刑事訴訟法260条・261条)。

これらの義務は、後述する被害届にはない告訴特有の効果です。捜査機関に法的な義務を負わせるという点で、告訴は被害届よりも強い効力を持ちます。

告発とは|第三者が処罰を求める手続き

告発とは、犯人又は告訴権者以外の第三者(以下、告発権者といいます)が、捜査機関へ犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示にあたります。

告発権者が告発状という書面に必要事項を記入して提出し、受理されれば告発したことになります。

告訴と異なり、告発できる人に制限はありません。犯罪があると思った人は誰でも告発できます(ただし、告発状が受理されるかどうかは別問題です)。

なお、公務員がその職務を行うことにより犯罪があることを知った時は、告発しなければならないとされています(刑事訴訟法239条2項)。

告訴と同様、告発権者は人に限らず、法人、国、地方公共団体、法人格のない社団・財団も含まれます。

告訴と告発の違い|できる人・親告罪・期間で比較

告訴と告発は、いずれも犯罪事実を捜査機関に申告して犯人の処罰を求める手続きという点で共通します。一方で、誰ができるか、親告罪での扱い、期間制限の3点で明確な違いがあります。以下、比較表で整理しながら順に解説します。

告訴 告発
できる人 告訴権者(被害者、法定代理人、遺族など) 犯人と告訴権者以外なら誰でも
親告罪での扱い 告訴がなければ起訴できない 告発があっても起訴の要件は満たさない
期間制限 親告罪は犯人を知った日から6か月 制限なし(公訴時効まで)

1つ目は「できる人」の違いです。告訴は告訴権者として法律で定められた人しか行えませんが、告発は犯人と告訴権者を除けば誰でも行えます。企業の不正を従業員が告発する内部告発のケースや、市民が公務員の汚職を告発するケースなどがこれにあたります。

2つ目は親告罪での扱いの違いです。後述するとおり、一定の罪は告訴がなければ起訴できません(親告罪)。これは告訴に固有の効果であり、告発によっては代替できません。たとえば名誉毀損罪の場合、被害者でない第三者が告発しても、それだけでは検察官は起訴できないということです。

3つ目は期間制限の違いです。親告罪の告訴は犯人を知った日から6か月以内に行う必要がありますが(刑事訴訟法235条1項)、告発にはこの期間制限がなく、公訴時効が完成するまでいつでも告発を行えます。

告訴と被害届の違い|5つのポイントで比較

告訴とよく混同されるのが被害届です。被害届とは、犯罪の被害に遭った事実を捜査機関に届け出るための書類を指します。被害届の出し方や提出後の流れについては「被害届の出し方と書き方は?受理されない時の対処法も解説」で詳しく解説しています。

告訴と被害届には、主に次の5つの違いがあります。

比較項目 告訴 被害届
処罰意思 必須 不要
捜査開始義務 あり なし
処分通知義務 あり なし
親告罪での起訴 告訴がなければ起訴不可 被害届の有無は起訴に影響しない
期間制限 親告罪は犯人を知った日から6か月 制限なし

1つ目は処罰意思の有無です。告訴は犯罪事実の申告に加えて犯人の処罰を求める意思表示を含みます。これに対して被害届は犯罪の被害に遭った事実を伝えるだけで、処罰を求める意思表示は必須ではありません。非親告罪であっても、犯人を確実に処罰してほしい場合は被害届ではなく告訴状を提出するケースもあります。

2つ目は捜査開始義務の有無です。告訴を受理した捜査機関は事件を捜査する法律上の義務を負いますが、被害届にはそうした義務がありません。ただ、捜査機関の信用問題にもかかわるため、捜査機関が被害届を受理したほとんどの事件では捜査が開始されます。

3つ目は処分通知義務の有無です。告訴のあった事件について検察官が起訴・不起訴の処分を下したとき、検察官は告訴人にその結果を通知する義務を負います(刑事訴訟法260条)。被害届にはこのような義務がありません。

4つ目は親告罪での起訴可否です。親告罪では告訴がなければ検察官は起訴できませんが、被害届の有無は親告罪の起訴要件に影響しません。被害者として確実に犯人の処罰を望むなら、親告罪では告訴を選ぶ必要があります。

5つ目は期間制限の違いです。親告罪の告訴は犯人を知った日から6か月以内に行う必要がありますが、被害届には期間制限はなく、公訴時効が完成するまで提出できます。

親告罪とは|告訴がなければ起訴できない犯罪

事件を起訴するか否かは検察官の合理的な判断に委ねられています。しかし、一定の罪については、検察官が起訴するにあたって告訴権者の告訴がなければ検察官が起訴することができないようになっています。

この罪のことを親告罪といいます。

親告罪が定められている趣旨は、被害者の意思を尊重することにあります。具体的には、次の4つの観点から親告罪が定められています。

  • ①プライバシー保護の観点:裁判でプライベートなことが公になることで、被害者のプライバシー権が侵害されることを防ぐ
  • ②軽微犯罪の観点:犯罪自体が比較的軽微であることから、社会の利益よりも被害者の意思を尊重した方がよい
  • ③親族関係の観点:身内の揉め事は、国家権力よりも身内で解決した方がよい
  • ④私権保護の観点:個人の権利侵害について、権利者の意思に処罰を委ねるべき

①〜④の観点から親告罪とされた主な罪を分類すると以下のとおりです。

観点 主な親告罪
①プライバシー保護 未成年者略取誘拐罪(刑法224条、3月以上7年以下の拘禁刑)、名誉毀損罪(刑法230条、3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金)、侮辱罪(刑法231条、1年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料)、リベンジポルノ防止法違反(3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金など)
②軽微犯罪 過失傷害罪(刑法209条、30万円以下の罰金又は科料)、器物損壊罪(刑法261条、3年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金若しくは科料)
③親族関係 親族間(※)の窃盗罪(刑法235条、10年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金)、親族間の詐欺罪(刑法246条、10年以下の拘禁刑)、親族間の恐喝罪(刑法249条、10年以下の拘禁刑)、親族間の横領罪(刑法252条、5年以下の拘禁刑)
④私権保護 著作権侵害(著作権法119条、10年以下の拘禁刑又は1000万円以下の罰金)※2018年改正により、海賊版販売など一部の重大な侵害は非親告罪化されています

※③の親族の意味:ここでいう親族とは、被害者が「配偶者」「直系血族(自分の親など)」「同居の親族(子どもなど)」以外の親族(おじ・おば、同居していない兄弟姉妹など)です。被害者が配偶者、直系親族、同居の親族の場合は刑が免除されます。

※2025年6月1日施行の改正刑法により、「懲役」と「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されました。上記の法定刑は改正後の内容で記載しています。

親告罪の種類や告訴期間の詳細については「【一覧表つき】親告罪とは?告訴期間と非親告罪との違いを解説」をご参照ください。

告訴の取消(取下げ)

一度提出した告訴は、一定の条件のもとで取り消すことができます。ただし、取消後の再告訴には制限があるため、慎重な判断が必要です。

取消できる時期は公訴提起前まで

告訴は、公訴提起(起訴)があるまでに限り取り消すことができます(刑事訴訟法237条1項)。検察官が被疑者を起訴した後は、もはや告訴を取り消すことはできません。

取消の方法は、口頭または書面で捜査機関(検察官または司法警察員)に申し出ます。実務上は、告訴取消書を提出するのが一般的です。

共犯者がいる事件で親告罪の告訴を取り消した場合、その効力は他の共犯者にも及びます(刑事訴訟法238条1項)。共犯者の一人だけを処罰の対象から外すことはできない仕組みになっています。

取消の効果と再告訴の可否

告訴を取り消した場合、その告訴は最初からなかったものとして扱われます。親告罪の場合、告訴の取消後は起訴ができなくなります。

また、一度告訴を取り消した者は、原則として同じ犯罪について再び告訴することはできません(刑事訴訟法237条2項)。この制限は親告罪にのみ適用されると解されているため、非親告罪については再告訴も理論上は可能ですが、捜査機関に受理してもらうハードルは高くなります。

示談成立を理由に告訴を取り消すケースは少なくありませんが、後で示談が反故にされた場合に再告訴ができなくなるリスクがあります。取消の判断は弁護士と相談の上、慎重に行うことが大切です。

告訴・告発をお考えの方は弁護士にご相談ください

告訴と告発は、いずれも犯人の処罰を捜査機関に求める意思表示であり、被害届とは異なり捜査開始義務などの法的効果をもたらす重要な手続きです。一方で、告訴状や告発状は記載内容の不備や犯罪事実の特定が不十分なことを理由に受理されないケースも少なくありません。

弁護士に依頼することで、犯罪事実を法的に正確に整理した告訴状・告発状を作成でき、受理される可能性を高めることができます。親告罪における告訴期間の見極めや、告訴を取り消すかどうかの判断についても、専門家の視点からアドバイスを受けられます。

「被害届と告訴のどちらを選ぶべきか判断がつかない」「告訴を検討しているが手続きが複雑で踏み出せない」という方も、一人で抱え込む必要はありません。

当事務所は刑事事件の取扱実績が豊富で、被害者側・加害者側のいずれにも対応しています。全国どこからでもご利用いただける24時間体制の無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご連絡ください。

気軽に弁護士に相談しましょう
  • 全国どこからでも24時間年中無休でメール・電話・LINEでの相談ができます。
  • 逮捕回避・早期釈放・不起訴・執行猶予の獲得を得意としております。
  • 親身誠実に、全力で弁護士が依頼者を守ります。

この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

逮捕回避・早期釈放 不起訴獲得 示談交渉 痴漢・盗撮 性犯罪 暴行・傷害
メディア掲載 フジテレビ「とくダネ」/ ダイヤモンド・オンライン / @DIME / サイゾー 他多数
講演実績 「不当要求対応の基礎」「犯罪組織によるマネー・ロンダリングと投資詐欺への法的処置」等
刑事事件に強い弁護士に無料で相談しましょう

全国対応で24時間、弁護士による刑事事件の無料相談を受け付けております。

弁護士と話したことがないので緊張する…相談だけだと申し訳ない…とお考えの方は心配不要です。当法律事務所では、ご相談=ご依頼とは考えておりません。弁護士に刑事事件の解決方法だけでもまずは聞いてみてはいかがでしょうか。

逮捕の回避・早期釈放・不起訴・示談を希望される方は、刑事事件に強い当法律事務所にメール・お電話・LINEでご連絡ください。