
怒りに任せて目の前のコップの水を相手の顔に浴びせたり頭から水をかけるテレビや映画のワンシーンを一度は目にしたことがある人が多いのではないでしょうか。
結論から言うと、水をかける行為は暴行罪に問われる可能性があります。殴る・蹴るといった直接的な暴力でなくても、人の身体に向けた有形力の行使として「暴行」に該当するためです。実際に、水をかけたことで逮捕に至った事例も複数報道されています。
「水をかけただけで犯罪になるの?」「相手にケガをさせたわけではないのに…」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、刑事事件に強い弁護士が、水をかける行為と暴行罪の関係についてわかりやすく解説します。
- 水をかける行為が暴行罪にあたる理由
- 暴行罪の条文と「暴行」の定義
- 参考となる裁判例(食塩を振りかけた事案)
- 実際に逮捕に至った事例
- 傷害罪・器物損壊罪に発展するケース
この記事を読むことで、水をかける行為がどのような法的責任を問われる可能性があるのかを正しく理解できます。
なお、暴行罪について早急に対応したいとお考えの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談をお気軽にご利用ください。
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水をかけると暴行罪になる?
結論から申し上げると、水をかけると暴行罪に問われる可能性があります。
暴行罪は刑法208条に規定されていますので、まずはその規定から確認してみましょう。
(暴行)
第208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
※拘禁刑とは、2025年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑が一本化された刑罰のことです。
暴行罪の「暴行」とは、人の身体に対する不法な有形力を行使することをいいます。
たとえば、「殴る」、「蹴る」、「(手や腕、物を使って)叩く」、「押し倒す」、「馬乗りになる」、「羽交い絞めにする」、「腕をつかむ」、「頭を掴んで揺らす」など、直接人の身体に触れる行為(接触型)が暴行の典型例といえます。
ただ、暴行罪の「暴行」は人の身体に触れる行為だけに限られません。「胸ぐらをつかむ」、「着衣を引っ張る」ことはもちろん、「人にめがけて物を投げる(命中したかどうかは問わない)」、「唾を吹きかける」、「狭い空間で棒を振り回す」、「人の耳元で大声を出す」など、直接人の身体に触れない行為(非接触型)も暴行にあたります。
水をかける行為は人の生命・身体に危害を加える危険のない行為といえます。ただ、水の量や水をかけた部位等によっては人に不快感や嫌悪感を抱かせるに足りる行為とはいえます。その意味で、水をかける行為は非接触型の暴行にあたり、暴行罪に問われる可能性があります。
参考となる類似の裁判例として、他人の顔や胸に食塩を数回振りかけた行為について暴行罪の成立を認めたものがあります(福岡高裁昭和46年10月11日判決)。この判例では、不法な有形力の行使により単に不快嫌悪の情を催させる行為であっても暴行にあたると判示されており、水をかける行為にも同様の考え方が当てはまるといえます。
例えば、以下の事例では暴行容疑で被疑者の逮捕に至っており、マスコミ報道もされています。
- 男が駅の待合室で口に含んだ水を女性に吹きかけた
- 旅客機内で他の客とトラブルになりコップの水をかけた
- マンションのベランダから通行人に大型バケツに入った水を浴びせた
ちなみに、暴行罪が成立するのは水に限りません。コーヒーやジュースなどの飲み物、その他の液体をかけた場合も同様に暴行罪に問われる可能性があります。喧嘩の際にカッとなって飲み物をかけてしまった場合でも、被害者が警察に届け出れば捜査の対象となりえます。被害届を出された場合の流れや対応については「被害届を出されたらその後どうなる?処分までの流れと対処法」をご覧ください。
また、暴行罪は、「人を傷害する(人の生理的機能を侵害すること)に至らないこと」が成立要件ですので、例えば真冬の室外で被害者に水をかけて風邪をひかせたようなケースでは、暴行罪ではなく傷害罪が成立します。また、被害者が所持していたスマホやノートPCなどの電子機器が水に濡れたことで故障した場合には、器物損壊罪が成立する可能性もあります。暴行罪と傷害罪の違いについては「暴行罪と傷害罪の違いは?どこから成立する?構成要件や罰則を弁護士が徹底解説」をご覧ください。
水をかけて相手とトラブルになっている方へ
この記事では、水をかける行為が暴行罪に該当すること、傷害罪や器物損壊罪に発展するケースがあること、そして被害者との示談が不起訴処分につながる可能性があることを解説しました。
暴行罪で被害届を出されたり、警察から連絡が来た場合、早期に弁護士に依頼することで、被害者との示談交渉を速やかに進め、不起訴処分の獲得を目指せます。逮捕前であれば、逮捕回避に向けた弁護活動も可能です。示談交渉は当事者同士で行うと感情的になりやすく、かえって状況が悪化することも少なくありません。弁護士が間に入れば、冷静かつ適切な条件での解決が期待できます。
当事務所は刑事事件を専門的に扱っており、暴行罪をはじめとする刑事弁護に豊富な経験を有しています。全国どこからでも無料でご相談いただけますので、被害届を出された方、警察から連絡が来た方、相手から「訴える」と言われている方は、当事務所までご連絡ください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

