
「リベンジポルノの時効は何年だろう」「時効が過ぎれば逮捕されないのだろうか」と不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。
リベンジポルノ防止法違反の公訴時効は3年です。ただし、画像や動画がネット上に残っている限り時効が進行しない可能性がある点には注意が必要です。また、リベンジポルノ防止法違反の罪は親告罪であり、被害者が犯人を知った日から6か月以内に告訴しなければ起訴されません。民事上の損害賠償請求の時効も、加害者および損害を知った時から3年です。
この記事では、刑事事件に強い弁護士が、
- リベンジポルノ防止法の公訴時効と起算点の考え方
- 脅迫罪・恐喝罪など関連する犯罪の時効
- 親告罪としての告訴期間(6か月)の注意点
- 民事の損害賠償請求の時効
- 時効の完成を待たずに示談交渉・自首を検討すべき理由
などについてわかりやすく解説していきます。
なお、リベンジポルノの時効について早急に対応したいとお考えの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談をお気軽にご利用ください。
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リベンジポルノ防止法の公訴時効
※2025年6月1日施行の改正刑法により、「懲役」と「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されました。本記事の法定刑の記載は改正後の内容です。
「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律(一般的に「リベンジポルノ防止法」という略称で呼ばれています。)」に違反した場合、公訴時効は何年なのでしょうか。
公訴時効は何年?
リベンジポルノ防止法違反の公訴時効は3年です。
そもそも、「公訴時効」とは、一定の期間が経過することで、その刑事事件については起訴されないという制度です。
これは、刑事訴訟法には、「時効が完成したとき」には、判決で免訴の言い渡しをしなければならないと規定されているため(刑訴法第337条4号)、検察官も公訴時効が完成している事件について起訴することはしません。
そして、公訴時効の期間については、各犯罪の法定刑の上限を基準に決定されています。
まず、リベンジポルノ法で処罰される犯罪行為は以下の2つです。
- 公表罪:第三者が撮影対象者を特定できる方法で、私事性的画像記録を不特定・多数の人に提供したり、公然と陳列したりする行為
- 公表目的提供罪:公表させる目的で私事性的画像記録を提供する行為
公表罪は、「3年以下の拘禁刑」または「50万円以下の罰金」に処される犯罪です。また、公表目的提供罪は、「1年以下の拘禁刑」または「30万円以下の罰金」に処される犯罪です。
そして、刑事訴訟法には、「長期5年未満の拘禁刑・・・罰金に当たる罪については3年」の公訴時効であると規定しています(刑訴法第250条2項6号)。
したがって、リベンジポルノ防止法違反の罪については、公訴時効は「3年」となります。
時効の起算点は?
それでは、リベンジポルノ防止法の3年の公訴時効がスタートするのは、いつからなのでしょうか。
この点、公訴時効については「犯罪行為が終わった時」から進行すると規定されています(刑事訴訟法第253条)。
それでは、リベンジポルノ行為については、「加害者が写真・動画をネット上にアップロードした時点から」起算されると考えるべきなのでしょうか。
この、「犯罪行為が終わった時」とは、刑法に規定されている結果をも含んでいると解釈されています。
さらに、大阪高等裁判所は、インターネット上の名誉棄損事件について、以下のように判示しています。
「名誉毀損罪は抽象的危険犯であるところ、・・・名誉を毀損する記事(以下、「本件記事」という。)をサーバーコンピュータに記憶・蔵置させ、不特定多数のインターネット利用者らに閲覧可能な状態を設定したものであり、これによって、両名の名誉に対する侵害の抽象的危険が発生し、本件名誉毀損罪は既遂に達したというべきであるが、その後、本件記事は、・・・サーバーコンピュータから削除されることなく、利用者の閲覧可能な状態に置かれたままであったもので、被害発生の抽象的危険が維持されていたといえるから、このような類型の名誉毀損罪においては、既遂に達した後も、未だ犯罪は終了せず、継続していると解される」。
以上のような裁判例を考慮すると、動画・画像のアップロードが完了していても、削除あるいは削除要請がなされない限り、公訴時効は進行しないと考える余地があります。
ただし、この判例は、名誉棄損行為に関する告訴期間の起算日に関する判例ですので、リベンジポルノ防止法違反行為の公訴時効の起算点にそのままあてはめて考えられるか、という点には問題があります。
しかし、同判例が、「既遂に達した後も、未だ犯罪は終了せず」と判示している点は非常に参考となるでしょう。リベンジポルノ防止法に関する裁判例について詳しくは「リベンジポルノ防止法の有名判例を弁護士が解説」をご参照ください。
リベンジポルノ行為と関連する犯罪の時効
リベンジポルノ防止法違反に該当する行為が、脅迫罪や強要罪など他の犯罪行為に該当するケースも存在しています。そのような場合には、それぞれの犯罪に応じて公訴時効が適用されることになるため注意が必要です。リベンジポルノで成立し得る犯罪の全体像については「リベンジポルノで成立する犯罪・罰則と逮捕後の流れを解説」もあわせてご確認ください。
脅迫罪・恐喝罪・強要罪
脅迫罪とは、人を畏怖させるに足りる害悪の告知をする犯罪です(刑法第222条)。例えば、「裸や性行為などが撮影された動画・画像をインターネット上に拡散するぞ」、と被害者に告げた場合には、脅迫罪に該当する可能性が高いです。
また、「動画・画像を公開されたくなければ、交際/性行為をしろ」と要求することは、脅迫を用いて他人に義務のないことを強制し、権利行使を妨害することになりますので、「強要罪」に該当する可能性があります(刑法第223条)。
さらに、「動画・画像を公開されたくなければ、○○万円支払え」と要求した場合には、脅迫を用いて金銭を交付させているため、恐喝罪に該当することになります(刑法第249条)。
脅迫罪や強要罪の公訴時効は、リベンジポルノ防止法違反と同様「3年」ですが、恐喝罪の公訴時効は、「7年」となります。恐喝罪の成立要件や逮捕後の流れについては「恐喝罪とは?成立要件・時効・逮捕後の流れを弁護士が解説」で詳しく解説しています。
名誉毀損罪
さらに、リベンジポルノ行為が名誉棄損罪に該当する可能性もあります。
名誉棄損罪とは、公然と事実を摘示し、人の社会的評価を侵害する場合に成立します(刑法第230条)。
他人の裸や性行為などの動画・画像をネット上に公開する行為は、その人の社会的評価を侵害するものであり、同罪に問われるおそれがあります。
名誉棄損罪の法定刑は、「3年以下の拘禁刑」または「50万円以下の罰金」です。このため、名誉棄損罪の公訴時効もリベンジポルノ防止法違反と同様「3年」です。
児童ポルノ禁止法違反
また、リベンジポルノ防止法のいう私事性的画像記録が児童買春・児童ポルノに該当する場合には、児童ポルノ禁止法(「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」)違反にも問われます。
例えば、リベンジポルノ動画・画像が、対価を供与して「性交等」をした記録である場合には、児童買春に該当します。児童買春をしたものは、「5年以下の拘禁刑」または「300万円以下の罰金」が科されることになります。刑事訴訟法では「長期10年未満の拘禁刑に当たる罪については5年」の公訴時効と規定されているため(刑訴法第250条2項5号)、児童ポルノ禁止法違反の公訴時効は「5年」となり、リベンジポルノ防止法違反よりも長い時効期間が適用されます。
わいせつ物頒布等罪
リベンジポルノ画像・動画を、インターネット上に公開する行為は、わいせつ物頒布罪にも該当し得ます(刑法第175条)。
わいせつな図画、電磁的記録その他のものを頒布し、又は公然と陳列した場合に成立する犯罪です。
わいせつ物頒布罪に問われた場合の刑罰は、「2年以下の拘禁刑」または「250万円以下の罰金若しくは科料」、さらにはそれらの併科です。わいせつ物頒布罪の公訴時効もリベンジポルノ防止法違反と同じく「3年」です。
リベンジポルノ防止法違反の告訴期間
リベンジポルノ防止法違反にあたる罪については、告訴がなければ起訴することができません(リベンジポルノ防止法第3条4項)。このように検察官が公訴を提起(起訴)するときに被害者などの告訴が必要となる犯罪のことを「親告罪」といいます。
そして親告罪の告訴については、「犯人を知った日から6か月を経過したときは」告訴できなくなります(刑事訴訟法第235条)。
この「犯人を知った」とは、犯人が誰かを知ることを指すため、犯人の住所や氏名などの詳細を知っている必要はないものの、少なくとも「犯人が何人(なんぴと)たるかを特定し得る程度に認識することを要する」と考えられています(最高裁判所昭和39年11月10日決定)。
そして、告訴することができる「告訴権者」についても法律で規定されています。
告訴権者となれる人は以下のとおりです(刑事訴訟法第230条〜231条)。
- 犯罪により被害を被った者(被害者)
- 被害者の法定代理人
- 被害者が死亡したとき:被害者の配偶者、直系の親族・兄弟姉妹(被害者の明示した意思に反することはできない)
リベンジポルノの民事の時効は?
リベンジポルノ行為は、刑事責任のみならず、加害者と被害者との間に民事上の責任が発生する可能性が高いでしょう。
なぜならリベンジポルノは、被害者の名誉やプライバシー権、人格権などを侵害する不法行為であるとして、慰謝料を含む損害賠償請求責任が発生する可能性があるからです。
そして、不法行為に基づく損害賠償請求権については、独自の消滅時効が規定されています。すなわち、不法行為による損害賠償の請求権は、以下の場合に時効によって消滅します。
- 被害者またはその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないとき
- 不法行為の時から20年間行使しないとき
この消滅時効の起算点である「加害者を知った時」については、被害者が不法行為の当時加害者の住所・氏名を的確に知らず、しかもこれに対する損害賠償請求を行使することが事実上不可能な場合には、その状況がやみ、「被害者が加害者の住所・氏名を確認した時」であると考えられています。
したがって、加害者がどこの誰か分からない場合や、住所・氏名が分からない間は、不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効期間は進行しないことになります。
時効の完成を待たずにすべきこと
時効完成を待つリスク
これまで説明した通り、リベンジポルノ防止法違反の公訴時効は「犯罪行為が終了したとき」から3年です。
公訴時効が完成するまでの間、あなたは罪を犯した負い目やいつ逮捕されるかわからない不安を抱えながら肩身の狭い生活を送らなければなりません。
しかも「犯罪行為が終了したとき」がリベンジポルノ画像や動画を削除した、あるいは削除要請した時と解釈するならば、あなたがネット上のリベンジポルノ映像の削除に動かない限り時効の進行が開始されないわけですから、逮捕の不安に怯えて暮らす期間はさらに伸びます。
また、逮捕されると場合によっては実名報道され、それまで積み上げてきた社会的な評価や信用が一気に崩れ落ち、社会復帰の妨げとなる可能性もあります。さらに有罪判決となれば、仮に執行猶予が付いた場合でも前科もつきますので、資格の取得や海外渡航にも影響が出てしまいます。
示談交渉をする・自首を検討する
このような事態を招かないためにも、リベンジポルノ行為につき身に覚えのある方は、ネットにアップロードしたリベンジポルノ映像を削除するとともに、被害者と早急に示談交渉を開始することをお勧めします。
リベンジポルノ防止法違反となる罪は、前述の通り親告罪ですので、被害者との示談が成立すれば告訴されずに済む、すなわち事件化するのを回避できます。
もっとも、リベンジポルノの被害者が加害者と直接示談交渉に応じる可能性は低いでしょう。この点、弁護士であれば示談交渉に応じてくれる被害者も多く、適切な金額で示談を成立させられる可能性も高まります。
また、被害者と連絡が取れない場合には、自首も検討しましょう。自首そのものの効果ではありませんが、自首することで「証拠隠滅・逃亡のおそれがない」と捜査機関が判断して、逮捕を回避できる可能性が高まります。
ただし、自首したからといって必ずしも逮捕を回避できる保証はありませんので、自首するかどうかはやはり弁護士の判断が必要となります。また、弁護士に依頼すれば、逮捕回避のための対策をとったうえで自首に同行してくれますので、一人で不安を抱えながらの自首をせずに済みます。自首の際に弁護士が同行するメリットや費用の目安については「自首に弁護士が同行するメリットと費用|弁護士なしでも大丈夫?」で具体的に紹介しています。
リベンジポルノの時効でお悩みの方は弁護士にご相談ください
リベンジポルノ防止法違反の公訴時効は3年ですが、画像や動画がネット上に残っている限り時効が進行しない可能性があります。また、親告罪であるため告訴期間にも制限があり、時効に関する判断は慎重に行う必要があります。
リベンジポルノ防止法違反の罪は親告罪ですので、被害者との示談が成立し告訴を回避できれば、事件化を防ぐことが可能です。弁護士が間に入ることで、被害者が示談交渉に応じてくれる可能性が高まり、適切な条件での解決が期待できます。また、自首を検討する場合にも、弁護士が逮捕回避のための対策を講じたうえで同行することで、一人で不安を抱える必要がなくなります。
リベンジポルノ行為をしてしまい、いつ逮捕されるかわからない恐怖を感じている方、すでに被害者から連絡が来ている方、時効の完成を待つべきか判断に迷っている方は、一日でも早く弁護士に相談されることをお勧めします。
当事務所は、リベンジポルノ事件における被害者との示談交渉や自首の同行について豊富な実績があります。全国どこからでも無料でご相談いただけますので、お気軽にお問い合わせください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

