
「不同意わいせつの疑いで警察から連絡が来た」「家族が逮捕された」という状況で、不起訴になる可能性はあるのか、何をすればよいのかと不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。
令和7年の検察統計では、不同意わいせつ(旧強制わいせつ)事件の起訴率は33.3%で、約3分の2が不起訴となっています。罪を認めている場合も、「同意があった」「やっていない」と考えている場合も、起訴される前に示談や取調べへの対応などを適切に進めれば、不起訴を獲得できる可能性があります。
もっとも、この罪には罰金刑がなく、起訴されれば正式な刑事裁判を受けることになり、有罪となる割合も非常に高いため、処分が決まる前の対応が重要です。
この記事では、性犯罪など刑事事件の弁護を担当してきた弁護士が、次の点について解説します。
- 不起訴になる割合と処分までの流れ
- 罪を認める場合の対応方法
- 「同意があった」「やっていない」と争う場合の対応
- 当事務所の解決事例
お読みいただくことで、ご自身の状況で今何をすべきかを整理できます。
なお、この記事をお読みいただいた後、すぐに動きたい方は、当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。早期対応が結果を左右します。ご相談は地域を問わず承っています。
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不同意わいせつ罪とは?
成立要件は?
8つの行為・事由やこれらに類するものによって、「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした」場合には、不同意わいせつ罪が成立します(刑法176条1項)。
不起訴の見通しを考える前提として、条文が成立要件として例示する8つの行為・事由を確認しておきます。
- ①暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
→殴る・蹴るなどの暴行や脅迫を用いた場合 - ②心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
- ③アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
→酒や睡眠薬の影響で判断が難しい被害者に行った場合 - ④睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
→被害者が眠っている間や、意識がもうろうとしている時に行った場合 - ⑤同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
→別のことに気を取られている隙に、不意打ちで行った場合 - ⑥予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
→予想外の事態に驚いて体が固まった被害者に行った場合 - ⑦虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
- ⑧経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
→上司や指導者が、拒めば不利益があると思わせる立場を利用した場合
わいせつな行為の典型例は、次のとおりです。
- 被害者の胸や性器などに触れる
- 自己の性器を被害者に触れさせる
- 被害者にキスする・抱きつく・衣服を脱がす など
また、わいせつな行為ではないと誤信させたり、人違いをさせたり、それらに乗じたりしてわいせつな行為をした場合にも、不同意わいせつ罪が成立します(刑法176条2項)。
さらに、被害者が「13歳未満の子どもである場合」や、「13歳以上16歳未満の子どもで、行為者が5歳以上年長である場合」にも不同意わいせつ罪が成立します(刑法176条3項)。
罰則は?
不同意わいせつ罪の罰則は「6月以上10年以下の拘禁刑」です(刑法176条1項)。罰金刑がないため、不起訴とならずに起訴されれば、罰金を納めて終わる略式の手続き(略式起訴)はとられず、公開の法廷で正式な裁判を受けます。
執行猶予のつかない有罪判決を受けた場合には、刑務所に収監されることになります。起訴された場合の量刑について詳しくは「強制わいせつの量刑は懲役実刑になる?執行猶予がつくことはある?」で解説しています。
なお、拘禁刑とは、2025年6月1日施行の改正刑法により、これまでの懲役と禁錮を一本化して新設された刑罰です。
旧強制わいせつ罪からの変更点は?
2023年(令和5年)7月13日に改正刑法が施行され、強制わいせつ罪と準強制わいせつ罪は一つの罪にまとめられて「不同意わいせつ罪」となりました。
改正前の「強制わいせつ罪」では「暴行又は脅迫」を手段とすることが、「準強制わいせつ罪」では「心神喪失又は抗拒不能の状態に乗じる」ことが求められていました。改正により、暴行や脅迫、心神喪失や抗拒不能が認定できなくても、8つの行為・事由などによって同意しない意思を示すのが難しい状態にあれば、処罰されることになりました。
なお、不起訴を目指すための対応は、改正前の強制わいせつ事件でも変わりません。後半で紹介する解決事例も、強制わいせつ罪の事件です。
不同意わいせつで不起訴になる割合は?処分が決まるまでの流れ
不同意わいせつ事件で起訴・不起訴を決めるのは検察官です。不起訴になる割合と種類、逮捕された場合とされない場合の流れを順に確認します。
不起訴になる割合と主な3つの種類
検察統計(令和7年)によると、「不同意わいせつ」の区分(改正前の強制わいせつや監護者わいせつ、これらの致死傷を含む)で起訴されたのは1,645人、不起訴となったのは3,289人です。起訴率は33.3%で、起訴・不起訴となった人のうち約3分の2が不起訴になっています。
不起訴(不起訴処分)とは、検察官が事件を刑事裁判にかけないと決める処分です。不起訴になれば刑事裁判は開かれず、刑罰を科されることも、前科がつくこともありません。公開の法廷に立つこともないため、事件が職場や学校に知られる心配も小さくなります。
不起訴には主に次の3つの種類があり、令和7年の不起訴3,289人のうち、起訴猶予が約54%、嫌疑不十分が約45%を占めています。
「嫌疑なし」は、被疑者が犯人でないことや、犯罪を認定する証拠がないことが明らかになった場合の不起訴です。
「嫌疑不十分」は、犯罪の疑いは残るものの、裁判で有罪を証明できるだけの証拠がそろわない場合の不起訴です。
「起訴猶予」は、犯罪事実の証明も被疑者の犯人性の証明も十分にできる証拠があるものの、諸般の事情を考慮して検察官が刑事罰を科す必要がないと判断した場合の不起訴です。この判断では、被害者との話し合いによる解決(示談)が成立しているかなど、犯罪後の事情も考慮されます(刑事訴訟法248条)。
罪を認める場合は起訴猶予を、「同意があった」「やっていない」と争う場合は嫌疑なし・嫌疑不十分による不起訴を目指すことになります。初犯の方で起訴・実刑への不安をお持ちの場合は「強制わいせつの初犯で実刑はある?前科をつけないためにすべきこと」もあわせてご確認ください。
逮捕された身柄事件の流れ
逮捕された場合、警察は釈放しない限り、48時間以内に事件を検察官に送ります(送致)。検察官は、送致を受けてから24時間以内、かつ逮捕から72時間以内に、裁判官に勾留(引き続き身柄を拘束すること)を請求するか、釈放するかを決めます(刑事訴訟法203条・205条)。
勾留が認められると原則として10日間、延長されるとさらに最大10日間、身柄拘束が続きます(同法208条)。身柄を拘束したまま起訴・不起訴を決められるのは、逮捕から最長23日間です。
令和7年の検察統計では、「不同意わいせつ」の区分で処理された人の約52%が逮捕されており、逮捕された人の約9割は勾留が認められていました。身柄を拘束されている場合、示談交渉は必然的に弁護士に任せることになり、限られた日数の中で進める必要があります。逮捕された場合の流れや逮捕を回避する方法については「不同意わいせつで逮捕されるとどうなる?逮捕を回避するには?」をご参照ください。
逮捕されない在宅事件の流れ
不同意わいせつ事件でも、逮捕されずに普段どおりの生活を続けながら捜査を受けるケースがあり、これを在宅事件といいます。警察からの呼び出しに応じて取調べを受け、捜査が終わると事件の記録が検察官に送られ(いわゆる書類送検)、検察官による取調べなどを経て、起訴・不起訴が決まります。
在宅事件には、身柄事件のような日数の制限がなく、処分が決まるまで数か月以上かかることもあります。法律上の期限は、公訴時効(不同意わいせつ罪は12年で、被害者が18歳未満のときは18歳になるまでの期間が加算されます)だけです。ただし、検察官がいつ処分を決めるかは本人にはわからないため、示談や取調べへの備えは早めに進めておく必要があります。
不同意わいせつを認める場合に不起訴を目指すためにすべきこと
罪を認める場合は、起訴猶予による不起訴を目指します。柱となるのは、被害者との示談と再犯防止への取り組みです。
①被害者と示談交渉をする
不同意わいせつを認める事件で中心となるのが、被害者との示談です。示談とは、被害者に真摯に謝罪したうえで示談金を支払い、事件について当事者どうしで解決の合意をすることです。
示談の中で、被害届を取り下げてもらえたり、加害者を許して処罰を望まないという意思(宥恕)を示してもらえたりすることがあります。不同意わいせつ罪は被害者の告訴がなくても検察官が起訴することができる「非親告罪」のため、被害届が取り下げられても、起訴するかどうかは検察官が判断します。それでも、示談の成立や被害者の加害者に対する処罰感情の低下は、起訴・不起訴の判断でも重視されます。示談が成立すれば起訴猶予となる可能性は高まりますが、示談をしたからといって不起訴が約束されるわけではありません。
もっとも、示談交渉に応じるかどうか、提示した条件を受け入れるかどうかは被害者の意思次第です。不起訴を目指すには起訴される前に示談を成立させる必要がありますが、起訴前に応じていただけるとは限りません。
また、不同意わいせつをはじめとする性犯罪では、被害者は加害者に強い恐怖心を抱いており、加害者本人と直接やり取りすることは考えにくいでしょう。本人や家族が被害者に直接連絡をとろうとすることも避けてください。
被害者の連絡先を知らない場合、捜査機関に尋ねても、加害者本人に連絡先が教えられることはありません。被害者の了解が得られた場合に限り、弁護士に伝えてもらえることがあります(被害者が拒めば示談交渉に入ることはできません)。こうした理由から、示談交渉は弁護士に依頼しましょう。示談金の相場や具体的な交渉の進め方については「不同意わいせつ(旧強制わいせつ)の示談金相場や示談の進め方」で詳しく解説しています。
②専門機関に通院して再犯防止に取り組む
性依存の傾向が強い場合は、継続的に専門機関に通院して治療を受けることが欠かせません。
検察官は刑事処分(起訴または不起訴)を決める際、再び同じことを繰り返すおそれがないかを重視します。通院を続けていることは、再び同じことをするおそれが小さいことを示す材料にもなります。
ただ、加害者の中には、自分が性依存者である自覚がない人もおり、一度通院しても途中で諦めてしまうことがあります。更生には本人の意志だけでは限界があり、治療を続けるには周囲の理解と支えが必要です。
このような再犯防止の取り組みを行ったうえで、弁護士がその内容を検察官に適切に伝えることで、不起訴処分となる可能性が高まります。
同意があった・やっていないと争う場合に不起訴を目指すには
「相手も同意していた」「自分は犯人ではない」と考えている場合に目指すのは、嫌疑なし・嫌疑不十分による不起訴処分です。
ただし、自分では同意があったと思っていても、不同意わいせつ罪では、相手が同意しない意思を示すのが難しい状態にあったかどうかが問われます。否認して争う場合は、取調べでの話し方と客観的な証拠が重要になります。取調べ・証拠対応を含む全体像については「不同意わいせつの冤罪を疑われたら?無罪になるためにすべきこと」もあわせてご確認ください。
①取調べでは供述を一貫させ、納得できない供述調書には署名しない
不同意わいせつ事件の取調べで話した内容は、供述調書(捜査官が本人の話をまとめた書面)として残され、検察官が処分(起訴・不起訴)を決める際の判断材料になります。
取調べの前には、自分の意思に反して話す必要はないこと(黙秘権)が告げられます(刑事訴訟法198条2項)。また、作成された調書は閲覧や読み聞かせで内容を確かめることができ、誤りがあれば訂正を申し立てられるほか、署名押印を拒むこともできます(同条4項・5項)。
そのうえで、供述内容が取調べのたびに変わると、説明全体を信用してもらいにくくなります。記憶があいまいな点を推測で答えたり、捜査官の言い分に合わせて事実と違うことを認めたりせず、覚えている事実を一貫して話すことが大切です。調書の表現が自分の説明と違うときはその場で訂正を求め、納得できなければ署名しないでください。
逮捕されている場合は、弁護士が接見(面会)して、取調べにどう臨むかを助言できます。
②LINEや防犯カメラ映像などの客観的な証拠を確保する
同意の有無や犯人かどうかが争われる不同意わいせつ事件では、被害者の供述が信用できるかが問題になりやすく、それを裏付ける、あるいは疑わせる客観的な証拠が重要になります。
たとえば、事件の前後に相手と交わしたLINEなどのメッセージ、通話の履歴、スマートフォンの位置情報、現場付近の防犯カメラの映像などです。こうした証拠は、できるだけ早い段階で確保しておくことが大切です。手元のメッセージや写真も、消さずに残しておきましょう。同意を示すメッセージなどの具体例については「不同意わいせつの証拠となるものは?証拠がなくても逮捕される?」で紹介しています。
弁護士は、集めた証拠や本人から聴き取った事情をもとに、被害者の供述と食い違う点などを検察官に伝え、嫌疑不十分などによる不起訴を求めていきます。
不同意わいせつ事件で不起訴を獲得した事例
当事務所の弁護士に刑事弁護を依頼して、不同意わいせつ(強制わいせつ)事件で不起訴を獲得した事例を一部紹介します(プライバシー保護の観点から内容を一部加工しています)。
路上痴漢で逮捕された後早期釈放、不起訴(起訴猶予)を獲得した例
被疑者は、仕事の帰り道、前方を歩いていた女性に背後から近づき、両手で女性の胸を鷲掴みしたとして、強制わいせつ罪で逮捕されました。
弁護士は、警察から逮捕の通知を受けた母親からの依頼を受けて被疑者と接見し、その後、母親から正式な依頼を受けたため、被疑者の意向を受けて捜査機関に対して示談意向があること、示談交渉のために被害者の個人情報を教えていただけないか申し入れを行いました。
そして、その日に、弁護士は捜査機関から被害者の個人情報を入手し、被害者に対して謝罪したいこと、示談意向があることを伝えて示談交渉を始めました。
それと同時に、裁判所に対して示談交渉中であること、逃亡、罪証隠滅のおそれがないことを、意見書を通じて主張した結果、検察官の勾留請求は却下され被疑者は釈放されました。
釈放後、引き続き示談交渉を継続した結果、示談金50万円で示談を成立させることができましたので、被害者と取り交わした示談書(写し)を検察庁へ提出した結果、不起訴(起訴猶予)を獲得することができました。
電車内痴漢の強制わいせつで不起訴(嫌疑不十分)を獲得した例
被疑者は、通勤途中の電車の中で、前方に立っていた女性のスカートの中に手を入れ、下着の上から女性の陰部を撫でまわすなどしたとして、強制わいせつ罪で逮捕されたという事案です。
弁護士は、被疑者のご家族から依頼を受けて被疑者と接見したところ、被疑者は「痴漢はしていない」、「自分は犯人ではない」と主張していました。
そのため、弁護士は被疑者から、被疑者と被害者の立ち位置・距離、当時の電車内の状況、被害者と交わした会話のやりとりなど詳細に聴取した上で、検察官に対して被疑者が痴漢を行うことは客観的に不可能だったことを主張しました。
そして、検察官も被害者の供述の信用性に疑義を感じ始めたため、嫌疑不十分による不起訴を獲得することができました。
不同意わいせつ事件の不起訴獲得についてお悩みの方は弁護士にご相談ください
令和7年の統計で見ると、不同意わいせつ事件は、起訴・不起訴の約3分の2が不起訴です。不起訴の獲得に向けては、罪を認めるなら示談と再犯防止への取り組みが、同意の有無や犯人かどうかを争うなら取調べへの対応と客観的な証拠の確保が、それぞれ重要です。
いずれの場合も、処分が決まるまでの限られた時間の中で動く必要があります。弁護士であれば、示談交渉や取調べへの助言、検察官への意見の提出など、不起訴に向けた弁護活動を早い段階から進めることができます。
ご自身やご家族が不同意わいせつ事件で捜査を受けている場合、今後の生活や仕事への影響を考えると精神的な負担も大きいことと思います。すでに逮捕されている場合や、警察から連絡が来ている場合は、できるだけ早い段階でのご相談が重要です。
当事務所では不同意わいせつ事件における示談交渉や不起訴処分の獲得に豊富な実績がございます。依頼者の不利益を最小限に抑えるため弁護士が迅速に動き、全力を尽くして守ります。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

