強制わいせつで冤罪に!無罪になるためにはなにをすべき?
強制わいせつで冤罪の疑いをかけられた…無罪になることはるのだろうか…無罪になるにはどうすればいいのだろう…」

このようなことでお悩みではないでしょうか。
最高裁判所が公開している令和3年司法統計年報によると、令和3年中に全国の地方裁判所においてわいせつ事件(強制わいせつ罪、強制性交等罪などの事件)で審理された人員は1369人で、うち無罪の言い渡しを受けた人員は8名でした。率にして約0.5%と極めて低く、数値のみみると強制わいせつで無罪を獲得することは非常に難しいといえます。

では、このような厳しい状況の中、強制わいせつで冤罪(罪を犯していないのに、罪を犯したとして扱われる状態のこと。別名、無実ともいいます。)を疑われた場合に無罪となるにはどう対応すべきでしょうか。

そこでこの記事では、強制わいせつに強い弁護士が、以下の項目について解説していきます。

  • 強制わいせつで無罪主張できるケース
  • 強制わいせつで無罪となったケース
  • 強制わいせつで無罪になるためにすべきこと
  • 無罪が期待できない場合の不起訴処分の獲得について

記事を最後まで読んでも問題解決しない場合には気軽に弁護士までご相談ください。

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強制わいせつで無罪を主張できるケース

強制わいせつ罪で無罪を主張できるケースとは、次のようなケースが考えられます。

冤罪の場合

まず、まったくの冤罪の場合です。

被害者と面識がない、触れ合ったことがない、犯行現場、犯行日時に居合わせたことがないのに強制わいせつ罪の犯人とされている場合です。

こうした場合は、被害者や目撃者の見間違い、思い込み、先入観などによって勝手に犯人とされてしまっている可能性が考えられます。

なお、「痴漢」を疑われた場合には、痴漢冤罪で絶対にやってはいけない4つのこととやるべき3つのことも合わせて読むことをオススメします。

同意があった場合

次に、同意があった、あるいは同意があったものと誤信している場合です。

実務では、後者のケースが圧倒的に多いです。すなわち、被害者は同意していないものの、犯人に同意があったものと誤信させてしまうような事情があり、犯人が実際に被害者の同意があったものと誤信しているという場合です。犯人が誤信したことにつき合理的な説明ができるような場合は、強制わいせつ罪の故意を欠くものとして無罪となることがあります

13歳未満とは知らなかった場合

次に、13歳未満とは知らなかった場合です。

強制わいせつ罪が成立するには、被害者が13歳以上の場合は暴行又は脅迫を手段としてわいせつな行為を行うことが必要です。一方、被害者が13歳未満の場合は暴行又は脅迫は不要で、わいせつな行為だけで成立します。

もっとも、被害者が13歳未満の場合は、被害者が13歳未満であることの認識がなければ強制わいせつ罪は成立しません。犯人が13歳未満であることを認識していたかどうかは客観的事情も考慮して判断されますが、それも含めてもなお13歳未満と認識していなかったと認められるときは、故意を欠くものとして無罪となることがあります。

強制わいせつで無罪になるためにすべきこと

現場から逃げない・身元を明らかにする・呼び出しに応じる

まずは、現場から逃げないことです。逃げてもいずれは検挙される可能性が高いですし、逃亡のおそれがあると判断されて逮捕のリスクを高めることにもつながってしまいます。また、のちのち裁判となった場合に、裁判官に「強制わいせつの認識があるから現場から逃げたのだ」とみなされ、無罪を勝ち取ることを難しくしてしまう可能性もあります

なお、氏名・住所・生年月日・職業・連絡先などの個人情報は正直に回答しましょう。警察官がどこの誰とも把握できていない人物をその場から解放するはずはありません。

また、解放された場合、在宅捜査(身柄拘束されない状態で捜査される事件)を続けてもらうためにもまずは個人情報を開示した上で、警察の呼び出しには素直に応じる姿勢を示すことが必要です。

弁護士に相談する

警察官や検察官に冤罪を主張してもなかなか信用してくれません。信用してくれるどころかむしろ、取調べでの追及が厳しくなる一方で、追及に耐えられなくなって虚偽の自白をしてしまう可能性もあります。こうした捜査機関からの厳しい追及に一人で対抗するには限界があり、必ず、弁護士の力が必要となります。

弁護士に相談すれば取調べのアドバイスを受けることができ、取調べでどう対応すればよいかがわかります。また、弁護士に依頼すれば、違法・不当な取調べを受けづらくなります。弁護士に違法・不当な取調べを行った疑いをもたれると、弁護士から異議の申し入れや場合によっては法的措置をとられる可能性があることは警察官や検察官もわかっているからです。

身柄拘束を受けていない場合は一刻もはやく弁護士に相談し、身柄拘束を受けた(受けている)場合は一刻もはやく弁護士との接見を要請することからはじめましょう。

取調べでの権利を適切に行使する

無罪主張する場合は取調べでの対応も非常に重要です。虚偽の自白をすると冤罪につながる可能性がありますし、警察官や検察官にむやみやたらに対応すると揚げ足を取られて追及の隙を与えることにもつながりかねません。

そこで、できる限り、事前に取調べで認められている権利の内容(黙秘権、供述拒否権、署名・押印拒否権など)を把握しておき、取調べでは適切に行使することが大切です。もっとも、実際の取調べではパニックに陥り、権利を適切に行使できないことも想定されますから、その意味でもはやめに弁護士に相談し、取調べのアドバイスを受けておくことが必要です。

絶対に罪を認めない・謝罪しない

無罪主張すると決めたら、絶対に認めないことが大切です。当初から一貫して無罪主張し続けていれば、無罪主張を信用してもらいやすくなります。一方、一度罪を認めてしまうと、あとで無罪主張してもなかなか認めてもらえません。本当にやっていないのなら、最初から無罪主張するはずだと思われてしまうからです。警察官や検察官は取調べであの手この手を使って罪を認めさせようとしますが、ご自分が無実だと考える限り罪を認めてはいけません。

また、被害者に対して謝罪してもいけません。謝罪すると罪を認めたととられかねる可能性があるからです。

無罪が期待できない場合は示談による不起訴処分を目指す

残念なことに、現在の我が国の司法制度の下では、一度起訴されると刑事裁判において無罪を獲得することが非常に困難なのが実情です。にもかかわらず、いたずらに無罪主張を貫くと身柄拘束期間や刑事裁判の長期化、ひいては量刑の厳罰化を招き、将来の社会復帰を大幅に遅らせてしまうことにもつながりかねません。

そのため、まずははやい段階で弁護士に相談し、起訴され刑事裁判を受けることになっても無罪主張して無罪獲得を目指すべきかどうかじっくり検討することが大切です

相談の結果、このまま無罪主張しても無罪獲得が難しいという判断になった場合は、罪を認めて被害者との示談交渉を進め、示談を成立させることも一つの方法です。起訴される前に示談を成立させることができれば起訴猶予による不起訴を獲得できる可能性があります。不起訴を獲得できれば無罪判決と同じ効果を得ることが可能です。すなわち、刑務所に服役する必要はなくなりますし、前科もつきません(補償金は請求できません)。

逮捕・勾留された場合は、逮捕から起訴か不起訴かの判断までに最大でも3週間(短くて10日)程度しかありません。仮に、起訴猶予による不起訴獲得を目指す場合は、それまでに示談を成立させ、その結果を検察官に提出する必要があります。身柄拘束された場合は時間的余裕がありませんから、はやめに弁護士に相談(接見)することが大切です

強制わいせつで不起訴処分を得るためになにをすべき?

強制わいせつ事件で無罪となった判例

ここでは、過去、強制わいせつ罪で無罪判決が出された判例をご紹介します。

他の者が犯人である可能性を排斥できないとして無罪

この事案は、被告人Xが満員電車で乗客A(当時17歳)の下着内に手を入れ臀部や肛門を触り、乳房を着衣の上から揉んだという、強制わいせつ罪の容疑で起訴された事案です。

この事例では被害少女Aの供述の信用性に疑義があると判断されました。

  • 公判供述内でも質問者ごとに供述を変遷させていた
  • 自分に気に入らない質問を受けたときには「気分が悪い」と言い出したり、証言台に突っ伏し不快な感情をあらわにするなど、やや無責任かつ投げやりな供述態度であった
  • 犯人として面識のないXを駅員に突き出したことから自分の判断を正当化するために、曖昧な記憶があたかも明確な記憶に基づくかのような供述をしていった可能性があった
  • Aは、被害になっている際に明確に犯人の特徴を知覚できておらず、被害直後から特に犯人の特徴に関しては、明確な記憶がなかった
  • 痴漢されているときにAが見たというXが着用していたコートについて捜査官の誘導や暗示などの影響もあって、見ていないものを見たもののように供述した可能性がある

以上のような事情を考慮して、Aの供述により、被告人Xが本件強制わいせつの犯人であるが蓋然性があることは認定できるが、X以外の者が犯人である可能性を排斥することができないためXを犯人であるとは認められないとして無罪が言い渡されています(大阪地方裁判所平成12年10月19日判決)。

被害供述の信用性を欠くとして無罪①

この事例は、路上でA(当時23歳)に対し背後から着用していたワンピースの裾をまくり上げ、手を下着の中に入れて陰部を触るなどして逃走したという、強制わいせつの疑いで被告人Xが起訴された事例です。

この事例では犯人とXとの同一性について、Aの供述をもとにXが犯人と断定するには合理的な疑いが残ると判断されました。

  • Aの視力は左右0.6で乱視もありその時間も約1秒くらいで、路上にいた犯人の容貌を詳細に認識できたとはいえない
  • Aは犯人を「やせ型」・「配達人風」と供述していたが、Xは身長175㎝、体重74㎏でがっちり型・茶髪・口ひげとあごひげの美容室勤務であったため一致しない
  • Aは一貫して犯人はピンク色の長袖シャツを着用していたと供述してるが、X宅から同様の衣服は発見されておらず、処分した形跡もない

以上のような点を考慮して裁判所は、被告人Xが犯人であると認定するにはAの供述の信用性に疑問があるとして、Xに無罪が言い渡されました(東京高等裁判所平成12年8月2日判決)。

被害供述の信用性を欠くとして無罪②

電車内で、女子高生のパンティの中に左手を差し入れ、その陰部を触るなどして強制わいせつ罪に問われた事案。第一審、第二審では被告人に有罪判決が言い渡されたものの、最高裁は犯罪事実を証明する証拠である被害女性の供述の信用性にはなお疑いが残ると判断して無罪判決を言い渡しています。なお、本件事案では、被害女性の供述のほか、犯罪事実を証明しうる証拠はありませんでした(最高裁判決平成21年4月14日)。

故意の証明が不十分だとして無罪

電車内で、隣に座っていた被害女性に無理やりキスしたなどとして強制わいせつ罪に問われた事案。裁判では被告人に強制わいせつ罪の故意があるかどうかが争点となったところ、裁判官は、「被害女性は隣に座った被告人に名前や勤務先を教えている」、「被害女性から私的な情報を教えてもらった被告人が被害女性から好意を抱かれていると誤信した可能性がある」と判断し、強制わいせつ罪の故意が証明できていないとして被告人に無罪を言い渡しています(名古屋地裁判決平成29年9月5日)

強制わいせつの冤罪事件で無罪となるための弁護活動

接見

逮捕されてしまうと警察の留置場で生活しなければなりません。留置場の生活ではプライベートや自由などありません。また、周囲は初対面の人ばかりで気軽に相談できる相手などおらず、ストレスを溜めこみがちです。そこでまずは、接見を重ね、依頼者の悩みや言い分に耳を傾け、心強い味方となることが弁護士の大切さだと考えます。なお、弁護士の接見は、時間や回数などに制限がないのも強みといえます。

取調べへの徹底したアドバイス

前述のとおり、強制わいせつをはじめとする性犯罪では犯人と被害者の供述しか証拠がないというケースが少なくありません。そこで、取調べで話した内容が、裁判等で重要となってくることがあるため、接見では取調べに対するアドバイスを徹底的に行います。

取調べに対する異議の申し入れ

逮捕されると過酷な生活環境に加えて、長時間かつほぼ連日の取調べが待ち受けています。また、取調べでは黙秘すればするほど、否認すればするほど取調官の追及は厳しくなり、ときに違法・不当な取調べが行われることがあります。違法・不当な取調べが行われた疑いがある場合は、違法・不当な取調べを行わないよう捜査機関に異議を申し入れます

裁判での弁護活動

万が一起訴され刑事裁判にかけられてしまった場合は、被害者を(反対)尋問して被害者の証言の信ぴょう性に疑いを挟む余地があることを明らかにしていきます。捜査段階で自白してしまい、自白調書が証拠請求されてしまった場合は任意性がないことを証明して、裁判に顕出されることを防ぎます。

当事務所では、強制わいせつ事件の冤罪事件の解決実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますのでまずはお気軽にご相談ください。お力になれると思います。

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