
淫行勧誘罪(いんこうかんゆうざい)とは、営利の目的で、淫行の常習のない女性を勧誘し姦淫させることで成立する罪です。刑法第183条に規定されており、罰則は3年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です。
淫行勧誘罪は長年にわたり適用例がありませんでしたが、平成30年のAV出演強要事件で71年ぶりに適用され、注目を集めました。
この記事では、刑事事件に強い弁護士が、
- 淫行勧誘罪の構成要件と罰則
- 淫行勧誘罪が長年適用されてこなかった理由
についてわかりやすく解説します。
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淫行勧誘罪とは
淫行勧誘罪とは、営利の目的で、淫行の常習のない女性を勧誘し姦淫させることで成立する罪です。刑法第183条に規定されています。条文は次の通りです。
(淫行勧誘)
第百八十三条 営利の目的で、淫行の常習のない女子を勧誘して姦淫させた者は、三年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
なお、本罪の保護法益については、善良な風俗の維持を目的とする社会的法益と、勧誘された者の性的自由を保護する個人的法益の両面があると考えられています。
淫行勧誘罪の構成要件
淫行勧誘罪の構成要件(成立要件)は次の通りです。
- ①営利の目的で
- ②淫行の常習のない女子を
- ③勧誘し
- ④姦淫させたこと
以下、詳しく解説していきます。
①営利の目的
「営利の目的で」とは、自ら又は第三者が財産上の利益を得る目的、あるいはその両方の財産上の利益を得る目的で、という意味です。
たとえば、性風俗店を経営している経営者に勧誘した女性を性交させる目的があった場合、アダルトビデオ制作会社の関係者に勧誘した女性をアダルトビデオに出演させる目的があった場合などが「営利の目的」に該当します。
財産上の利益を得ることが必要ですので、もっぱら性的な満足を得ることを目的とした勧誘であれば淫行勧誘罪は成立しません。
②淫行の常習のない女子
「淫行の常習のない女子」とは、不特定の男性を相手に淫行する習癖をもたない女性のことです。淫行とは、社会の健全な性道徳から許容されない性行為をいい、性交のほか性交類似行為も含みます。女性の年齢に制限はありません。
営利の目的で女性を勧誘したものの、その女性に日頃から援助交際を頻繁に行っていた、自発的にAVの撮影に何本も出演していた、などという事実が認められる場合は淫行の常習のない女子とはいえず、本罪には該当しません。
③勧誘
「勧誘」とは、淫行の常習のない女性に姦淫(性交)の決意を生じさせるよう働きかける行為をいいます。
女性に性交に対する対価を示して働きかける場合はもちろん、女性を騙したり困惑させたり、雇用主と労働者などの上下関係の立場を利用して働きかけた場合も勧誘にあたります。
なお、勧誘されて性交した女性やその相手方となった男性は犯罪として罪に問われません。
④姦淫させたこと
「姦淫」とは、性交(女性の膣内に男性の陰茎を入れる行為)のことを指します。
淫行勧誘罪の刑罰・罰則
淫行勧誘罪の罰則は3年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です。
なお、拘禁刑は2025年6月1日から施行された新たな刑罰で、従来の懲役と禁錮を一本化したものです。
淫行勧誘罪は長年適用されてこなかった
淫行勧誘罪が適用されるケースは現在ほとんどありません。これは、売春防止法が制定され、売春行為をさせることについて同法が詳細に規定した結果、淫行勧誘罪の適用の必要性がほぼなくなったためです。売春防止法の詳細については「売春防止法違反で逮捕される行為は?男女が売買春で問われる罪」をご覧ください。
しかし、平成30年にアダルトビデオへの出演を強要したとして、淫行勧誘罪で逮捕者が出ました。同罪の適用は71年ぶりで、極めてレアなケースです。
この事件で淫行勧誘罪が適用された背景には、アダルトビデオへの出演強要が脱法的に行われていたことがあります。プロダクションや制作会社が女性と業務委託契約を結ぶことで、労働者派遣法の適用を免れようとしていたのです。
なお、アダルトビデオへの出演強要問題については、令和4年に「AV出演被害防止・救済法」(AV新法)が制定され、現在では同法により処罰されることになります。詳しくは、AV新法とは?内容・罰則といつからの契約が対象かを解説をご覧になってください。
淫行勧誘罪で逮捕されたときの対応
警察の捜査により発覚すると、逮捕されて身柄を拘束されるおそれがあります。逮捕後は勾留されることがあり、検察官が起訴すれば裁判にかけられます。有罪判決を受ければ前科がつき、その後の生活に大きな影響が及びます。
心当たりがある方は、早期に弁護士へ相談することをおすすめします。被疑者段階で的確な対応をとれるかどうかが、刑事処分の結果を左右することも少なくありません。
まとめ
淫行勧誘罪は、営利の目的で、淫行の常習のない女子を勧誘して姦淫させた場合に成立する罪です。売春防止法の制定以降ほとんど適用されることがありませんでしたが、近年のAV出演強要事件で71年ぶりに適用されたことで注目を集めました。
淫行勧誘罪に該当する行為をしてしまった場合、逮捕・勾留による長期の身柄拘束や、起訴されれば前科がつく可能性があります。ご自身の行為が淫行勧誘罪に該当するのか、今後どのような対応をとるべきか、不安を感じていらっしゃる方もいるかもしれません。
当事務所では、性犯罪事件における弁護活動に注力しており、被害者との示談交渉、逮捕の回避、不起訴処分の獲得などの実績があります。ご相談いただければ、事案の見通しや最善の対応方針について、弁護士が具体的にご説明いたします。
全国どこからでも無料でご相談いただけます。淫行勧誘罪でお悩みの方は、当事務所までお問い合わせください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

