淫行勧誘罪とは?構成要件と罰則を弁護士が解説

淫行勧誘罪(いんこうかんゆうざい)とは、営利の目的で、淫行の常習のない女性を勧誘し姦淫させることで成立する罪です。刑法第183条に規定されています。罰則は3年以下の懲役または30万円以下の罰金です。

この記事では、刑事事件に強い弁護士が、

  • 淫行勧誘罪の構成要件と罰則
  • AV出演強要で淫行勧誘罪が適用されて逮捕された事件

についてわかりやすく解説していきます。

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淫行勧誘罪とは

淫行勧誘罪とは、営利の目的で、淫行の常習のない女性を勧誘し姦淫させることで成立する罪です。刑法第183条に規定されています。条文は次の通りです。

淫行勧誘)
第百八十三条 営利の目的で、淫行の常習のない女子を勧誘して姦淫させた者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

刑法 | e-Gov法令検索

保護法益

淫行勧誘罪の保護法益については、学説上、主に二つの見解があります。一つは、善良な風俗の維持を目的とする「社会的法益」を保護するという見解です。もう一つは、勧誘された者の性的自由を保護する「個人的法益」を重視する見解です。このように、保護法益が社会的法益か個人的法益かについては、見解が分かれています。

構成要件

淫行勧誘罪の構成要件(成立要件)は次の通りです。

  • ①営利の目的で
  • ②淫行の常習のない女子を
  • ③勧誘し
  • ④姦淫させたこと

以下、詳しく解説していきます。

①営利の目的

「営利の目的で」とは、自ら又は第三者が財産上の利益を得る目的、あるいはその両方の財産上の利益を得る目的で、という意味です

たとえば、性風俗店を経営している経営者に勧誘した女性を性交させる目的があった場合、アダルトビデオ制作会社の関係者に勧誘した女性をアダルトビデオに出演させる目的があった場合などが「営利の目的」があった場合にあたります。

財産上の利益を得ることが必要ですので、もっぱら性的な満足を得ることを目的とした勧誘であれば淫行勧誘罪が成立しません。

②淫行の常習のない女子

「淫行の常習のない女子」とは、不特定の男性を相手に淫行する習癖をもたない女性のことです。淫行とは、社会の健全な性道徳から許容されない性行為をいい、性交のほか性交類似行為も含みます。女性の年齢に制限はありません。

営利の目的で女性を勧誘したものの、その女性に日頃から援助交際を頻繁に行っていた、自発的にAVの撮影に何本も出演していた、などという事実が認められる場合は淫行の常習のない女子とはいえず、淫行勧誘罪は成立しません。

③勧誘

「勧誘」とは、淫行の常習のない女性に姦淫(性交)の決意を生じさせるよう働きかける行為をいいます

女性に性交に対する対価を示して働きかける場合はもちろん、女性を騙したり困惑させたり、雇用主と労働者などの上下関係の立場を利用して働きかけた場合も勧誘にあたります。

なお、勧誘されて性交した女性やその相手方となった男性は罪に問われません

④姦淫

「姦淫」とは、性交(女性の膣内に男性の陰茎を入れる行為)のことを指します

罰則は?

淫行勧誘罪の罰則は3年以下の懲役または30万円以下の罰金です。

AV出演強要で淫行勧誘罪が適用されて逮捕された事件

平成30年1月19日、グラビアモデルなどを騙してアダルトビデオへの出演を勧め、断られると高額な違約金を提示するなどして出演を強要していたとして、アダルトビデオプロダクションの元従業員やアダルトビデオ制作会社の社長らが淫行勧誘罪で逮捕されました。この事件はテレビやインターネットなどで大きく報じられました。

淫行勧誘罪が適用されたのは、この事件が71年ぶりでした。これほど長い間適用されなかった理由は、淫行勧誘罪が想定する行為の多くが、刑法以外の法律によって処罰されていたためです。

たとえば、売春防止法には、売春の相手を勧誘する行為を処罰する規定があります。また、児童福祉法には、児童(18歳未満の者)に淫行をさせる行為を処罰する規定が設けられています。

時代の進展とともに、淫行勧誘罪が制定された当時は想定されていなかったケースが増え、それに対応するため新たな法律の制定や既存の法律の改正が行われた結果、長年にわたり淫行勧誘罪の適用例がなかったのです。

しかし、売春は「対価を得て不特定の相手と性交する行為」と定義されるため、アダルトビデオの場合、特定の男性との性交であり、対価も出演料として支払われるため売春防止法は適用されません。また、被害者が児童(18歳未満)ではないため児童福祉法の適用もできません。さらに、プロダクションや制作会社は、女性とタレント契約や業務委託契約を結ぶことで、労働者派遣法や職業安定法の適用を巧みに回避していました。

このように、アダルトビデオへの強要出演が法の抜け穴となっている中、被害を訴える女性が涙ながらにマスコミで取り上げられ、国会でも問題視されるようになりました。こうした状況を受け、警察庁が本格的な取り締まりに乗り出し、ようやく淫行勧誘罪の適用に至ったのです。

なお、令和4年6月23日に施行された「AV新法」により、施行後に締結されたAV出演契約については、出演者が無条件で契約を解除できるほか、映像制作物の販売・配信停止や動画の削除を請求できる可能性があります。さらに、出演者と契約を結んだ側が、任意解除を妨害したり契約書の交付義務に違反した場合、懲役刑や罰金刑が科されることとなりました。

詳しくは、AV新法とは?法律の内容をわかりやすく解説をご覧になってください。

まとめ

淫行勧誘罪は、営利の目的で、淫行の常習のない女子を勧誘して姦淫させた場合に成立する罪で、罰則は3年以下の懲役又は30万円以下の罰金です。

もし警察に発覚した場合は逮捕される可能性もありますので、心当たりがある方は、はやめに弁護士に相談することをおすすめします。

当事務所では、性犯罪の被害者との示談交渉、逮捕の回避、不起訴の獲得を得意としており実績があります。親身かつ誠実に、弁護士が依頼者を全力で守りますので、淫行勧誘罪で逮捕されるおそれのある方やは当事務所の弁護士までご相談ください。お力になれると思います。

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