アスリート盗撮(スポーツ盗撮)は何罪?撮影罪以外の法律を解説

「アスリート盗撮(スポーツ盗撮)は何罪になるの?」「撮影罪に当たらないなら、処罰はされないのでは?」と疑問に感じていませんか。

試合中のユニフォーム姿を撮る行為は、2023年に施行された撮影罪の対象外とされています。しかし、撮影罪が適用されなくても、条例違反などとして処罰の対象になり得ます。実際に逮捕・書類送検された例もあり、撮った画像をネットに投稿すれば、さらに別の罪に問われるおそれもあります。

この記事では、盗撮事件の解決実績が豊富な弁護士が、次の点について解説します。

  • スポーツ盗撮の実態と大会・法律の対策
  • 競技中の撮影と撮影罪の関係
  • 撮影罪以外に問われる罪と刑罰の重さ
  • 撮った画像をSNSに投稿した場合の責任

お読みいただくことで、どのような撮り方や画像の扱いが犯罪になり得るのかを見分けられるようになります。

なお、ご自身の撮影行為が罪に当たるのではと不安を抱えている方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。地域を問わずご相談を承っています。

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アスリート盗撮とは?スポーツ盗撮の実態と対策

アスリート盗撮とは、競技に臨む選手の胸やお尻、股間などを性的な関心の対象として狙い、望遠レンズを使ったカメラなどで本人の同意を得ずに写真や動画に収める行為を指し、「スポーツ盗撮」とも呼ばれます。

アスリート盗撮で撮られた画像や動画は、卑わいなコメントを添えてSNSに投稿・拡散されたり、別の画像と合成してWebサイトに載せられたり、オークションで売られたりすることもあります。

陸上や新体操、水泳のように、ユニフォームが体に密着する競技で被害が目立ちます。中学生や高校生が出場する大会が狙われることもあります。

競技団体や大会の主催者は、ユニフォームの見直しのほか、観客による撮影の禁止・制限、撮影できる場所の指定、会場の見回りといった対策を進めています。撮影のルールは大会ごとに異なるため、観戦の際は大会要項や会場の掲示で確かめておく必要があります。

アスリート盗撮をめぐる法整備の面では、2025年に改正されたスポーツ基本法29条が、スポーツを行う者への性的な言動(撮影罪などに当たる行為を含む)などを防ぐため、国と地方公共団体に必要な措置を講じるよう義務づけました。ただし、同条に罰則はありません。

自治体では、福岡県が2024年3月に性暴力根絶条例を改正し、性的な意図による撮影を防ぐ措置を施設の管理者などに求めました。県の対応指針は、着衣であっても性的な意図で同意なく撮る行為を盗撮として性暴力に含めています。三重県も2025年10月、学校やスポーツ施設など多くの人が出入りする場所で性的な意図をもって同意を得ずに人を撮影する行為を「アスリート等盗撮」として性暴力に含める条例を施行しました。いずれも、こうした撮影そのものを罰する規定は設けられていません。

競技中の撮影に撮影罪は適用される?

先に答えを示すと、競技中のユニフォーム姿を撮影しただけでは、原則として撮影罪には当たりません。撮影罪が処罰の対象とする姿は法律で限られているためです。一方で、更衣室での撮影や、下着・性的な部位そのものを写した撮影は、撮影罪になる可能性があります。以下、アスリート盗撮との関係を、撮影罪の対象から順に確認します。

撮影罪の対象と法定刑

撮影罪は、2023年7月13日に施行された「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」(性的姿態撮影等処罰法)の2条が定める犯罪で、正式には性的姿態等撮影罪といいます。

主に処罰の対象となるのは、正当な理由がないのに、ひそかに「性的姿態等」を撮影する行為です。性的姿態等には、性器やお尻、胸などの性的な部位、通常は衣服で覆われている下着のうち性的な部位を覆っている部分、わいせつな行為や性交等がされている間の姿が含まれます(同法2条1項1号)。また、16歳未満の者の性的姿態等を撮影した場合は、ひそかに撮ったかどうかを問わず処罰の対象になります(同項4号。13歳以上16歳未満の者が対象の場合は、撮影者が5歳以上年上であることが必要です。ユニフォームの上からの撮影がそもそも性的姿態等に当たらない点は年齢にかかわらず同じです)。アスリート盗撮が撮影罪になるかは、まず性的姿態等を撮ったかどうかが分かれ目になります。

法定刑は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金で(同条1項)、未遂も処罰されます(同条2項)。

※2025年6月1日施行の改正刑法により、「懲役」と「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されました。本記事の法定刑は改正後の表記で記載しています。

競技中のユニフォーム姿は撮影罪の対象外

アスリート盗撮で狙われやすい競技用のユニフォームや水着、体操着は、観客やカメラの前で見られることを前提に身に着けるものです。その上から撮影しても、衣服の下に隠れている下着や性的な部位そのものを写したとはいえず、性的姿態等に当たらないため撮影罪の対象から外れると考えられています。

それとは別に、撮影罪の条文は、性的姿態等のうち「人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているもの」を、処罰の対象から除いています(同法2条1項1号。16歳未満の者を対象とする4号には同様の除外規定がありません)。

撮影罪を設ける議論の過程でも、ユニフォーム姿の撮影については、許される撮影と許されない撮影の線引きが難しいことなどが指摘され、処罰の対象に含めることは見送られました。

大会のルールに従って競技の様子を撮影すること自体は、ただちに犯罪になるわけではありません。ただし、撮影罪に当たらないからといって、どのような撮り方でも許されるわけではありません。特定の選手の体の一部を狙って拡大するような撮影は、後述する迷惑防止条例などに違反するおそれがあります。

更衣室や下着を狙った撮影は撮影罪になり得る

アスリート盗撮のうち、更衣室や選手控室、トイレなどで着替え中の選手を撮影した場合や、ユニフォームがずれて下着や性的な部位が見えている場面を狙って撮影した場合は、撮影罪が成立する可能性があります。こうした姿は、人目に触れることを認識しながら自ら見せているものとはいえないためです。

赤外線などの機能を使い、衣服を透かして下着や性的な部位を写した場合も、撮影罪に当たり得ます。なお、京都府の迷惑行為等防止条例のように、着衣を透かして見ることができる機器で下着などの映像を見る行為を、条例で明示的に禁じている例もあります。

撮影罪の成立要件や迷惑防止条例との違いは「性的姿態等撮影罪(撮影罪)とは?施行日や盗撮罪との違いを解説」で詳しく解説しています。

アスリート盗撮は何罪になる?撮影罪以外の法律で問われる罪

アスリート盗撮は、ユニフォーム姿の撮影であれば撮影罪は適用されないものの、迷惑防止条例違反などに問われる可能性があります。撮った画像を投稿すれば、名誉毀損罪(公然と事実を示して人の名誉を傷つける罪)に問われることもあります。撮影罪以外の法律で主に問題になり得るのは次の3つで、③では投稿に伴うほかの責任にも触れます。

  • ①迷惑防止条例違反
  • ②建造物侵入罪
  • ③名誉毀損罪

①迷惑防止条例違反

競技中の女子アスリートなどを性的な意図で狙って撮るアスリート盗撮は、撮り方によっては都道府県の迷惑防止条例違反に問われる可能性があります。条例の内容は都道府県ごとに異なり、東京都の迷惑防止条例は次のように定めています。

第五条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。

(中略)

三 前二号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること。

公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例

ユニフォームの上からの撮影は、通常衣服で隠されている下着や身体の撮影を禁じる5条1項2号には当たりにくいと考えられ、主に問題になるのは同項3号の「卑わいな言動」です。北海道の条例の同じ文言について、最高裁判所は「社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作」と判示しました(最高裁平成20年11月10日決定)。この決定の事案では、ショッピングセンターで女性の後をつけ、ズボン姿のお尻を近くから何度も撮った行為が、卑わいな言動にあたるとされました。

アスリート盗撮のうち胸やお尻を狙って拡大する、倒れ込んだ選手を繰り返し撮るといった撮り方も、同じく卑わいな言動と評価され得ます。東京都の条例の刑は6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(同条例8条1項2号)、常習なら1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です(同条8項)。

2023年には広島市の高校生の陸上大会で女子選手の下半身を拡大して撮った会社員の男が、広島県の条例違反(卑わいな言動)の容疑で逮捕されています(読売新聞 2023年8月報道)。全国都道府県対抗女子駅伝で選手を執拗に撮影した小学校教諭の男も、京都府の条例違反(卑わいな行為の禁止)の容疑で書類送検され、自宅から約2万7千点の画像が見つかりました(朝日新聞 2023年3月7日報道)。

条例違反で逮捕された事例や「卑わいな言動」の具体例は「卑猥な言動とは?迷惑防止条例違反になる言葉・行為の例と判例」で解説しています。

②建造物侵入罪

更衣室や選手控室など、関係者以外の立ち入りが限られている場所にアスリート盗撮の目的で無断で入れば、建造物侵入罪にあたる可能性があります。刑法130条は、正当な理由がないのに人の看守する建造物に侵入した者を罰すると定めており、法定刑は3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金です。

観客として入場できる競技場でも、盗撮目的での立ち入りは施設の管理者の意思に反するとして、建造物侵入罪が問題になる余地はあります。もっとも、入場した目的は外見から判断しにくく、立証が難しい面があります。

盗撮目的の立ち入りで建造物侵入罪が成立する要件は「盗撮目的でトイレに侵入すると建造物侵入罪が成立します」をご参照ください。

③名誉毀損罪

アスリート盗撮で撮った画像や動画をSNSなどに投稿すると、名誉毀損罪に問われるおそれがあります。法定刑は、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です(刑法230条1項)。女性選手の性的な動画をネットで売った男が、千葉県警に名誉毀損の疑いで逮捕された例もあります(千葉日報・日本経済新聞など 2021年6月報道)。

ただし、告訴(被害者などが捜査機関に犯人の処罰を求めること)がなければ起訴できない犯罪を親告罪といい、名誉毀損罪もこれにあたるため(刑法232条1項)、被害を受けたアスリートなどが告訴しなければ処罰には至りません。アスリート盗撮の画像に、事実を示さずに性的なコメントを付けておとしめた場合は侮辱罪(刑法231条。1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金など)が問題になり得ますが、これも親告罪です。

名誉毀損罪がどのような場合に成立するかは「名誉毀損罪はどこから成立する?構成要件を解説」で具体的に整理しています。

テレビ中継の映像を切り出して載せた場合は、著作権法違反(10年以下の拘禁刑もしくは1000万円以下の罰金。併科もあり)にもなり得ます(同法119条1項)。2021年にはスポーツ番組の画像をアダルトサイトに載せた例が摘発されました。この罪は原則として告訴がなければ起訴できず(同法123条1項)、告訴するのは被害を受けたアスリートではなく、映像の権利を持つテレビ局などです。

参考:<東京NEWS2021>(2)アスリート性的画像 相次ぐ摘発 抑止効果も:東京新聞デジタル

また、アスリート盗撮では、肖像権(姿をみだりに撮られたり公開されたりしない権利)の侵害などを理由に、民事上の損害賠償(損害を金銭で償うこと)を求められる可能性もあります。

アスリート盗撮をしてしまった方は早めに弁護士へご相談ください

競技中のユニフォーム姿の撮影には原則として撮影罪は適用されませんが、アスリート盗撮は、刑事事件として迷惑防止条例違反や建造物侵入罪、名誉毀損罪などに問われ得る行為です。

アスリート盗撮で逮捕されると、勾留(逮捕に続く身柄の拘束)を含めて、起訴するかどうかが決まるまでに最大で23日間、身柄を拘束される可能性があります。実名で報道されたり、罰金刑でも前科がついたりすれば、家族や職場に影響が及ぶおそれがあります。

逮捕される前であれば、ネットに投稿した画像の削除のほか、被害者が分かっている場合は示談(話し合いによる解決)を検討できます。一方で、手元のスマートフォンなどに残る画像を慌てて消すと、逮捕の必要性を判断する材料にされるおそれもあります。被害届(被害の事実を申告する届出)が出される前に示談が成立すれば、捜査が始まらずに済む可能性もあります。事件が捜査機関に発覚する前であれば、自首も選択肢になります。すでに逮捕されている場合でも、示談が成立すれば不起訴(起訴されずに事件が終わること)となる可能性が高まります。被害者は加害者と直接やり取りすることを拒むことが多いため、示談交渉は弁護士に任せるのが現実的です。

弁護士に相談すれば、自首すべきかどうかの判断や警察への同行、被害者との交渉まで任せられますので、自己判断で動く前にご相談ください。

「いつ警察から連絡が来るのか」「家族や職場に知られたらどうしよう」と不安を抱えたまま過ごすのは、精神的にも大きな負担です。

当事務所は盗撮事件の示談交渉や逮捕回避、不起訴処分の獲得に豊富な実績があります。依頼者の不利益を最小限に抑えるため弁護士が迅速に動き、周囲に知られることなく解決できるよう配慮しながら対応いたします。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

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