盗撮で逮捕されたらどうなる?その後の流れや逮捕回避方法を解説
「盗撮をすると逮捕されるのだろうか…」
「盗撮で逮捕されると、その後、どうなってしまうのだろう…」

このようにお考えの方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、盗撮事件に強い弁護士が、以下の点について詳しく解説していきます。

  • 盗撮で逮捕されるのか
  • 盗撮で逮捕された後の流れ
  • 盗撮で逮捕された場合のリスク
  • 逮捕を回避するための対処法

なお、心当たりのある行為をしてしまい、逮捕回避に向けて早急に対応したいとお考えの方は、この記事を読まれた上で、全国無料相談の弁護士までご相談ください

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盗撮で問われる罪と罰則

問われる罪

盗撮事件を起こした場合には、犯罪に問われる可能性があります。

盗撮行為は、2023年(令和5年)7月13日に新たに施行された性的姿態撮影等処罰法の「撮影罪」により処罰されることになります。これは、正当な理由なくひそかに他人の性的姿態等を撮影した場合に成立する犯罪です。

また、2023年7月12日以前の盗撮行為については迷惑防止条例違反軽犯罪法違反の罪で処罰される可能性があります。

さらに、盗撮をする目的で無断で他人の自宅や敷地、建物などに立ち入った場合には、建造物等侵入罪に問われる可能性もあります。盗撮をした被害者が18歳未満の児童であった場合には、児童ポルノ禁止法違反の罪で処罰される可能性もあります。

盗撮は何罪になる?犯罪名と刑罰を詳しく解説

罰則

盗撮事件を起こした場合に問われる可能性がある犯罪名と、その刑罰の内容については、以下の表のとおりです。

罪名刑罰
撮影罪(2023年7月13日以降の盗撮行為に適用)3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金
迷惑防止条例違反(2023年7月12日以前の盗撮行為にも適用)1年以下の懲役または100万円以下の罰金(東京都の場合)
軽犯罪法違反(2023年7月12日以前の盗撮行為にも適用)拘留または科料
建造物等侵入罪3年以下の懲役または10万円以下の罰金
児童ポルノ禁止法違反(製造罪・所持罪・提供罪)
  • 製造罪、所持罪:3年以下の懲役または300万円以下の罰金
  • 提供罪:5年以下の懲役または500万円以下の罰金

盗撮は逮捕される?

盗撮は現行犯逮捕されることが多いですが、仮にその場で逮捕されなかったとしても、後日逮捕(通常逮捕)される可能性があります。

現行犯逮捕されることが多い

盗撮事件では、現行犯逮捕されることがよくあります。例えば、通勤電車内や駅構内、ショッピングモールのエスカレーターなどで、女性のスカートの中にスマホやカメラを向けて盗撮していると、被害者や周囲の目撃者によって制止され、駅事務所や警備室に連行されることがあります。

現行犯逮捕とは、現に犯罪を行っている、または犯罪を行った直後の犯人を逮捕状なしで逮捕することを指します。現行犯逮捕は、警察官などの捜査機関以外の一般人であってもできます。一般人による現行犯逮捕のことを私人逮捕といいます。

現行犯逮捕が認められている理由は、現行犯人であることが明らかであるため、誤認逮捕のおそれがないためです。また、警察へ通報して警察官が現場へ臨場するのを待っていると、犯人が逃げてしまうことも理由として挙げられます。

被害者や目撃者が盗撮の犯人を現行犯逮捕した場合には、その身柄を直ちに検察官または司法警察職員に引き渡す必要があるため、警察に通報され、そのまま警察署に連行されて取り調べを受けるという流れになるのが一般的です。

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後日逮捕される可能性もある

盗撮したその場で現行犯逮捕されなかった場合であっても、後日逮捕される可能性もあります。後日逮捕とは、裁判官が交付した逮捕状に基づいて警察や検察が被疑者を逮捕することを指します。後日逮捕は、現行犯逮捕に対して、「通常逮捕」と呼ばれることがあります。

盗撮事件では、防犯カメラの映像や被害者・目撃者の証言、さらにSuicaやPASMOなどの交通系ICカードの記録から、犯人を特定できることがあります。また、別の捜査で押収されたスマホやパソコンに保存されていた盗撮データから事件が発覚し、後日逮捕に至るケースもあります。

このように、現行犯逮捕を免れた場合でも、捜査を経て犯人が特定され、後日逮捕されることがあります。後日逮捕される際には、逮捕状を携帯した警察官が被疑者の自宅や居所を訪れ、身柄を拘束して警察署に連行します

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盗撮で逮捕された後の流れ

盗撮事件で逮捕後に起訴され、刑事裁判で判決を受けるまでの流れは次の通りです。

  1. 逮捕・勾留による身体拘束
  2. 検察官による起訴・不起訴の判断
  3. 刑事裁判の実施・判決

①逮捕・勾留による身体拘束

盗撮で逮捕された後、被疑者は警察署に連行され取り調べを受けます。この時点で警察は、逮捕から48時間以内に事件を検察官に送致するかを判断します。送致後、検察官は24時間以内(合計72時間以内)に裁判所へ勾留請求を行うかを決定します。

裁判所が勾留を認めた場合、被疑者は最長20日間の身体拘束を受ける可能性があります(10日間+延長10日間)。このため、逮捕から勾留終了まで最大23日間拘束される可能性があります。

この間、弁護士が早期釈放を求める活動を行うことが重要です。弁護士の介入により、勾留回避や短縮が実現する場合もあります。

②検察官による起訴・不起訴の判断

捜査が進む中で、検察官は事件の証拠や状況を精査し、起訴するか不起訴にするかを判断します。盗撮事件では、被疑者の反省態度、被害者との示談成立の有無、再犯の可能性などが重要なポイントとなります。不起訴処分や処分保留、略式罰金処分となった場合、被疑者は釈放されることになります。

不起訴には以下の種類があります。

  • 嫌疑なし:犯罪事実が確認できない場合
  • 嫌疑不十分:証拠が不足している場合
  • 起訴猶予:情状酌量や被害者との示談が成立している場合

実際に盗撮事件を起こしていたとしても、必ず検察官が起訴するとは限りません。不起訴処分となると、そもそも刑事裁判は行われないため、前科も残るリスクもゼロになります

このように、被疑者の今後の社会生活に大きな影響を及ぼすため、不起訴処分を獲得できるよう弁護士が支援を行うことが重要です。

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③刑事裁判の実施・判決

検察官が起訴を決定すると、被疑者は「被告人」として拘置所へ移送されます。その後、裁判が開かれ、証拠や証言をもとに裁判官が有罪か無罪かを判断します。被疑者として逮捕・勾留されていた場合には、一般的には起訴されて以降も被告人勾留が継続することになります。ただし、裁判所により保釈が認められた場合には、保釈保証金を支払うことで身体拘束から解放されることになります。

また、日本の刑事裁判では、有罪率が非常に高く(約99%以上)、盗撮事件で無罪を勝ち取るのは難しいのが現状です。

ただし、有罪判決であっても、執行猶予が付く場合があります。執行猶予が付けられると、刑務所への服役は免れるものの、前科が記録される点には注意が必要です。これにより、社会的信用や将来の就職などに悪影響を及ぼす可能性があります。

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盗撮で逮捕されずに在宅事件になった場合の流れ

盗撮事件を起こしたことが発覚しても、必ずしも逮捕されるわけではありません。

実際に事件を起こした場合でも、逮捕の要件が満たされていない、つまり、被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがない場合は、身柄拘束されずに在宅事件として手続きが進む可能性があります。在宅事件となった場合の流れは、以下の通りです。

  1. 捜査・書類送検
  2. 在宅起訴
  3. 刑事裁判

①捜査・書類送検

盗撮が在宅事件となった場合には、捜査機関からの呼び出しに応じて、取り調べを受けるために、警察署や検察庁に出頭する必要があります

在宅事件の場合、まずは警察によって捜査が行われ、その後に検察官に事件が引き継がれます。事件に関する証拠や資料一式を検察官に引き継ぐことを書類送検(送検)といいます。身柄事件では、被疑者の身体と捜査資料を検察官に引き継ぎますが、在宅事件の場合には、捜査書類だけを送致するため、身柄送検と比較して書類送検と呼ばれています。

在宅事件の場合には、身柄事件と異なり捜査機関に厳格なタイムリミットがありません。通常は、犯人として被疑者を特定してから書類送検するまでに2〜3か月程度かかる可能性があります。

なお、盗撮が在宅事件になると、日常生活を送りながら捜査を受けることができます。そのため、会社に通っている方に与える影響を最小限に抑えることができます。また、書類送検されたことが会社に知られることはほとんどありません

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②在宅起訴

検察官は被疑者の取調べを行った後、起訴・不起訴の判断を下します。在宅事件の場合、身柄事件に比べて軽微な犯罪が多いため、不起訴となる可能性が高いといえます。

一方、起訴される場合でも、盗撮が原因で在宅事件となっている場合は、略式起訴され、罰金刑になることが一般的です。略式起訴とは、公開の法廷での裁判を行わず、書類審査だけで罰金または科料を科す簡略化された裁判手続きのことです。

ただし、検察官が100万円を超える罰金または懲役刑を科すのが相当だと判断した場合、在宅のまま起訴(在宅起訴)され、公開の法廷で刑事裁判を受けることになります。在宅起訴された場合、自宅に起訴状と裁判期日の呼出状が届きます。この場合、必ず公判期日に出廷しなければなりません。

在宅起訴を避け、略式起訴で罰金刑にとどめるためには、検察官が刑事処分を決定する前に、盗撮の被害者と示談を成立させることが重要です。

③刑事裁判

盗撮事件で在宅起訴された場合、公判期日には自宅から裁判所に出廷して、1ヶ月~1ヶ月半に一度のペースで刑事裁判を受けることになります。刑事裁判で実刑判決が下された場合には、そのまま刑務所に収監されることになりますが、執行猶予付の有罪判決の場合には、これまでどおりの生活を送ることができます。

盗撮で逮捕された場合に負う可能性のあるリスク

盗撮で逮捕されてしまうと次のようなリスクを負う可能性があります。

  • ①実名報道される
  • ②会社を解雇・学校を退学させられる
  • ③損害賠償請求される
  • ④前科がつく
  • ⑤家族にも迷惑をかける

①実名報道される

盗撮事件が報道される際、実名が公表される場合があります。一般的には匿名で報じられるケースもありますが、事件が悪質だった場合や社会的地位の高い職業に従事している人物が関与していた場合、実名報道される可能性が高まります。特に、逮捕直後に実名が公表されることが多いとされています

実名報道が行われると、ニュース記事やインターネット上の情報として半永久的に残り続けます。このため、盗撮事件の事実が職場の同僚や近隣住民、さらには友人や家族にも知られるリスクが高まります。結果として、社会的信用が失われ、周囲との関係が悪化する可能性があります。

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②会社を解雇・学校を退学させられる

盗撮事件が職場や学校に知られると、解雇や退学といった厳しい処分を受けることがあります。

まず、職場の場合には、盗撮事件が会社の名誉や信用を毀損すると判断されたり、会社内で盗撮が行われたりするケースで懲戒解雇が適用される可能性があります

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懲戒解雇となると、退職金が不支給となったり、再就職時に不利になるなど、多大な影響を受けることになります。そして、逮捕や長期の勾留により無断欠勤が続いた場合にも、就業規則違反として処分される場合があります。

次に、学校の場合には、盗撮事件を起こした学生が停学や退学処分を受けるケースが多く見られます。

退学処分となれば最終学歴に影響が出て、進学や就職活動に支障を来すことは避けられません。さらに、在籍中であっても無断欠席が続き、進級要件を満たせなくなるリスクもあります。多くの学校では、「性行不良」や「学生の本分に反する行為」を懲戒事由としており、盗撮行為はこれに該当するとみなされることが一般的です。

③損害賠償請求される

盗撮事件を起こした場合、被害者から損害賠償請求を受ける可能性があります。

盗撮行為は民法上の不法行為に該当し、被害者は精神的苦痛に対する慰謝料や治療費、休業補償などを請求することができます。

盗撮の慰謝料の相場は、数十万円〜100万円程度とされていますが、事件の悪質性や被害の大きさによっては100万円を超えることもあります。

また、これらの賠償金は、示談交渉で解決される場合が多いですが、合意に至らない場合には民事訴訟に発展する可能性もあります。

④前科がつく

盗撮事件で有罪判決を受けると前科が付くことになります。これは罰金刑であっても、執行猶予付き判決であっても同様です

有罪判決を受けた場合、履歴書の賞罰欄に前科を記載しなければならず、記載を怠ると経歴詐称とみなされる可能性があります。さらに、前科は一定期間、公民権の制限や資格の取得・維持に影響を及ぼします。

たとえば、弁護士や医師、公務員などの特定の職業では、前科が欠格事由となり、職業を続けられなくなる場合があります。

また、海外渡航や永住権の取得などにも影響を及ぼす可能性があります。前科が付くことで、社会生活全般に大きな制約が生じるため、起訴を避けるための弁護活動が重要となります

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⑤家族にも迷惑をかける

盗撮事件の影響は、本人だけにとどまりません。実名報道や職場・学校への連絡により、家族にも社会的な非難や不名誉が及ぶ可能性があります。

家族が周囲からの批判や差別を受けることで、心理的・社会的な負担が増大する場合もあります。

また、損害賠償金や弁護士費用、事件対応のための時間的コストなど、経済的な負担も家族が背負うことになる場合があります。家族関係が悪化し、場合によっては離婚や家庭崩壊につながることも考えられます。

盗撮事件で逮捕されると、本人だけでなく家族や周囲にも多大な影響を及ぼします。前科や損害賠償、社会的信用の喪失などのリスクを避けるためには、早期に弁護士を依頼し、適切な対応を取ることが重要です。逮捕後の迅速な対応が、今後の人生に与える影響を最小限に抑える鍵となります。

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盗撮での逮捕・起訴を回避するには?

盗撮で逮捕や起訴されることを回避するための対処法は次の通りです。

  • ①在宅事件で警察から呼び出されたら応じる
  • ②自首する
  • ③示談を成立させる

①在宅事件で警察から呼び出されたら応じる

盗撮事件を起こしてしまった場合、適切な対応を取ることで逮捕を回避できる可能性があります。逮捕を避けることは、実名報道や社会的な信用の喪失を防ぐためにも非常に重要です。

まず、盗撮事件が在宅事件として処理される場合、警察の呼び出しに応じて出頭する必要があります。

在宅事件とは、前述のとおり、身柄を拘束されることなく日常生活を送りながら捜査を受ける形式のことを指します。この場合、警察や検察からの呼び出しに応じて取り調べを受けます。

仮に、警察の呼び出しを無視したり拒否したりすると、逃亡や証拠隠滅の恐れがあるとみなされ、逮捕に発展する可能性があります

したがって、警察の要請には誠実に対応し、必要な場面では弁護士の助言を仰ぐことが重要です。在宅事件では、捜査機関からの呼び出しに応じることで、逮捕を回避できる可能性があります。

②自首する

盗撮事件の現場から立ち去ったり、犯行が発覚していない場合には、自首を検討することが有効です。

自首とは、犯罪を犯した者が、事件が発覚していない又は事件は発覚しているが犯人が特定されていない段階で自発的に捜査機関に名乗り出てその処分を求める行為をいいます。つまり、自首することは、逮捕の要件である「逃亡または証拠隠滅のおそれ」とは真逆の行為にあたるため、捜査機関が逮捕までは不要と判断する可能性が高まります。また、自首したことが評価され、不起訴処分を獲得できる可能性もあります。

ただし、自首をすれば必ず逮捕を免れるとは限りません。自首を考える際には、弁護士に相談したうえで、適切なタイミングや手続きを確認することが重要です。弁護士が自首に同行することで、被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを説得的に説明し、在宅事件として扱うよう働きかけます。また、必要な証拠や事情説明を適切に行うことができます。これにより、逮捕を回避できる可能性が高まります。

また、取り調べを受けている間も、弁護士が待機しているため、取調べへの対応に困った場合には、すぐに中断して弁護士に助言を得ることもできます。

③示談を成立させる

盗撮事件では、被害者との示談が逮捕や起訴の回避に大きく影響します

示談とは、被害者に謝罪を尽くし、慰謝料や示談金を支払うことで、被害者から許しを得る行為を指します。示談が成立することで、被害者が被害届や告訴を取り下げてくれることがあります。また、示談が成立している場合、捜査機関は「被害者への被害弁償が完了している」という点を重視し、逮捕や起訴が不要と判断する可能性が高まります。

ただし、盗撮の被害者との交渉は繊細な対応が求められるため、示談交渉を円滑に進めるためには弁護士の力が不可欠です。特に、盗撮のような性犯罪の場合、被害者は加害者とのやり取りを拒絶することが一般的です。捜査機関も二次被害を防ぐ観点から、被害者の個人情報を加害者側に教えることはしません。しかし、弁護士が示談交渉を行う目的の場合には、例外的に被害者の意向を確認して連絡先を教えてもらえることがあります。弁護士が間に入ることで、被害者に安心感を与えるだけでなく、適切な条件で示談を成立させることが期待できます。

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盗撮の逮捕についてよくある質問

盗撮が未遂だった場合も逮捕される?

盗撮行為が未遂であっても逮捕される可能性があります

「未遂」とは、犯罪を実行しようとしたものの、結果としてその犯罪が達成されなかった場合を指します。たとえば、スカートの中を撮影しようとしてカメラを向けたが、周囲に気づかれて撮影に至らなかった場合などが該当します。

2023年7月に施行された性的姿態撮影等処罰法の「撮影罪」により、盗撮の未遂も処罰の対象となりました。このため、撮影が完遂していなくても、逮捕や捜査を受ける可能性があります。

なお、迷惑防止条例や軽犯罪法には、未遂犯処罰の規定は存在しません。

しかし、迷惑防止条例は、カメラを差し向ける行為やカメラを設置する行為を処罰対象としており、また、軽犯罪法はのぞき見する行為を処罰対象としてるため、実質的に盗撮の未遂犯も処罰することができる規定となっています。

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服の上から盗撮した場合も逮捕される?

服の上からの撮影が直ちに逮捕につながるケースは少ないですが、状況次第では逮捕される可能性があります

たとえば、アスリートの競技中に性的な部位を執拗にズーム撮影した場合や、特定の部位を強調した撮影が、迷惑防止条例が禁止している「卑わいな言動」に該当すると判断される可能性があります。特に、被写体が羞恥心を抱いたり、不安を感じるような撮影は問題視されます。

他人の胸元や尻を勝手に撮影する行為は、例え服の上からであってもトラブルの原因になり得ます。実際に、ショッピングモールで約5分間、40mにわたって女性を追いかけお尻を撮影した事案について、迷惑防止条例違反の罪に該当すると判断した判例があります。

したがって、服の上からの撮影であっても犯罪に該当するケースは存在しています。

盗撮画像や動画をネットに流出させたら罪になる?

盗撮画像や動画をインターネット上にアップロードする行為は、性的姿態撮影等処罰法の「性的姿態等影像送信罪」が成立する可能性があります。同法は、盗撮行為そのものだけではなく、盗撮した動画を第三者に提供する行為も禁止しています。撮影罪に該当する行為と同じ方法で、性的姿態等の影像を不特定・多数の者に送信した場合には、性的姿態等影像送信罪が成立します。同罪が成立すると、5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金が科されることになります。

盗撮によって得た画像や動画をインターネット上に流出させる行為は、極めて重大な犯罪行為であり、被害者のプライバシーを侵害し、精神的苦痛を与えるため、厳しく罰せられる可能性があります。

盗撮で逮捕されたら会社にバレる?

会社内での盗撮事件や、会社を会社外で盗撮した事件などについては、警察から会社に連絡が入ることも考えられます。しかし、原則として、警察から直接会社に連絡がいくことはありません

盗撮事件が会社に発覚する主な理由としては、以下のような原因が考えられます。

  • 逮捕による長期間の無断欠勤
  • 実名報道

逮捕後に留置されることで無断欠勤が続く場合、会社に事情が知られる可能性があります。また、事件の内容や状況によっては、実名が報道され、同僚や上司にニュースを通じて知られることがあります。

また、特殊な例として、風俗店などでの盗撮が発覚した場合、示談金を求める目的で会社に嫌がらせの連絡をするケースも報告されています。

このような事態を防ぐためには、早期に弁護士を依頼し、適切な対応を図ることが重要です。

盗撮で逮捕されたらいつ釈放される?

盗撮事件で逮捕された場合、いつ釈放される可能性があるのでしょうか。以下では、刑事手続きの流れの中で釈放される可能性があるタイミングについて解説していきます。

  1. 検察官送致前(逮捕後48時間以内)
    警察は被疑者を48時間以内に検察官に送致します。この間に、軽微な事案や被害者の許しを得ている場合には、検察官に送致される前に釈放されることもあります。
  2. 勾留請求(送致後24時間以内)
    検察官に送致された後、24時間以内に勾留請求が行われるか否かが判断されます。比較的軽微な事案等であれば勾留請求されずに、そのまま釈放される可能性があります。
  3. 勾留決定
    裁判官が勾留を決定すると、最長で20日間の身柄拘束が行われます。この期間中、弁護士を通じて早期釈放を目指すことが可能です。
  4. 起訴または不起訴
    起訴されなければ釈放されますが、起訴された場合は保釈申請が必要です。保釈が認められれば、釈放されることもあります。

なお、軽微な盗撮事件で初犯の場合、容疑を認めていれば2〜3日以内に釈放される可能性があります。しかし、釈放されたからといって事件が終結したわけではありません。罰金刑や前科を回避するためにも、弁護士の迅速なサポートが重要となります。

盗撮で逮捕されて罰金刑になったらいくら払う?

盗撮事件で科される罰金額は、初犯の場合30〜40万円程度が一般的です。再犯の場合は、前回の罰金額よりも重くなる可能性があります

2023年に新たに施行された「撮影罪」により、法定刑が厳しくなり、高額な罰金が科されるリスクも増しています。

ただし、被害者との示談が成立している場合には、その他の事情も総合的に考慮されたうえで、不起訴処分となる可能性が高まります。不起訴になった場合には、罰金刑を免れることができます。

盗撮したら罰金刑と懲役刑どちらが科される?罰金相場は?

まとめ

盗撮事件を起こした場合、性的姿態撮影等処罰法の撮影罪に問われる可能性があります。さらに、各都道府県が制定している迷惑防止条例違反、軽犯罪法違反、建造物等侵入罪、または児童ポルノ禁止法違反に問われることもあります。

盗撮事件では、現行犯逮捕や後日逮捕される可能性が高く、検察官に起訴されると前科がついてしまうリスクがあります。

逮捕や起訴を回避するためには、早期に弁護士に相談し、弁護活動を行ってもらうことが重要です。特に、被害者との示談が成立すれば、早期釈放や不起訴処分を得られる可能性が高まります。

当事務所は、盗撮事件の逮捕回避や不起訴獲得に豊富な実績を持っています。親身かつ誠実に、弁護士が依頼者を全力で守りますので、盗撮事件を起こしてしまった方や、ご家族が逮捕された方は、ぜひ当事務所の弁護士にご相談ください。

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