
「盗撮なんてしていないのに疑われた」「このまま逮捕されたらどうなるのか」と、盗撮冤罪への不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。盗撮冤罪にあったときは、その場から逃げず、謝ることもせずに「やっていない」と伝え続けることが大切です。対応を誤ると、冤罪であっても逮捕されて長く身柄を拘束され、仕事や家庭に影響が及ぶおそれがあります。
この記事では、盗撮事件に強い弁護士が、次の点を解説します。
- 盗撮していないのに疑われてしまう原因
- 疑われたその場でとるべき4つの対処法
- 冤罪でも逮捕されるのか・逮捕後の流れ
- 無実なら相手を名誉毀損で訴えられるか
お読みいただくことで、疑われたその場で何をすべきか、何をしてはいけないのかを判断できるようになります。
なお、すでに盗撮を疑われている方や警察から連絡を受けている方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。地域を問わずご相談を承っています。
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盗撮冤罪が起きる2つの原因
近年、盗撮の検挙件数は増えています。警察庁の「令和7年中の痴漢・盗撮事犯に係る検挙状況の調査結果」によると、令和7年の盗撮の検挙件数は、撮影罪(令和5年7月13日施行)が7,926件、迷惑防止条例違反が1,311件で、合わせて9,237件でした。この件数は、撮影罪がなかった令和3年の条例違反の検挙件数(5,019件)の約1.8倍です。
取り締まりが強まるなかでは、盗撮をしていない人が疑われてしまうこともあります。盗撮冤罪が起きる原因は、主に次の2つです。
①被害者や目撃者の勘違い
盗撮冤罪の原因としてまず挙げられるのが、被害者や目撃者の勘違いです。
盗撮は相手に気づかれないように行われるため、被害者本人ではなく、周りにいた第三者の目撃から発覚することが少なくありません。目撃した人が、見ていた位置や角度によっては、撮影していない人を盗撮したと思い込むことがあります。
たとえば、電車の座席でスマートフォンを見ていただけなのに、レンズが向かいの女性に向いていたと受け取られる場面や、駅のエスカレーターで靴ひもを結び直していただけで疑われる場面があります。ゲーム画面などのスクリーンショットを撮ったときのシャッター音から、盗撮と間違われることもあります。
こうした誤解を避けるには、混雑した電車内やエスカレーターでは、スマートフォンを顔の前に立てて構えず、カメラのレンズが人のほうへ向かないように持ちましょう。スクリーンショットをよく使う方は、音が出ない設定にできるかを確認しておくと安心です。
②示談金目当ての虚偽の申告
勘違いとは違い、最初から金銭を騙し取る目的で盗撮被害を偽装する悪質なケースもあります。
典型的なのは、「盗撮された」と虚偽の被害を申告し、その場で示談金を求める手口です。被害者役の人物と仲裁役の共犯者が組み、「警察沙汰になれば会社や家族に知られる。ここで払って済ませたほうがいい」などと支払いを迫ることもあります。
盗撮事件の示談金の相場は10万円〜50万円程度ですが、こうしたケースでは弱みにつけ込まれ、相場を超える金額を求められることもあります。示談を不自然に急かされても応じず、すぐに警察を呼ぶか、弁護士へ連絡しましょう。
盗撮していないのに疑われたときの4つの対処法
盗撮をしていないのに疑われても、冷静に次の4つを意識して対応してください。
- ①その場から逃げずに身元を明かす
- ②謝罪せず「やっていない」と一貫して伝える
- ③スマホのデータ確認には第三者の前で応じる
- ④早めに弁護士へ連絡する
①その場から逃げずに身元を明かす
疑われた瞬間は、その場を離れたくなるかもしれません。しかし、冤罪であればこそ、逃げてはいけません。
逃げてしまうと、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断され、逮捕されやすくなります。駅や電車内には防犯カメラが多く、その場を立ち去っても、映像から身元が特定されて後日逮捕されることがあります。また、逃げようとして線路に降り、電車を止めてしまえば、鉄道会社から多額の損害賠償を求められるおそれもあります。
無実を示すには、「自分は逃げも隠れもしない」という姿勢を明確に示すことが大切です。駅員や警察官に名刺や身分証明書を見せ、氏名や連絡先を伝えましょう。疑ってきた相手本人に、名刺や連絡先を渡す必要はありません。今後の捜査にも応じる意思が伝われば、その場での身柄拘束を避けられる場合もあります。近くに状況を見ていた人がいれば、その場で連絡先を聞き、証言への協力をお願いすることも検討しましょう。
②謝罪せず「やっていない」と一貫して伝える
疑われると、とっさに「すみません」と口にしてしまう方がいます。しかし、謝罪の言葉は、盗撮を認めた発言と受け取られかねません。一度そう受け取られると、後から覆すのは簡単ではありません。
謝るのではなく、最初から「盗撮はしていません」とはっきり否定し、その後に何を言われても認めないでください。
相手から示談を持ちかけられても、その場で示談書に署名したり、お金を払ったりしないでください。署名や支払いは、盗撮を認めたものと受け取られるおそれがあります。
③スマホのデータ確認には第三者の前で応じる
盗撮をしていなければ、スマートフォンに問題となる画像や動画は残っていないはずです。データを確認してもらえば、疑いを晴らす材料の一つになります。逮捕や令状による差押えの前であれば、確認に応じるかどうかは任意ですが、自分から見せることで、隠すものがないことを示せます。
ただし、疑われた後は、スマートフォンをむやみに操作しないでください。関係のない操作でも、データを消そうとしたと疑われるおそれがあります。データを見せるときは、相手に直接スマートフォンを渡さず、駅員や警察官など第三者の目の前で確認してもらいましょう。弁護士や家族に電話をかけるときも、駅員や警察官の前で操作すると安心です。
④早めに弁護士へ連絡する
自分だけで疑いを晴らそうとしても、相手や警察官が納得しないことは少なくありません。盗撮を疑われたら、できるだけ早く弁護士に連絡してください。弁護士は、主に次のような対応ができます。
- 逮捕された場合も、すぐに接見(面会)し、取調べでの受け答えを助言する
- 長期の身柄拘束(勾留)を避けるよう、検察官や裁判官に意見を伝える
- 防犯カメラの映像や目撃者の証言など、無実を示す証拠の確保に動く
- 示談金を求めてくる相手とのやり取りの窓口になる
その場で相手と言い争うと、かえって不利に受け取られることもあるため、まずは弁護士に相談してください。
盗撮の冤罪でも逮捕される?逮捕後の流れと黙秘権
無実であっても、逮捕される可能性はあります。逮捕は盗撮の疑いがある段階で行われ、実際に盗撮をしたかどうかは、その後の捜査で調べられるからです。盗撮事件では、その場で現行犯逮捕されることも少なくありません。
逮捕後の流れと仕事・前科への影響
逮捕されると、次の流れで手続きが進みます。
- 警察署に連れていかれ、事件について言い分を聞かれる
- 逮捕から48時間以内に、事件が警察から検察官へ送られる
- 送られてから24時間以内(逮捕から72時間以内)に、検察官が裁判官へ勾留を請求するかを決める
- 裁判官が勾留を認めると、請求の日から最長10日間、身柄の拘束が続く
- やむを得ない事情があれば勾留が延長されることがあり、延長は合わせて10日までとなる
各段階で身柄を拘束しておく必要がないと判断されれば、釈放されます。
身柄を拘束されている間は、仕事や学校に行けません。冤罪であっても、欠勤が続いて会社に事情を知られ、解雇などの問題に発展するおそれがあります。
事件によっては、実名で報道される可能性もあります。
盗撮で実名報道される?基準・タイミングと回避法を弁護士が解説
もっとも、冤罪であれば不起訴(起訴されず裁判にならないこと)や無罪となる可能性があり、その場合は有罪判決を受けないため、前科はつきません。不起訴になったときは、検察官に請求すれば不起訴になったことを書面(不起訴処分告知書)で示してもらえるため、勤務先に事情を説明する際に役立ちます。また、無罪判決を受けた場合は、身柄を拘束されていた期間について国に補償を請求できます(刑事補償)。不起訴の場合も、罪を犯していないと認められる十分な理由があれば、検察官の判断で補償を受けられることがあります(被疑者補償規程)。
誤認逮捕とは?警察を冤罪の賠償金・慰謝料請求で訴えることは可能?
黙秘権を使うかは弁護士と相談して決める
逮捕された後の取調べでは、黙秘権を使うかどうかも重要な判断になります。黙秘権とは、捜査機関からの質問に対して供述を拒否できる権利です。憲法38条1項は自己に不利益な供述を強要されないと定め、刑事訴訟法198条2項は、取調べの前に「自己の意思に反して供述をする必要がない」ことを告げるよう定めています。
冤罪の場合は、盗撮画像などの客観的な証拠がないことも少なくありません。黙秘すれば、誘導に乗って不利な供述をしてしまう事態を避けられ、証拠が足りずに不起訴となる可能性もあります。黙秘したこと自体を、罪を認めた証拠として扱うことは許されません。一方で、黙秘を続けると、取調べが長引いたり、勾留が延長されたりするおそれもあります。
黙秘を続けるか、無実を積極的に説明するかは、事件の状況によって異なります。弁護士と接見したうえで方針を決めましょう。接見するまでは、「やっていません」とだけ伝え、内容に納得できない供述調書には署名しないでください。逮捕された後は、当番弁護士制度を使って弁護士を呼ぶこともできます。
盗撮冤罪の相手を名誉毀損で訴えたり慰謝料を請求したりできる?
盗撮の冤罪が晴れた後、「疑ってきた相手を訴え返したい」と考える方もいるでしょう。刑事と民事に分けて説明します。
名誉毀損罪や虚偽告訴罪で相手を罪に問うのは難しい
盗撮冤罪の相手を刑事事件として罪に問うのは、簡単ではありません。
名誉毀損罪(刑法230条)は、「公然と」事実を摘示して人の名誉を毀損する犯罪です。不特定または多数の人に伝わる状況が求められるため、警察官に申告しただけでは、「公然と」とはいえないことが多いでしょう。
虚偽告訴罪(刑法172条)は、人に刑事処分などを受けさせる目的で、虚偽の告訴や申告をした場合に成立する犯罪で、法定刑は3月以上10年以下の拘禁刑です。
※拘禁刑は、令和7年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役と禁錮を一本化して設けられた刑罰です。
相手が、盗撮されていないと知りながら被害を申告した場合は、虚偽告訴罪にあたる可能性があります。ただし、相手が申告の内容を虚偽だと認識していたことを立証する必要があり、単なる勘違いでは成立しないため、実際に罪に問えるケースは限られます。
民事で慰謝料を請求できるケース
刑事で罪に問えなくても、民事上の不法行為(民法709条)に基づいて慰謝料を請求できる可能性があります。
たとえば、次のような場合は、名誉やプライバシーの侵害などを理由に慰謝料を請求できることがあります。
- SNSなどで、実名や顔写真とともに「盗撮犯だ」と公開された
- 職場や学校、近所に「盗撮された」と言いふらされた
- 嘘の被害申告が原因で長期間の身柄拘束を受け、仕事や生活に大きな支障が出た
一方、相手が本当に「盗撮された」と思い込んで申告しただけで、周りに広めるなどの行為がなければ、申告が違法とされることは少なく、慰謝料まで認められるのは難しいでしょう。請求できるかどうかは、手元の証拠や損害の程度を踏まえ、弁護士と相談したうえで判断することをおすすめします。
盗撮の冤罪でお困りの方は弁護士にご相談ください
盗撮を疑われても、慌てて立ち去ったり謝ったりせず、否認を貫くことが冤罪を晴らす第一歩です。早い段階で弁護士に依頼すれば、勾留を回避するための働きかけや、無実を裏づける証拠集めにすぐ取りかかれます。
身に覚えのない疑いをかけられ、「会社や家族に知られてしまうのではないか」と不安を抱えながら一人で対応するのは、精神的にも大きな負担です。すでに警察から呼び出しを受けている場合や、相手から示談金を求められている場合は、早めにご相談ください。
当事務所は盗撮事件の刑事弁護に力を入れており、盗撮の疑いを晴らすため、弁護士が迅速に動き、全力を尽くしてあなたを守ります。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

