駅で盗撮事件がバレて逃げました。逮捕されますか？

【相談例】駅での盗撮がバレて逃げました。逮捕されますか？

この記事では、当事務所に寄せられた駅での盗撮事件に関する相談を元に、逮捕される可能性や盗撮が発覚した後に取るべき対応について、盗撮事件に強い弁護士が解説します。

相談内容

先日、私は、駅で改札に向かう途中のエスカレーターに乗っていたところ、目の前に丈の短いスカートを履いた女性がいました。女性の後ろに立っていた私の位置からは女性のスカートの中は見えませんでしたが、覗き込めば下着が見えるのではないかと考えました。

今となっては、なぜそのような行為に走ってしまったのかわかりませんが、その時、私は自分のスマートフォンを取り出しインカメラで動画撮影モードにして、女性のスカートの真下にすっと差し入れました。

一瞬の出来事でしたが、その女性に私がスマホを差し向けているのがバレてしまい、「やめてください」と言われてしまいました。

「撮ってましたよね？」「駅員に言いますよ」と言われ、私は取り返しのつかないことをしてしまったと思いましたが、「違います。違います。」と誤魔化して足早にその場から離れました。

正直、あの時はパニックで何が何だか分からず、ただただ逃げることしか頭にありませんでした。今になって冷静に考えると、自分がしてしまったことの愚かさに、激しい後悔と恐怖を感じています。

私は、普段から人通りの多い駅を利用しているため、まさかバレることはないだろうと安易な考えで盗撮をしてしまいました。しかし、被害者の女性は確実に私の顔を認識しているはずです。

怖くなって撮影した動画もすぐに削除しましたが、その女性が警察に被害届を出した場合、私は逮捕されてしまうのでしょうか。また、防犯カメラに私の顔が映っていたり、駅員に目撃されていたりしたら、後から逮捕される可能性はあるのでしょうか。私には家族がおり、もし逮捕されてしまったら、家族に多大な迷惑をかけてしまうのではないかと、とても心配です。また、職場にも知られてしまい、職を失ってしまうのではないかと、不安で夜も眠れません。

私は、どうすればいいのでしょうか。逮捕されてしまった場合、どのような罪に問われるのでしょうか。また、何とか逮捕されずに済む方法はないのでしょうか？

【弁護士の回答】駅から逃げても後日逮捕される可能性があります

駅で女性の下着を盗撮した場合には犯罪が成立するため後日逮捕される可能性があります。

正当な理由がないのに、ひそかに、「性的姿態等」を撮影する行為は、性的姿態撮影等処罰法が規定する「撮影罪」に該当する可能性があります。

同法は、2023年（令和5年）7月13日から新たに施行された法律で、同日以降に発生した盗撮事件については、この法律の撮影罪により処罰されることになります。

そして、女性のスカートの中を撮影する行為は、通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うために身に着けている下着であるため、「性的姿態等」を撮影する行為にあたります。

撮影罪が成立した場合には、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が科されることになります。

撮影罪が施行されるより以前の盗撮事件については、各都道府県が制定している迷惑防止条例違反や軽犯罪法違反の罪に問われる可能性があります。

そして、盗撮事件については、現場でそのまま取り押さえられ現行犯逮捕されるケースが多いですが、その場から逃げた場合でも後日逮捕される可能性はあります。

特に駅などの公共施設には、防犯カメラが多数設置されており、防犯カメラの記録映像や、被害者や目撃者の目撃証言、交通系ICカードの履歴から被疑者が改札を通過した時間など、複数の証拠から犯人が絞り込まれていくことになります。捜査の結果、被疑者が特定された場合には、警察から出頭要請を受けて事情聴取を受けたり、逮捕状を持参した警察が自宅に訪れ、そのまま逮捕される可能性があります。

なお、警察が後日逮捕（通常逮捕）をするには、逮捕の必要性、すなわち被疑者に逃亡または証拠隠滅のおそれがある必要があります（刑事訴訟法第199条2項）。今回のケースでは、盗撮が被害者に発覚して駅から逃走しており、盗撮動画も消去しています。そのため、逮捕の必要性が高いと警察に判断され、後日逮捕される可能性も十分あります。

【弁護士からのアドバイス】自首の検討と示談交渉が重要です

駅での盗撮で逮捕や起訴を回避したい場合、自首を検討することをお勧めします。

自首とは、罪を犯した者が自ら警察や検察に出頭し、罪を認める行為です。捜査機関がまだ犯人を特定していない段階、あるいは特定していても逮捕に至っていない段階で自首することが効果的です。自首によって罪を認め反省の姿勢を示すことで、捜査機関や裁判所が刑の軽減や逮捕の必要性を再評価する可能性があります。その結果、逮捕を回避できるケースもあります。特に、犯人が出頭し捜査に協力的であると判断されれば、逃亡や証拠隠滅のリスクが低いとみなされ、在宅での捜査が進む可能性が高まります。

また、自首を行う場合は、弁護士の同行を強くお勧めします。自首のタイミングや方法、供述内容について弁護士から法律的なアドバイスを受けることができます。これにより、不利な誤解を避け、適切な対応を取ることができます。また、警察の取り調べにおいては、弁護士が自分の権利を守るために助言し、必要に応じて介入することができます。弁護士が同行することで、捜査機関とのやり取りがスムーズになり、精神的な負担も軽減されます。自首は重要な一歩ですが、法律の専門家と連携して進めることで、より良い結果につながる可能性が高まります。

さらに、今回のケースでは、盗撮がバレているため、被害者が警察に被害届を提出している可能性があります。この場合、被害者に謝罪し示談が成立すれば、被害届を取り下げていただけますので、逮捕を回避したり、不起訴になる可能性が高まります。しかし、警察は性犯罪の加害者に被害者の連絡先を教えることはなく、被害者が加害者と直接示談交渉に応じることもほとんどありません。弁護士が介入すれば、被害者の了承を得た上で、警察から被害者の連絡先を教えてもらえることもあります。また、弁護士が示談交渉を代行することで、示談が成立する可能性が高くなります。

このように、駅での盗撮事件において自首と示談は逮捕や起訴を回避するための有力な手段ですが、どちらも適切に進めるためには、盗撮事件に強い弁護士のサポートが不可欠です。

まとめ

駅構内での盗撮は、撮影罪や迷惑防止条例違反・軽犯罪法違反の罪に問われる可能性があります。

駅のように大衆が多く利用する施設での盗撮事件の場合には、現行犯逮捕されるケースが多いですが、その場で取り押さえられなくても後日逮捕される可能性も十分にあります。

盗撮事件を起こして逮捕を回避したいという場合には、弁護士に相談したうえで自首を含む適切な対応をとる必要があります。被害届が出されている場合には、その被害者と示談することで逮捕・起訴を回避できる可能性もあります。

当事務所では、駅での盗撮事件を含む刑事事件の解決実績が豊富にあります。親身かつ誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、駅で盗撮事件を起こして逮捕されないか不安という方は、ぜひ当事務所の弁護士にご相談ください。