傷害罪で不起訴になるには?起訴率と示談なしの対処法

「傷害罪で不起訴になるには何をすればよいのか」と悩んでいませんか。検察官が判断を下した傷害事件のうち、約7割は不起訴で終わっており、その判断を最も大きく左右するのが被害者との示談です。

もっとも、被害者に示談を断られている方もいるでしょう。示談が成立しなくても、不起訴を目指す手立ては残されています。

この記事では、傷害事件に強い弁護士が次の点を解説します。

  • 傷害罪で不起訴になる確率と起訴率
  • 検察官が処分を決める5つの考慮要素
  • 不起訴に向けて今すべき4つのこと
  • 示談を断られた場合にとるべき対処法

お読みいただくことで、いま何を優先すべきかを整理できます。

なお、傷害事件について早急に対応したいとお考えの方は、この記事をお読みいただいた後、地域を問わずご相談を承っている当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。早期の対応が結果を左右します。

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傷害罪で不起訴になる確率は?起訴率の最新統計

傷害罪で検察官が起訴・不起訴を決めた事件のうち、起訴は28.6%にとどまり、残る約7割は不起訴処分となっています(令和7年の検察統計)。

令和7年(2025年)の検察統計によれば、傷害事件について起訴・不起訴の判断がされた人員は3万6714人で、その内訳は起訴1万482人、不起訴2万6232人でした。不起訴率でみれば約71%にのぼります。起訴率は令和3年の30.2%から令和7年の28.6%まで、ゆるやかに下がってきました。なお検察統計では「傷害」の区分に暴行も含まれており、暴行単体の起訴率は26.4%です。

不起訴の理由はいくつかありますが、傷害事件で中心になるのは「嫌疑なし」「嫌疑不十分」「起訴猶予」の3つです。嫌疑なしは被疑者が犯人でないことが明らかな場合、嫌疑不十分は犯罪事実を認定できる証拠が足りない場合です。傷害事件では、起訴猶予による不起訴が最も多くを占めます。事実が明白でも、被疑者の反省や被害の回復といった事情を考慮して、検察官が起訴を見送るものです。

不起訴になれば刑事裁判は開かれず、有罪判決を受けないため前科もつきません。逮捕・勾留されている場合は、その時点で身柄が解放されます。

もっとも、これは統計上の割合にすぎず、示談の有無や傷害の程度によって結論は大きく変わります。検察官は有罪を立証できる見込みが高い事件だけを起訴するため、起訴後の裁判で有罪となる割合は99%を超えます。前科を避けるための勝負は、起訴される前についています。

なお、傷害罪の法定刑は15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です(刑法204条)。どこから傷害罪になるのかは「暴行罪と傷害罪の違いは?成立要件とどちらが重いかを解説」で整理しています。

※2025年6月1日施行の改正刑法により、従来の「懲役」と「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されました。

傷害罪の起訴・不起訴を決める5つの考慮要素

起訴・不起訴を決めるのは検察官ですが、どこまでなら不起訴になるという具体的な線引きまでは決まっていません。実務上は、次の5つの考慮要素がとくに重視されます。

起訴・不起訴の考慮要素 具体的な内容
被害者との示談が成立している 被害者に治療費や慰謝料を含む賠償金を支払い、損害の填補が完了している
傷害結果が重大とはいえない 被害者の怪我の程度が軽傷の場合は法益侵害が小さいと考えられる
暴行の態様が悪質であるとはいえない 凶器使用の有無や、暴行の回数・程度、計画性や被害者側の挑発の有無など
同種犯罪の前科・前歴がない 過去にも暴行・傷害事件で逮捕、有罪判決を受けたことがない
真摯に反省して被害者に謝罪している 事件を認めて、反省の弁を述べている

このうち最も重いのが、被害者との示談です。傷害罪は被害者の身体を守るために定められた犯罪であり、被害者に許しを得て被害届や告訴を取り下げてもらえれば、国が刑罰を科す必要性は大きく下がります。示談が成立していれば、検察官が起訴猶予と判断する可能性は高くなります。

傷害の結果と暴行の態様も重く見られます。全治数日の打撲と骨折とでは法益侵害の大きさが異なりますし、凶器を使った、繰り返し殴ったといった事情があれば悪質性が高いと評価されやすくなります。

同種の前科・前歴がないことも、再犯のおそれが小さいことを示す事情です。初犯の場合の処分の傾向は「傷害罪の初犯の罰金相場は?実刑を避けるポイントも解説」もご参照ください。

反省の態度も見られています。事件を認めて被害者に謝罪しているかどうかは、刑罰を科す必要性を測るうえで検察官が重く見る事情です。

もっとも、示談が成立したとしても必ず不起訴となるわけではありません。傷害の程度が大きい場合や暴行の態様が悪質な場合、被害者の処罰意思が強固な場合などには、起訴に踏み切ることもあります。

起訴された場合の量刑の見通しは「傷害罪の懲役の目安は?量刑相場と実刑・執行猶予の判断基準」をご覧ください。

傷害の結果や暴行の態様は事件の時点で決まりますが、示談・謝罪・再犯防止への取り組みは、事件後の行動で変えられます。

傷害罪で不起訴を目指すために今すべき4つのこと

不起訴に向けて事件後にできることは、大きく4つあります。いずれも、検察官が処分を決めるまでの限られた時間のなかで進める必要があります。

被害者と示談を成立させる

不起訴の判断を最も左右するのは、被害者と示談を結べているかどうかです。示談とは、加害者が被害者に謝罪し、治療費や慰謝料にあたる示談金を支払ったうえで、裁判によらず当事者間の話し合いで紛争を解決する合意をいいます。

示談書に、宥恕(被害者が加害者を許すこと)の文言や、被害届・告訴を取り下げる旨を盛り込めれば、処罰の必要性が低いことを検察官に示す材料になります。早い段階で示談が成立すれば、身体拘束の必要がないとして逮捕を回避できる可能性もあります。

示談金に決まった相場はなく、怪我の程度や実損、被害者の処罰感情によって金額は変わります。目安は「傷害事件の示談金相場を全治別に解説|示談書テンプレート付き」で詳しく紹介しています。

真摯に謝罪し反省文を提出する

示談の成否とは別に、反省の態度そのものが傷害罪の不起訴の判断材料になります。事件を認めている場合には、謝罪文や反省文を作成して検察官に提出することで、二度と繰り返さないという意思を具体的に伝えられます。

形式的な文面では意味がありません。何が悪かったのかを自分の言葉で書き、被害者の苦痛に向き合っていることが伝わる内容にすることが大切です。

再犯防止の環境を整える

検察官は、今後同じような事件を繰り返すおそれがないかどうかも見ています。家族が監督人・身元引受人になる、生活や勤務の環境を整える、飲酒が原因であれば通院やカウンセリングを受けるなど、再発防止の取り組みは再犯の可能性が低いと判断される材料になり、不起訴の判断で有利に働きます。

前科や前歴がない場合には、その点もあわせて検察官に説明することになります。

勾留期間内に弁護士へ依頼する

ここまでの3つは、傷害罪の処分を左右する時間との勝負でもあります。逮捕された場合、警察は48時間以内に検察官へ身柄を送り、検察官は24時間以内に勾留(捜査のための身体拘束)を請求するかどうかを判断します。勾留の期間は原則10日、延長されても20日であり、逮捕による身体拘束は最大でも23日で、通常はその間に起訴・不起訴が決まります。

その間、身体を拘束されている本人は、自由に外部と連絡を取ることも、証拠を集めることもできません。弁護士に依頼すれば、本人に代わって示談交渉を進め、不起訴を求める意見書を検察官へ提出できます。逮捕された後の手続きの流れは「暴行罪で逮捕されたら?逮捕後の流れや刑罰を解説」にまとめています。

示談なしでも傷害罪の不起訴は狙える?

示談成立に至らなくても、傷害罪で不起訴になることはあります。ただし、示談ができている場合に比べれば可能性は下がるため、まずは示談の成立を最優先に据えるのが基本です。

示談なしでも不起訴になるケース

示談がないまま不起訴が期待できるのは、次のような場合です。

  • 傷害の結果が軽く、法益侵害が小さいと評価される場合
  • 被害者側の挑発があったなど、被害者にも落ち度がある場合
  • 傷害の事実を裏づける証拠が乏しく、嫌疑不十分となる場合

とくに、防犯カメラの映像や診断書といった客観的な証拠がなく、被害者の供述の信用性にも疑いがある事件では、嫌疑不十分による不起訴もあり得ます。傷害事件でどのような証拠が集められるかは「傷害罪の証拠になるものは?証拠がないと後日逮捕されない?弁護士が解説」でも紹介しています。

示談を拒否された場合の対処法

傷害罪の被害者が示談を拒否している、あるいは被害者の連絡先が分からないなどの理由で示談が成立しないこともあります。その場合でも、反省と被害回復の姿勢を検察官へ示す方法は残されています。

被害者が示談金の受け取りを拒む場合には、供託(賠償金を被害者の住所地を管轄する法務局=供託所に預ける手続き)という手段があります。弁済の提供をしたにもかかわらず受領を拒まれたときは供託することができ(民法494条1項1号)、賠償するつもりがあったことを形に残せます。

また、示談ができない事情があるときは、弁護士を通じて日本弁護士連合会や弁護士会へ「贖罪寄付」として一定額を納め、事件への反省を形に残す方法もあります。

加えて、示談交渉の経過を記録に残し、被害回復へ真摯に取り組んだ事実を弁護士が意見書にまとめて検察官へ提出すれば、示談がなくても不起訴を目指せます。ただし、被害者の宥恕が得られる示談に比べると効果は限定的です。示談に応じてもらえない場合の対処法は「暴行罪で示談しないとどうなる?前科・起訴リスクと対処法を解説」でも解説しています。

示談交渉を弁護士に依頼した方が良い理由は?

示談は当事者だけで進めることもできますが、傷害罪の事件で不起訴を目指すのであれば、弁護士に任せたほうがよい理由が3つあります。

被害者の連絡先を教えてもらえる可能性がある

傷害罪の被害者と示談の話し合いを行う際には、相手方の連絡先を知る必要があります。

連絡先を知らない場合には、示談交渉に必要であるとして弁護士が捜査機関に開示を求めます。

捜査機関は被疑者本人に対して、被害者の連絡先を含む個人情報を原則として開示しません。まず捜査機関が被害者に意思を確認し、弁護人への開示について了承を得たうえで情報が共有されます。

本人には知られたくない被害者でも、守秘義務のある弁護士になら連絡先を伝えてよいと考えるケースは少なくありません。

冷静な話し合いができるため示談が成立しやすい

被疑者が在宅で捜査される場合や被害者と顔なじみである場合など、示談交渉を直接できるとしても、弁護士を介して行うのが適切です。傷害罪の被害者は感情的になり、冷静な話し合いが難しくなりがちだからです。事件を思い出して加害者に直接怒りをぶつけたいと思うのも当然でしょう。

交渉のプロである弁護士に任せることで、感情を抑えて冷静に話し合いを進めることが期待できます。感情の対立がほぐれれば、示談がまとまる余地も生まれます。

法外な示談金請求を拒み適正な金額で示談できる

また加害者自身が直接示談交渉を行った場合、少しでも大きな金額を賠償させようと法外な賠償金の支払いを求められる場合があります。

そこで傷害罪の示談交渉に豊富な経験がある弁護士に任せることで、怪我の程度や実損に見合った金額で話し合いをまとめることができます。妥当な内容で示談を成立させられれば、それだけ不起訴・起訴猶予の獲得に近づきます。

場合によっては、示談金を用意するために両親や親族へ協力をお願いすることもあります。

傷害事件でお悩みの方は弁護士にご相談ください

傷害罪で不起訴を得られるかどうかは、被害者との示談をまとめられるかどうかで大きく変わります。処分が決まるまでの時間は限られており、身柄を拘束されている場合はなおさらです。

弁護士が代理人として入れば、被害者の心情に配慮しながら交渉を進め、示談が難しい場合には供託などの手立ても組み立てられます。

突然の逮捕や警察からの連絡に動揺し、刑事事件は初めてで何から手をつければよいか分からないという方も少なくありません。すでに被害届が出されている場合でも、早い段階で弁護士が介入すれば状況が好転するケースは多くあります。

当事務所は傷害事件の示談交渉と不起訴の獲得に豊富な実績があり、全国どこからでも無料でご相談いただけます。弁護士が迅速に動き、全力を尽くしてあなたを守りますので、お気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

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メディア掲載 フジテレビ「とくダネ」/ ダイヤモンド・オンライン / @DIME / サイゾー 他多数
講演実績 「不当要求対応の基礎」「犯罪組織によるマネー・ロンダリングと投資詐欺への法的処置」等
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