暴行罪とは、人に暴行を加えたが傷害に至らなかった場合に成立する犯罪です(刑法第208条)。ここで、
そう考える方もいるようです。
では、暴行罪は、その場で逮捕される現行犯逮捕以外に、後日逮捕(犯行の後日、令状により逮捕されること)されることはあるのでしょうか。暴行に強い弁護士が解説していきます。
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目次
暴行罪は現行犯以外の逮捕はあり得るのか
暴行罪であっても現行犯逮捕ではなく、後日逮捕される場合は当然あり得ます。
暴行後に時間が経過してから被害届が提出された場合や、犯人として特定する捜査(目撃者探しや防犯カメラのリレー捜査)に時間がかかった場合などには、後日暴行容疑で通常逮捕されてしまう可能性があります。
暴行当時、被害者には加害者の刑事責任を追求する気持ちがなかったものの、時間が経過するにつれて被害者の怒りが収まらなくなるというケースもあります。
「令和3年版犯罪白書」によれば、暴行の認知件数は27637件であり、検挙されている件数は24315件です。
刑法は全体の検挙率自体は約45%にとどまりますが、暴行事件の検挙率だけを抜き出すと88.0%と高い数字ですので、暴行罪で後日逮捕される可能性も十分にあると考えられるでしょう。
暴行の疑いで後日逮捕された事例
暴行罪で後日逮捕された事例を2つ紹介します。
暴行から2日~3日後に逮捕された事例
この事件は、加害男性A(当時21歳)と加害男性B(当時23歳)が共謀して、路上で自転車に乗っていた20代の女性に対して、軽乗用車で追い抜き様に助手席から腕を伸ばして女性の右腕や胸付近を触る暴行を加えた疑いが持たれてる事例です。
男らは暴行後逃走したものの女性から110番通報があり、目撃者の証言や防犯カメラ映像などが決め手となり、顔見知り同士のAとBが捜査線上に浮上しました。
Aは暴行から2日後、Bは暴行から3日後にそれぞれ暴行容疑で警察に通常逮捕されました。
暴行から9日後に逮捕された事例
この事例は会社員の男性(当時41歳)が、深夜の歩道橋の階段を登っていた会社の女性(当時23歳)に背後から近づきスカートの中を携帯電話のカメラで撮影したところ、盗撮に気づき問い詰められた際に女性の胸を突く暴行を加えました。
女性にけがはありませんでしたが、男性は暴行後に逃走しました。防犯カメラなどの映像から捜査線上に男性が浮上し、事件から9日後に迷惑防止条例違反及び暴行の疑いで通常逮捕されることになりました。
後日逮捕されるとしたらいつまで?
被害届に提出期限はありませんが、暴行罪には3年という公訴時効があります。公訴時効とは、一定期間が過ぎると検察官が起訴できなくなる制度のことです。つまり、時効が完成すると起訴されて刑事裁判にかけられることがなくなりますので、その前段階である逮捕をされる心配がなくなります。
暴行罪の時効は暴行行為が終了したときから開始されますので、現行犯逮捕されず、暴行行為が終わってから3年が経過すれば、後日逮捕されることもなくなります。
ただし、加害者本人は「暴行した」と考えていたとしても、実は被害者が捻挫・打撲などの怪我を負っていたり、暴行されたことでPTSD(心的外傷後ストレス障害)や睡眠障害になっていることもあります。この場合、暴行罪ではなく傷害罪が成立しますので、公訴時効は10年となります。
暴行罪の現行犯以外での逮捕が不安な場合の対処法
これまで説明してきたように、暴行事件を起こして現行犯逮捕されなかったとしても後日逮捕される可能性は十分あります。
もちろん、年月の経過により、防犯カメラの映像が消去もしくは上書きされるなどして暴行の証拠映像がなくなることもあります。しかし、防犯カメラの映像以外にも、被害者の供述、目撃者の供述、防犯カメラ以外で録画されたデータ(ドラレコ映像など)、傷害を負っていた場合は診断書などが犯罪の証拠となり得ます。もう大丈夫だろうと高を括っていると、ある日突然自宅に捜査官が押しかけてきて後日逮捕される可能性もあるのです。
暴行罪の時効が完成する3年間(被害者が傷害を負っていれば10年)、いつ後日逮捕されるのか不安な日々を送るのは精神的に耐えられない方も多いことでしょう。
その場合には、逮捕の回避に向けた活動、具体的には、以下で挙げる、自首や示談交渉を検討する必要があるでしょう。
自首する
自首とは、犯罪を犯した者が、事件が発覚していない又は事件は発覚しているが犯人が特定されていない段階で自発的に捜査機関に名乗り出てその処分を求める行為をいいます。
この点、自首に関する規定(刑法第42条)には「刑の減軽をすることができる」と書かれており、逮捕の回避は直接的な効果ではありません。
しかし自首をするということは暴行の罪を認めることですので、逃亡や罪証隠滅のおそれがないことを自ら証明できます。そのことが捜査機関に有利に勘案してもらえ、逮捕の回避に繋がることも期待できます。
もっとも、自首は自身の犯罪事実をわざわざ捜査機関に認めに行く行為ですので、もしかしたら放置しておけば事件化されずに済んだかもしれないところを自身で刑事事件化することになります。
そのため、自首すべきかどうかは自己判断せずに事前に弁護士に相談する必要があるでしょう。
示談交渉をする
暴行の被害者の連絡先を知っているのであれば、真摯に謝罪したうえで被害弁償を済ませ、示談を成立させることが重要です。
被害者が警察に被害届を出す前に示談が成立すれば被害届が出されない、つまりは捜査機関に犯罪事実が発覚しないため逮捕を免れることができます。また、被害者が既に被害届を出していても、示談交渉により被害届を取り下げてもらうことで、同じく逮捕を回避できる可能性が高くなります。
さらに、万一逮捕された場合でも、示談成立は被疑者にとって有利な事情として働きますので不起訴処分となることも期待できます。不起訴となれば実質的に無罪と同じですので、前科がつくこともありません。
もっとも、暴行事件の被害者は加害者に対して恐怖心や嫌悪感を抱いていますので、示談交渉に応じてくれないケースも少なくありません。仮に話し合いに応じてくれたとしても感情的になり示談がまとまらないこともあります。
この点、弁護士であれば被害者の感情に最大限配慮しつつ、これまでの経験に基づいて冷静に示談の話し合いを進めることができます。また、暴行の程度、被害の状況に応じた示談金相場を知っていますので、被害者から多額の示談金を要求されている場合にも、適切な金額で示談を成立させることができます。
当事務所では、暴行の被害者との示談交渉、逮捕の回避、早期釈放、不起訴の獲得を得意としており実績があります。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、暴行罪で後日逮捕されるのではと不安な日々を送られている方は当事務所の弁護士までご相談ください。お力になれると思います。
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