
「医療費の還付金があります」「未払いの年金が受け取れます」と、役所や年金事務所を名乗る人物から電話がかかってきたら、それは還付金詐欺かもしれません。ATMを操作させて指定の口座にお金を振り込ませ、だまし取る特殊詐欺です。
役所や年金事務所が、電話でATMの操作を指示することは絶対にありません。この一点を知っておくだけでも、被害の多くは防げます。
「これは詐欺なのだろうか」「離れて暮らす高齢の親が信じてしまわないか心配」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、詐欺被害に強い弁護士が、還付金詐欺を見抜き被害を防ぐために知っておきたい次の内容を解説します。
- 還付金詐欺を見分ける4つのポイント
- 会話でわかる実際の手口
- 被害に遭わないための対策
なお、還付金詐欺の被害に遭われた場合やご不安がある場合は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談へお気軽にご連絡ください。
| 詐欺被害に強い弁護士に無料相談 |
|
還付金詐欺の見分け方
還付金詐欺は、オレオレ詐欺や架空請求詐欺などと並ぶ特殊詐欺の一種です。以下では、還付金詐欺に特有の見分け方を4つ紹介します。
- ①公的な機関を装って電話や通知をしてくる
- ②非通知で電話してくる
- ③ATMに行くよう誘導してくる
- ④職員がキャッシュカードを預かるという
①公的な機関を装って電話や通知をしてくる
還付金詐欺の典型的な手口としては、国や地方公共団体、税務署などの公的な機関を名乗って、電話をかけてきたり郵便で書面を送付してきたりするものがあります。
具体的には「医療費の過払い分を返還する」「年金の未払い分を支払う」「給付金が受け取れる」などといった内容で接触してきます。
公的な機関の職員が、電話で直接還付金を知らせてくるということはあり得ません。
また届いた通知書に「詳細については記載の電話番号までお問い合わせください」という内容がある場合も同様に詐欺の可能性が濃厚です。書面に記載された連絡先は実際には存在しない架空の機関名であることもあります。
②非通知で電話してくる
還付金詐欺でかかってくる最初の電話は非通知であることが多いです。
市役所や区役所、年金機構などの公的機関が非通知で電話してくることはありません。
公的機関を名乗っているのに非通知で電話してきている時点で詐欺と断定していいでしょう。
なお近年は、「+1」「+44」などから始まる国際電話番号や、「圏外」と表示される番号を悪用した特殊詐欺も増えています。心当たりのない国際電話や不審な番号からの着信も、詐欺を疑ってください。
③ATMに行くよう誘導してくる
還付金を受け取るためであればATM(現金自動預け払い機)を操作する必要はありません。また役所の職員が電話越しに機械の操作を指示することもありません。
しかし、還付金詐欺の場合には、職員を名乗る人物から「ATMまで行けばこの電話で案内できる」と言われて騙されてしまう人が続出しています。
お金を受け取れるという名目で携帯電話とキャッシュカードを持ってATMに行くように誘導してくる場合には、まず詐欺と考えて間違いないでしょう。
④職員がキャッシュカードを預かるという
還付金詐欺では、電話の指示で被害者本人にATMを操作させる手口が中心です。
これとは別に、同じく公的機関を装いながら「還付金の手続きにキャッシュカードが必要」などと言って自宅を訪れ、カードをだまし取る手口(預貯金詐欺)も確認されています。
還付金がある場合には、権利者が指定した金融機関口座に入金する方法で返還されることが普通です。わざわざ役所の職員が権利者本人の自宅を訪れたり、キャッシュカードを預かったりすることはありませんので、そのような要求がある場合は詐欺であると思っておきましょう。
還付金詐欺の手口
振り込み詐欺やオレオレ詐欺についてはこれまで何度もマスコミにその被害が取り上げられており、高齢者の方の中にも警戒心を持っておられる方も多いです。
では、還付金詐欺になぜ騙されてしまうのか。以下では、還付金詐欺の巧妙な手口を、詐欺師と高齢者の会話形式で解説します。

「もしもし、私、年金事務所の職員のスズキと言います。本日はヤマザキさまに支払われるべき、年金が一部未払いとなっていることをお伝えしたく、お電話しました」

「それはわざわざご丁寧にありがとうございます。それで年金の一部未払いとは、どういうことでしょうか?」

「はい、ヤマザキさまに本来支払われるべきだった、200万円が支払われておりません」

「ええ!そんなにあるんですか? それでどうすれば良いのでしょうか?」

「このままですと、200万円の年金が支払われないままになってしまいます。以前、青色の封筒で書類をお送りしたのですが……」

「ちょっと、良くわかりません……」

「実は書類にも記載してありましたが、還付手続の期限は今日までなんです。今日を逃すと200万円の年金が貰えなくなってしまいます」

「え!どうすれば良いんですか?」

「はい、それではいったん○○銀行のATMに行って、こちらが指定する口座に一時金として、お金を支払って頂いてもよろしいでしょうか? もちろん、お金は後ほど年金の未払い分である200万円と一緒にお返しします」

「わかりました、それでは○○銀行に向かいます」

「○○銀行につき次第、お電話ください。ATMに着いたら、操作方法を説明するので、***-****-****まで電話してくださいね」
後は、ターゲットとなった高齢者に対して、言葉巧みにATMの操作法を教え、指定の口座にお金を入金させれば、還付金詐欺は完了です。
中には、「還付手続のため、口座番号と暗証番号を教えてください」「残高照会というボタンを押し、表示された数字を右から読んでください」など、あらかじめターゲットの預貯金口座の残高を聞き出し、ターゲットの騙し取れる限界の金額を把握した上で、口座のお金を全部奪い取るような悪質な手口もあります。
ほかにも、被害者にATMを操作させる際に、振り込みボタンを自分への振り込み(被害者の口座への還付金の振り込み)だと誤信させたりして、自分の口座へ振り込み手続きしているように言葉巧みに錯覚させる手口も横行しています。
近年はATMへの誘導だけでなく、ネットバンキングのIDやパスワード、口座の暗証番号などを聞き出して、被害者の口座から直接お金を引き出す手口も報告されています。また、市役所と年金機構、金融機関などを名乗る複数の人物が入れ替わり立ち替わり電話をかけて信じ込ませる劇場型や、定額減税といった新しい制度に便乗する手口も確認されています。
還付金詐欺の被害を防止するための対策
還付金詐欺から身を守るためには、日頃からの備えが重要です。以下の5つの対策を実践しましょう。
- ①電話は留守番電話に設定しておく
- ②特殊詐欺防止機能付き電話を設置する
- ③お金の話が出たら電話を切り周囲に相談する
- ④ATMの利用限度額を設定しておく
- ⑤預金通帳やキャッシュカードを第三者に交付しない
①電話は留守番電話に設定しておく
還付金詐欺を含む特殊詐欺を予防するためには、固定電話や携帯電話を留守番設定しておくことが有効です。
還付金詐欺の犯人と直接やりとりしてしまうと、言葉巧みに言いくるめられ被害に遭う可能性も高まります。
そのため、登録している番号以外は一旦留守番電話に伝言を吹き込んでもらうようにしましょう。このような対応をしていると、犯人によっては記録が残るのを嫌がり電話してくることをやめる可能性もあります。
②特殊詐欺防止機能付き電話を設置する
特殊詐欺防止機能付きの電話を設定することも、還付金詐欺の対策になります。
特殊詐欺防止機能として代表的なものは発信者の電話番号を表示する「ナンバーディスプレイ」機能です。
その他かけてきた相手に迷惑電話防止のために通話を録音する旨のアナウンスが入ったり、電話に出る前に注意喚起のアナウンスしてくれたりするものがあります。
通話内容を自動で録音してくれる機能がある場合には、怪しい場合にあとから聞き直すことができます。
とはいえ、「うちの親は高齢だし機械音痴のところもあるから特殊詐欺防止機能付き電話の設置だけだと不安…」と思われる方もいることでしょう。
その場合は、NTTの特殊詐欺対策サービスの利用も検討しましょう。通話音声を自動で解析し、特殊詐欺と判定されると、あらかじめ登録した子どもなどの親族へメールや自動音声で注意喚起してくれるサービスです。これにより、高齢の親しか自宅にいない場合でも、離れて暮らす家族が詐欺に気づくことができます。
さらに、固定電話に国際電話がかかってくることがない場合は、電話会社の「国際電話不取扱受付センター」に申し込むことで、国際電話番号からの発着信を無料で休止できます。
③お金の話が出たら電話を切り周囲に相談する
お金の話が出てきたら電話を切り、第三者に相談してみることが有効でしょう。
お金を受け取ることができる場合にはその場で話を進めてしまいがちですが、一旦切って冷静に考えると還付金の内容や相手の素性など不審な点ばかりであることに気付ける可能性が高まります。
そのため、お金に関する話題が出た段階で詐欺を疑い、信頼できる第三者に相談するようにしましょう。役所や年金事務所を名乗る電話であれば、いったん切ったうえで、公式サイトなどで自分で調べた電話番号にかけ直して事実を確認するのも有効です。警察に相談しても動いてもらえない場合の対処法については「詐欺で警察が動かない4つの理由|民事不介入と動いてもらう方法」もあわせてご確認ください。
④ATMの利用限度額を設定しておく
日常的に高額なお金を引き出す機会がない方は、ATMで1日に引き出し・振り込みできる上限額を低めに設定しておくとよいでしょう。
高齢のご家族がいる方は詐欺に遭った場合に被害金額を最小限に留めることができるでしょう。
⑤預金通帳やキャッシュカードを第三者に交付しない
「キャッシュカードが無ければ還付金を受け取れないので自宅に伺います」と言われても、決して信用しないように用心しておきましょう。
拒否しても要求してくる場合には警察に相談・通報することをおすすめします。
もし自宅に訪問してきた場合でも、預金通帳やキャッシュカードを第三者に交付したり暗証番号も絶対に教えてはいけません。
還付金詐欺から身を守るために
ここまで見てきたように、還付金詐欺の犯人は公的機関の職員になりすまし、ATMを操作させてお金を振り込ませようとします。しかし、行政機関が電話でATMを操作させ、その場で還付金を渡すことはありません。不審な電話はいったん切り、家族や警察に事実を確認する。この習慣を家族で共有しておくことが、最大の防御になります。
警察庁が公表している「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について」によると、令和7年の還付金詐欺は認知件数3,179件・被害額61.9億円にのぼります。前年より減少したものの依然として高い水準にあり、ATMだけでなくネットバンキングの悪用など手口も多様化しています。誰もが被害に遭う可能性がある犯罪です。
怪しい電話がかかってきたら、最寄りの警察署や警察相談専用電話#9110、消費者ホットライン188に相談してください。万一お金を振り込んでしまった場合は、すぐに警察と振込先の金融機関に連絡しましょう。振り込め詐欺救済法に基づき犯人の口座が凍結されれば、被害額の全部または一部について返金を受けられる可能性があります。
還付金詐欺の被害に遭ってしまった場合や、その後の対応にご不安がある場合は、一人で抱え込まず当事務所の無料相談をご利用ください。詐欺被害の解決に取り組んできた弁護士が、被害回復に向けて具体的にアドバイスいたします。全国どこからでもご利用いただけますので、まずはお気軽にご相談ください。
| 詐欺被害に強い弁護士に無料相談 |
|
この記事の監修者
詐欺被害の返金交渉に豊富な実績を持つ。一般社団法人 詐欺・不当要求対策協会の代表理事として、詐欺被害の撲滅に向けた研究・啓発活動にも取り組んでいる。投資詐欺、情報商材詐欺、占い詐欺など多様な手口に精通し、被害者の大切なお金を取り戻すために迅速に行動する。警察が動かないケースでも、弁護士による返金交渉や刑事告訴で解決に導いている。

