
困ったときや迷ったとき、「占い師に相談してみよう!」と思う人はあとを絶ちません。もちろん世の中には、実力のある占い師も多く存在しています。「統計学」とも言われる占い、実力がある人が扱えば、ひとつの助けになるものであることは間違いありません。
しかし、問題なのが、実力がない占い師が実力を偽って占いをしているケース。実力がないだけではなく、中にはすがってくる人を利用して高額のお金を巻き上げる悪質な占い詐欺師も多くいるのです。
そこでここでは、占い詐欺の返金を成功させた事例をまず紹介し、その紹介した事例に沿って占い詐欺の手口、について弁護士がわかりやすく解説していきます。
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占い詐欺被害の返金事例
占い詐欺の被害で当事務所が返金交渉をしてお金を取り返した2つの事例を紹介します
事例①:無料鑑定だけのつもりが、気がついたら700万円を課金していた
A美さんは、結婚して15年の専業主婦。子供も小学生になり、子供が学校に行っている平日の間はやっと自分の時間が持てるようになりました。
家事がひと段落してからダイニングでパソコンやスマホをいじるのが日課になっていたあるとき、何気なくクリックした占いサイトで「有名占い師が今だけ無料鑑定!」という文字を見つけました。
生年月日とメールアドレスを専用のフォームに入力して情報を送信すると、占い師から鑑定結果が送られてくるというもの。情報を送信することで会員登録され、ボーナスポイントがもらえる仕組みです。そのポイントを使ってお試しの鑑定ができるというシステムになっていたので試しにメールを送ってみたところ、占い師を名乗る女性から長文のメールが届きました。
そうしてやりとりをしているうちにポイントを使い切ったAさん。しかし、肝心の鑑定は終わっていません。せめてこの鑑定だけでも…と3,000円を支払ってポイントを購入。しかし、気がついたらA美さんは20万円以上の課金を行なっていたのです…
しかし、子育てもひと段落を終え心にぽっかりと穴ができたように感じていたA美さんは、占いサイトにハマってしまいます。時には1日に10通も呪文のようなメールを送らされることもありました。1年近くそのような状況が続き、気がついたら総額700万円以上を占いサイトにつぎ込んでいました。
子供の教育費として貯金していたお金にまで手をつけてしまい、クレジットカードも満額まで使用しており首が回らない状況になっていました。夫に知れる前に解決したいと考え法律事務所に電話で相談し、返金の依頼をしました。
調べたところ、その占いサイトの運営会社はたしかに登記上は存在しますが、登記簿に記載の住所地にその会社は実在しませんでした。最終的にその占いサイトを運営する人物に行き着き、700万円全額の返金を求めました。
最初は返金に渋っていましたが、弁護士が、詐欺罪での刑事告訴と民事訴訟も視野に入れていることを伝え、交渉の末に全額返金させることに成功しました。
返金事例②:「幸運を呼ぶ水晶」「数珠」「塩」を総額400万円で購入
C子さんは30代後半の、いわゆるバリキャリと呼ばれるキャリアウーマン。順調にキャリアを伸ばしてきましたが、ここにきて異動先の上司とソリが合わず、仕事が苦痛になってきてしまいました。
仕事に打ち込んでいたため、彼氏ともうまくいかず、未だ独身。結婚したいとは思いつつも、仕事との両立ができるかも不安で悩んでいたところ、「よく当たる占い師がいる」という噂を聞いて、試しにとその占い師のところに行ってみました。
占い師はC子さんを見るなり、「仕事がうまく行っていないのね」と一言。そのあとも、結婚していないこと、仕事との両立がはかれるか悩んでいることを当てられて、「この人は本物だ」と確信します。
一通り鑑定が終わって、お金を支払って帰ろうとしたところで、占い師がC子さんを呼び止めました。
「あなたの運勢はこれから下降線をたどります。このままほうっておくと、一生結婚できません。それを食い止めるために、この水晶をお守りに持っておくといいですよ。普通ならお譲りしないけれど、あなたのことが心配だから特別にお譲りしてもいいです」
C子さんの状況はどん底で、ストレスもMAXの状態でした。この状況が終わるなら、なによりこの人の言うことなら間違いないと、C子さんは占い師が手に持っている水晶を、なんと100万円で購入することにしたのです。
さらにその後も、将来に不安を抱かせる占い師の発言に踊らされ、塩や数珠といったものを次々に買わされました。総額400万円ほどです。その他、占いの費用も含めると騙し取られたお金は総額600万円近くになります。ネットで色々と調べてみたところ、自分が占い詐欺に引っ掛かったことに気付き、弁護士に返金依頼をすることにしました。
弁護士が占い師に返金を求めたところ一切の返金には応じられないとの回答がありました。さらにその占い師も弁護士をたててきたため、依頼者と話し合いのうえ返金訴訟を起こしました。
途中で自分に分が悪いと気付いた占い師は、自分が依頼した弁護士を介して、450万円の返金で和解を申し出てきました。弁護士がそれを依頼者に告げたところ、裁判をこれ以上長引かせたくない、高い勉強代と思って受け入れるとのことでしたので、和解の申し出を受け入れて解決に至りました。
占い詐欺の返金をさせるには証拠が重要
占い詐欺の返金を求める時にやはり重要なのは、”証拠”です。
占いサイト詐欺の場合は、占い師や鑑定士とのメールのやり取りは消去せずに全て保存しておきましょう。また、サイトの管理規約(利用規約)も忘れずに画像として保存しておきましょう。後々、返金で争いになったときに、サイト側が自分達に不利な条項を書き換える事案も少なくないからです。
なお、メールや管理規約を保存するときは、スクリーンショットでは「デジタルなのでいくらでも改竄できる」と反論される可能性があるので、スマホやデジカメで、画面その物を撮影するようにしてください。
ただし、、電話占いや、対面式の占いの場合はメールのやり取りのように形に残る証拠はありません。この場合、占い師から言われたことをメモや日記、自分のブログなどに書きとめていたときはそれを保存します。また、友人などに「占い師からこんな鑑定をされた」といったメールやLINEを送信していたときは、その送信内容も必ずとっておきましょう。
もしなにも証拠がないといった場合も返金を諦めずに法律事務所に一度相談してみてください。
占い詐欺の手口
コールドリーディング法
コールドリーディングとは、巧みな話術であたかも事実を言い当てたかのように相手に「思い込ませる」手法です。たとえば、「あなた、最近トラブルに巻き込まれたことはない?」と聞かれたとします。この時点で占い師は何も言い当ててはいませんが、聞かれた方は「言われてみればあれのことかも…」と勝手に言われたことに事実を当てはめていくのです。
これを続けることで、「また言い当てられた!信用できる占い師だ」と思い込ませ、鑑定費用や物の購入費用をお客から引き出す手口です。
不安を煽って何度も通わせたり、物を買わせたりする
こちらもC子さんの例ですが、C子さんが水晶を購入したのは、「このままでは一生結婚できない」と言われたことで不安を煽られたことが大きな理由です。もしも「この水晶を持っていればもっと幸せになりますよ」と言われていたとすれば、「まあいいか、高いし」と購入には至っていないかもしれません。
「このままでは大変なことになる」「一生結婚できない」「不遇の人生が待っている」というような不安を煽る行動も、占い詐欺の手口です。高額の商品を買わせる手口は、占い詐欺だけではなくスピリチュアル詐欺や霊感商法詐欺にも共通しています。
会員登録をさせポイントを買わせる
無料占いをうたう良心的なサイトは、クリックすれば鑑定結果が見られるようになっています。しかし中には、空メールを送ったり会員登録をしたり、とユーザーからのアクションがなければ鑑定結果が見られないような仕組みになっている占いサイトもあります。これがくせものなんです。
最初は無料でポイントがもらえる仕組みになっているため、そのポイントを使って鑑定を依頼します。しかし、返ってくる鑑定結果は曖昧で、的を得ない内容ばかり。もしくは、最後に気になる一文が書かれていて、続きを読まなければスッキリしないようになっている…。このように鑑定結果を曖昧に濁すことで、「もっと知りたい」と相手に思わせ、鑑定を長引かせて鑑定料を吊り上げるのも占い詐欺の手口です。
そうして、さらにポイントを購入させ、お金を奪うという仕組みになっています。さらに悪いことに、ユーザーからアクションをおこさせることで、ユーザーの情報も手に入れることができるのです。
返信させることで「本当に占っている」と思わせる
占い詐欺サイトによくある手口の一つとして、ユーザーに相談内容などを返信させることで占い師とやりとりをさせ、「ちゃんとした鑑定を受けられる」と思わせるという手口があります。
占いサイトの詐欺被害にあった人の多くが、「何時間もずっと座りっぱなしでやりとりしている」「携帯を手放せない」と話していますが、これこそがこのやりとりの結果です。
返事が来るから、また反応してしまう。しかし、このメールの往復にポイントが消費されていくんです。占い詐欺の手口ですので、注意してください。
参考:占いサイト 引き延ばされて利用料金が高額に(見守り情報)_国民生活センター
未払いの料金があるので支払えと督促がくる
悪質な占いサイトでは、無料会員登録の時点でクレジットカードの番号などを要求してくるところもあります。ユーザーとしては「無料の範囲内で使うだけだから、登録していても問題ない」と思いますよね。それが大間違い!
「自動後払いシステム」になっている占いサイトを見たことはありませんか?どういうものかというと、ポイントの残高が0になった時点で、自動的にポイントが加算されるという仕組みになっているんです。もしもクレジットカードの登録をしていたとしたら、自動的にクレジットカードで支払いが行われることになります。
支払い方法の登録をしていないなら大丈夫、と言いたいところですが、その場合は執拗に請求のメールが来る被害が多発しています。中には、「料金を支払わなければ裁判所や警察を使う」といった脅しをかけてくるところもあります。
退会メールを送っても退会できない
会員登録をしてしまったり、サイトに入会してしまったあとで「詐欺だった!」と気がつくことがありますが、そうすると接触を断つために、占いサイトの会員登録を解除したり、退会の手続きをとることになります。
良心的な占いサイトやコンテンツなどであれば、退会の手続きや会員登録の解除はスムーズにいくもの。しかし、悪質な詐欺サイトの場合は、退会したくてもできないことがほとんどです。
相手にメールアドレスを押さえられているため、退会メールを送ったあとでも執拗にメールが届きます。ひどい時には、電話がかかってくることもあります。
占い詐欺で返金できるケース
訪問販売・電話勧誘販売で商品を購入させられた場合
訪問販売や電話勧誘販売で商品を購入させられた場合には、「クーリングオフ制度」が利用できる可能性があります。
「クーリングオフ制度」とは、いったん契約の申込みや契約を締結したあとであっても消費者が頭を冷やしてもう一度検討することができるように、一定期間であれば無条件で契約の申込みを撤回したり、契約を解除できたりする制度のことです。
「訪問販売」「電話勧誘販売」の場合には、このクーリングオフの対象となる取引です。
「訪問販売」とは、事業者が消費者の自宅等に訪問して、商品や権利の販売又は役務の提供を行う契約をする取引のことを指します。訪問販売にはキャッチセールス、アポイントメントセールスなども含まれます。
「電話勧誘販売」とは事業者が電話で勧誘し、申込みを受ける取引のことを指します。電話を一旦切った後、消費者が郵便や電話等によって申込みを行う場合にも該当します。
個別に占いや鑑定をしていないケース
裁判例において、個別に占って鑑定などを行うという触れ込みの占いサイトが、実際には個別に占いや鑑定をしておらずサイトのシステムを利用して有料ポイントを費消させて利益を得ていた場合には、詐欺に当たると考えらています。
このような場合には、占いサイトの運営会社に不法行為に基づく損害賠償責任が成立することになりますので、被害者は賠償金を受け取ることができます(民法第709条参照)。
また占いサイトの運営会社と代表取締役との間に共同不法行為責任が発生することになり、ポイント購入額と弁護士費用が損害として賠償の対象となります。
個別鑑定を謳いながら、鑑定士が存在しないような場合にも同様詐欺が認められる可能性が高いでしょう。
クレジットカード決済を利用している場合
占いサイトの鑑定料や物品の購入に関してクレジットカードで支払っていた場合には、クレジットカード会社に連絡することで支払停止・チャージバックができる可能性があります。
占い詐欺であることが発覚した場合、クレジットカードで分割払い・リボ払いなどの設定をしていた被害者は、支払いを停止してもらうことになります。被害者は運営会社の詐欺が発覚したとしてクレジットカード会社に申請することで支払を止めてもらい、既に支払った現金を返金してもらうことができます。
クレジットカードで一括払いで決済した場合には、チャージバックの手続きを申請することになります。チャージバックとは購入者が代金の支払いに同意しないため、クレジットカード会社が加盟店に対して支払いを取り消し・既に支払った分の返金を請求することをいいます。
ただし以上の手続きを利用するには一定の要件に該当している必要があり、申請したからと言って必ず返金が受けられるとは限りませんので注意が必要です。
国民生活センターADRを利用できる場合
国民生活センターとは、消費者と事業者との間のトラブルを解決するために設置されている公的な機関です。
国民生活センターは消費者ホットラインに寄せられる各種消費者トラブルやクレームの相談を受け付けているほか、事業者との交渉を仲介するADR(裁判外紛争解決手段)にも対応しています。
国民生活センターのADRは、弁護士や各分野の専門家が仲介役として和解による解決を目指す手続きです。
過去にも占い鑑定サイトの返金を巡る紛争についてADRで解決できた実績があり、申請人の利用額の70%の返金が受けられた事案も存在しています。
ただし国民生活センターのADRの手続きは誰もが利用できるというわけではなく、消費者からの申請により国民生活センターが「重要な消費者問題であると判断した場合のみ」利用できる手続きあることには注意が必要です。
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