詐欺被害で警察が動かない4つの理由と動いてもらう方法

「詐欺の被害を届け出たのに、警察が動かないのはなぜか」「どうすれば本気で取り合ってもらえるのか」と、行き詰まりを感じている方もいるのではないでしょうか。そこには、民事の問題と判断された、証拠が足りないといった理由があります。その理由に合わせて手を打てば、警察の対応が変わる可能性があります。

もっとも、捜査が始まっても、それだけで騙し取られたお金が手元に戻るわけではありません。警察に頼めることと、返金のために自分で進める手続きは、分けて考えましょう。

この記事では、返金に強い弁護士が、次の点について解説します。

  • 詐欺で警察が動かない4つの理由
  • 被害届と告訴状では何が変わるのか
  • 警察に動いてもらうにはどうすればよいか
  • 被害届が受理されないときにできること

お読みいただくことで、自分の状況がどの理由に当たり、次に何をすればよいかを整理できます。

なお、詐欺被害についてお悩みの方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお気軽にご連絡ください。地域を問わずご相談を承っています。

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詐欺の相談をしても警察が動かない4つの理由

警察に詐欺の相談をすると、担当者が被害の経緯を聞いたうえで、犯罪として捜査できそうであれば、被害届(被害に遭った事実を警察に届け出る書面)の提出を案内します。

ところが、相談しても警察が動かないことがあります。警察が動かない理由としては、主に次の4つが考えられます。

①民事不介入と判断された

民事不介入とは、個人どうしの金銭トラブルや契約のトラブルには、警察が立ち入らないという考え方です。窓口で「民事の問題です」と言われるのは、この考え方にもとづいています。

警察が扱うのは刑事事件です。刑事事件とは、警察や検察が捜査を行い、罪を犯したと疑われる人を逮捕・起訴して刑事裁判にかける事件をいいます。

参考サイト:法務省:刑事事件フローチャート

一方、貸したお金を返してくれない、契約どおりに商品を渡してくれないといった個人間の争いは民事事件です。民事事件は、当事者どうしで解決するのが基本とされています。

詐欺罪にあたるには、相手が最初から騙すつもりだったことが必要です。被害者が「騙された」と感じていても、騙す意図を示せなければ、契約をめぐる争いと見なされるおそれがあります。そうなると、お金を取り戻すには、相手との交渉や、裁判で返還を求める民事訴訟といった民事の手続きを進めることになります。

②犯人を特定できない

詐欺の犯人は、お金を受け取ると連絡を絶ち、行方をくらませてしまうことがあります。教えられた電話番号がつながらない、聞いていた会社の住所が実在しなかった、という例も見られます。

犯人がどこの誰かわからなければ、警察も捜査を進めにくくなります。法務省の犯罪白書によると、令和6年の詐欺の検挙率は28.2%でした(令和7年版 犯罪白書)。

もっとも、被害者が多い、被害額が大きいといった悪質な事件では、警察が犯人の特定に乗り出すこともあります。

③被害が軽微である

被害額がいくら以上なら警察が動くのか、という明確な基準は公表されていません。それでも、数千円から数万円ほどの少額の詐欺被害だと、警察が動かないまま終わる場合があります。

ただし、判断は被害額だけでは決まりません。同じ手口の被害者が何人も相談に来ているケースでは、一人あたりの被害額が小さくても、組織的な犯行として捜査の対象になり得ます。

④証拠が不十分である

警察署で被害届を出したいと相談すると、まず確認されるのが詐欺被害の証拠です。証拠がなければ、被害が本当にあったのか、どれほど深刻なのかを、警察は客観的に確かめられません。

詐欺罪が成立するには、相手が嘘をつき、その嘘を信じた被害者が自分からお金や物を渡した、という流れが必要です。この流れを裏づける証拠がそろえば、警察が動く余地は残されています。何をどう持ち込めばよいかは、次の章で説明します。

詐欺で警察に動いてもらう方法

警察が動かない理由がわかれば、打つべき手も見えてきます。ここでは、証拠収集と書類の面から、詐欺で警察に動いてもらうための2つの方法を紹介します。

判断に迷う証拠も含めてすべて持参する

警察に詐欺の相談に行くときは、手元にある証拠をすべて持って行きましょう。相手とのメッセージやメールのやり取りのスクリーンショット、通話履歴、振込の控え、契約書、勧誘に使われたサイトの画面、相手の口座番号や電話番号など、相手とのつながりを示すものは一つ残らず集めておくのがよいでしょう。

証拠になるのか迷うものこそ、持って行くようにしてください。意味がなさそうに見える情報が、犯人をたどる手がかりになるかもしれません。

あわせて、いつ、誰から、どのように持ちかけられ、いくらをどの方法で支払ったのかを、時系列のメモにまとめておくと、窓口で被害の流れを短い時間で伝えられます。

被害届ではなく告訴状を提出する

被害届だけでは警察が動かないときや、詐欺の犯人を処罰してほしいという気持ちがはっきりしているときは、被害届ではなく告訴状の提出を目指しましょう。刑事告訴とは、被害を申告したうえで、犯人の処罰を求める意思を捜査機関に伝えることで、それを書面にしたものが告訴状です。

被害届で警察に伝わるのは、被害に遭ったという事実です。受理されても、捜査をするかどうかは警察の判断に委ねられており、届け出たきり連絡がないこともあります。被害届の書き方は「被害届の出し方は?どこの警察に出すかと必要なものを解説」で解説しています。

被害届と違い、告訴を受けた警察は、告訴に関する書類と証拠物を、速やかに検察官へ送る義務を負います(刑事訴訟法242条)。法務省の刑事事件フローチャートでは、この送付は、警察が一応の捜査を終えたうえで意見を付けて行うものと説明されています。

さらに、検察官は起訴するかどうかを決めたら、その結果を告訴人に通知しなければなりません(同法260条)。警察官が捜査で守るべき事項を定めた犯罪捜査規範の67条も、告訴があった事件は特にすみやかに捜査を行うように努めると定めています。

被害届と告訴状の違い(被害届は捜査するかを警察が判断→告訴状は警察が書類と証拠物を検察官へ送り、検察官が起訴か判断して結果を告訴人に通知)

ただし、告訴をしても必ず犯人が捕まるわけではありません。それでも、検察官へつなぐ手続きが法律で決まっている分、被害届にとどめるよりも事件が放置されにくくなります。すでに被害届を出した後でも、あらためて告訴状を提出することは可能です。

一方で、警察に重い手続きが生じる分、告訴状は被害届に比べて、受理してもらうのが難しい傾向があります。「内容が具体的でない」「証拠が足りない」として、受理を断られる例もあります。

告訴状には決まった書式がなく、詐欺の事実を法律に沿って組み立てる必要があります。作成と提出を弁護士に任せれば、形式的な理由で受理を断られにくくなります。費用の目安は「詐欺被害の弁護士費用はいくら?相場を解説」をご覧ください。

被害届が受理されないときにできること

証拠をそろえて相談しても、詐欺の届出を窓口で断られ、警察が動かないままになることはあります。そのときは、受理できない理由を担当者にはっきり尋ねてください。

「どんな被害かがはっきりしない」「裏づけが足りない」など、理由がわかれば、次に何を補えばよいかが決まります。

相談したときは、対応した警察官の名前と所属、日時、言われた内容を書き留めておきましょう。

なお、詐欺罪の公訴時効は7年で、これを過ぎると犯人を起訴できなくなります。時効の数え方は「詐欺罪の時効は刑事・民事で何年?逃げ切られる前にできること」で解説しています。

どこに相談すればよいか迷うときは、「警察相談専用電話#9110」にかけると、その地域を受け持つ警察本部などの窓口で相談に応じてもらえます。

被害届ではなく告訴状を出して、受理されなかった場合は、前の章で説明したとおり、弁護士に書面を整えてもらうのが近道です。一度断られた案件でも、書面を作り直して再提出したことで受理に至るケースがあります。告訴状を受理してもらうために気をつけたい点は、「告訴・告発の方法|告訴状を受理してもらうための5つの注意点とは」をご参照ください。

警察は詐欺で騙し取られたお金を取り戻してくれない

警察の役割は、犯人を捜査して処罰につなげることです。被害者に代わって、騙し取られたお金を取り返すことは、警察の仕事ではありません。

犯人が逮捕されて有罪になっても、被害金は自動的には返ってきません。返金を求めるには、被害者の側から加害者に請求していく必要があります。

返金を求める方法には、加害者との交渉や示談(話し合いによる解決)、損害賠償請求の民事訴訟などがあります。警察に被害届や告訴状を出していると、処罰を避けたい加害者の側から、返金を条件に示談を申し入れてくる場合もあります。弁護士が交渉に入って返金を実現した事例は「SNS投資詐欺で騙し取られた200万円を全額返金させた事例」で紹介しています。

銀行振込なら振込先の金融機関へすぐ連絡し、口座が凍結されれば、残高を上限に振り込め詐欺救済法の被害回復分配金を受け取れる可能性があります。ほかにも被害者がいれば残高を被害額に応じて分けるため、全額が戻るとは限りません。申請期間内に金融機関へ申請しないと受け取れず、支払いまで通常は半年以上かかります(金融庁:振り込め詐欺等の被害にあわれた方へ)。

また、同じ相手から追加の支払いや個人情報を求められても、応じないようにしてください。被害がさらに広がるのを防げます。

警察以外にも、詐欺被害を相談できる窓口はあります。目的に応じた相談先は「詐欺被害に遭ったらどこに相談?状況別の相談先と返金の求め方」にまとめています。

警察が動いてくれない詐欺被害は弁護士にご相談ください

詐欺の相談に警察が応じてくれない背景には、民事と判断された、犯人を特定できない、被害が軽微である、証拠が不十分であるという4つの理由があります。証拠をそろえ、告訴状の提出を目指せば、状況が変わる余地はあります。

弁護士であれば、告訴状の作成や警察署への同行といった刑事手続きのサポートから、加害者への返金請求による被害回復まで、一貫して引き受けることができます。警察の捜査と返金の手続きは別のものなので、両方を見通して進められるのは大きな利点です。

「民事だと言われて相手にされなかった」「被害届を出したのに、何の連絡もない」。そうして手詰まりのまま時間が過ぎるのが、詐欺被害の怖いところです。時間が経つほど詐欺師は口座からお金を引き出し、取り戻せる見込みは小さくなっていきます。あきらめて泣き寝入りしてしまう前に、まずは状況をお聞かせください。

弁護士法人若井綜合法律事務所は、詐欺被害の返金交渉に注力しており、投資詐欺やネット詐欺をはじめとする数多くの被害に対応してまいりました。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

詐欺被害の返金交渉に豊富な実績を持つ。一般社団法人 詐欺・不当要求対策協会の代表理事として、詐欺被害の撲滅に向けた研究・啓発活動にも取り組んでいる。投資詐欺、情報商材詐欺、占い詐欺など多様な手口に精通し、被害者の大切なお金を取り戻すために迅速に行動する。警察が動かないケースでも、弁護士による返金交渉や刑事告訴で解決に導いている。

投資詐欺 情報商材詐欺 占い・霊感商法 サクラサイト詐欺 不動産投資詐欺 返金交渉
メディア掲載 フジテレビ「とくダネ」/ ダイヤモンド・オンライン / @DIME / サイゾー 他多数
講演実績 「犯罪組織によるマネー・ロンダリングと投資詐欺への法的処置」「取り込み詐欺の法的処置」等
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