少しでも節税したい。将来の年金がわりに家賃収入という形で不労所得を得たい。そんな心情に付け込んでくる悪質な不動産投資詐欺が後を絶ちません。
- 「高利回りの物件です」
- 「家賃保証があるから安心」
- 「この物件は将来確実に値上がりする」
- 「マンション投資は節税になります」
- 「30年後に家賃収入が年金がわりになる」
- 「ローンを組んでも家賃収入があるから差し引きゼロ」
- 「買いたい人がいる」「すぐ売れる」
こういった甘い言葉に騙されて悪徳不動産業者と契約してしまいお悩みの方もいるかと思われます。
ここで悪徳不動産業者からお金を取り戻すための相談先として真っ先に思いつくのは法律のプロである弁護士でしょう。しかしながら、不動産投資詐欺に強い弁護士をどのような基準で選べばいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、不動産投資詐欺・不動産トラブルに強い弁護士が、
- 不動産投資詐欺に強い弁護士の選び方
- 不動産投資詐欺の返金を弁護士に依頼するメリット
などについて解説していきます。
なお、この記事を読んでも問題解決しない場合や今すぐお金を取り戻すために行動を起こしたいとお考えの方は、まずは弁護士に相談してみましょう。
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目次
不動産投資詐欺の契約を解消できる可能性があるケース
まず、ご自身のケースでは、不動産投資詐欺の契約を解消して返金を求めることができるかどうかを確認してみましょう。以下のような事例の場合には契約を解消できる可能性があります。
- 宅建業法や特定商取引法に基づくクーリングオフが使えるケース
- 消費者契約法の不実告知、断定的判断の提供、不利益事実の不告知があるケース
- 民法上の錯誤、詐欺、強迫による取り消しができるケース
家賃収入のみ込みや修繕積立金など将来的な変動に関する説明が無かった場合や、都合の良い部分にのみフォーカスしてそれ以外については説明をしない場合、サブリースの契約事項の説明を省略する場合などには、「断定的判断の提供」や「不利益事実の不告知」に該当する可能性があります。
そのうえクーリングオフの期間内であれば、無理由・無条件での申込みの撤回や契約の解除が可能ですので違約金などを支払う必要もありません。
また退去困難な場所に同行させられての勧誘があった場合や、威迫による相談妨害があった場合についても取消権を行使することができます。
例えば、勧誘することを告げずに帰宅する交通手段がない場所に消費者を同行して勧誘したケースや、「親や家族に相談したい」と告げたのにも関わらず、「自分の意思で決めるように」や「ほかの参加者は自分で決められている」などと威迫して消費者が第三者に相談することを妨害したケースが該当します。
不動産投資詐欺の契約を解消して返金請求できるかどうかは、不動産業者とのやり取り、契約に至るまでの経緯、契約書の内容を法律の専門家である弁護士に確認してもらうのが最も確実です。騙されたと感じた場合には、不動産投資詐欺に強い弁護士にまずは無料相談をすることをお勧めします。
不動産投資詐欺の解決を弁護士に依頼するメリット
不動産投資詐欺の解決を弁護士に依頼するメリットとしては以下のようなものが考えられます。
- 詐欺の被害の回復可能性の見立てを教えてもらえる
- 詐欺被害を回復する具体的な方法をアドバイスしてもらえる
- 詐欺師に対して支払いを請求する手続きを任せられる
- 相手方詐欺師が交渉に素直に応じるようになる可能性がある
- 法的な手続きによって被害者の権利を実現することが可能になる
不動産投資詐欺事件を弁護士に依頼することのメリットとしては、騙し取られてしまったお金を実際に回収することができるのか否か、その見立てについて教えてもらうことができます。
その際には具体的にどのような方法で被害金を回収するのかという回収方法についても併せてアドバイスを受けることができます。不動産投資詐欺の場合には、クーリングオフ制度を利用したり、錯誤や詐欺を理由として意思表示を取り消したり、不法行為を理由に損害賠償請求したりしていくこともあるため、あなたの事案で最適な解決方法を確認することができるでしょう。
その上で、相手方との交渉についても弁護士にすべてお任せすることができます。
具体的には特定した相手方に対して書面を送付して返金を請求し、ケースに応じて交渉をしていく必要があります。相手方との熾烈な交渉事項が発生した場合であっても弁護士に対応を一任しておくことができます。
また弁護士が被害者の代理人に就任した場合には、相手方にプレッシャーを加えることになります。被害者からの請求に応じない場合には、訴訟や強制執行が控えていることが容易に想像つきますので、任意での支払いに応じてくれる可能性も高まります。
不動産投資詐欺に強い弁護士の選び方
不動産投資詐欺に強い弁護士に依頼するための選び方のポイントとして、以下のような点が重要となります。
不動産投資詐欺に精通しているか
弁護士の業務は多岐にわたります。一般民事事件や家事事件、刑事事件から企業法務など得意分野も弁護士の個性によって異なります。
そのため、不動産投資詐欺に強い弁護士に依頼したい場合には、不動産投資詐欺の分野に注力しているか否か、詐欺事件を多く手掛けているか否かといった点を確認することがポイントでしょう。
不動産投資を含む詐欺事件は、事業者と消費者の間の消費者トラブルとして分類することができます。そのため消費者トラブル・詐欺被害の解決に注力していたり、その分野の最新情報を積極的に発信してる弁護士であれば、不動産投資詐欺にも精通している可能性があります。
また、消費者問題を研究する弁護士会の委員会に所属していたり、金融商品取引法など消費者問題関連法令の知識に精通している弁護士であれば、不動産投資詐欺にも強い可能性があるのです。
過去に不動産投資詐欺事件を扱ったことがあるか
実際に過去に不動産投資詐欺事件を解決した実績がある事務所であれば、安心して任せることができると思います。
過去の解決実績について事務所のホームページに掲載している法律事務所もたくさん存在しています。詳細までは分からないことがほとんどですが、具体的な解決結果や回収金額などを掲載している場合には、弁護士選びの参考にすることができるでしょう。
無料相談を実施しているか
その法律事務所が無料相談を実施しているか否かも弁護士選びの重要なポイントとなります。なぜなら事務所のホームページを熟読しても、実際に弁護士に会って相談してみないことには相性はわからないからです。
実際に弁護士に依頼する場合には、依頼者と弁護士の間の信頼関係が構築できることが重要となります。
そのため最初に話してみて「話しやすい雰囲気なので、この人にお願いしたい」と思えるかどうかがポイントとなるのです。
無料相談を実施している法律事務所であれば弁護士や事務所の雰囲気・接しやすさなどを確認することができますし、複数の事務所を検討したうえで実際に依頼する弁護士を決めることもできるでしょう。
弁護士費用について明瞭となっているか
弁護士事務所の料金体系は、事務所や依頼内容に応じて異なってくる可能性が高いです。
そのため、依頼する前に事件処理に係る弁護士費用について明確に説明してくれる事務所かどうかもチェックしておきましょう。
不動産投資詐欺を依頼して、被害回復・解決ができなかったのに、弁護士費用だけがかかる場合には依頼者にはコストだけがかかってしまうことになります。
誠実な弁護士であればそのような見込の場合でも「費用倒れになるので依頼をおすすめしない」と依頼者のためを思って真実を告げてくれるはずです。
不動産投資詐欺の弁護士による解決事例
相談内容①:手付解除を違法に拒否した事例
この事案ではご相談者が、業者から勧誘された投資用不動産を購入してしまい手付金解除により契約解除を求めていた事案です。
購入後に相談者が独自に調査したところ、当該不動産は業者が説明するような優良物件ではないことが判明したため、手付金を放棄して解除することにしました。
しかし業者は手付金の放棄だけでは解除はできず、高額な違約金を支払うように要求してきました。どうしようもないまま手付解除ができる期間を経過してしまったため困った相談者は弁護士に相談することにしました。
結果①
代理人弁護士から、依頼者の適法な手付解除を違法に妨害したと主張しました。
弁護士が業者と交渉した結果、業者は手付解除を認めそれ以上の違約金の支払いを求めないとう内容で解決することができました。
相談内容②:業者への買戻しを要求した事例
この事案では、相談者は業者から「節税効果の高い不動産である」「新築のため今しか購入できない」などと勧誘を受け高額な投資用マンションを購入してしまった事案でした。しかし相談者の住宅ローンの支払いは大きく損失が続いているため、弁護士に相談することにしました。
結果②
代理人弁護士は販売業者に対して、勧誘行為の違法性を主張しました。
粘り強い交渉の結果、ローン残高から諸経費を差し引いた金額で当該マンションを買い戻してもらうことができました。依頼者は毎月の住宅ローンの支払いがなくなったため、新たに家計を再設計して進んでいくことができるようになりました。
相談内容③:業者の説明義務違反があった事例
この事案では、投資用マンションの購入についてサブリース契約が締結されたものです。同契約に基づき家賃収入を得られていましたが、更新の際に大幅な賃料引き下げがなされてしまいました。相談者は不動産を売却しましたが、高額な売却損を被ってしまった事案です。
結果③
代理人弁護士は、業者側の説明義務違反を主張して、依頼者が被った損害について賠償するように裁判を提起しました。
裁判所は、業者が投資不動産のリスクに関して説明義務に違反した結果、本件損害を生じさせたと認定して、被害者の損害賠償請求を認める判断を下しました。
不動産投資詐欺の手口
不動産はその額も大きいため、不動産投資詐欺に遭ってしまうとその被害は甚大です。できるだけ被害に遭わないよう、不動産投資詐欺の手口を知っておくことは、今後のリスクヘッジにも有効といえます。
また、もしもすでに不動産投資を持ちかけられている、または不動産投資を考えているということであれば、詐欺師の手口を知っておくことはとても大切なことと言えます。不動産投資詐欺ではどんな手口が使われているのか、多いものをまとめました。
満室偽装詐欺の手口
マンション投資をしたいと考えている人にとっては、その物件が満室に近いことが重要です。満室になればそれだけ高利回りになりますが、空室が多いと家賃収入を効率的に得ることもできません。そのため、物件が満室であることを売りにして近づいてくる不動産投資詐欺師もいます。
その言葉を信じて物件を購入してみたら、実は不動産詐欺の仲間が一時的に賃貸していて満室に見せかけていた。または、満室にするために相場よりもかなり低い家賃で募集をかけていた。こんなケースもよくあるんです。
デート商法詐欺の手口
被害事例のところでも登場しましたが、不動産投資詐欺の舞台として「婚活」「出会い系」などが増えてきています。いわゆる「デート商法」です。以前は宝石の売買契約や高額のエステ契約などの詐欺手口でこのデート商法が使われていましたが、最近では不動産投資詐欺でも頻繁に登場してきていますので、注意が必要です。
婚活中の男女や出会いを求めている男女に「あなたに恋愛感情があります」という体で近づき、交際に発展。その後、実は自分は不動産をたくさん持っていて投資もしているが、高利回りの物件があるから買わないかと持ちかけてきたり、「二人の新居のために」といって新居の名目で不動産を買わせたりするのが手口です。
マイホームローン詐欺の手口
こちらも詐欺まがいの手口と言っていいでしょう。投資用物件をローンで購入するときには、事業用ローンを組まなければなりません。これは一般的に住宅ローンと呼ばれているものとは異なります。
最近では、マイナス金利などの影響で住宅ローンの金利は2023年3月時点では変動金利で約0.3%~程度です。しかし、事業用ローンの金利は低くても年率1%台。住宅ローンと同じ感覚で考えているとかなり痛い目を見ます。
そのため、「投資用物件でもマイホームローンが使えます」ということを売りにして近寄ってくる悪質な業者もいるのです。この話に乗って、投資用物件なのにマイホームローンを組んだことがローンを組んだ銀行などにバレたら、一括返済を迫られることも。痛い目を見るのは自分です。
手付金詐欺の手口
手付金を狙った詐欺も横行しています。業者を装って物件を勧め、数百万前後の金額を手付金に定めておきます。被害者がその不動産を購入することを決めて売買契約を結ぶときにまず手付金を支払わせます。そして、実際に引き渡しという段階になって連絡が取れなくなるというパターンです。
たいていの場合、物件が手に入るかというとそういうわけではなく、不動産登記も自分には移転していません。そのため、手付金分の金額だけを奪われる形になるのです。
海外不動産投資詐欺の手口
不動産投資詐欺の手口として、「海外不動産投資詐欺」があります。
海外不動産投資詐欺としては、実在しない架空の不動産を売りつけたり、情報不足であることを利用して何の価値もない土地・建物を高額で売りつけたりするものが典型的な手口です。
「いま経済成長が著しい東南アジアの不動産を購入しておけば売却益で儲けることができる」このような謳い文句で不動産投資を勧誘してきます。
近年東南アジア諸国では投資物件の建設ラッシュが続いた結果、購入者や入居者が見つからない地域もたくさんあります。詐欺師はこのような情報格差を悪用して「絶対儲かる」と海外不動産の投資を勧めてくるのです。
二重譲渡詐欺の手口
二重譲渡詐欺とは、すでに売却済みの不動産を更に別の第三者に販売して代金を騙し取る詐欺のことを指します。
既に所有権が移っていることを秘匿して購入を促し、手付金や代金を受領すると連絡が取れなくなってしまうというのが典型的な手口の流れです。
この場合、所有権の所在は原則として先に不動産登記を具備したものが優先することになりますので、第一購入者が先に登記を備えてしまえば第二購入者は不動産の所有権を取得することはできません。
詐欺師が逃げてしまって所在不明となってしまった場合には、不動産は自分の物にならず、支払った現金も取り戻せないという状況に陥るケースもあります。
不動産登記を確認することで所有者を確認することができますが、登記を移転する前に権利証や必要書類などが販売者の手元にある場合や、物件所有者が詐欺に加担している場合には二重譲渡詐欺であると見破るのは困難でしょう。
二重譲渡詐欺の被害に遭わないようにするためには、実績のある信頼できる不動産業者を利用することが重要でしょう。
審査資料の改ざん詐欺の手口
審査資料を改ざんする詐欺の手口があります。
金融機関による融資については年収や資産状況に応じて変わってきます。一般的には年収や資産が多いほど高額のローンを組むことができます。
しかし不動産投資詐欺の場合には、源泉徴収票や課税証明書などの収入証明・審査資料の数字を改ざんして、より高額なローン契約を通そうとする詐欺業者も存在しています。
金融機関への発覚を免れても、本来であれば自分の収入・資産に見合わないローンを組んでいることになるため、想定外の支出が続いてしまうと家賃収入や給与収入で賄えなくなり、最悪のケースでは生活が破綻してしまうおそれがあります。
正確な資料を提出していても裏で無断で数字をいじられているおそれもあるため、金融機関に提出する資料についてはご自身の目で最終確認することが重要でしょう。
サブリース詐欺の手口
サブリース詐欺とは、安定した保証料を受け取れることを謳ってサブリース契約をしたにもかかわらず、結果的にそのような保証料を受け取ることができないというものです。
サブリース契約とは、不動産全体を対象に不動産オーナーと管理会社が賃貸借契約を結び、管理会社がオーナーに対して家賃を支払うという構造の契約です。そのため、不動産オーナーは空き室があっても一定の保証料を受け取れるため、魅力的な契約に思えるのです。
しかしサブリース詐欺の場合には、家賃保証率や保証金の金額が見直される可能性があり、入居率の悪さなどから一方的に保証金の支払いが減らされてしまうケースが後を絶ちません。
サブリース契約時には保証金額や保証率が変動するリスクについては十分に説明されないまま、「空き室になっても毎月〇十万円を受け取れる」や「保証率は永久に変動しないため安心(この場合家賃が下げられるリスクあり)」などの魅力的なオファーに乗せられて契約してしまうのです。
聞いていた話と違うと思ってサブリース契約を解除してしまうと、ローン支払い義務と完済後も入居者のほとんどいないアパート・マンションを所有しているオーナーという地位のみが残ってしまうことになります。
不動産投資詐欺師がよく使うセリフ
不動産投資詐欺の手口はそう多くはありません。また、よく使われる言葉というものもあります。この言葉で近づいてくる人が全て詐欺師というわけではもちろんなく、中には本当に掘り出し物の投資用物件も存在するでしょう。
しかし、そこを見極められる目がなければ、詐欺被害に遭ってしまう確率が高まってしまいます。もしこれから書くような言葉を巧みに使って不動産投資を持ちかけてくる人がいた場合、とりあえずは警戒してください。その上で、後から解説する「不動産投資詐欺と優良業者を見分ける5つの視点」を参考に、詐欺業者なのかそうではないのかを確認してください。
「高利回りの物件だ」
一般的に、マンションなどの不動産投資では実質的な利回りは5%程度と言われています。利回りとは、元金に対する利益の割合のこと。高利回りの物件を見つけることは、不動産投資を行う上では重要なことです。
不動産投資詐欺を持ちかけてくる詐欺師の中には、「利回り20%以上の高利回り物件です」などと言って、その物件が高利回り物件であることを大きくアピールしてきます。中には、業者を装ってしっかりとしたパンフレットを渡してくる詐欺師も。
しかし、利回りにはからくりがあるんです。利回りには表面利回りと実質利回りという2つの表示があり、表面利回りは「物件の全ての部屋が満室になった時の利回り」のこと。
さらに、この数字にはランニングコストなどの複雑な計算は含まれていません。ただ単に、年間の家賃収入を物件価格で割っただけのものなんです。満室を想定して計算されている上に、不動産にかかる費用は計算に含まれていないとなれば、高い数値が出るのは当然。
もしも高利回りを謳って近づいてくる人がいたら、それが実質利回りなのか表面利回りなのかはしっかりと確認しましょう。
「家賃保証があるから安心」
不動産投資をしても、空室が多ければ家賃収入が見込めないため収益が上がりません。そこで、「家賃保証がある」といって安心させ、不動産投資を勧めてくる業者もいます。
家賃保証とはサブリースとも呼ばれ、空室があったとしても一定の家賃収入を業者が保証してくれるというシステムです。家賃保証にはいろいろなタイプがあり、入居者が家賃を滞納したときに滞納した家賃を代わって負担するものや、オーナーと入居者の間に業者が入って、まずオーナーから業者が不動産を一括借り上げするものなどがあります。
この家賃保証、確かにとても魅力的なシステムではありますが、もしも持ちかけられたときにはしっかりとその契約内容を確認してください。家賃保証は最初の数年のみ、となっていたり、一定期間後は数年ごとに条件を変えながら更新していくシステムになっていたりすることもあります。
投資用物件を購入した当初は家賃保証として提示される金額が高くても、年数が減るごとに金額が下がっていくことはよくあること。また、一旦契約したあとで業者から条件変更を提示されたとき「話が違うじゃないか」とクレームをつけても、「では家賃保証の契約はなしということで」と取り合ってくれない可能性が高いんです。
悪徳業者ではない一般的な業者とのサブリースでも、自分の思っているメリットがある契約になっているのか、しっかりと確認しておく必要がある部分と言えます。
「この物件は将来確実に値上がりする」
地価というのはなんらかの要因で変動します。例えば、近くにリニア新幹線の駅ができることになった・大型ショッピングモールができることになったという理由でも、地価は変動します。
そのため、「将来ここのエリアは絶対に値上がりする」「すでに銀行で働いている人たちがたくさんこの辺の土地を買っている」などと言って不動産投資を持ちかけてくる人もいます。ここは慎重に判断してください。
確かに、世間で「地価が上がった」とわかるかなり前の段階で「ここの土地は将来的に値上がりする」と知ることができる業種もあります。ただ、なぜ騙されやすいかというと、自分ではその情報が本当かどうかがわからないから。
そこで銀行員や公務員など一定の権威や信頼性があるステイタスの人の情報を持ってこられると「その人たちが『買いだ』と言っているなら大丈夫だろう」といって信じ込んでしまうのです。将来本当にその土地が値上がりするかどうかは、予測はできても100%確実なことは誰にもわかりません。もしも将来の値上がりをアピールしてくる人がいたら、その根拠を詳しく聞き出しましょう。
そして、その根拠が信用するにあたいする情報なのかを、できるだけ色々な角度から情報を仕入れて検証してください。
「マンション投資は節税になります」
ワンルームマンション投資の売り文句で多いのが、「節税になる」という言葉。医者や公務員、大手企業の重役など、高額所得を得ていると思われる人が副業としてマンション投資をすることで、所得税や相続税などの節税になるというものです。
確かに、マンション投資では購入費用を減価償却して損金計上することができるため、本業の所得や経費と損益通算をすることで節税につながることは珍しくありません。また、現金で大きなお金を持っておくよりも、不動産に変えた方が基本的に相続税評価額や固定資産税評価額が低くなるため、相続税の対象額が少なくなって結果的に課税される相続税が低く済むというメリットはあります。
ただ、損益通算をして課税対象額が減るということは、マンション投資で少なからず赤字が出ているということ。節税には繋がったとしても、長期的に見て抱え込む赤字が大きくなってしまったのではあまり意味がありません。
物件を検討するときにはこの点についてしっかり検討しておき、持ちかけられている話が本当に自分にとって利がありそうなのかを判断してください。また、このような謳い文句で手付金をだまし取る詐欺被害も横行しています。
「30年後に家賃収入が年金がわりになる」
「将来的に家賃収入が定期的にかつ安定して入ってくることで年金がわりになります」というのも、不動産投資詐欺が使ってくる手口の一つです。確かに家賃収入は不労所得なので、安定継続収入が得られると考えれば美味しい話です。
しかし、土地以外の不動産は、建てた瞬間から老朽化が始まります。十年後、二十年後にその投資用物件はどんな状態になっているのでしょうか?修繕やリフォームが必要な状態になっていれば、当然修繕費やリフォーム費用はかかります。さらに、毎年の固定資産税も発生していきます。まずはこの点をしっかり押さえてから、業者の話を冷静に聞くことが大切です。
詐欺師は、できるだけ情報を持っていない人を狙ってきます。「詳しいことはよく分からないけど儲かるらしいからやってみたい」という人が一番ありがたいのです。ターゲットにされないように、うまい話に潜むデメリットをしっかりと把握しておいてください。
「ローンを組んでも家賃収入があるから差し引きゼロ」
マンション投資をするだけの資金がない人に対しても、悪徳不動産業者は近づいてきます。「マンションのローンが月10万かかったとしても、家賃収入が月10万入ってくれば手出しは0円です。ローンの支払いが終われば、まるまる10万円は毎月自分のものになります」と言われたら要注意!
先ほども解説した通り、マンション投資にはランニングコストがかかります。その上修繕費などの突発的な支出が出る可能性もあるんです。それに、空室リスクを考えれば、毎月安定して賃料が入ってくる保証はどこにもありません。
何より、マンション投資詐欺で危険なのがオーバーローンを組んでしまうこと。初期費用から何から全てをローンでまかなうことをオーバーローンと言いますが、投資用物件で高額のローンを組んだ後で、自分の居住用物件の住宅ローンを組もうとする場合、審査が下りないケースが多いので注意してください。
住宅ローンなどのローンを組む場合は、一年間の返済額が収入の何割程度までという上限が決められています。これは銀行によって基準が異なりますが、概ね収入に対する返済額が3割程度だと見ておくとわかりやすいでしょう。
投資用物件でこの3割を満たしてしまった場合、さらにローンを組むことが難しくなるのです。マンション投資で得た家賃収入を自宅の住宅ローンに回せばいい、などと言葉巧みに言われたら注意してください。
「買いたい人がいる」「すぐ売れる」
収益化できる不動産を保有して不動産投資を行いたいという人もいれば、今手持ちの不動産を早めに現金化して新しい物件を購入したいと考えている人もいます。そういう人にとっては、今保有している不動産が高値で売れることはもちろんですが、できるだけ早く売れることも重要なことです。
不動産投資詐欺の加害者は、「今その物件を買いたいといっている人がいる」といって被害者の関心を引きます。そして、「この人を逃したら売れない」「相場より少し値段を下げるならすぐに購入する」などといって、不動産を買い叩いてきます。
しかし実際にはその不動産を購入したいという人がいるわけではなく、結果として被害者は相場よりもかなり安い金額で不動産を手放すという被害に遭うことになるのです。
悪質不動産業者の特徴
運営費用やデメリットについては話さない
マンション投資には、ランニングコストがかかります。毎年の固定資産税、収入が上がれば所得税や住民税なども上がりますし、入居者が退去したらリフォームが必要なこともあります。このようなランニングコストについてはほとんど説明せず、「家賃収入で全てまかなえます」などとうまい話ばかりを持ちかけてくるのは悪徳不動産業者の特徴です。
強引に勧誘してくる・契約を急かす
不動産投資詐欺の被害で多いのが、とにかく強引な営業を受けた、恐喝に近いような罵詈雑言を言われた、というようなケースです。
詐欺は「うまい話」を持ちかけてくるものなので、冷静な判断力がある人であれば「この話怪しいかも」と見破ることもできるため、詐欺師はとにかく相手の判断能力を奪おうとしてきます。
不動産投資詐欺のケースではなくても、「長時間同じところに拘束されて延々契約を迫られた」「不安を煽り、契約しなければ大変なことになると思わせる」「一旦持ち帰って考えるといっても承諾せず、その場で契約するまで返さない」など、監禁や恐喝とも呼べそうな手口を使って早急に契約を進めようとすることも。
不動産投資の場合も、「この投資用物件、あなたに合うと思って担当者にアポを取っておいたから」「とにかく仮申し込みだけしておきましょう」など、強引になんらかのアクションを取られ、そこからなし崩し的に契約に持ち込もうとするのも悪質不動産業者の特徴です。
事務所がない・雑居ビルに所在している
悪質不動産業者を見分けるための特徴として、事務所がなかったり事務所があっても雑居ビルなどグレードの低い建物に所在している不動産業者には注意しておく必要があります。
なぜなら事務所がないということは、すぐに行方をくらませることが容易だからです。
またグレードの低い建物に所在しているということは、グレードの高い建物に入居できるような実績がない可能性があるからです。
逆に入居審査基準が厳しいグレードの高い建物に事務所を構えている事業者であれば信頼できる業者である可能性が高まります。
宅建免許がない・宅建士を雇っている
また宅建免許を所持していない不動産会社も要注意です。
宅建とは宅地建物取引士の略称で、不動産取引における専門家を指す国家資格のことをいいます。
不動産売買取引は、一般的に高額な買い物ですので不当な契約を締結してしまうと当事者は大きな損失を負うことになってしまいます。そのため不動産取引を適正に行うために宅地建物取引士には複数の独占業務が規定されています。例えば契約締結前の重要事項の説明や契約内容を記した書面への記名などです。
ホームページや渡された名刺に免許番号がなく宅建免許を持っていることを確認できない場合には注意しておいてください。
また宅地建物取引士を雇っている場合には小規模で実績のない事業者である可能性があり信頼できないおそれがあります。
そのような業者に任せてしまうと、物件価格が相場よりも高い・利回りが低いなど悪条件の不動産を購入してしまうことに繋がってしまいます。
不動産投資詐欺の被害にあわないための対策
これから不動産投資を考えている人や、現在不動産投資をしていて「もしかすると詐欺に遭っているかもしれない」と不安になっている人は、不動産投資詐欺の手口と合わせて、ぜひこの対策法を押さえておいてください。
投資コンサルタントやセミナー講師の営業には警戒を
不動産投資詐欺師の多くは、投資のプロという顔をして被害者に近づいてきます。例えば、投資コンサルタントや不動産会社などがその例です。特に、投資コンサルタントには要注意。もちろん全ての投資コンサルタントが怪しい詐欺師というわけではありませんが、不動産投資詐欺のターゲットを見つけるためには、投資コンサルタントを装うことのメリットが大きいのです。
そのメリットとは、「投資に興味がある素人」を集めることができること。投資コンサルタントの中には初心者を集めた投資セミナーを行なっているところも少なくありません。初心者向けのセミナーには、投資の素人が集まるのは当然のことですよね。
そうして初心者を集めておいて、不動産投資詐欺を仕掛けるのです。投資コンサルタントや投資セミナーに出席する際には、講師とは適度な距離を保ち、相手が信頼できるかどうか事前にしっかり調べてから参加しましょう。
不動産業者の名前で検索してみる
不動産業者などから不動産投資を持ちかけられた場合は、その場で即決せずに名刺を受け取り、家に帰ってインターネットでその業者の名前や担当者の名前を検索してみてください。
常習的に不動産投資詐欺を行っていたり、詐欺までは行かなくても悪質なことをして不動産投資被害を出している業者は、ネット上で注意喚起されていることも少なくありません。名前で出てこなければ、所在地で調べてみてもいいですね。会社の所在地となっているところがバーチャルオフィスだったり、架空の住所だったりするときは、警戒心を強めてください。
デメリットをしつこく聞いて反応を見る
詐欺師は、基本的にメリットばかりを話してきます。信ぴょう性を高めるためにデメリットについて話すこともありますが、契約に影響しない程度の軽いものばかりで、本当に致命的なことにがあっても隠していることが少なくありません。
不動産投資を持ちかけてきている人が詐欺かどうかを見分けるためにも、自分のリスク管理のためにも、その投資物件に関するデメリットがないかどうかしつこく聞いて反応を見るという方法も有効です。
物件にかかるランニングコストを一覧表にしてもらう、実際に運用が始まった後の収支表を出してもらうほか、物件に抵当権がついていないか、登記簿謄本は見せてもらえるのかなど、少々面倒と思われるようなことも遠慮なく聞いてみましょう。
痛いところを突かれた時の反応で、その業者が信頼できるかどうかがわかります。黙りこむ・話をそらすなどの反応の他にも、逆ギレする・急に態度が変わるなどの反応が来たら要注意。取引をするのは避けた方が賢明です。
まずは知識を身につけること
不動産投資だけではありません。株式投資も、FXなどの外貨投資も、投資で利益を上げたいのなら、まずは自分でしっかりと基礎知識をつけ、投資経験を積むことが成功に向かうために必要です。それに、知識がなければその儲け話が詐欺なのかどうかも判断できません。
不動産投資に関しては、本当にその不動産の利回りが高いのか、空室が出にくいのかということをしっかり調べましょう。それから投資するかを決めても遅くはありません。
他の不動産業者にも相談してみる
セカンドオピニオンとして、不動産投資をする前に、信頼できる他の不動産業者やコンサルタントに相談して意見を聞いておきましょう。
この時に注意して欲しいのが、不動産投資を勧めてきた人からセカンドオピニオン先を紹介してもらわないこと。グルになって詐欺を働く可能性もあるため、ここは重々注意してください。
弁護士以外にもある!不動産投資詐欺の相談窓口
免許行政庁
宅地建物取引業者と不動産取引に関してトラブルになった場合には、免許行政庁まで相談することができます。
以下のようなトラブルがあった場合には、具体的な状況を様子を記録しておき免許行政庁に報告しましょう。
- 不確実な将来利益の断定的な判断を提供する
- 強引に契約を迫られている
- 脅迫めいた発言があった など
国土交通省から消費者の皆さんへのお知らせ・注意喚起(マンションの悪質勧誘・訪問、アンケート調査等) - 国土交通省
宅地建物取引業保証協会
宅地建物取引に関する苦情については、宅地建物取引業保証協会に相談することができます。
宅地建物取引業保証協会は、消費者から苦情の解決の申出を受けた場合には、その相談に応じ申出人に必要な助言をし、その苦情に係る事情を調査してくれます。そのうえで問題の会員に対して当該苦情の内容を通知して迅速な苦情の解決につとめる責務を負っています。
必要に応じ会員に対して、文書もしくは口頭による説明や資料の提出を請求することができ、会員はこの請求を拒むことができません。
当該苦情が自主解決もしくは撤回されない場合には、弁済業務へと移管し、当該苦情にかかる申出人の主張する債権を弁済認証すべきか否かの判断をすることになります。
消費生活センター
消費生活センターでは、商品やサービスなど消費生活全般に関する苦情や問い合わせなど、消費者からの相談を専門の相談員が受け付け、公正な立場で処理にあたっています。
そのため不動産投資詐欺の被害に遭った場合には、全国の消費生活センターに相談することができます。
どこに相談したらいいのか分からないという場合には、消費者ホットラインを利用することができます。「188」をダイヤルすることで全国どこからでも利用することができ、最寄りの消費生活相談窓口を案内してもらうことができます。
都道府県等の消費生活センター等が開所していない場合には、国民生活センターに電話がつながることになります。
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