- 恋愛中に起きるトラブルにはどのようなものがあるの?
- 交際相手とトラブルになってしまった…どう対処すればいいのだろう
このような疑問や悩みをお持ちではないでしょうか。
そこでこの記事では、男女トラブルに強い弁護士が、法律事務所に多く寄せられる恋愛トラブルの相談の中から、とくに相談件数の多いよくある恋愛トラブルとその対処法を、法的な観点から解説していきます。
今現在、恋愛トラブルに巻き込まれている方で、この記事を読んでも問題解決しない場合には弁護士までご相談ください。
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目次
よくある恋愛トラブルと対処法
恋愛トラブルの種類は無限にあるといっても過言でないほどたくさんありますが、ここでは、日々多くの男女トラブルの相談を受けている弁護士が、とくに相談件数が多い8つの恋愛トラブルに絞って、法的な視点からその対処法を解説していきます。
具体的には以下の8つの恋愛トラブルについての解説となります。
- 恋人に浮気された
- 元交際相手からのストーカー・嫌がらせ
- 交際相手が実は既婚者だった
- あげたものを返せと言われた
- 不倫相手の配偶者からの慰謝料請求
- 婚約破棄
- 妊娠トラブル
- 交際相手が別れてくれない
恋人に浮気された
交際している男女の間でトラブルとなる典型的な問題が、「恋人に浮気された」というトラブルです。
浮気された側が取り得る法的な対応方法としては、恋人に対する慰謝料請求が考えられます。
しかし原則として、恋人に浮気されたことを理由にパートナーに慰謝料請求することはできません。
結婚した夫婦間では、浮気により「平和な結婚生活を送る権利」が侵害されたとして不法行為(民法709条)にもとづく慰謝料請求ができますが、恋人間にはそのような権利が存在していないからです。
しかし以下の2つの場合には「権利・利益」侵害が認められ慰謝料請求できる可能性があります。
- ①男女が婚姻していないものの「内縁関係」にあるといえるケース
- ②男女が「婚約」していたケース
まず「内縁関係」とは、法律上の婚姻届を提出していないものの、法律婚の夫婦と変わらないという実態が伴っている男女のことを指します。内縁関係が認められる場合には婚姻関係にある夫婦と同様の保護が与えられることから、男女は双方に対して貞操義務(他の異性と性的関係を持ってはいけない義務)を負うことになります。したがって、浮気をしたパートナーには貞操権侵害の不法行為が成立する可能性があるのです。
次に「婚約」とは、男女が誠心誠意をもって将来夫婦になるという合意が成立していることを指します。判例上、婚約の不当破棄は不法行為が成立し、破棄された当事者は相手方パートナーに慰謝料を請求することが認められています。
このように、恋人同士であっても、内縁関係や婚約が成立している場合には、浮気された側は相手に対して慰謝料請求をすることで法的な責任を取らせることが可能です。
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元交際相手からのストーカー・嫌がらせ
元交際相手からのストーカー行為や嫌がらせ行為も、恋愛トラブルとして頻出しています。
ストーカー行為は「ストーカー規制法」によって禁じられており、この法律に違反した場合には刑罰が科されることもあります。
元交際相手が以下のようなつきまとい行為を繰り返し行ってくる場合には、ストーカー行為として犯罪に該当する可能性が高いです。
- つきまとい、待ち伏せ、押し掛け、うろつきなど
- 相手方の行動を監視していると思わせることを伝える
- 面会や交際など義務のないことを行うように求めること
- 著しく粗野、乱暴な言動をすること
- 無言電話や大量のメールを送りつけてくること
- 汚物や動物の死体など、著しく不快になるようなものを送りつけてくること
- 名誉を害することを告げたり、閲覧できる状態に置くこと
- 性的羞恥心を害するようなことを告げたり、閲覧できる状態に置くこと
ストーカー行為をした者は、「1年以下の懲役」または「100万円以下の罰金」が科されます。また禁止命令(「ストーカー行為をするな」と公安委員会から出される命令)等に違反した者は、「6か月以下の懲役」または「50万円以下の罰金」が科され、禁止命令等に違反してストーカー行為を繰り返した者は「2年以下の懲役」または「200万円以下の罰金」が科されることになります。
元交際相手から上記のような嫌がらせの被害に遭っている場合には、警察や弁護士に相談することがおすすめです。
警察に対応をお願いすることで相手方に警告してもらえたり、ひどい場合には事件として立件してもらえたりする場合があります。
また、警察沙汰にまでしたくない場合には、弁護士に代理人になってもらうことで警告文を送付したりストーカーをやめるよう交渉してくれます。
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交際相手が実は既婚者だった
結婚を視野に入れて交際していた相手が「実は既婚者だった」というトラブルもあります。
このようなケースで、あなたが「既婚者だと知らずに騙されていた」という場合に、相手方の行為が不法行為であるとして慰謝料を請求できる可能性があります。
この場合には「相手が既婚者であることを知らなかった」という事実を立証できる証拠があることが重要となります。相手方の発言やメール・LINEなどのメッセージの内容などで独身であることを積極的に伝えてきている場合には重要な証拠となります。
また仮に相手が既婚者であることを知らなかったことを立証することができない場合であっても、相手方が嘘をついて騙しており相手方の違法性が著しく大きいと評価できる場合には例外的に貞操権侵害を理由に慰謝料請求することが認められています(最高裁昭和44年9月26日判決)。
また交際相手が既婚者であることが分かった場合には、すぐに関係を終了させることも重要です。なぜなら、そのまま交際を継続していると相手方の配偶者から不貞行為を理由として逆に慰謝料を請求されてしまうリスクがあるからです。
既婚者と肉体関係を持つことは、相手方の配偶者にとってはあなたが不貞行為の相手方にあたり、配偶者の貞操権を侵害する不法行為に該当してしまうのです。
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不倫相手の配偶者からの慰謝料請求
上記のように既婚者と異性交際をしてる場合には、不倫相手の配偶者から慰謝料請求される可能性があります。
この場合「相手が既婚者であることを知らなかった」と主張しても賠償義務を免れないケースもあるので注意が必要です。
不法行為責任の成立要件は「故意または過失」です。したがって、加害者が既婚者であることを知らなかったとしても「既婚者であると知らなかったことに過失がある」と判断された場合には不法行為責任を問われる可能性が高いです。
ここでいう「過失」とは、既婚者と知らなかったことに不注意があるということを指します。相手方の言動や実際の交際状況を総合的に判断して故意・過失の有無は認定されることになりますので、知らないフリをしたからといっても容易に損害賠償責任から逃れられるとは限らないのです。
もっとも、証拠資料から実際に無過失を主張できる場合もありますので、相手方の配偶者から不貞行為で慰謝料請求されてた場合には、すぐに弁護士に相談して依頼するのがおすすめです。弁護士に代理人となってもらうことで、相手方と示談交渉をしてもらい穏当な内容でまとめられる可能性がありますし、訴訟に発展したとしても対応を任せておくことができます。
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婚約破棄
交際期間が比較的長期に及ぶカップル間のトラブルとして「婚約破棄」の問題があります。
婚約の成立は結納や婚約指輪の取り交わし・両家顔合わせの有無など客観的な事情から判断されることが通常です。そして婚約が有効に成立しているにもかかわらず「正当な理由なく約束を履行しない」場合には、不法行為または債務不履行を理由に慰謝料請求が認められる可能性があります。
正当な理由による婚約破棄とは言えないのは、以下のようなケースです。
- 親が結婚に反対している
- 性格の不一致
- 信仰の違い
- ほかに好きな人ができた など
逆に、婚約破棄に正当な理由があると認められる可能性が高いのは以下のようなケースです。
- 相手から暴力(DV)やモラハラ被害に遭っていた
- 相手が行方不明になった
- 相手が浮気をして自分以外と性的関係を持った
- 相手が失業するなど、経済的に困窮する状態となった など
正当な理由なく婚約破棄された側が慰謝料請求をするには、そもそも婚約が成立していることが前提ですので、婚約成立の証拠を集めましょう。例えば、婚約指輪や結納品を購入したことを裏付ける資料、結婚式の申込書や内金を払い込みした際の領収書などが証拠となり得ます。
逆に、婚約破棄をした側が慰謝料を支払わないようにするためには、正当な理由のある婚約破棄であったことを証明できる証拠を集めましょう。例えば、暴力を受けて治療を受けた場合の医師の診断書、相手が浮気相手とラブホテルに出入りする写真・動画などが証拠となり得ます。なお、婚約破棄をした原因が相手にある場合には婚約破棄をした側が相手に対して慰謝料請求をすることもできます。
あげたものを返せと言われた
交際関係が終了した際に発生するトラブルとして、相手方に「これまで挙げた物を返せ」と要求されてしまうことがあります。
原則として相手からプレゼントとしてもらったものについては、返す義務はありません。
プレゼントする行為は法的には「贈与」契約に該当します。そして書面によらない贈与については各当事者がいつでも解除することができますが、「履行が終了した贈与」については解除することができない旨が規定されています(民法第550条参照)。
つまりプレゼントがまだされていない段階ではあなたは約束通りにプレゼントをするように相手に対して請求することができませんが、一度プレゼントされた物については返す必要がないということです。既に受け取った物(金銭も含む)の返還を求められても贈与であったことを主張して拒否しても構いません。
ただし解除条件付贈与や相手を騙して贈与を受けた場合には、もらったものでも返さなければなりません。婚姻に至らないことを解除条件として行われた贈与は解除条件付贈与にあたり、結婚指輪や結納などがこれに当たります。また民法上「詐欺または脅迫」を原因としてした意思表示は取り消すことが認められています(民法第96条参照)。したがって、例えば、結婚するものと相手に思い込ませ、相手方が錯誤に陥った状態でプレゼントをした場合にはそれを返還する義務を負うことになるのです。
妊娠トラブル
恋愛トラブルで顕出しやすいのが「妊娠にまつわる様々なトラブル」です。
例えば、交際関係にある男女間でよくある妊娠トラブルとしては以下のようなケースがあります。
- 彼氏に妊娠を告げたら中絶を迫られた
- 彼氏に妊娠を告げたら連絡がとれなくなった
- 彼女に中絶するようお願いしたら高額な慰謝料を要求された
- 彼女から中絶費用の全額を負担するよう要求された
- 自分は既婚者なので彼女に中絶してもらいたいが彼女が産むと言って聞かない
- 彼女が妊娠したと言っているのは嘘かもしれない
法的には、仮に人工妊娠中絶することになった場合、中絶にかかる費用は男女で折半です。性行為については両当事者の合意がある以上、女性が妊娠したとしても原則として男性は慰謝料を支払う必要はありません。ただし、以下のようなケースでは、女性から男性に対する慰謝料請求が認められる可能性があります。
- 女性の同意に基づかず、男性が強制的に性行為に及んだケース
- 脅迫、暴行などによって中絶を強要されたケース
- 男性が避妊していると嘘をつき、女性が騙されて性交渉に応じたケース
- 妊娠、中絶に対して男性側が配慮義務に違反していたケース
また、結婚をしないまま女性が子を産むことを選択した場合、子どもは婚外子となるため、法律上父子関係を発生させるためには相手方に「認知」をしてもらう必要があります。この認知手続きによって父親との間に法律上の親子関係が創設されることになり、父親に養育費の支払い義務や子どもに相続権が発生することになるのです。
ご自身のケースでは慰謝料を求めることができるのか(男性からすれば請求を拒否できるのか)については個々のケースで異なるため、法律の専門家である弁護士に相談しましょう。弁護士に依頼すれば、慰謝料請求(男性からすれば請求の拒否)の交渉や訴訟、認知の訴えも一任できます。
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交際相手が別れてくれない
一方が関係を終了させたとしても他方が別れてくれないというトラブルも恋愛関係にはつきものです。
「別れたら自殺してやる」や「別れたら〇○する」などと脅してくる場合に問題となります。
まず「自殺してやる」は、発言者自身の法益を侵害する発言なので基本的には脅迫罪に該当しません。例外的にあなたの名誉や財産に対する害悪の告知に当たると判断される場合には脅迫罪となる可能性があります。脅迫を加えたうえで交際関係の継続を迫る場合には、強要罪に該当する可能性があります。上記のような内容の電話やメール、LINEを繰り返しあなたに送りつけてくる場合には、ストーカー規制法上の「つきまとい等」に該当する可能性もあります。
脅迫・強要・執拗な連絡により交際相手と別れられない問題を抱えている場合には、お一人で対応しようとせずに警察に対応を依頼するのが適切です。警察が被害届を受理して相手を逮捕してくれればそこで交際関係を終了させることができます。ただし、脅迫やつきまといの証拠がないと警察が動いてくれないこともあるため、相手から送られてきたメールやLINEの履歴は絶対に消さないようにしましょう。また、電話の際はスマホの録音アプリで会話を全て録音して保存しておくようにしましょう。
なお、警察が刑事事件として立件してくれない、警察沙汰にはしたくない、逆恨みが怖い、といった場合には弁護士に相談しましょう。恋愛トラブルに長けた弁護士であれば、相手との交渉し、穏便に別れられることも少なくありません。
「自殺してやる」は脅迫罪に当たる?本当に自殺されたら責任を負う?
まとめ
「可愛さ余って憎さが百倍」といった諺があるように、これまで仲の良かったカップルがひとたび恋愛トラブルに発展すると、恋愛感情の反動から怨恨の感情が増幅し、最悪のケースでは殺傷事件にまで至ってしまうことすらあります。
たかが恋愛トラブルと甘く考えずに、少しでも身の危険を感じた場合にはすぐに警察または弁護士に相談しましょう。
弊所では、恋愛トラブル・男女トラブルの豊富な解決実績があり、できるだけ穏便に解決することを得意としております。親身誠実に弁護士が依頼者を全力で守りますので、大ごとにせずに恋愛トラブルに終止符を打ちたい方はまずはご相談ください。相談する勇気が解決へと繋がります。
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