
交際相手や配偶者、パートナーから「死ぬ」「死んでやる」「お前のせいで死ぬ」と脅されたり、死を仄めかされたりして、「これって脅迫罪にならないのだろうか」「本当に自殺されたら自分のせいになるのでは」と不安を抱えていませんか。
結論から言うと、自分が死ぬと告げるだけでは基本的に脅迫罪には当たりません。脅迫罪は相手やその親族に害を加えると告げた場合に成立する犯罪であり、自分自身を害すると宣言しただけでは構成要件を満たさないためです。ただし、発言の前後の内容や状況次第では、脅迫罪以外の犯罪が成立するケースもあります。
この記事では、脅迫・恐喝事案の解決実績が豊富な弁護士が、次の点について解説します。
- 「死ぬ」「死んでやる」は脅迫罪になるのか
- 強要罪・恐喝罪・ストーカー規制法違反が成立するケース
- 本当に自殺された場合に責任を負うのか
- 脅された場合の具体的な対処法と相談先
なお、パートナーから死や自殺を仄めかされて繰り返し脅されてお悩みの方は、一人で抱え込まず、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談へお気軽にご連絡ください。
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「死ぬ」「死んでやる」は脅迫罪に当たるのか
脅迫罪(刑法222条)は、本人または本人の親族の生命、身体、自由、名誉、財産に対して害を加えることを告知すること(これを「害悪の告知」といいます)で成立します。
「死ぬ」「死んでやる」「自殺する」「お前のせいで死ぬ」「死んで責任を取る」といった言葉は、発言者が自分自身に害を加えると宣言しているに過ぎず、言われた側の生命・身体・自由・名誉・財産に対する害悪の告知にはあたりません。したがって、このように自分の命を盾にする発言については脅迫罪は原則として成立しません。
ただし、「遺書にアナタから受けた仕打ちを書く。周囲から白い目で見られるわね」「アナタの自宅で首を吊ってやる。事故物件になればいいわ」といった発言であれば、名誉や財産への害悪の告知として脅迫罪に該当します。
「あなたを殺して私も死ぬ」「あなたを殺して私も自殺する」といった無理心中を示唆する言葉であれば、生命に対しての害悪の告知にあたるため、脅迫罪が成立します。
さらに、『そうされたくなければ、「交際関係を継続しろ」「復縁しろ」』と相手に義務のないことを強いた場合は強要罪が問題となります。
『そうされたくなければ、お金(慰謝料等)を払え』と金銭を要求した場合には恐喝罪が問題となります。脅迫罪・強要罪・恐喝罪の違いについて詳しくは脅迫罪になる言葉・ならない言葉は?成立要件と刑罰を解説で解説しています。
「復縁してくれないなら死んでやる」「交際してくれないなら自殺してやる」「お前のせいで死ぬ」といった発言は、恋愛感情やそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情から、義務のない復縁や交際継続を要求する行為、あるいは著しく粗野・乱暴な言動として「つきまとい等」に該当する可能性があるため、繰り返し言われた場合はストーカー規制法違反に該当します。
「死んでやる」「自殺してやる」といった文言を繰り返し言われたり、死をちらつかせるような言動で精神的に追い込まれた結果、うつ病やノイローゼになった場合には、傷害罪が成立する余地も出てきます。
本当に自殺されたら言われた側は責任を負うのか
この点、脅された側が相手の自殺について法的責任を問われることは、基本的にはありません。
自由恋愛においては、一方が別れ話を切り出すことも復縁を断ることも原則として違法ではありませんから、言われた側が相手を自殺に追い込むほどの不法行為をしていなければ法的責任は生じません。
ただし、死の結果については責任を負わないものの、脅された側が、正当な理由なく婚約や内縁関係を一方的に解消したり、不貞行為や暴力など自分の有責行為によって離婚に至ったようなケースでは、不法行為による損害賠償(慰謝料)責任を負うことになります。
なお、自殺自体は犯罪ではありませんが、死を仄めかして脅してきた相手に対して「じゃあ死ねば」などとそそのかしたり、自殺の方法や場所を教えるなどの助長行為があり、相手が実際に自殺(未遂を含む)に至った場合には自殺教唆罪・幇助罪が成立することもあります。「死ね」という発言が犯罪になるケースについては「死ね」と言われたら脅迫罪などの犯罪になる?もあわせてご確認ください。
もっとも、法的な責任を負わないとしても、亡くなった方のご家族から「なぜ防止措置をとらなかったのか」と道義的責任を追及される可能性は残ります。できる限りのことをしたと後から示せるよう、脅された段階から証拠を残し、然るべき相談先に連絡しておきましょう。
「死ぬ」「死んでやる」と脅されたときの具体的な対処法
相手からこうした脅し文句を突きつけられた瞬間は、誰しも動揺して頭が真っ白になりやすいものです。しかし、パートナーの命と自分自身を守るために、冷静な対応が求められる場面でもあります。ここでは、脅された側が取るべき対応のポイントを順に解説します。
相手の発言を記録しておく
警察や弁護士に相談するうえで、発言の記録は欠かせない証拠になります。脅迫罪・強要罪・恐喝罪・ストーカー規制法違反のいずれにおいても、加害者の発言を立証できるかどうかが処分や示談交渉の分かれ目になるためです。LINEやメールのやり取りはスクリーンショットで保存し、電話や対面での発言はICレコーダーやスマートフォンで録音しておきましょう。発言の日時・場所・状況もメモに残しておけば、後から状況を整理しやすくなるはずです。証拠として有効な記録の種類や、証拠が不足している場合の対処法については脅迫罪の証拠となる5つのもの!証拠がない場合はどうすればいい?で詳しく解説しています。
感情的に応酬せず、不用意な返答を避ける
脅された側がパニックになり、「じゃあ死ねば」「好きにすればいい」「勝手に死ね」などと感情的に返答してしまうと、相手が実際に自殺に至った場合に自殺教唆罪・幇助罪に問われるリスクが生じます。加えて、自殺の方法や場所について触れる発言も、助長行為と評価されかねません。腹立たしい気持ちは理解できますが、相手を追い詰めるような返答は絶対に避けてください。
同時に、脅しに屈して相手の要求(関係継続・金銭支払い等)をすべて受け入れるのも得策ではありません。要求に応じれば相手の「脅せば思い通りになる」という成功体験となり、脅迫がエスカレートする可能性があるためです。難しい局面ですが、感情的な反応も全面的な譲歩も避け、「少し考えさせてほしい」などと時間を置く対応が無難です。
相手が本気で自殺を図ろうとしている場合は公的機関に連絡する
相手が現に自殺を図ろうとしている気配がある場合、ためらわず公的機関へ連絡してください。一刻を争う場面で、脅された側が一人で抱え込む必要はありません。
すでに自傷行為に及んでいる、刃物を持ち出している、高所にいるなど、生命に具体的な危険が迫っている場合は110番(警察)・119番(救急)への通報が最優先です。警察官は、精神障害のために自身を傷つけるおそれがあると認めた人を発見した場合、その旨を都道府県知事に通報することとされており(精神保健福祉法23条)、通報を受けた都道府県知事の権限で措置入院となる場合があります。
措置入院の要件に至らない場合でも、精神保健指定医の判断と家族等の同意があれば医療保護入院という選択肢が残されており、いずれも最悪の事態を回避する手段となります。並行して、相手の家族や親族に状況を伝え、一緒に対応を考えてもらうのも有効な手立てです。
なお、今すぐ命の危険が差し迫っているわけではないが不安な場合は、警察相談専用電話「#9110」が利用できます。ストーカー被害や配偶者からの暴力を伴う脅しについても対応してもらえます。
自分自身の心の負担を一人で抱え込まない
脅されている側もまた、心に深い傷を負っています。「自分のせいでこうなっているのでは」「相手が本当に死んだらどうしよう」という思いを、誰にも話せないまま抱え込んでいる方もいるはずです。信頼できる家族や友人、職場のカウンセラーなどに打ち明けることで、追い詰められた状況から抜け出す一歩になります。
身近な人には話しづらい場合は、公的な相談窓口の活用も一つの方法です。これらの窓口は生活・仕事・人間関係など幅広い悩みの相談に対応しており、身近な人から死を仄めかされて精神的に追い詰められている方の相談にも応じてもらえます。話を聴いてもらい状況を整理するだけでも、気持ちが少し軽くなるはずです。
| 窓口名 | 連絡先 | 対応時間 |
|---|---|---|
| よりそいホットライン | 0120-279-338(フリーダイヤル) | 24時間365日 |
| あなたのいばしょ | チャット相談 | 24時間365日 |
| #いのちSOS | 0120-061-338(フリーダイヤル) | 24時間365日 |
その他の窓口は厚生労働省「まもろうよ こころ」にまとまっています。
関係を整理したい・脅迫を止めたい場合は弁護士に相談する
命の危険への直接的な対応は公的機関の役割です。一方で、脅迫的な関係そのものを整理したい、金銭を要求されている、つきまといが続いているといった場面では弁護士の関与が有効です。弁護士が代理人として相手との交渉を引き受けることで、脅された側が矢面に立たずに済みますし、自殺教唆罪や強要罪などの法的リスクを踏まえて交渉を進められます。
具体的な別れ方・関係整理の進め方については彼氏に「死ぬ」「殺す」などと脅されて別れられない時の対処法が参考になります。実際の解決実績は不倫相手から自殺や危害を仄めかされた男性を弁護士が救済した事例をあわせてご確認ください。
「死ぬ」「死んでやる」と脅されてお困りの方は弁護士にご相談ください
パートナーから死や自殺を示唆する言葉で繰り返し追い込まれる状況は、誰にも相談できずに一人で抱え込みやすく、心身ともに追い詰められてしまう方も少なくありません。相手の言動が本気なのか死ぬ死ぬ詐欺のような単なる脅しなのか判断がつかずに関係を断ち切れない方、相手からのLINEや電話に怯えている方、自分の返答で相手を追い詰めてしまわないか不安な方は、ご自身一人で判断せず専門家にご相談ください。
相手の生命に差し迫った危険があるときは公的機関への通報・相談が優先ですが、脅迫的な関係から抜け出したい、金銭要求やつきまといを止めたいという場面では弁護士が力になれます。当事務所では、相手方への連絡窓口を弁護士に一本化し、ご依頼者様ご自身が相手とやり取りせずに済むよう対応しています。
当事務所は、交際相手や配偶者との男女間トラブルを数多く取り扱っており、ご家族や勤務先に知られることなく穏便に解決に導いた実績があります。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご連絡ください。
| 誰でも気軽に弁護士に相談できます |
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この記事の監修者
脅迫・恐喝被害の解決に豊富な実績を持つ。一般社団法人 詐欺・不当要求対策協会の代表理事として、不当要求対策の研究・啓発活動にも取り組んでいる。「警察沙汰にしたくない」「家族や会社に知られたくない」といった被害者特有の事情に寄り添い、粘り強い交渉で解決に導く。他の事務所で断られた案件にも積極的に対応。

