ヘルス嬢に本番を拒否されたのに本番行為に及んでしまい、300万円の慰謝料を請求された男性の事案です。
支払える金額ではないと伝えると、会社や家族に請求すると店から追い込まれています。
当法律事務所の弁護士が介入しましたが、最終的にどのような結末を迎えたのでしょうか。事案を見ていきましょう。
※プライバシー保護のため、相談内容の一部に変更を加えています
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【相談内容】会社や家族に知られずに本番トラブルを解決したい
先日、東京都内のヘルスを利用しました。いつも利用させてもらう馴染みの嬢だったので実は何度か過去にも本番をさせてもらったことがあります。
その日は疲れていたこともあってか余計に盛り上がってしまい、「中に入れていい?」と女性に尋ねたところ「嫌だ」と言われたのですが、興奮しておりつい挿入してしまいました。
相手の女性は挿入した時にも特に拒んだりはしなかったので、嫌だというのは建前のことで本当は本番してよかったんだと思っていました。
しかし、風俗店を出る時に男性スタッフに呼び止められ「嫌がってるのに無理やりしたって本当ですか、嬢が泣きながら訴えてきたんですけど」と言われました。
本番をしたことは事実ですが、嫌がっているのに無理やりしたなんてありえません。
私は強く否定しましたが、「バックヤードでまだ泣いてるんだよ、いい加減にしろ!」と怒鳴られました。
とりあえず事務所に来いと背中を突かれ、事務所に連れて行かれました。女性はそこにはいませんでした。
「逃げられると面倒だから取り敢えず会社の名刺と免許証出して」と言われ、相手がこわもてだったこともあり恐怖心から従うしかありませんでした。
事務所のデスクに座らされ、「これ知ってるよね?」と見せられたのは利用規約です。
利用規約には、「本番は絶対に禁止、もしも違反した場合は当店の処分に従っていただきます」と書かれていました。
規約については知っていたので「はい」と答えると、次に「念書」と書かれた書面を渡されました。
念書を見ると、本番を無理やり行ったこと、その責任を取って慰謝料300万円を支払いますと書かれています。
しかし300万なんてとんでもありません。とても払える金額ではないので、「ちょっと待ってください、300万は払えません」と答えました。
すると男性は、「わかった。じゃあ会社に請求するわ。あと、免許証のコピーも取ってあるからあんたの身元もうわかってるからこっちは。それ書かなくていいよ」と言われました。
会社にこのことがばれてしまうのはまずいと思い「会社には言わないでください」というと、「あ、そう。まあ困るよね。わかった、じゃあまずは家族に払ってもらうわ。それでもダメなら会社ね」と言われ事務所を追い出されました。結局念書にはサインをしていません。
家族にも勤務先にもこのことはばらされたくありません。しかし300万円という大金も持っておらず、どうしたらいいのかわからず不安でたまらない日々を送っています。
【解決の流れ】示談金40万円で解決しました
このケースは、金銭の要求はあったものの、まだ支払いをしていないため現在のところは実害がありません。しかし、「会社や家族に請求する」と言われています。
本番トラブルに巻き込まれる依頼者が揃って口にするのは「絶対に会社や家族にはばれたくない」です。
今回の相談者も、家族や会社に風俗店とのトラブルがばれてしまうことを恐れており、当事務所の弁護士に依頼されました。
まず今回のケースでは、ヘルス嬢が口頭で「嫌だ」と拒絶しているのに挿入し、本番行為に及んでいます。
ただ、ヘルス嬢は行為の最中に抵抗することはなく、また、相談者も、強制性交等罪(旧強姦罪)が成立する要件である「相手方の抗拒を不能にし又はこれを著しく困難ならしめる程度の」暴行や脅迫を用いたものではありません。
そのため、刑事事件に発展する可能性は低いと弁護士は判断しました。
とはいえ、ヘルス嬢が拒絶の意思を伝えていたところを無視して行為に及んだ以上、精神的・肉体的な損害を与えたことは間違いないでしょう。
この点、相談者も十分に反省しており、自分のできる範囲で女性に謝意を示したいとの考えがあったため、示談の申し入れをすることにしました。
まず弁護士は、風俗店に電話をし、相談者が女性に対して謝罪の意思を示していること、示談金の支払いを考えていることを店長に率直に伝えました。
そのうえで、弁護士が代理人になった以上、相談者の勤務先や家庭への連絡や取り立てをしてはならないことを伝え、理解を得られました。
後日、風俗店の事務所に訪問し、店長と名刺交換をするとすぐさま、「300万ちゃんと耳を揃えて弁護士さんが持ってきてくれましたよね?」と店長は口にしました。
弁護士は、今回のケースでは、ヘルス嬢が口頭で本番行為を拒否した点については相談者に大いに問題があることを認めました。そのうえで、強制性交等罪の成立要件を満たさないため刑事事件とはならないこと、これまでの示談事例からして、本件では30万円~50万円の示談金額で収まるケースが多いことを正直に伝えました。
また、「会社や家族への取り立て」を口にして金銭要求をしたことが恐喝言動にあたるため、相談者も”恐怖を感じた”ことを話しました。
状況からして300万円全額は難しいと店長は判断されたようでしたので、ヘルス嬢の妊娠・性病の検査費用、アフターピルの費用、交通費、慰謝料等を含めて40万円で示談をするよう弁護士から提案し、了承に漕ぎつけました。
後日改めて事務所に訪問し、ヘルス嬢と代理人弁護士との間で示談書を交わし無事解決となりました。
なお、免許証のコピーは破棄してもらうこと、今回の件については一切他言しないという秘密保持条項を示談書に盛り込むことができたため、その後男性に対して店やヘルス嬢からの連絡は一切ありません。
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