デリヘル嬢からの誘いに応じて本番行為をしたところ、後で”本番強要”をしたと掌を返されて罰金100万円の念書を書いてしまった事案です。
弁護士は、0円解決も考えましたが、どのような結果になったのでしょうか。事案を見ていきましょう。
※プライバシー保護のため相談内容の一部に変更を加えています。
誰でも気軽に弁護士に相談できます |
|
【相談内容】本番強要していないのに罰金を払いたくありません
先日、大阪のラブホテルでデリヘルを利用しました。その際、女の子の方から、「1万円上乗せすれば本番してもいいよ」と言われました。
某有名掲示板でも、「この店の子は基盤(本番)できる」という書き込みを目にしたこともあり、禁止行為とは知っていましたがついつい話に乗ってしまい本番行為をしてしまいました。
サービスが終了し、女の子が帰るときに「また指名してくださいね」と笑顔で言われて別れています。
翌日の夕方、知らない番号から携帯に着信が入ったので折り返してみると、昨日利用したデリヘルの店長と名乗る男性です。
「キャストの子から本番行為を行なったと聞いている。本番行為は規約違反だが知っててやったのか」と強い口調で聞かれました。
さらに、「女の子が事務所に戻ってきてから、怪我して出血していることに気づいて病院に行ったよ。どうしてくれるの?」と言われました。
しらばっくれてもダメだろうと観念し「本当です」と認めたところ、「とりあえず詳しくはうちの事務所で話しましょう。今すぐ来てください」と言われました。
店に行くことは断りたかったのですが、なんと言ったらいいかわからず黙っていると「こっちは携帯番号から本名とか住所とかわかるんですよ。来なかったら自宅に行きますよ」と言われてしまったので、仕方がないと諦めて、その日の夜に指定されたデリヘルの事務所の住所に向かいました。
事務所には男性が2人座っていて、囲まれるように座らされ「この間の本番行為のせいでうちの女の子が怪我をした。今仕事も休んでる。どうしてくれるんだ」と責められました。
もともと持ちかけて来たのは女の子の方であることから、納得がいかずに反論しようとしましたが怖くてできませんでした。
男性の一人が書類を持って来て「とりあえずこれにサインして。あと免許証もってるやろ。出して」と言われました。
書類には念書と書かれてあり、「私は本番行為を強要しました」「罰金として100万円を払います」という内容のことが書かれていました。控えはもらっていないので正確な文言は覚えていません。
さすがにこの書類にサインをするのは怖かったので、「私は本番を強要していません」と男性に訴えましたが「うちの子はあんたに強要されたって言ってる」と全く取り合ってくれません。
「本番強要したら強姦罪になる。警察行くか、金払うかどっちにする?」と詰め寄られ、血の気が引きました。
「罰金を払うなら大目に見る。免許証のコピーは今後また同じようなことをされたときに困るから、規約違反した人からは全員もらう決まりになってるから仕方がない。」「こんなことで人生を棒にふるのは嫌でしょ?さっさと解決した方が楽だよ」と男性から穏やかに言われました。
強姦罪で逮捕されることを考えたら確かにお金で解決できた方がましだと考え、仕方なく書類にサインをして免許証も手渡しました。
その場ではお金がなかったため、手持ちの10万円だけ支払って残りの90万円については後日振込すると約束して一旦解放してもらえましたが、本番強要をしていないのに罰金を払うことには納得がいきません。
しかも、強姦を認めるかのような念書まで書いてしまい、後で警察に逮捕されないのか、また、残りの罰金を払っても延々とお金を毟り取られるのではないかと不安です。助けて下さい。
【解決の流れ】罰金の残金を支払わずに解決
今回のケースでは、デリヘル嬢から本番行為をもちかけているにもかかわらず、蓋を開けてみると相談者側から強要したことにされており、念書にもサインをさせられてしまっています。かなり悪質なお店です。
デリヘル嬢に支払った治療費とお店で風俗店に支払った10万円の被害が出ていますが、相談者の希望としてはとにかくこれ以上お金を払いたくないとのことでした。
弁護士は、まずは念書について効力を取り消し、改めて示談交渉を行うことを提案しました。
また、罰金については支払い義務はないためこのことも合わせて主張し、すでに罰金として支払った10万円についても不当利得として返還を主張することとしました。
まず相談者が風俗店の男性から言われた「強姦罪になる」「警察に行くか金を払うか」という発言に恐怖を感じて念書にサインをしているので、これは刑法上の恐喝罪(刑法249条)にあたる可能性が高いことを風俗店側に伝えました。
同様に、自由意志があって念書にサインをしたとは言えないため、民法96条の強迫による意思表示であることを根拠に念書の効力を取り消すことを主張し、罰金についても支払い義務がないので不当利得として10万円の返還請求を行いました(民法703条)。
弁護士が間に入ったことにより相手の態度も軟化し、直接会って示談交渉の機会も取り付けることができました。
しかし、すでに支払っている10万円については返還に難色を示されてしまい、「規約に違反されてこちらも迷惑している。女性も実際に怪我を負っていて、損害が出ていることは事実だ」と主張されました。
そのことを相談者に報告したところ「誘われて本番行為をしたとはいえこちらにも落ち度がある。10万円については勉強料と思って諦めます。それよりも早く解決してすっきりしたいです」という返答でした。
正直、デリヘル嬢が本当に怪我をして治療しているのか、そうだとして、10万円という治療費が事実なのか。診断書や領収書の提出を求めることもできましたが、相談者の希望もあり10万円の不当利得返還請求については取り下げました。
示談書には、「合意のうえでの行為で、過失によりキャスト女性が怪我をした」ことを明記し、既に支払った10万円にて示談締結という形をとりました。
もちろん、清算条項や守秘義務の条項など相談者の希望に沿った内容の事項も示談書には盛り込み、不備のない示談の取り交わしとなりました。
今後この件で風俗店から何らかの連絡や要求が来ることはありませんでした。
誰でも気軽に弁護士に相談できます |
|