
「押収されたスマホに過去の撮影データが残っているけれど、盗撮の余罪はどこまで捜査されるのだろう」「余罪があると処分が重くなるのか」と不安を抱えていませんか。盗撮の余罪は、見つかったものがすべて捜査・立件されるわけではなく、立件まで進むケースは多くありません。
ただし、被害者や撮影場所を特定できれば立件されることがあり、立件に至らない場合でも本件の処分に影響し得ます。
この記事では、盗撮事件の解決実績が豊富な弁護士が、次の点について解説します。
- 余罪はどこまで捜査・立件されるか
- 余罪が立件されにくい理由と立件される場合
- 見つかった余罪が処分に与える影響
- 避けるべき行動と取るべき対処法
お読みいただくことで、取調べや示談にどう臨めばよいか、いま何をすべきかを整理できます。
なお、余罪についてお困りの方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。地域を問わずご相談を承っており、早期対応が結果を左右します。
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盗撮の余罪とは?発覚する3つのきっかけ
余罪とは、捜査の対象になっている事件(本件)とは別に犯していた罪で、まだ事件として扱われていないものをいいます。電車内の盗撮で捕まった場合はその盗撮が本件で、以前に駅や商業施設でしていた盗撮が捜査の中でわかれば、それが余罪にあたります。
この記事でいう「立件」は、警察が事件として正式に扱い、検察官への送致や処分の対象にすることを指し、捜査されることとは異なります。法律で定義された言葉ではなく、逮捕されるかどうかとは別の問題で、在宅のまま立件されることもあります。
過去の盗撮が警察に知られるきっかけは、主に次の3つです。
- 押収された撮影機器のデータ解析
- 家宅捜索で押収されたパソコンや記録媒体
- 取調べでの本人の供述
スマートフォンで盗撮して現行犯逮捕されると、そのスマートフォンは証拠品として押収されるのが通常です。中に過去の盗撮画像や盗撮動画が残っていれば、そこから余罪が見つかります。警察のデジタル・フォレンジック(押収した機器の解析技術)により、削除したデータであっても復元されることがあります。
自宅の家宅捜索が行われると、パソコンや外付けHDD、設置型の小型カメラなども押収され、保存されていた映像から別の盗撮が判明することがあります。
取調べで過去の盗撮について尋ねられ、本人が話した内容をきっかけに余罪捜査が始まる例もあります。
盗撮事件で証拠となるものや、証拠の有無が捜査に及ぼす影響については「盗撮の証拠となるものは?証拠なし・不十分でも逮捕・起訴される?」で詳しく解説しています。
盗撮の余罪はどこまで捜査・立件される?
押収した盗撮データから余罪が見つかっても、1件ずつすべてが捜査され、事件になるわけではありません。
過去の盗撮がすべて捜査されるわけではない
スマホやパソコンに過去の盗撮画像が数十件、数百件と残っていても、1件ずつ被害者や撮影場所を割り出し、本件と同じように事件として扱うことはまれです。警察の捜査の中心は、あくまで捜査のきっかけとなった本件にあります。
一方で、余罪が「なかったこと」になるわけでもありません。保存されていた画像の件数や撮影された期間、手口などは確認され、本件の処分を決める際の事情として扱われるのが通常です。盗撮の余罪は、立件されないとしても、その有無や件数は捜査の中で把握されると考えておくべきです。
件数の把握にとどまらず、余罪まで踏み込んで捜査されやすいのは、主に次のような場合です。
- 盗撮画像や盗撮動画から被害者を特定できる(職場や学校の知人など)
- 撮影場所が特定の建物や施設だとわかる
- 隠しカメラの設置や長期間の盗撮など、悪質性が高い
- 建造物侵入など、盗撮以外の罪も疑われる
余罪が立件されにくい3つの理由
結論から言うと、盗撮の余罪が立件に至るケースは多くなく、余罪での再逮捕も限られています。主な理由は次の3つです。
1つ目は、撮影場所の特定が難しいことです。余罪を立件するには、いつ・どこで・どのように盗撮したのかを証拠で裏付けなければなりません。日時は盗撮画像のデータからわかることが多い一方、場所は画像だけでは絞り込めないことがよくあります。
2つ目は、被害者を特定しにくいことです。盗撮画像に顔や特徴が写っていなければ、誰が被害に遭ったのかを割り出すのは困難です。
3つ目は、被害の申告がないことです。盗撮を処罰する撮影罪(性的姿態撮影等処罰法違反)は親告罪ではないため、告訴がなくても起訴できます。ただ、被害者が名乗り出ず被害届も出されない状況では、警察が積極的に捜査を進めることは少なくなります。
余罪が立件されるのはどんな場合?初犯の場合は?
捜査の結果、被害者の供述や防犯カメラの映像など、盗撮画像以外の証拠と組み合わせて日時と場所が特定できれば、余罪も立件され得ます。
被害者が特定されて被害届や告訴状が出されれば、余罪の立件の可能性はいっそう大きくなります。駅や電車、商業施設のように不特定多数が行き交う場所では被害者の特定は困難ですが、同じ職場や学校の更衣室・トイレでの盗撮は、映像から被害者の身元にたどり着きやすくなります。
初犯の場合も、余罪の立件はこうした特定ができることが前提です。盗撮の初犯における量刑の目安や処分の見通しについては「盗撮の初犯で逮捕された場合の量刑は?不起訴や執行猶予になる?」をご参照ください。
余罪が立件される具体例
ここからは、実際によくあるケースをもとに、余罪が立件されやすい具体例を見ていきましょう。
事例①:自供により店舗が特定されたケース
電車内での盗撮で現行犯逮捕され、押収したスマートフォンの中から、別の盗撮動画が見つかったケースです。映像から店舗内での盗撮とは分かったものの、どの店舗かは特定できませんでした。しかし、取調べで被疑者が盗撮した店舗名を自供したため、警察がその店舗の防犯カメラを確認。動画と防犯カメラの日時が一致し、後日被害者から被害届が提出されたことで余罪が立件されました。
事例②:塾での盗撮で被害者が特定されたケース
塾の講師が女子トイレに設置した小型カメラが生徒に発見され、警察に通報されたケースです。押収されたパソコンには同じトイレでの盗撮動画が複数あり、映っていた他の女子生徒も特定されました。生徒の保護者が代理で被害届を提出し、余罪として立件されました。このように、職場や学校では被害者の顔や身元が判明しやすいため、余罪が立件されるリスクが高くなります。
事例③:自供により盗撮場所が判明したケース
ショッピングモールでの盗撮で現行犯逮捕された後、押収されたスマートフォンに、公衆浴場の脱衣所で撮影された動画が残っていたケースです。取調べで被疑者が盗撮した施設名を自供したため、警察が施設の防犯カメラ映像を確認し、動画の日時に被疑者が脱衣所に入っていたことが裏付けられ、余罪が立件されました。
余罪が発覚した場合のデメリット
盗撮の余罪が立件されにくいとはいえ、発覚すれば本件の処分や捜査の進み方に影響します。ここでは、被疑者が直面しやすい4つのデメリットを解説します。
立件されなくても本件の処分に影響することがある
起訴されていない余罪を実質的に処罰する目的で、本件の刑を重くすることは許されません。最高裁判所も、そのような趣旨で余罪を量刑の資料とすることは許されない一方、被告人の性格や犯行の動機・方法などの情状を推し量る資料として考慮することは許されると判断しています(最高裁判所大法廷昭和41年7月13日判決)。
つまり、盗撮の余罪があることは、常習性や再犯のおそれを示す事情として、本件の処分や刑を決める際に考慮され得ます。影響の大きさは、本件の被害者と示談ができているかどうかで大きく変わります。
初犯で本件の被害者と示談がまとまっている場合は、余罪が複数あっても本件は不起訴(起訴猶予)となる可能性があります。被害者の処罰感情が和らいでいることが、検察官の判断で重く見られるためです。
示談ができていない場合は、略式起訴(公判を開かずに罰金を科す手続き)により罰金刑となる可能性が高まります。罰金の上限は、撮影罪で300万円、東京都の迷惑防止条例の盗撮で100万円です(略式命令で科せるのは100万円以下)。初犯であれば実際の罰金は数十万円程度にとどまることが多いとされますが、余罪から常習性がうかがわれると、罰金額が高めになることがあります。盗撮事件での不起訴の可能性や獲得のための具体的な方法については「盗撮の不起訴率は?獲得するためにすべき5つのことを弁護士が解説」で詳しく解説しています。
身柄拘束や捜査の期間が長引く
盗撮の余罪が疑われると、本件の捜査と同時に過去の盗撮についても裏付けが進められます。盗撮の日時や場所、被害者を確認する作業には時間がかかるため、身柄事件では勾留が満期まで延長されやすく、在宅事件でも捜査期間が長期化する傾向があります。
逮捕・勾留されている身柄事件では、1つの事件につき最大23日間、身柄を拘束される可能性があり、その間は仕事や家族との連絡も大きく制約されます。在宅事件には期間の制限がなく、捜査が数か月から半年以上続くこともあります。
在宅捜査となる条件や在宅事件として進む盗撮事件の流れについては「盗撮の在宅捜査はどうなる?逮捕・在宅起訴の可能性を弁護士が解説」をご参照ください。
余罪で再逮捕される可能性がある
日時・場所・被害者が特定されると、盗撮の余罪は本件とは別の事件として扱われ、再逮捕されることもあります。
特に注意が必要なのは、本件の行為態様と余罪の行為態様が大きく異なる場合や、余罪の悪質性が高いと判断された場合です。たとえば、本件は電車内でのスマートフォン盗撮だったものの、押収されたパソコンから建物に侵入して設置したカメラによる長期的な盗撮が判明したようなケースでは、建造物侵入罪も加わるため、別罪として再逮捕される可能性が高くなります。本件で釈放された後でも、後日余罪が立件されて再逮捕に至る例もあります。
余罪も起訴されると併合罪として処罰される
本件と余罪がまとめて起訴されると、併合罪として一括して刑が決められます(刑法45条)。
拘禁刑で処断するときは、最も重い罪の刑の長期にその2分の1を加えたものが上限になります(ただし、各罪の上限の合計を超えない。刑法47条)。撮影罪(3年以下の拘禁刑)が複数件あれば、上限は4年6月の拘禁刑です。罰金刑の場合は、各罪の罰金の上限額を合計した額の範囲内で科されます(刑法48条2項)。
撮影罪が施行された令和5年(2023年)7月13日より前の盗撮には、行為時の各都道府県の迷惑防止条例などが適用されます。ただし、条例違反の公訴時効は3年のため、施行前の盗撮はすでに時効が完成しており、余罪での起訴は原則としてありません。
撮影罪の要件にあたらない盗撮には、施行後も迷惑防止条例が適用されることがあります。多くの都道府県の迷惑防止条例には常習加重規定があります。東京都の条例では、盗撮の法定刑は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金ですが、常習の場合は2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。盗撮の常習性がどのように判断されるかについては「盗撮が常習の場合どうなる?常習性の判断基準は?弁護士が解説」で解説しています。
余罪がある場合のNG行動
盗撮の余罪を抱えているときに取りがちで、かえって結果を悪くしやすい行動を2つ紹介します。
安易に黙秘・否認を続ける
黙秘権は憲法で保障された権利であり、黙秘したこと自体を犯罪の証拠として扱うことは許されません。前述のとおり、余罪の立件には撮影場所の特定が欠かせないため、場所について黙秘することで余罪の立件を避けられる場合もあります。
ただし、以下のようなケースでは黙秘しても場所が特定される可能性が高く、かえって逆効果になります。
- カメラのGPS機能が有効で、盗撮画像データに位置情報が記録されている場合
- 盗撮映像に被害者の顔が映っており、会社の同僚や学校の生徒など加害者の知り合いである場合
- 盗撮画像の背景に店舗名や特徴的な建物が映り込んでいる場合
こうした状況で黙秘や否認を続けると、自白を求めて厳しく追及されるうえ、身柄拘束が長引くおそれもあります。黙秘すべきかどうかは証拠の状況によって判断が分かれるため、余罪の追及についてどのように対処してよいかわからないときは、早めに弁護士へご相談ください。
証拠隠滅を図る
盗撮した画像や動画を消すなど、証拠隠滅にあたる行動も避けなければなりません。
取り押さえられそうになったときや逃げている最中に、スマートフォンやカメラの盗撮データを削除してしまう人がいます。しかし、前述のとおり削除したデータは復元されることがあり、証拠隠滅を図った行為は、捜査機関の心証を悪化させ、処遇に悪影響を及ぼすおそれがあります。
逮捕されずに在宅捜査となった後に余罪のデータを消去すると、証拠隠滅を疑われ、逮捕される可能性もあります。
盗撮事件で余罪がある場合の対処法
取るべき対処法は、被害者が特定されているかどうかで変わります。職場や学校での盗撮など被害者がわかっている場合は、謝罪と示談交渉が最優先です。駅や商業施設などでの盗撮で被害者がわからない場合は、再犯防止の取り組みが中心になります。
いずれの場合も、余罪への対応方針は早めに弁護士と相談して決めることが大切です。具体的な対処法は次の3つです。
- ①被害者に謝罪し示談を成立させる
- ②再犯防止措置を講じる
- ③弁護士に相談する
①被害者に謝罪し示談を成立させる
盗撮の被害者と面識があるなど、相手がわかっている場合は、まず謝罪の意思を伝えることが出発点になります。ただ、加害者本人からの謝罪や示談の申し入れに応じる被害者はほとんどいません。弁護士に依頼して謝罪文を届けてもらい、示談交渉を進めるのが現実的です。
あわせて読みたい:盗撮の謝罪文の書き方と例文【雛形付】|示談への影響も弁護士が解説
示談交渉がうまく進み、余罪が立件される前に示談が成立し、被害届を出さないことに合意してもらえれば、立件を避けられる可能性があります。立件された後でも、示談により被害届を取り下げてもらえれば、不起訴を獲得できる場合があります。
あわせて読みたい:盗撮の示談とは?相場は10万~50万円|弁護士が解説
②再犯防止措置を講じる
被害者がわからず謝罪や示談ができない場合は、再犯防止措置が対処の中心になります。
スマートフォンでの盗撮が習慣になっている場合は、端末を持たないことも一つの方法です。それが難しければ、家族など身近な人に使用状況を見てもらうことも考えられます。盗撮などの性犯罪は再犯率が高いとされているため、家族などの監督のもとで、性依存症の治療を行う医療機関に通院したり、カウンセリングを受けたりすることも有効です。再犯のおそれがないと判断されたときは不起訴や執行猶予付き判決などの有利な結果につながりやすくなります。
③弁護士に相談する
余罪を抱えているなら、早めに弁護士へ相談することも欠かせません。被害者が特定された余罪が複数ある場合は、本件と並行して複数の示談を進めることになるため、盗撮事件の示談交渉に慣れた弁護士の支援が必要です。取調べで余罪についてどこまで話すべきかも、押収された機器の内容や捜査の進み具合によって変わるため、供述の方針を弁護士と一緒に検討しておくと安心です。被害者への謝罪や示談が難しい場合でも、再犯のおそれがないことを検察官や裁判官に説得力をもって伝えるには、弁護士の関与が重要です。
弁護士が介入し示談を成立させて不起訴を獲得した実例については「トイレ盗撮で在宅捜査を受けた男性が示談成立で不起訴になった事例」で紹介しています。
盗撮の余罪でお困りの方はすぐにご相談ください
盗撮の余罪は多くが立件まで進みませんが、被害者や撮影場所が特定されれば立件や再逮捕に至ることもあります。
取調べでどこまで話すか、示談をどう進めるかで処分の見通しは変わるため、早い段階で方針を決めることが大切です。弁護士に依頼すれば、取調べ対応の方針を固めながら、謝罪・示談や再犯防止策の準備を並行して進められます。
「押収されたスマホから余罪が見つかるかもしれない」「取調べで過去の盗撮について聞かれている」など、余罪を抱えたまま一人で対応を続けるのは大きな負担です。
当事務所では、盗撮事件の弁護経験が豊富な弁護士が迅速に動き、ご本人の状況に応じた弁護方針をご提案します。職場や家族への影響をできるだけ抑えながら、刑事事件としての有利な処分を得られるよう全力を尽くします。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお早めにご相談ください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

