
このように考える方もいるかもしれません。
結論として、盗撮動画を購入したりダウンロードしただけでは、直ちに犯罪とはなりません。しかし、自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノに該当する盗撮動画が収められたDVDを購入したり、盗撮サイトからダウンロードして所持した場合は、「児童ポルノ禁止法」に違反することになります。また、購入したりダウンロードした盗撮動画を第三者に提供すれば、「性的姿態撮影等処罰法」に基づく「提供罪」に問われる可能性があります。さらに、違法アップロードされている有償の盗撮動画を違法にダウンロードした場合は、「著作権法違反」として処罰される可能性もあります。
この記事では、盗撮事件に強い弁護士が、上記内容を解説するほか、
- 盗撮動画の購入やダウンロードで逮捕された後の流れ
- 盗撮動画の購入やダウンロードで逮捕を回避する方法
について詳しく解説します。
なお、心当たりのある行為をしてしまい、逮捕回避に向けて早急に対応したいとお考えの方は、この記事をお読みいただいた後、全国無料相談の弁護士にご相談ください。
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目次
盗撮動画を購入・ダウンロードするのは犯罪?
盗撮動画を購入・ダウンロードしただけでただちに犯罪を構成するわけではありません。盗撮動画を単に購入したりダウンロードする行為を罰する法律がないためです。ただし、ケースによっては、次の犯罪に該当する場合があります。
- ①児童ポルノ禁止法違反
- ②提供罪
- ③著作権法違反
①児童ポルノ禁止法違反
購入・ダウンロードした盗撮動画が児童ポルノに該当する場合には、「児童ポルノ禁止法違反」に問われる可能性があります。
児童ポルノ禁止法では、18歳未満の者(児童)を被写体にしたポルノ画像や動画の所持を禁じています。具体的には、「児童の性交している姿態」や「児童の性器、または他人の性器に触れている姿態」、「裸や半裸の児童の姿態」などを描写した写真や電子データが該当します。
例えば、自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノに該当する盗撮動画や画像が収められたDVDを購入したり、盗撮サイトから動画をダウンロード(有料・無料を問わず)して所持する場合、児童ポルノ禁止法の「単純所持罪」に違反することになります。
児童ポルノの単純所持罪の罰則は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金です。
②提供罪
購入・ダウンロードした盗撮動画を第三者に提供すると、「提供罪(性的姿態撮影処罰法第3条)」に問われる可能性があります。
例えば、友人や知人など限られた人に、購入した盗撮動画のDVDを渡したり、ダウンロードした盗撮動画をインターネット上にアップロードして、不特定多数の人がダウンロードや閲覧できる状態にした場合、この提供罪が成立します。
特定・少数の者に提供した場合には、「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」が科され、不特定または多数の者に提供したり、公然と陳列した場合には、「5年以下の懲役または500万円以下の罰金、またはその併科」が科されます。
なお、性的姿態撮影処罰法は2023年(令和5年)7月13日から施行されており、それ以降の行為に提供罪が適用されます。これまで、盗撮画像の提供や、有償で販売目的で保管する行為は刑法の「わいせつ物頒布等罪」によって処罰されていましたが、提供罪が新たに施行されたことにより、盗撮画像の売却や譲渡行為が一層厳しく罰せられることとなりました。
③著作権法違反
違法にアップロードされた有償の盗撮動画を、販売者の許可なくダウンロードした場合、著作権法違反(違法ダウンロード罪)に問われる可能性があります。著作権法では、著作権者の許可なく違法にアップロードされた有償の著作物をダウンロードする行為を禁じており(著作権法119条3項)、違反した場合には「2年以下の懲役または200万円以下の罰金、またはその両方」が科される可能性があります。
ただし、盗撮動画が著作物として保護されるかはケースによります。販売目的で構図や編集に創作性がある場合は著作権が成立し、ダウンロードが著作権侵害に該当する可能性があります。しかし、単なる事実の記録であれば著作物に該当せず、違法ダウンロード罪の対象にはなりません。
また、違法にアップロードされた動画が「著作権侵害された著作物」に該当するかも問題となります。著作権者が盗撮者である場合、その権利が公序良俗に反するとして制限される可能性があり、その場合、ダウンロード行為が違法ダウンロード罪に該当しないことも考えられます。
そのため、盗撮動画のダウンロードが必ずしも著作権法違反となるわけではなく、刑事責任を問われるかは、著作権の成立や違法アップロードの態様を総合的に判断する必要があります。
盗撮動画の購入・ダウンロードで逮捕された後の流れ
盗撮動画の購入やダウンロードで逮捕された後の流れは以下のとおりです。
- 逮捕
- 警察官による弁解録取
- 送検
- 検察官による弁解録取
- 勾留請求
- 裁判官による勾留質問
- 勾留
- 起訴・不起訴
- 裁判・判決
盗撮動画の購入やダウンロードで逮捕(①)された後、ますは警察官による弁解録取(②)を受けます。警察官から逮捕事実に関する話を聴かれ、警察官が身柄拘束の必要ないと判断したときは釈放され、必要があると判断したときは逮捕から48時間以内に送検(③)されます。
送検後は検察官の弁解録取(④)を受け、釈放か身柄拘束を続けるのか判断されます。後者の場合は送検から24時間以内に勾留請求(⑤)され、今度は裁判官から話を聴かれます(⑥)。ここで裁判官が身柄拘束の必要ないと判断したときは釈放される可能性があり、必要があると判断したときは勾留が決定します。なお、勾留の決定に対する不服申立てが認められたときも釈放されることがあります。
勾留期間は最大で20日間で、基本的にその期間内に起訴・不起訴の判断がなされます(⑧)。不起訴の公算が高いときは釈放され、起訴の公算が高いときは身柄拘束されたまま起訴されることがあります。後者の場合、さらに身柄拘束期間が延びますが、起訴後は保釈によって釈放されることがあります。起訴されるとゆくゆくは裁判・判決を受けます(⑨)。
盗撮動画の購入・ダウンロードで逮捕を回避するには?
前述の通り、逮捕されると長期間身柄を拘束される可能性があり、普段の生活が送れなくなり、さまざまな悪影響が出る恐れがあります。そのため、盗撮動画の購入やダウンロードによる逮捕を回避するには、「自首」を検討することが有効です。
自首とは、犯罪を犯した者が、事件が発覚していない、または事件は発覚しているが犯人が特定されていない段階で自発的に捜査機関に名乗り出て、その処分を求める行為です。つまり、自首することは罪をすべて認め、処分を捜査機関に委ねることを意味します。そのため、自首によって、逮捕の要件である「逃亡または証拠隠滅のおそれ」がないと判断され、逮捕回避につながりやすくなります。
ただし、自首するといっても、単に捜査機関に出頭すればよいというわけではありません。準備不足で出頭した結果、自首の要件を満たさず、逆に逮捕されてしまう可能性もあります。したがって、自首を検討する場合、事前の準備が非常に重要です。
自首の準備をしなければならないといっても、何をどう準備したらよいのか分からない方も多いでしょう。そのため、自首を検討する際は、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士であれば、個別の状況に応じて、自首に向けて何を準備すべきかアドバイスしてくれます。
さらに、弁護士に自首の同行を依頼すれば、被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを捜査機関に上申してもらえます。弁護士が同行することで、取調室の外で待機してくれ、取調べの際に困った場合には、すぐに相談できるため非常に心強いサポートとなります。
盗月動画の購入・ダウンロードについてよくある質問
最後に、盗撮動画の購入・ダウンロードについてよくある質問にお答えします。
盗撮動画の購入はなぜバレる?
盗撮動画を購入したことが警察に発覚する主な理由は、盗撮サイトが摘発されることにあります。前述の通り、盗撮動画の販売は、性的姿態撮影等処罰法の「提供罪」に問われる違法行為であり、過去にはサイトの運営者や従業員が逮捕された事例もあります。
盗撮サイトが摘発される際には、顧客リストやダウンロード履歴が押収され、その情報から購入者が特定されることがあります。これにより、購入者が捜査対象となる可能性は否定できません。
また、別件で警察の捜査を受けた際に、押収されたスマートフォンやパソコンなどの端末が調査され、その中に購入・ダウンロードした盗撮動画が発見されることもあります。
閲覧しただけでも逮捕される?
盗撮動画を閲覧しただけでは、逮捕されることはありません。
盗撮動画の閲覧自体に関する犯罪は存在しません。仮にその動画が盗撮であることを知っていたとしても、ダウンロードせずにストリーミングで視聴しただけでは、犯罪は成立しないため、逮捕されることはありません。
直ぐに削除すれば逮捕されない?
盗撮動画を購入・ダウンロードした後にすぐに削除しても、違法動画を入手した事実は消えません。したがって、その時点で保管罪や所持罪に問われる可能性は少なからずあるということになります。削除した動画でも復元は可能です。もっとも、逮捕されるかどうかは別問題です。繰り返しダウンロードしているなど常習的に行為が繰り返されている場合は逮捕される可能性はあるかもしれません。一方、一度きりにとどまる場合は逮捕や検挙は見送られる可能性もあります。
まとめ
盗撮動画を購入・ダウンロードしただけでは、直ちに犯罪として処罰されることはありません。しかし、盗撮動画の被写体が18歳未満の児童であれば、児童ポルノ禁止法違反に該当し、購入・ダウンロードした盗撮動画を第三者に提供すると、提供罪に問われる可能性があります。これらの罪に問われると逮捕されるリスクがあり、逮捕されると長期間にわたる身柄拘束が避けられず、日常生活に大きな影響を及ぼすことになります。
身柄拘束を避けるための方法として自首がありますが、闇雲に自首することは得策ではありません。まずは、自首すべきかどうかの判断も含めて、弁護士に相談することを強くおすすめします。弁護士に相談・依頼すれば、自首する際に入念な準備を行い、身柄拘束のリスクを最小限に抑えることができます。
当事務所では、盗撮事件での逮捕の回避を得意としており豊富な実績があります。親身かつ誠実に、弁護士が依頼者を全力で守りますので、盗撮動画の購入やダウンロードで捜査を受けており、逮捕のおそれがある方は、ぜひ当事務所の弁護士までご相談ください。
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