
「盗撮の初犯でも逮捕されるのか」「捕まったら実刑になって前科がつくのか」と、誰にも相談できないまま不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。
盗撮は初犯でも逮捕されることがありますが、初犯であれば、最終的には不起訴や罰金刑で終わるケースが多いでしょう。ただし、手口が悪質な場合や多数の余罪がある場合には、初犯でも正式な裁判にかけられ、拘禁刑の実刑判決が言い渡される可能性もあります。
なお、正式な裁判(公判)になっても、執行猶予がつくことが多いといえます。
この記事では、盗撮事件の解決実績が豊富な弁護士が、次の点について解説します。
- 盗撮の初犯でも逮捕されるのか
- 初犯で不起訴になるケースと起訴されるケース
- 起訴された場合は罰金か拘禁刑か
- 不起訴や執行猶予を目指すためにすべきこと
お読みいただくことで、ご自身の状況で見込まれる処分と、処分を軽くするために今から何をすべきかを整理できます。
なお、盗撮事件でお困りの方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。地域を問わずご相談を承っており、早期の対応が結果を左右します。
| 気軽に弁護士に相談しましょう |
|
初犯でも逮捕される?逮捕されるケースとその後の流れ
盗撮は、初犯であっても逮捕される可能性があります。逮捕するかどうかは、前科の有無だけで決まるのではなく、逃亡や証拠隠滅のおそれがあるかどうかで判断されるためです。反対に、身元がはっきりしていて事実を認めている場合などには、逮捕されないまま捜査が進むこともあります。
現行犯逮捕されるケース
盗撮は、撮影している最中やその直後に、被害者本人や周りの人に気づかれて発覚することが少なくありません。この場合、その場で取り押さえられて現行犯逮捕されることがあります。
現行犯逮捕は、警察官でなくても、逮捕状なしで誰でも行えます(刑事訴訟法213条)。駅のホームや電車内であれば、駅員や乗客に確保され、駆けつけた警察官に引き渡されるのが典型的な流れです。撮影に使ったスマートフォン(スマホ)やカメラは、証拠としてその場で押収されることが多いでしょう。
その場から逃げようとすると、逃亡のおそれがあると受け止められ、身柄の拘束が長引く原因になりかねません。現行犯逮捕されるかどうかは、初犯かどうかとは関係なく、その場の状況で判断されます。
後日逮捕されるケース
盗撮が初犯で、その場では発覚しなかった場合でも、後日逮捕に至ることがあります。被害者が被害届を出し、防犯カメラの映像や交通系ICカードの利用履歴などから人物が特定されると、裁判官が出した逮捕状にもとづいて逮捕される場合があります(通常逮捕)。
発覚をおそれて撮影データを消したくなるかもしれませんが、データの消去は証拠隠滅を疑われる行為です。逮捕や勾留(逮捕に続いて身柄の拘束を続ける手続き)の判断で不利に働くおそれがあるため、撮影データは自分の判断で消さないようにしてください。
逮捕後の流れと在宅事件
逮捕されると、まず警察で取調べを受けます。警察は、身柄を拘束した時から48時間以内に、被疑者を釈放するか、事件を検察官に送致(事件の記録と被疑者を検察官に送ること)するかを決めなければなりません(刑事訴訟法203条)。検察官は、送致を受けてから24時間以内に、裁判官へ勾留を請求するか、釈放するかを決めます(同法205条)。
勾留が認められると、原則として10日間、延長されればさらに最大10日間、身柄の拘束が続きます(同法208条)。検察官は、この期間内に起訴するかどうかを判断します。
一方、逮捕されなかった場合や、勾留されずに釈放された場合は、在宅事件として自宅で生活しながら捜査が進み、呼び出しを受けたときに出向いて取調べを受けることになります。在宅事件には逮捕・勾留された場合のような時間の制限がないため、処分が決まるまでに時間がかかることもあります。
初犯であっても、逮捕・勾留・在宅事件の流れそのものに違いはありません。逮捕や勾留、在宅事件の手続きの流れは「盗撮で逮捕される?逮捕後の流れと勾留を回避する方法を解説」でくわしく解説しています。
盗撮の初犯は不起訴になる?起訴されるケースとの分かれ目
盗撮の初犯で、事実を認めて被害者との示談が成立していれば、不起訴となる可能性は十分にあります。捜査が終わると、検察官は事件を次のいずれかの形で処理します。
- 不起訴:裁判にかけない。事実を認めている事件で不起訴となるのは、主に事情を考えて起訴を見送る「起訴猶予」
- 略式起訴:法廷を開かず、書面の審理だけで罰金を科す手続き(略式手続)を求める
- 公判請求:公開の法廷で裁判を受ける通常の起訴(正式起訴ともいいます)
不起訴になれば、前科はつきません(捜査を受けた記録である前歴は残ります)。これに対して、略式起訴で罰金を科された場合も有罪の裁判を受けたことになるため、前科がつきます。公判請求された場合は、罰金のほか、拘禁刑(2025年6月1日から懲役と禁錮を一本化して導入された刑罰)を言い渡される可能性も出てきます。
盗撮で不起訴になる割合や、不起訴を目指すための具体的な方法は「盗撮の不起訴率は?獲得するためにすべき5つのことを弁護士が解説」で解説しています。
初犯は有利な事情となる
初犯であることは、処分を決めるうえで有利な事情として考慮されます。
検察官は、犯罪の疑いが認められる場合でも、本人の性格や境遇、犯罪の軽重、犯罪後の状況などを考えて、起訴を見送ることができます(刑事訴訟法248条)。これが起訴猶予です。
初犯であることだけで処分が軽くなるわけではありませんが、同じ盗撮の前科がある人と比べれば、刑罰を科さなくても立ち直れる見込みがあると考えられやすくなります。そこに、罪を認めて反省していることや、示談が成立していることが加われば、起訴猶予となる可能性はさらに高まります。
初犯でも重い処分となることも
もっとも、初犯だからといって、不起訴や軽い処分が約束されているわけではありません。
たとえば、盗撮行為において小型カメラを仕掛けるなど見つかりにくい工夫をしていた、事前に場所や時間を下見して計画的に撮影していた、撮影した画像や動画をインターネットで販売・公開していた、といった事情があると、悪質と評価されやすくなります。こうした事情があれば、初犯であっても公判請求され、執行猶予のつかない実刑判決を受ける可能性も否定できません。示談が成立していないことも、処分が重くなる方向に働きます。
余罪があると初犯でも処分が重くなる
盗撮事件では、押収したスマホやパソコンの中身を調べる過程で、今回の事件とは別の盗撮データ(余罪)が見つかることがよくあります。
撮影場所や日時、被害者が特定できるものについては、別の事件として捜査され、追加で起訴されることもありえます。立件にまで至らなくても、同じ行為を繰り返していたことをうかがわせる事情として、処分や量刑の判断に影響する可能性があります。
「初犯」とは、あくまで前科がないという意味にすぎません。長い期間にわたって盗撮を繰り返していた場合には、初犯であっても厳しく評価されるおそれがあります。余罪がどこまで捜査されるのかは「盗撮の余罪はどこまで捜査される?立件されにくい理由と対処法」をご覧ください。
盗撮が初犯の場合の量刑は?
盗撮の初犯で起訴されても、多くは略式手続による罰金刑で終わり、公判で拘禁刑を言い渡される場合も執行猶予がつくのが一般的です。刑の重さ(量刑)は、それぞれの罪に定められた刑罰(法定刑)の範囲内で、事件の具体的な事情を考慮して決められます。
盗撮で問われる罪と法定刑
盗撮で問われる可能性がある主な罪と法定刑は次のとおりです。
- 撮影罪(性的姿態撮影等処罰法2条1項):3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金。未遂も処罰される
- 迷惑防止条例違反(東京都の場合):1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金。常習の場合は2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
- 建造物侵入罪(盗撮目的でトイレや更衣室に立ち入った場合など):3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金
- 児童ポルノ禁止法違反(18歳未満の子どもの裸などをひそかに撮影した場合):3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金。不特定または多数の人への提供や公然陳列の目的があれば5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはその両方
- 軽犯罪法違反(浴場や更衣室などをひそかにのぞき見た場合):拘留または科料
撮影罪は、2023年7月13日に施行された性的姿態撮影等処罰法に定められた罪で、同日以降の行為に適用されます。下着や性的な部位をひそかに撮影する行為のほか、相手が拒否できない状態を利用した撮影なども処罰の対象です。撮影罪の成立要件や刑罰は「性的姿態等撮影罪(撮影罪)とは?施行日や盗撮罪との違いを解説」でも確認できます。
2023年7月12日以前の盗撮は、主に各都道府県の迷惑防止条例で処罰されます。2023年7月13日以降の行為でも、撮影罪に当たらないものは、引き続き条例で処罰されることがあります。規定や罰則は都道府県ごとに異なり、東京都の条例では第5条1項2号で次のように定めています。
第5条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
略
次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所
ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)
※拘禁刑の規定は2025年6月1日から適用されており、同日より前の行為には改正前の「懲役」の規定が適用されます(東京都の条例も同様です)。
そもそも量刑の判断基準は?
裁判所が盗撮の量刑を決める際は、初犯かどうかを含め、主に次の事情(情状)を重視します。
- 犯行態様
- 計画性の有無
- 被告人の認否、反省の程度
- 前科、前歴の有無
- 被害の程度
- 被害者の処罰感情
- 被害弁償の有無
- 示談成立の有無
犯行の手口が悪質で計画的だった、否認を続けていて反省がみられない、被害者の処罰感情が厳しいといった事情があれば、量刑は重くなる傾向にあります。反対に、早い段階から罪を認めて反省している、被害弁償をして示談が成立している、被害者が処罰を望んでいないといった事情があれば、量刑は軽くなる傾向にあります。
この被害者との示談を実際にどう進め、弁護士費用がどれくらいかかるのかについては「盗撮事件に強い弁護士による刑事弁護のポイント」で解説しています。
罰金になりやすい?
盗撮の初犯で起訴される場合は、略式起訴により罰金刑となることが多いでしょう。
略式手続は、検察官から手続きの説明を受け、この手続きによることに異議がない旨を書面で示したうえで進められます(刑事訴訟法461条の2)。その後、簡易裁判所が100万円以下の罰金を科す略式命令を出します(同法461条)。審理は書面で行われるため本人が法廷に出向く必要はなく、勾留されていた場合は、略式命令が出れば、通常はその日のうちに釈放されます。
手続きが早く終わる一方で、罰金であっても前科がつく点には注意が必要です。罰金額の目安は「盗撮は罰金刑か懲役か?罰金の相場と刑罰を避ける方法」にまとめています。
拘禁刑になることもある?
先ほどみたような悪質な事情や多数の余罪がある場合には、初犯でも公判請求されやすくなります。略式命令では罰金か科料しか科せませんが、公判では拘禁刑を言い渡すこともできます。
初犯で拘禁刑となる場合でも、執行猶予がつくのが一般的です。刑法25条は、前に拘禁刑以上の刑に処せられたことがない人が3年以下の拘禁刑を言い渡されるときは、情状により1年以上5年以下の期間、刑の執行を猶予できると定めています。執行猶予がつけば、ただちに刑務所に入ることはありません。
一方、執行猶予がつかない実刑判決となった場合は、判決の確定後、刑務所に収容されます。実刑と執行猶予の分かれ目については「盗撮で実刑はまれ?執行猶予の可能性と実刑になりやすいケース」をご参照ください。
不起訴や執行猶予を獲得するには?
盗撮が初犯であっても、不起訴や執行猶予付きの判決を目指すために取り組むべきことは、主に次の3つです。
- ①被害者への謝罪と示談交渉
- ②自首する
- ③再犯防止策を講じる
①被害者への謝罪と示談交渉
もっとも重要なのが、被害者への謝罪と示談交渉です。示談とは、被害者に謝罪して示談金を支払い、事件を当事者間で解決する合意のことです。初犯の場合は、この示談交渉への取り組みが処分を大きく左右します。
示談の成立は、有利な情状として大きく考慮されます。起訴前に成立すれば不起訴に、起訴後に成立すれば執行猶予付き判決につながりやすくなります。ただし、撮影罪は被害者の告訴がなくても起訴できる犯罪のため、示談が成立しても必ず不起訴になるとは限りません。
盗撮の被害者は見知らぬ人であることが多く、加害者本人が連絡先を知る手段はほとんどありません。仮に知っていたとしても、本人から直接連絡すると被害者をさらに怖がらせ、証拠隠滅や脅しを疑われるおそれがあるため、避けるべきです。
示談交渉は、弁護士に依頼して進めるのが現実的です。弁護士であれば、被害者の了承を得たうえで捜査機関から連絡先を教えてもらえる場合があり、冷静に話し合いを進めやすくなります。示談金の相場や示談の流れは「盗撮の示談とは?相場は10万~50万円|弁護士が解説」をご参照ください。
②自首する
盗撮が初犯であっても、まだ発覚していない段階であれば、自首も有効な手段です。
自首とは、犯罪や犯人が捜査機関に知られる前に、自分から犯罪事実を申告することです。自首が成立すれば、裁判所の判断で刑が軽くなることがあります(刑法42条1項)。自ら出頭したことで、逃げたり証拠を隠したりするおそれは低いと判断されやすくなり、逮捕の回避にもつながります。反省の態度を示すことにもなるため、不起訴や執行猶予付き判決を目指すうえでも有利に働きます。
その場で誰にも気づかれなかった場合や、見つかっても身元を知られないまま立ち去った場合に検討する価値があります。自首の流れやメリットは「盗撮で自首するメリット・デメリット|逮捕回避を弁護士が解説」もあわせてご確認ください。
③再犯防止策を講じる
再犯防止策を講じることも重要なポイントです。
刑罰の目的の一つは、再び罪を犯すことを防ぐことにあります。そのため、刑罰に頼らなくても更生できると判断されれば、不起訴や執行猶予付き判決を得られる可能性が高まります。
具体的には、まず盗撮をしたことを認め、深く反省し、更生する意思を示すことが必要です。取調べの段階から事実を認めて話すことも、その表れになります。そのうえで、生活の見直しに取り組みます。盗撮を繰り返してしまう背景に、性的な衝動をコントロールしにくい問題(いわゆる性依存症)が隠れていることもあります。その場合は、専門の医療機関やカウンセリングに通い、治療を続けることが再犯防止につながります。
家族など身近な人の理解と協力も欠かせません。家族が本人を監督し、治療や更生を支える姿勢を示すことも、処分を判断するうえで考慮される事情になります。初犯の段階でこうした対策を示せるかどうかが、示談とあわせて、処分を軽くする大きな要素です。
盗撮の初犯でお悩みの方は弁護士にご相談ください
盗撮の初犯は、処分が不起訴や罰金にとどまることも多い一方で、余罪の有無や示談の成否によっては正式な裁判となり、拘禁刑が科されることもあります。
処分を軽くするうえで最も重要なのは、起訴される前に被害者との示談を成立させることです。被害者とは面識がないことが多く、ご本人やご家族だけで示談を進めるのは困難です。弁護士に依頼すれば、捜査機関を通じて被害者と連絡を取り、示談交渉を進められる場合があります。
「警察から連絡が来た」「家族が逮捕された」という状況では、先が見えない不安から冷静な判断が難しくなるものです。逮捕された場合は処分が決まるまでの時間も限られているため、できるだけ早い段階で弁護士にご相談ください。
当事務所は、盗撮事件の示談交渉、逮捕回避、不起訴獲得について豊富な実績があります。依頼者の不利益を最小限に抑えるため経験豊富な弁護士が迅速に動き、全力を尽くして守ります。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
| 気軽に弁護士に相談しましょう |
|
この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

