
痴漢事件で被害者との示談を進めることになったものの、「示談書には何を書けばいいのか」「条項に抜け漏れがあったらどうしよう」と不安を感じていませんか。
痴漢の示談書は、検察官や裁判官に示談成立の証拠として提出する書面です。宥恕条項や清算条項など必要な条項を正しく盛り込めば、不起訴処分や早期釈放の可能性を高めることにつながります。反対に、記載に不備があると、せっかく示談が成立しても十分な効果を得られず、起訴されて前科がつくおそれがあります。
この記事では、痴漢事件の示談交渉に強い弁護士が、次の点について解説します。
- 痴漢の示談書に盛り込むべき9つの条項と例文
- すぐ使える示談書の雛形(Wordダウンロード)
- 示談書を自分で作成する場合のリスク
なお、痴漢の示談書の作成や示談交渉について早急に対応したいとお考えの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。早期対応が結果を左右します。
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痴漢の示談書の書き方
痴漢事件において、被害者の方と示談交渉を行う際は、事前に示談書の草案を用意しておくことが重要です。書面を作成することで、合意内容が明確になり、後日のトラブルを防止できるだけでなく、検察官や裁判官に「示談が成立した証拠」として提出できます。示談書の原案は被害者、加害者のいずれが作ってもよいですが、被害者が示談交渉に応じてくれそうな場合は、ご自分が作ることを提案してみてもよいでしょう。ただし、弁護士を介さずに示談を進めることにはリスクもあります。詳しくは「弁護士なしで示談をする6つのリスクを知っていますか?」もあわせてご確認ください。
以下では、痴漢事件の示談書に盛り込むべき一般的な条項について解説します。作成の際の参考にしてください。
なお、以下の示談書は次のケースを前提に作成しています。
- 事案:被疑者(乙)が、被害者(甲)に対して、走行中の電車内において、甲の着衣の上から臀部を触るという痴漢行為を行った。
- 示談金:示談金は慰謝料を含めた解決金30万円とし、分割で支払う
- その他:接触禁止条項や口外禁止条項を入れる
標題
書面のタイトルです。「示談書」のほか、「合意書」「和解書」といった名称が使われます。どの名称であっても法的効力に違いはありませんが、刑事事件では「示談書」と記載するのが通例です。
【例】
示談書
合意書
和解書
頭書き(前文)
誰と誰が、いつ、どこで発生した、どのような事件について合意したのかを特定する部分です。被害者を「甲」、加害者を「乙」と定義し、犯行の場所及び犯行内容を記載します。
また、どの事件について示談するのか、事件の内容を書きます。事件の内容については詳細に記載する必要はありませんが、最低限他の事件との区別・識別ができる程度には特定されている必要があります。
【例】
被害者〇〇 〇〇(以下「甲」という。)と、加害者〇〇 〇〇(以下「乙」という。)は、乙が令和〇年〇月〇日午後〇時〇分頃、JR〇〇線〇〇駅から〇〇駅間を走行中の電車内において、甲の着衣の上から臀部を触った痴漢事件(以下「本件事件」という。)について、下記の通り示談した。
謝罪の意向
加害者が犯行事実を認め、被害者に対して真摯に謝罪していることを明記します。被害者の感情を逆なでしないよう、誠実な文言にすることが大切です。
【例】
乙は、本件事件について深く反省し、甲に対して謝罪する。
乙は、本件事件の事実を認め、甲に対して自らの犯行を深く謝罪し、甲はこれを受け入れた。
示談金の支払い
被害者に生じた損害をどのように賠償するかを定める条項です。
損害賠償金(慰謝料等)の金額、支払い期限、支払い方法を明記します。分割で支払いをする場合は、弁済期間・回数、毎月の弁済期限・弁済額、弁済方法を書きます。
また、示談金を口座振り込みで支払う場合、振込手数料は加害者が負担するのが一般的です。
【例】
乙は、甲に対し、本件事件の示談金(慰謝料等を含む)として、金〇〇万円を支払う義務があることを認める。
乙は、前項の金員を令和×年×月×日までに、甲の指定する金融機関の口座に振り込む方法により支払う。なお、振込手数料は乙の負担とする。
示談金の具体的な金額や交渉の進め方については「痴漢の示談金相場は?示談交渉の流れを弁護士が解説」で詳しく解説しています。
期限の利益の喪失、遅延損害金
示談金を分割弁済する旨の合意をした場合は、期限の利益の喪失と遅延損害金についてもあわせて合意することが多いです。
期限の利益の喪失とは、示談金を一括で支払う必要のない加害者の利益が失われること、すなわち、一括で支払わなければならないことを意味します。いかなる場合に期限の利益を喪失するのかを明確に書いておきます。
遅延損害金とは、示談金の支払が滞ったことによる賠償金のことで、別名遅延利息ともいいます。遅延損害金は未払の示談金に対して年率をかけた額を計算します。遅延損害金について定める場合は、年率を何パーセントにするか取り決めておきます。
【例】
乙が前条の分割金の支払を1回でも怠ったときは、当然に期限の利益を失い、乙は、甲に対し、第2条の金〇〇万円(既払分があればこれを控除する。)及びこれに対する期限の利益を失った日の翌日から支払済みまで年〇〇パーセントの割合による遅延損害金を支払う。
宥恕(ゆうじょ)条項
「宥恕」とは、被害者が加害者を許し、刑事処罰を望まないという意思表示です。刑事手続きにおいて、不起訴処分を目指す上で最も重要な条項の一つです。
ここでは、被害者が加害者の行為を許し、刑事処罰を求めない意思を明記します。あわせて、被害届や告訴状の取り下げ・不提出についても取り決めることが一般的です。
示談金を一括弁済する場合は、弁済が確認できた段階で被害届等を提出しない(既に提出している場合は取り下げる)とする内容を盛り込みます。分割払いの場合も考え方は同じですが、全額弁済の完了を条件とするのが基本です。
このように宥恕条項は不起訴処分の獲得に直結する条項です。検察が起訴・不起訴の判断を行う際、被害者の宥恕の有無は重要な考慮要素の一つです。逮捕後の刑事手続き全体の流れについては「痴漢で逮捕されるとその後どうなる?逮捕後の流れと3つの対応方法」をご参照ください。
【例】
甲は、本示談をもって乙を宥恕し、乙の刑事処罰を望まない。また、既に提出されている被害届(または告訴状)を取り下げ、今後は捜査機関に対して本件事件の被害申告を行わない。
甲は、本件事件について、乙の犯行を許し、乙に対する刑事処罰を望まず、告訴及び被害届をすべて取り下げる。
清算条項
清算条項は、示談成立後に被害者から追加の金銭的請求をされないための条項です。示談は、被害者と加害者との間で生じたトラブルを終局的に解決する手段ですから、示談書を書くにあたって清算条項は必須の条項といえます。清算条項を設けることで、示談書に定めた内容以外の請求が行われることを防ぎ、民事上の紛争の蒸し返しを回避できます。
【例】
甲及び乙は、本件事件については、本示談をもって全て解決したものとし、本示談に定めるほか、何らの債権債務がないことを相互に確認する。
甲及び乙は、本件事件に関し、本示談書に定めるほか、何らの債権債務がないことを相互に確認し、今後、裁判上・裁判外を問わず一切の請求を行わない。
接触禁止条項
被害者の安心感を確保するため、二度と接触しないことを約束します。「特定の駅や路線を使用しない」といった、より具体的な条件を付け加える場合もあります。
【例】
乙は、甲に対して、今後は一切接触しない。
乙は、今後いかなる理由があっても甲に対し、面会、電話、メール、SNS、その他一切の方法による接触を行わない。
乙は、公共の場等で偶然甲を見かけた場合であっても、速やかにその場を立ち去らなければならない。
守秘義務条項
示談成立後、事件のことや示談の内容を第三者に開示されると名誉を害され、新しいスタートを切ることができないおそれが生じます。そこで、お互いのプライバシーや名誉を守るため、事件の内容や示談が成立した事実を第三者に漏らさないことを約束する条項を入れておきます。
ただし、一切開示できないとするとお互いに不都合が生じますので、「正当な理由がある場合を除き」という文言を入れて、開示の例外を認める形にしています。
【例】
甲及び乙は、正当な理由がある場合を除き、本件事件の内容、本示談書の存在及びその内容について、口頭、書面、SNS、インターネット上への投稿等、一切の手段を用いて第三者に開示または漏洩してはならない。
痴漢の示談書雛形(テンプレート)のダウンロード

以下のリンクから、痴漢の示談書の雛形をダウンロードできます。 ただし、事案によって示談書に記載すべき内容は異なりますので、上記の「痴漢の示談書の書き方」を繰り返し読んだうえで、ご自身のケースに応じた加除修正を行うようにしてください。
痴漢の示談書を自分で作成するリスク
示談は法律的には和解契約に該当しますが、和解契約で規定した権利関係に反する主張は後からできなくなるのが原則です(「和解の確定効」といいます)。記載に不備のある示談書を取り交わしてしまうと取り返しのつかない事態にもなりかねませんので、ご不安な方は雛形を使用せずに弁護士に示談書の作成を依頼するようにしましょう。
痴漢の示談書の作成でお悩みの方はすぐにご相談ください
痴漢事件の示談書には、宥恕条項や清算条項をはじめ、不起訴処分の獲得や将来のトラブル防止に欠かせない条項を正確に盛り込む必要があります。条項の記載に不備があると、示談が成立しても十分な効果を得られないおそれがあります。
刑事事件に精通した弁護士に依頼するメリットは、事案に応じた適切な示談書を作成できるだけでなく、被害者との交渉も弁護士が窓口となって進められる点にあります。痴漢事件では加害者本人が被害者の連絡先を知ることが難しいため、示談交渉を進めるうえでも弁護士のサポートは不可欠です。
「逮捕されて早く示談をまとめたい」「示談書の内容に問題がないか確認してほしい」など、痴漢の示談書についてお悩みの方は、どのような状況であってもおひとりで抱え込まずご相談ください。当事務所は痴漢事件をはじめとする刑事事件を多数取り扱ってきた実績があります。依頼者の不利益を最小限に抑えるため弁護士が迅速に動き、全力を尽くして守ります。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

