痴漢で告訴されたらどうなる?その後の流れと対処法を解説

痴漢で告訴された、あるいは被害者から「告訴する」と言われたが、この先どうなるのか、逮捕や前科は避けられないのかと不安を抱えていませんか。

痴漢で告訴されても、それだけで逮捕や起訴が決まるわけではありません。ただし、処分を決める場面では、被害者が処罰を望んでいることが不利な事情として考慮されます。それでも、早い段階で示談に動けば、不起訴を目指せる可能性は十分にあります。「告訴する」と言われた段階なら、告訴状が出る前に話し合いで解決できることもあります。

この記事では、痴漢事件の解決実績が豊富な弁護士が、次の点について解説します。

  • 痴漢は告訴されなければ起訴されないのか
  • 告訴されると処分はどうなるのか
  • 告訴された後の流れと身柄拘束の期間
  • 示談など告訴されたときの対処法

お読みいただければ、この先の見通しと、いま取るべき行動を整理できます。

なお、すでに告訴された方や「告訴する」と言われている方は、この記事をお読みいただいた後、当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。早期対応が結果を左右します。地域を問わずご相談を承っています。

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痴漢は告訴されなければ起訴されない?

いいえ。痴漢は、被害者が告訴をしていなくても、検察官の判断で起訴されることがあります。

告訴(刑事告訴)とは、被害者などが警察や検察に犯罪の被害を申告し、犯人を処罰してほしいという意思を示すことです。痴漢行為に問われる主な罪である迷惑防止条例違反と不同意わいせつ罪は、どちらも非親告罪(告訴がなくても起訴できる犯罪)です。

そのため、被害者が告訴をしなくても、目撃証言や車内の防犯カメラ映像といった証拠がそろえば、起訴に至ることもあります。なお、告訴がないと起訴できない犯罪は「親告罪」と呼ばれ、痴漢との関係は「痴漢は親告罪ではない!非親告罪でも示談で不起訴を目指すには?」で詳しく解説しています。

また、親告罪には「犯人を知った日から6か月」という告訴期間の制限がありますが、非親告罪である迷惑防止条例違反や不同意わいせつ罪にはこの制限がなく、時間がたってから告訴されることもあります。起訴できる期限である公訴時効は、迷惑防止条例違反で3年、不同意わいせつ罪で原則12年です(同罪は、被害者が18歳未満なら、18歳になるまでの期間が加算されます)。

痴漢で告訴されるとどうなる?被害届との違い

痴漢で告訴されると、警察や検察が告訴事件として手続きを進め、告訴があることが起訴するかどうかの判断でも被疑者(罪を犯した疑いを受けている人)に不利に働きやすくなります。

告訴と被害届は、どちらも被害者が捜査機関に犯罪の被害を申告するものですが、次の点が異なります。

  • 告訴:被害の申告に加えて、犯人の処罰を求める意思表示を含む
  • 被害届:被害の事実を申告するもので、処罰を求める意思表示は含まない

もっとも、被害届が受理された段階でも、警察は防犯カメラの映像や交通系ICカードの記録を調べるなど、犯人の特定に向けて動き出すのが通常です。告訴の有無による違いは、次の2点に表れます。

①事件は必ず検察官に送られ、処分結果も告訴した人に伝わる

痴漢の告訴を受けた警察は、事件に関する書類と証拠物を速やかに検察官へ送らなければなりません(刑事訴訟法242条)。検察官も、起訴または不起訴の処分をしたときは、その結果を速やかに告訴した人へ通知しなければなりません(同法260条)。

さらに警察は、告訴事件について、特にすみやかに捜査を行うよう努めるとともに、告訴が人をおとしいれる目的の虚偽や著しい誇張によるものでないかにも注意することとされています(犯罪捜査規範67条)。

被害届でも、警察が捜査をすれば事件は原則として検察官に送られます。告訴では、捜査の有無にかかわらず検察官への送付と処分結果の通知が義務づけられている点が異なります。

②起訴・量刑の判断で不利に働きやすい

検察官が起訴するかどうかを決めるときや、裁判所が刑の重さを決めるときには、被害者の処罰感情(加害者を罰してほしいという気持ち)も考慮されます。

告訴は、被害者が処罰を求めていることをはっきり示します。そのため、示談ができていない状態では起訴される可能性が高まり、有罪となった場合にも刑が重くなる方向に働くことがあります。

処分への影響を小さくするには、告訴された段階で早めに弁護士へ相談し、示談に向けて動くことが大切です。

痴漢で問われる罪は?迷惑防止条例違反と不同意わいせつ罪

「痴漢罪」という名前の犯罪はなく、痴漢で告訴された場合に問われるのは主に、都道府県ごとの迷惑防止条例違反か、刑法の不同意わいせつ罪です。

たとえば東京都の迷惑防止条例は、正当な理由なく、人を著しく羞恥させたり不安を覚えさせたりするような行為のうち、公共の場所や乗り物で、服の上から、または直接に人の身体に触れることを禁じています(5条1項1号)。満員電車でやむを得ず体が触れた場合など、こうした行為に当たらなければ処罰されません。違反した場合の法定刑は、6か月以下の拘禁刑か50万円以下の罰金で、常習の場合は1年以下の拘禁刑か100万円以下の罰金です(8条1項・8項)。

※拘禁刑とは、2025年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑を一本化した刑罰です。

条例違反で起訴されても、初犯で態様が悪質でなければ、拘禁刑ではなく罰金刑で終わることが多いですが、罰金も前科になります。

一方、行為の態様が悪質な場合などは、不同意わいせつ罪(刑法176条)に問われることがあります。この罪は、法律が挙げる行為や事情などによって、同意しない意思を持つ・表す・貫くことが難しい状態にさせ、またはその状態に乗じて、わいせつな行為をしたときに成立します。実務では、下着の中まで手を入れた場合などに、この罪に問われやすくなります。

不同意わいせつ罪の刑罰は6か月以上10年以下の拘禁刑に限られ、罰金刑はありません。有罪となった場合、執行猶予が付かなければ刑務所に入ることになります。この二つの罪の違いについては「痴漢は不同意わいせつ?迷惑防止条例違反?両罪の違いを解説」で整理しています。

痴漢で告訴されたら逮捕される?告訴後の流れと期間

痴漢で告訴されても、必ず逮捕されるわけではなく、在宅のまま捜査が進むこともあります。告訴を受けた後の手続きは、おおむね次の順に進みます。

痴漢で告訴された後の流れ

①警察が捜査を始め、呼び出しを受ける

告訴状を受理した警察は、被害者から事情を聴くほか、目撃者や防犯カメラの映像といった証拠を集めて、犯人の特定を進めます。

こうして被疑者として特定されると、警察から連絡があり、出頭を求められることがあります。任意同行を求められることもあり、その際の対応については「痴漢で任意同行を求められたら逮捕?拒否した場合はどうなる?」をご覧ください。

②逮捕されるか在宅で捜査されるかが決まる

その後、身柄を拘束して捜査する「身柄事件」になるか、普段どおり生活しながら呼び出しに応じて取調べを受ける「在宅事件」になるかが分かれます。

逮捕状による逮捕は、罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があっても、逃亡や証拠隠滅のおそれがないなど、明らかに逮捕の必要がない場合には認められません。痴漢では、否認を続けていたり、行為が悪質だったりすると、そのおそれがあるとして逮捕されることがあります。逮捕されるかどうかの分かれ目については「痴漢で逮捕されるとどうなる?流れと対応・逮捕されないケース」で解説しています。

在宅事件には、後述の身柄事件のような期間の制限がないため、処分が決まるまでに時間がかかることもあります。

なお、その場で逮捕状なしに現行犯逮捕され、後から告訴の意向が示されることも多く、その場合は①②を経ずに③に進み、釈放されれば在宅で捜査が続きます。

③逮捕された場合は送致・勾留で最長23日間拘束される

痴漢の容疑で逮捕された後、警察が身柄の拘束が必要だと判断すると、48時間以内に、被疑者を書類や証拠物とともに検察官へ送ります(送致)。送致を受けた検察官は、24時間以内、かつ逮捕から72時間以内に、裁判官へ勾留(引き続き身柄を拘束すること)を請求するかどうかを決めます。

勾留が認められると、請求の日から10日間、延長されるとさらに最大10日間、警察署の留置場などで身柄を拘束されます。逮捕から勾留の満期まで最長で23日間、自宅に戻れず、仕事や学校にも行けない状態が続きます。

早期の釈放には、勾留しないよう求める意見書の提出や、勾留決定への不服申立てといった弁護活動が重要です。身柄拘束の期間を短くする方法については「保釈と釈放の違いは?早期釈放のためにすべきこと」で解説しています。

④検察官が起訴・不起訴を決める

捜査が終わると、検察官が被疑者を起訴するか、不起訴にするかを決めます。

不起訴になれば刑事裁判は開かれず、前科もつきません。主な不起訴の理由には、嫌疑なし(犯人でないことが明らかな場合など)、嫌疑不十分(犯罪を証明する証拠が足りない場合)、起訴猶予(罪を犯したことが明らかでも、本人の境遇や犯行後の状況などから起訴を見送ること)があり、告訴されている事件でも不起訴になることはあります。不起訴を得るための対応や、実際の不起訴率については「痴漢の不起訴率と不起訴獲得のためにすべき5つの対応を解説」をご覧ください。

起訴には、公開の法廷での正式な裁判を求めるものと、略式起訴があります。略式起訴は、本人が異議のないことを書面で示したうえで、簡易裁判所が書面だけで100万円以下の罰金または科料を言い渡す手続きです。罰金刑のない不同意わいせつ罪では略式起訴は使えず、起訴されれば必ず正式な裁判になります。

痴漢で告訴されたときの対処法

告訴されたとき、または「告訴する」と言われたときの対応は、主に次の3つです。

  • ①すぐに弁護士へ相談し、取調べに備える
  • ②示談して告訴の取下げを目指す
  • ③冤罪なら否認を貫き、訴え返すことも検討する

①すぐに弁護士へ相談し、取調べに備える

痴漢で告訴されたと分かったら、刑事弁護の経験が豊富な弁護士へ早めに相談しましょう。弁護士は、本人に代わって被害者との示談交渉を進めるほか、検察官に不起訴を求める意見を伝えるなど、捜査機関への働きかけも行います。

取調べで話した内容が供述調書に記録されると、後の裁判で証拠として使われることがあります。事実と違う内容を一度認めてしまうと、後から覆すのは難しくなります。黙秘権(言いたくないことは話さなくてよい権利)の使い方や、調書に署名する前の確認のしかたなど、事前に弁護士から助言を受けておくことが大切です。

②示談して告訴の取下げを目指す

示談では、被害者に謝罪して示談金を支払い、告訴を取り下げてもらうことや、加害者を許すという宥恕(ゆうじょ)の意思を示してもらうことを目指します。告訴状が出される前なら、示談で告訴自体を防げる場合もあります。示談金の相場や交渉の進め方は「痴漢の示談金相場は?示談交渉の流れを弁護士が解説」で紹介しています。

告訴は、起訴されるまでであれば取り下げることができます(刑事訴訟法237条1項)。ただし、痴漢は非親告罪のため、告訴が取り下げられても、それだけで事件が終わるわけではありません。それでも、被害者が処罰を望まなくなったことは、検察官が処分を決めるうえで考慮される重要な事情です。初犯で行為の態様が悪質でなければ、起訴される前に示談がまとまることで、不起訴処分となる見込みは十分にあります。

痴漢では被害者と面識がないことが多く、本人や家族が捜査機関に尋ねても、被害者の連絡先は通常教えてもらえません。弁護士であれば、被害者の了解を得たうえで捜査機関から連絡先を教えてもらい、交渉を始められることがあります。

当事者同士で直接やり取りすると、被害者の不安や怒りを強め、かえって示談が難しくなるおそれがあります。被害者の心情に配慮するためにも、示談交渉は弁護士に任せましょう。

まとまった示談の内容は示談書にして、検察官に提出します。示談書に記載すべき条項や文例は「痴漢の示談書の書き方|条項別の例文と雛形ダウンロード」にまとめています。

③冤罪なら否認を貫き、訴え返すことも検討する

身に覚えがないのに告訴された場合は、その場を収めるための謝罪や事実と違う自白をせず、やっていないと一貫して主張することが大切です。

相手があなたに刑事処分を受けさせる目的で、うその告訴をしていた場合には、虚偽告訴罪(刑法172条)が成立しうるため、相手を訴え返すことも理論上は可能です。

ただし、相手がうそと知りつつ告訴したと立証するのは、容易ではありません。まずは弁護士と協力してアリバイや客観的な証拠を集め、不起訴や無罪を目指す防御を優先しましょう。痴漢冤罪への対応については「痴漢冤罪の4つの対処法と5つのNG行動|逃げるのが厳禁な理由」で詳しく解説しています。

痴漢の告訴に関する解決事例

当事務所の弁護士に刑事弁護を依頼して不起訴を獲得した痴漢事件の事例を紹介します(プライバシー保護の観点から内容を一部加工しています)。

勾留が回避され、早期示談で不起訴処分を獲得できた事例

この事案は、電車内での痴漢行為により、ご本人(30代・自営業)が現行犯逮捕された事例です。被害者は処罰を強く望んでおり、告訴の意向を示していました。

警察は被疑者の身柄を検察官に送致しましたが、事件の依頼を受けた当事務所の弁護士は、直ちに釈放を求める意見書や、ご家族による身元引受書を検察官に提出しました。その結果、検察官は勾留を請求せず、ご本人は逮捕から2日で釈放されました。

釈放後、速やかに被害者側の弁護士と示談交渉を開始し、示談を成立させました。告訴の動きがあったにもかかわらず、勾留回避と示談の成立が評価され、最終的に不起訴処分を獲得しました。

前科があるものの、適切な弁護活動によって不起訴となった事例

この事案は、電車内で女性に下半身を押しつける痴漢行為で現行犯逮捕された事例です。

ご本人(40代・会社員)は、過去に痴漢による前科が2件あり、実刑判決で服役した経験もある、非常に厳しい状況でした。

被害者は未成年であり、その父親が非常に強い処罰感情を持っていて、被害者側から告訴もされていました。事件を受任した当事務所の弁護士は被害者の父親と粘り強く示談交渉を行いました。特に再犯防止の取り組みを重視し、ご本人には通勤経路の変更を徹底させ、専門のカウンセリングにも継続的に通ってもらいました。

これらの再発防止策を講じた結果、被害者と示談を成立させ、告訴も取り下げてもらうことができました。検察官に対し、示談の成立と徹底した再発防止への取り組みを強く主張した結果、前科にもかかわらず、不起訴処分を勝ち取ることができました。

痴漢で告訴された方・告訴のおそれがある方へ

痴漢は告訴がなくても起訴されうる犯罪であり、告訴されれば、捜査の進み方や処分の判断にも影響が及びます。もっとも、示談の成立や取調べへの備えしだいで、不起訴を得られる見込みは残されています。

早期に弁護士へ依頼すれば、告訴の取下げを含む示談交渉や検察官への働きかけに、すぐ取りかかれます。

すでに告訴されている場合はもちろん、「告訴する」と被害者に告げられた場合や、警察から連絡が来た場合も、一人で抱え込まずにご相談ください。先の見えない状況が続き、精神的な負担も大きいことと思います。

当事務所は、痴漢事件の刑事弁護を数多く取り扱い、逮捕の回避や不起訴処分の獲得について豊富な実績があります。ご家族や職場への影響にも配慮しながら、依頼者の不利益を最小限に抑えるため弁護士が迅速に動き、全力を尽くして守ります。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

逮捕回避・早期釈放 不起訴獲得 示談交渉 痴漢・盗撮 性犯罪 暴行・傷害
メディア掲載 フジテレビ「とくダネ」/ ダイヤモンド・オンライン / @DIME / サイゾー 他多数
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