
「不起訴になれば前科はつかないって本当?」「不起訴と無罪は何がどう違うの?」
逮捕や捜査の対象となった方やそのご家族にとって、不起訴処分を得られるかどうかは、その後の人生を大きく左右する分かれ目です。不起訴とは、検察官が刑事裁判にかけないと判断する処分のことで、不起訴になれば前科はつきません。
この記事では、刑事事件に強い弁護士が、無罪や起訴・罰金との違い、前科・前歴への影響、そして獲得するためのポイントまで、被疑者の立場でわかりやすく解説します。
- 不起訴と無罪・起訴・罰金の違い
- 前科・前歴がつくのか
- 不起訴になる5つの理由
- 獲得のためにすべきこと
なお、不起訴処分の獲得に向けて早急に対応したいとお考えの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。早期対応が結果を左右します。
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不起訴とは
不起訴とは、簡単に言えば刑事裁判にかけられない刑事処分のことです。刑事処分を下すのは検察官の専権で、不起訴のほかに起訴、家庭裁判所送致などの刑事処分があります。
※2025年6月1日施行の改正刑法により、従来の「懲役」と「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されました。本記事では改正後の名称で記載しています。
不起訴と起訴との違い
起訴とは、不起訴とは真逆の刑事処分です。検察官による起訴には公判請求と略式命令請求の2種類があり、いずれの形であれ起訴されると刑事裁判にかけられ、裁判で有罪認定を受けると拘禁刑や罰金などの刑罰を受けます。
そして、不服申立て期間(裁判の翌日から14日間)が経過してその裁判が確定という状態となると前科がつきます。実刑か執行猶予か、拘禁刑か罰金かに関係なく前科がつきます。
不起訴と罰金との違い
罰金は拘禁刑などと同様に刑罰の一種です。これに対して、不起訴は刑罰ではなく刑事処分の一種です。
罰金は起訴(多くの場合、略式起訴)から刑事裁判を経て科されます。つまり、起訴という刑事処分を前提とするのが罰金です。
また、後述するとおり、罰金を科され刑事裁判が確定すると前科がつきますが、不起訴となれば前科はつきません。罰金が科される場合の多くは略式起訴という手続きがとられますが、その具体的な流れや罰金相場については「略式起訴とは?前科・罰金相場・手続きの流れをわかりやすく解説」をご参照ください。
不起訴と無罪との違い
不起訴も無罪も「刑罰を科されない」という結果は同じです。ただ、その意味するところは大きく異なります。両者を分けるポイントは、そもそも刑事裁判が行われるかどうかにあります。
無罪は、起訴を受けて刑事裁判が開かれ、その法廷で「罪に当たらない」「証拠から罪と認定できない」と裁判官が結論づけたときに、被告人に対して言い渡される判決のことです。判決が確定すれば、その罪を犯した者ではなかったということが法的に決着します。
これに対して不起訴は、起訴自体がなされない処分です。刑事裁判は開かれず、有罪・無罪の判断もくだされません。不起訴になったとしても、それは「犯罪を行った人ではない」と公式に判断されたことを意味するわけではないのです。たとえば後述の起訴猶予は、犯罪が成立していると検察官が認めながら起訴を見送るケースですから、不起訴の中身は無罪とは性質を異にします。
なお、不起訴で確定した事件であっても、新たな証拠が見つかれば再捜査や起訴の対象となる可能性は残ります。確定後に同じ事件で蒸し返されない無罪判決とは、この点でも違いがあります。
不起訴・起訴後の有罪判決・無罪判決の違いを観点ごとに整理すると、次のとおりです。
| 観点 | 不起訴 | 起訴→有罪判決 | 無罪判決 |
|---|---|---|---|
| 刑事裁判 | 開かれない | 開かれて有罪が確定 | 開かれて無罪が確定 |
| 前科 | つかない | つく | つかない |
| 犯罪の成否 | 認定されない(ただし起訴猶予は犯罪成立を前提とする) | 認定されている | 否定されている |
| 同一事件で再び裁かれる可能性 | 新たな証拠があれば再起訴の余地あり | 一事不再理により原則なし | 一事不再理により原則なし |
不起訴で前科・前歴はつく?
前科は、起訴→刑事裁判→判決・命令で有罪→裁判確定、という過程を経て初めてつくものです。不起訴になれば刑事裁判自体が開かれないため、前科がつくことはありません。
ただし、前歴は残ります。前歴とは検挙の履歴のようなもので、被疑者として捜査の対象となった時点で記録されます。逮捕されたかどうかは問いません。
前科は検察庁、前歴は警察において厳重に管理され、戸籍や住民票には載りません。一般の人が外部から閲覧できるものではないため、日常生活に直接の不利益が及ぶ場面は限られます。
なお、不起訴処分が出るタイミングは身柄を拘束されているかどうかで大きく変わります。逮捕・勾留が続く身柄事件では、逮捕から起算して原則最長23日以内に検察官が処分を決定します。この期間内に不起訴とされれば、その時点で身柄は釈放されます。一方、在宅で捜査が進む事件には法律上の時間制限がなく、数か月から1年以上を要するケースもあります。
また、検察官の側から「あなたは不起訴になりました」と積極的に伝えてくれるわけではありません。もっとも、不起訴とされた事件については、本人が請求すれば不起訴処分告知書という書面の交付を受けられる権利が認められています(刑事訴訟法259条)。検察庁の担当窓口で請求すれば、事件の処分結果を文書で確認できます。
在宅事件では処分の通知を待っているだけでは結果が判明しないこともあるため、在宅事件の進み方や起訴率・不起訴率については「在宅事件の流れと期間|起訴率・不起訴率と身柄事件との違い」もあわせてご確認ください。
不起訴の種類(理由)
不起訴処分には、理由ごとに20種類の区分があります(事件事務規程75条2項)。実際の運用ではそのうち数種類が大半を占めるため、ここでは主要な5つを取り上げて解説します。
主要な5種類の不起訴処分と、それぞれで重視される弁護活動の方向性を一覧にまとめると、次のとおりです。
| 種類 | 主な要件 | 典型例 | 弁護活動の方向性 |
|---|---|---|---|
| 起訴猶予 | 犯罪は成立するが訴追を要しないと判断される場合 | 被害弁償・示談成立、軽微な被害、深い反省 | 示談交渉、反省文・身元引受書の提出、贖罪寄付 |
| 嫌疑不十分 | 有罪を立証する証拠が十分に揃わない場合 | 否認事件で物証が乏しい、目撃供述の信用性に疑義 | 反証の提示、不利な供述調書の作成回避 |
| 嫌疑なし | 被疑者が犯人でないことが明白/犯罪認定の証拠が明白に欠ける場合 | 真犯人の判明、誤認逮捕 | 客観的証拠(アリバイ・防犯映像など)の提示 |
| 罪とならず | 行為はあったが法律上の犯罪が成立しない場合 | 正当防衛・緊急避難、心神喪失、刑事未成年 | 違法性阻却事由・責任能力欠如の主張 |
| 訴訟条件を欠く | 起訴手続を進める前提条件が満たされない場合 | 親告罪で告訴がない/取り下げられた、公訴時効の完成 | 告訴取下げの交渉、時効の主張 |
起訴猶予
起訴猶予は、犯罪の成立は証拠上はっきりしているけれども、検察官が「あえて起訴するまでもない」と判断したときに付けられる不起訴理由です。判断の手がかりとなるのは、被疑者の性格・年齢・境遇、犯罪の重さや動機、犯罪後の態度(被害弁償、反省、再犯防止策など)です(刑事訴訟法248条)。
不起訴処分のおよそ9割は、この起訴猶予で占められています(令和7年版犯罪白書)。実務上、被害者がいる事件で不起訴を目指すケースの多くは、起訴猶予を狙う弁護活動となります。
起訴猶予の具体的な条件や処分までの期間については「起訴猶予とは?前科はつく?不起訴・起訴との違いを解説」で詳しく解説しています。
嫌疑不十分
嫌疑不十分は、犯罪を行ったとの疑いは残るものの、有罪を立証するに足りる証拠が揃わないときに下される不起訴処分です。検察官が公判で立証できる見通しが立たなければ、無理に起訴して無罪リスクを抱えるよりも不起訴を選ぶことになります。否認事件で関係証拠が乏しい場合や、目撃証言の信用性に疑義が残るケースなどがあてはまります。
嫌疑なし
嫌疑なしは、被疑者が犯人でないことが明白なとき、または犯罪そのものを認定する証拠がないことが明白なときに下される処分です。真犯人が判明して人違いとわかった場合や、当初疑われていた行為が実際には行われていなかった場合などが該当します。
罪とならず
罪とならずは、被疑者が行為自体は行ったが、法律上の犯罪が成立しないと判断されたときに採られる不起訴処分です。
具体的には、行為が刑罰法規の構成要件に当てはまらないケースのほか、正当防衛・緊急避難など違法性が否定される事情があるケース、心神喪失や14歳未満(刑事未成年)といった責任能力が認められないケースが含まれます。
訴訟条件を欠く
訴訟条件とは、起訴手続を進めるための前提となる条件のことをいいます。これが満たされていないときに出される不起訴処分が「訴訟条件を欠く」です。
典型例としては、親告罪である名誉毀損罪・器物損壊罪などで被害者が告訴を取り下げた(あるいは初めから提出されなかった)ケースです。親告罪では告訴がなければ起訴できないため、検察官の判断にかかわらず不起訴となります。そのほか、公訴時効の完成や被疑者の死亡なども訴訟条件を欠く場合にあたります。
不起訴を得るために必要なこと
不起訴を得るために必要な対応は、被疑事実を認めるかどうかで大きく変わります。刑事事件における示談の具体的なメリットや示談金の相場については「刑事事件で示談するメリットは?示談金相場と流れを徹底解説」もあわせてご確認ください。
被疑事実を認める場合
被害届が出されている事件などで被害者がいる場合、最も重要となるのが示談交渉です。示談交渉の結果、示談が成立した場合は起訴猶予による不起訴となる可能性が高くなります。
また、器物損壊罪などの親告罪に問われている場合で、示談が成立すると告訴が取り消される可能性が高いです。告訴が取り消されると、親告罪の告訴の取消しにより不起訴となります。
被害者がいない事件では、検察官に反省文や身元引受人の上申書などを提出し、場合によっては慈善団体に贖罪寄付を行うことも有効です。贖罪寄付の具体的な効果や検討すべきケースについては「贖罪寄付とは?その効果と寄付を検討すべき2つのケース、手続の流れ」で詳しく解説しています。
被疑事実を認めない場合
取調べでは黙秘権(質問への回答を拒める権利)を行使するなどして、自白調書を取らせないことが必要です。被疑事実を認めない場合は、捜査官の追及が厳しくなることが予想されます。自分一人で対抗することは難しいですから、弁護士に相談や対応を依頼することも検討しましょう。
不起訴に関するよくあるご質問
不起訴になった理由は教えてもらえる?
検察官には、不起訴処分の理由を被疑者やその関係者に告知する法的な義務はありません。請求すれば交付される不起訴処分告知書には処分の事実のみが記載され、理由欄は通常設けられていないか、簡素な記述にとどまります。
理由が公にされない背景には、共犯者など別事件への影響を避けたい、被害者や関係者の名誉やプライバシーを守りたい、といった捜査上・人権上の配慮があるとされます。詳細を知りたい場合は、弁護人を通じて捜査担当者へ照会する方法が考えられます。
不起訴と「処分保留」「不起訴不当」はどう違う?
処分保留は、勾留期限の満了までに起訴・不起訴の判断ができず、検察官が結論を持ち越した状態です。被疑者は釈放されますが、捜査自体は継続し、後日改めて処分が決まります。
不起訴不当は、検察官が下した不起訴処分について、告訴人などからの申立てを受けた検察審査会が「この不起訴は不当である」と議決した場合の判断のことです。議決を受けた検察官は再度の捜査を行ったうえで、改めて起訴・不起訴を判断することになります。
なぜ不起訴になる人が多い?
検察庁が処理する事件のうち、起訴される割合は3割程度にとどまり、6割以上が不起訴で終わっています(令和7年版犯罪白書)。検察官には起訴・不起訴を選ぶ広い裁量権があり、軽微な事案や示談・反省が進んだ事案では、公開の刑事裁判を経るよりも起訴猶予で処理する運用が定着していることが大きな要因です。
裏を返せば、起訴された事件の有罪率は99%を超えており、起訴段階で十分に勝算があると検察官が判断したものだけが法廷に持ち込まれている、ともいえます。
検察庁から呼び出されたら不起訴の可能性が高い?
検察庁からの呼び出しは、処分を決める前の取調べであるケースが多く、それ自体で起訴か不起訴かを示唆するものではありません。供述次第で結論が変わるため、油断せず慎重に臨む必要があります。
呼び出しを受けた段階で、取調べに先立って弁護士に相談しておけば、想定される質問への準備や、不本意な内容で調書化されないための応答方針をあらかじめ整えておくことができます。
示談したのに不起訴にならないこともある?
示談の成立は不起訴を引き出す強い材料ですが、それだけで不起訴が確定するわけではありません。被害が重い事件、社会的影響の大きい事件、前科・前歴が複数ある場合などでは、示談が整っていても起訴される可能性が残ります。
また、示談書に被害者の宥恕条項(処罰を求めないとの意思表示)が含まれているかどうかでも検察官の評価は変わります。不起訴を目指すのであれば、示談金額だけでなく示談書の文言設計も重要です。
不起訴の獲得を目指す方は早めに弁護士へご相談ください
不起訴処分を勝ち取ることができれば、刑事裁判が開かれることなく前科もつかない状態で、これまでの生活へ戻ることが可能です。ただし、検察官の処分判断には時間的な余裕がなく、特に身柄事件では逮捕から起算して23日という短い期間内に結論が出されます。
被害者との示談交渉、検察官への意見書の提出、取調べでの方針づくりなど、不起訴に向けた弁護活動はいずれも早期着手が結果を左右します。一人で抱え込むうちに時間が過ぎてしまうと、本来打てたはずの手が打てなくなる事態にもなりかねません。
「警察から連絡が来た」「家族が逮捕された」「示談したいが相手の連絡先がわからない」。こうした状況に直面している方は、できるだけ早い段階で弁護士の力を借りることをご検討ください。
当事務所は刑事事件の弁護活動を数多く手がけ、不起訴処分の獲得に向けた示談交渉や検察官対応の経験を積み重ねてまいりました。依頼者の不利益を最小限に抑えるため、弁護士が迅速に動き、全力を尽くしてあなたの立場を守ります。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

