女性にいきなり抱きつくと犯罪?ハグで逮捕される?弁護士が解説

女性にいきなり抱きつく行為は、不同意わいせつ罪(旧強制わいせつ罪)や暴行罪に問われる可能性があります

「酔った勢いで抱きついてしまったが、犯罪になるのだろうか」「どのような罪に問われるのか知りたい」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。

欧米諸国の中には友情や親しみを示す挨拶がわりにハグをする文化がありますが、日本では、親しい間柄を除き、挨拶としてハグをする習慣は一般的ではありません。相手の同意がない状態で女性に抱きつけば、刑事事件として立件される可能性があるのです。

この記事では、刑事事件に強い弁護士が以下の内容について詳しく解説します。

  • 抱きつき行為で成立する可能性のある罪
  • それぞれの罪の成立要件と法定刑
  • 抱きついたら逮捕されるのか

この記事を読むことで、ご自身の行為がどのような罪にあたり、この先どう動くべきかを整理できます。

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抱きつくだけで犯罪になる?

女性に抱きつく行為で問われる可能性のある犯罪として考えられるのは不同意わいせつ罪と暴行罪です。以下、それぞれの罪の内容と、逮捕されるかどうかをみていきましょう。

不同意わいせつ罪

不同意わいせつ罪とは、「同意しない意思を形成し、表明し、または全うすることが困難な状態にさせる、またはその状態にあることに乗じて」わいせつな行為をした人が問われる罪です(刑法176条)。

わいせつな行為とは、最高裁の判例(最判昭和26年5月10日)では、いたずらに性欲を興奮または刺激させ、普通の人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するような行為を指すとされています。例えば、臀部や性器を触る、胸を揉む、無理やりキスをするなど、一般的な人が持つ通常の性的な恥じらいの感覚を傷つける行為がそれに該当します。

なお、最高裁は、旧強制わいせつ罪について、行為者の性的な意図の有無にかかわらず罪が成立し得ると判断しています(最高裁大法廷平成29年11月29日判決)。わいせつな行為にあたるかは、行為そのものが持つ性的な性質を踏まえ、行われた際の具体的な状況もあわせて判断されます。

そして、抱きつく行為は、交際相手や日常的にハグを交わすような関係性がない場合、抱きつかれた女性が不快や恥ずかしさを感じることが一般的であるため、わいせつな行為に該当する可能性があります。

刑法176条1項は、相手が同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態になる原因として、次の8つと、これらに類する行為・事由を挙げています。これらの行為・事由によって相手がそのような状態になったこと、またはその状態にあることに乗じたことが必要です。

  • 暴行または脅迫: 無理やり抱きつく行為が「暴行」に該当する可能性があります。
  • 心身の障害: 相手が心身に障害を抱えている場合。
  • アルコールまたは薬物の影響: 相手がアルコールや薬物の影響下にある場合。
  • 睡眠その他の意識不明瞭: 相手が睡眠中や意識が不明瞭な状態の場合。
  • 同意しない意思を形成、表明、全うするいとまの不存在: 不意に抱きつかれた場合。
  • 予想と異なる事態に直面したことによる恐怖または驚愕: 抱きつかれたことで相手が恐怖や驚愕で動けなくなった場合。
  • 虐待に起因する心理的反応: 虐待の経験による無力感や恐怖心がある場合。
  • 経済的または社会的関係上の地位に基づく影響力による不利益の憂慮: 上司が部下に、教師が生徒に抱きついた場合など。

また、抱きつく行為自体はわいせつな行為に当たらない場合でも、その後のわいせつな行為を行うための手段として抱きついた場合、不同意わいせつ罪の未遂罪が成立する可能性があります。未遂罪の成立要件や科される刑罰については「不同意わいせつ(旧強制わいせつ)は未遂も処罰?刑罰と対処法」で詳しく解説しています。

抱きつく行為が不同意わいせつ罪にあたる場合に科される刑罰は6月以上10年以下の拘禁刑のみで、罰金による処罰は規定されていません。

※拘禁刑とは、2025年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑が一本化された刑罰のことです。

不同意わいせつ罪の成立要件や旧強制わいせつ罪との違いについては「不同意わいせつ罪とは?旧強制わいせつ罪との違いをわかりやすく解説」で詳しく解説しています。

暴行罪

暴行罪は刑法208条に規定されています。

(暴行)
第二百八条

暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の拘禁刑若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

暴行罪の「暴行」とは、人の身体に対して不法な有形力(物理的な力)を行使することです。殴る・蹴るといった行為はもちろん、物を投げつける行為、そして女性に抱きつく行為も暴行罪に問われることがあります。

また、暴行罪は、行為者に「人の身体に対して有形力を行使することの認識(故意)」があれば成立しますので、女性に抱きつく行為にわいせつな意図がなくても、不法に有形力を行使したこと自体で暴行罪は成立し得ます。暴行罪の構成要件や傷害罪との違いについては「暴行罪と傷害罪の違いは?成立要件とどちらが重いかを解説」をご覧ください。

2つの罪の分かれ目は、主に行為の態様や状況から見て、その行為に性的な意味合いがあると評価されるかどうかです。

胸や下半身を押しつける、体を密着させて離さないといった態様や、面識のない相手に背後から抱きついた、夜間の人通りが少ない場所だったといった事情があると、性的な意味合いは強く評価されやすくなります。反対に、体を密着させ続けたり胸や下半身に触れたりする事情がなく、一瞬抱きついたにとどまる場合は、暴行罪の問題として扱われることもあります。

なお、泥酔した男性が女性に抱きついてしまう事案が多くありますが、「泥酔で犯罪をしたら逮捕される?記憶がない場合の対処法」に書かれているように、記憶があるのに「記憶がない」と主張すれば反省がないと評価され、身柄拘束の長期化や量刑上の不利益につながることがあります。記憶が曖昧であっても、覚えていることは正直に警察に話す方が得策です。

抱きついたら逮捕される?

不同意わいせつ罪と暴行罪のどちらにあたるとしても、女性に抱きついたことで実際に捕まる可能性はあるのでしょうか。その場で取り押さえられれば現行犯として逮捕され(刑事訴訟法212条・213条)、その場を離れた後も、裁判官が発付した逮捕状によって後日逮捕されることがあります(同法199条1項)。被害者の届出や防犯カメラの映像などをもとに捜査が進み、行為者が特定されることがあるためです。

もっとも、明らかに逮捕の必要がないと認められるときは逮捕状は発せられず(同法199条2項ただし書)、女性に抱きついた事案がつねに逮捕につながるわけではありません。逮捕の必要があるかは、逃亡や証拠隠滅のおそれがあるかを中心に判断され、住居や職業が定まっていること、被害者との示談が進んでいることは、逮捕を避ける方向に働きます。反対に、人目の少ない夜間だった、面識のない相手だった、執拗だった、立場を利用したなどの事情は、逮捕されやすい方向に働くことがあります。逮捕されると、検察官が起訴・不起訴を判断するまで勾留などにより身体の拘束が続くことがあります。逮捕後の流れや逮捕を避ける方法は「不同意わいせつで逮捕されるとどうなる?逮捕を回避するには?」をご覧ください。

なお、どちらの罪も親告罪ではないため、被害者が告訴(処罰を求める申告)をしていなくても、捜査や起訴が行われることがあります。

抱きつき行為で被害届を出された方、被害届を出すと言われている方へ

この記事では、女性に抱きつく行為がどの罪にあたるのか、その分かれ目と刑の重さ、逮捕される可能性について解説しました。

抱きつき行為による刑事事件では、早期に弁護士へ依頼することで、逮捕の回避や不起訴処分の獲得に向けた弁護活動が可能になります。特に被害者との示談交渉は、加害者本人が直接行うことは難しく、弁護士が間に入ることで円滑に進められるケースが多くあります。謝罪の気持ちを伝える場合も、弁護士を通じて行うのが安全です。示談が成立すれば、不起訴処分となる可能性が高まり、前科がつくことを回避できる場合もあります。

当事務所では、不同意わいせつ罪や暴行罪をはじめとする刑事事件に注力しており、被害者との示談交渉から不起訴獲得まで一貫した弁護活動を行っています。全国どこからでも無料でご相談いただけますので、既に被害届を出された方、相手方から被害届を出すと言われている方、示談金を請求されている方は、当事務所までご連絡ください。親身かつ誠実に、弁護士が依頼者を全力で守ります。

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この記事の監修者

若井亮 弁護士

若井 亮

代表弁護士

弁護士法人若井綜合法律事務所
東京弁護士会所属(登録番号:47827)

弁護士紹介ページ

刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

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メディア掲載 フジテレビ「とくダネ」/ ダイヤモンド・オンライン / @DIME / サイゾー 他多数
講演実績 「不当要求対応の基礎」「犯罪組織によるマネー・ロンダリングと投資詐欺への法的処置」等
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