
欧米諸国の中には友情や親しみを示す挨拶がわりにハグ(抱きつき行為)をする文化がありますが日本にはありません。
そのため、相手の同意がある場合や、恋人同士など暗黙の同意がある場合を除き、いきなり女性に抱きつくと強制わいせつ罪などの犯罪に該当するのではと思われるのではないでしょうか。
結論から言いますと、女性にいきなり抱きつく行為は強制わいせつ罪や暴行罪に問われる可能性があります。
以下、刑事事件に強い弁護士が詳しく解説していきます。
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抱きつくだけで強制わいせつなどの罪になる?
他人に抱きついた際に問われる可能性のある罪として考えられるのは強制わいせつ罪と暴行罪です。以下、それぞれわけてみていきましょう。
強制わいせつ罪
強制わいせつ罪は刑法176条に規定されています。
(強制わいせつ)
第176条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。刑法第176条 - Wikibooks
「暴行」とは人の身体に対して有形力を行使することをいいます。そして、強制わいせつ罪における暴行の程度は人の反抗を著しく困難ならしめるものでなければならないとされており、殴る、蹴る、叩くなどが典型ですが、抱きつく行為は強制わいせつ罪の「暴行」にあたります。
そして、強制わいせつ罪が成立するには、抱きつく行為に加えて「わいせつな行為」を行ったことが必要です。わいせつな行為とは、徒(いたずら)らに性欲を興奮又は刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道徳観念に反するような行為をいうとされています。具体的には、陰部に手を触れる、胸を揉む、相手の感情を無視してキスをする、着衣の上から臀部等を撫でまわす行為などがわいせつな行為にあたります。
もっとも、強制わいせつ罪は暴行それ自体がわいせつな行為だった場合も成立する場合があります。そのため、抱きつく行為がわいせつな行為と判断されれば強制わいせつ既遂罪に問われる可能性があります。
一方、抱きつく行為がわいせつな行為ではないものの、抱きつく行為を手段としてわいせつな行為を行った場合は強制わいせつ既遂罪に問われる可能性があります。また、何らかの事情でわいせつな行為には至らなかったとしても、わいせつな行為を行う意図で抱きついたと判断された場合は強制わいせつ未遂罪に問われる可能性があります。
強制わいせつとは?どんな行為が該当する?逮捕後の流れを弁護士が解説
暴行罪
暴行罪は刑法208条に規定されています。
(暴行)
第208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。刑法第208条 - Wikibooks
前述のとおり、抱きつく行為は強制わいせつ罪の「暴行」にあたり、暴行罪の暴行にもあたりますから、わいせつな行為を行う意図が認められなくても暴行罪に問われる可能性はあります。
暴行罪とは?どこから成立する?構成要件・傷害罪との違いも解説
なお、泥酔した男性が女性に抱きついてしまう事案が多くありますが、「泥酔で暴行しても逮捕されることも!「記憶にない」は不利益になる?」に書かれているように、酔っていたため記憶がないという主張は逆に刑事処分や量刑で不利に働くこともあります。記憶が曖昧であっても、覚えていることは正直に警察に話す方が得策です。
女性にいきなり抱きついてしまい、暴行罪や強制わいせつ罪で刑事事件になるおそれのある方は、当法律事務所までお気軽にご相談ください。親身誠実に、弁護士が依頼者を全力で守ります。相談する勇気が解決への第一歩です。
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