盗撮は余罪捜査で立件される?初犯の場合は?弁護士が解説
  • 「盗撮で捕まったら余罪でも立件されてしまうのだろうか…余罪があると罪は重くなるのだろうか…」
  • 「盗撮の初犯だけど、余罪がある場合はどうなってしまうのだろう…」

このようにお考えの方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、盗撮事件に強い弁護士が、

  • 盗撮の余罪は立件されるのか。余罪があると罪は重くなるのか。
  • 盗撮の初犯で余罪がある場合はどうなるのか
  • 盗撮の余罪がある場合の対処法

などについて解説していきます。

なお、盗撮事件で捜査を受けており、余罪での立件が不安な方や、不起訴や執行猶予の獲得に向けて早急に対応したいと考えている方は、この記事を最後までお読みいただいた上で、全国無料相談の弁護士にご相談ください

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盗撮の余罪とは?

余罪とは、本件以外に犯した罪のことです

本件とは警察に最初に立件された罪のことです。したがって、余罪とは、すでに犯した罪であるものの、まだ立件されていない罪ということになります。

たとえば、電車内で女性のスカート内を盗撮したことで警察に逮捕(立件)されたとします。この盗撮事件が本件です。そして、捜査の過程で、これまでにも犯人が本件以外にも盗撮を繰り返してきたことが明らかになったとします。この本件以外の盗撮の件が余罪ということになります。

盗撮の余罪が発覚する2つの捜査

盗撮の余罪が発覚するケースとしては、本件の取調べの過程で被疑者が自供した場合のほか、次の2つが考えられます。

  • ①押収物の捜査
  • ②家宅捜査

①押収物の捜査

まず、警察に証拠品を押収され、証拠品の精査から判明するケースです。

盗撮で押収される典型例がスマートフォンです。現行犯逮捕される場合には、裁判官の令状なしに証拠品を押収されます。したがって、スマートフォンを使った盗撮では、まず間違いなくスマートフォンを押収されるでしょう。そして、そのスマートフォンの中にこれまで撮影してきた盗撮画像や動画を保存していた場合に余罪が発覚してしまう可能性があります。

②家宅捜査

次に、警察が犯人の自宅等を捜索し、証拠品を押収して、証拠品の精査から判明するケースです。

自宅等の捜索で押収される典型例がパソコン、デジカメ、ビデオカメラなどの電子機器です。これらの中にこれまで撮影してきた盗撮画像や動画を保存していた場合には余罪が発覚してしまう可能性があります。

盗撮の余罪は立件される?

警察の捜査から盗撮の余罪が発覚してしまった場合、余罪も立件されてしまうのでしょうか?なお、立件とは、一般的には、警察に事件の被疑者として認定され、本格的な捜査の対象とされることを指しています。法律上の定義はありません。

盗撮の余罪は立件されにくい。その理由は?

まず、結論から申し上げると、盗撮の余罪は立件されにくいのが実情です。理由は次のとおりです。

まず、盗撮した場所の特定が難しいことが挙げられます。犯罪を立件するには、犯人がいつ(日時)、どこで(場所)、どのような方法で犯罪を行ったのかを証拠によって特定(立証)する必要があります。ところが、盗撮の押収物であるスマートフォンに保存された画像や動画からは、日時は特定できても、場所を特定するのが難しい場合が多いのです。

また、画像や動画に被害者の顔や固有の特徴が写っている場合を除いて、被害者を特定することも難しいことが多いです。この点において、盗撮行為を処罰する撮影罪(2023年7月12日以前の盗撮行為については各都道府県の迷惑防止条例違反)は親告罪ではないため、被害者の告訴がなくても警察は刑事事件として扱うことができます。しかし、被害者からの被害申告がない場合、警察も捜査に消極的であるのが実情です

立件されなければ問題なし?

このように、盗撮の余罪が立件されにくいとはいえ、それで安心することはできません。やはり、本件の画像や動画のみをもっている場合より、余罪が疑われる画像や動画を持っている場合の方が捜査員や裁判官に与える印象が異なります。取調べでは余罪について厳しく追及を受けるのは必須です。そこで、余罪について自供すれば、たとえ立件されなくても本件の情状に影響する可能性があります。具体的には、通常であれば不起訴のところ起訴になったり、通常であれば罰金30万円のところ罰金50万円になったりと、刑事処分や量刑が重くなることが考えられます

余罪が立件されるのはどんな場合?初犯の場合は?

上記の通り、盗撮の余罪が立件されることは多くありません。もっとも、被害者の供述や防犯カメラの映像など、盗撮画像や動画以外の証拠と組み合わせることで、余罪の日時や場所の特定ができれば、余罪で立件することが可能となります

また、被害者が特定され、被害届や告訴状が提出されれば、盗撮の余罪が立件される可能性がさらに高まります。駅の構内やエスカレーター、電車やバス内など、不特定多数の人が出入りする公共の場や公共交通機関での盗撮は被害者を特定することは困難ですが、被疑者と同じ職場や学校の更衣室やトイレで盗撮された場合には、余罪捜査により被害者を特定できる可能性が高くなります。

もっとも、特定が可能な場合でも、盗撮の初犯の場合、本件被害者との示談が成立していれば、余罪があっても本件盗撮は不起訴処分になる可能性があります。仮に起訴された場合でも、執行猶予が付く可能性が高く、警察が本格的に捜査する必要がないと判断した場合、余罪についての立件が見送られることがあります。つまり、逆に言えば、実刑が見込まれる場合は、余罪も含めて立件される可能性が高くなるということです。

余罪が立件される具体例

それでは、ここからは余罪が立件されやすい具体例をつかってみていきましょう。

事例①

事例の一つ目は、電車内で盗撮して現行犯逮捕されたところ、警察官に押収されたスマートフォンに盗撮が疑われる動画が複数保存されていたというケースです。

そして、そのうちの一つの動画から犯人が本屋で立ち読み客の女性のスカート内を盗撮したことまではわかったとします。そこで、警察官が犯人にどこの本屋で盗撮したのか追及したところ、犯人が盗撮した本屋を正直に自供したため、警察官がその本屋の防犯カメラのビデオ映像を確認したところ、犯人が女性のスカート内を盗撮する映像が記録されているのが確認されました。その後、動画とビデオ映像の日時が一致したことが判明し、後日女性から被害届が提出された、というケースです。

事例②

事例の二つ目は、講師として勤務している塾の女子トイレに盗撮目的で設置した小型カメラが生徒に発見され、警察に通報されたケースです。捜査の結果、男性講師は逮捕され、自宅から押収されたパソコンのハードディスクには、同じ女子トイレ内での盗撮が疑われる複数の動画が保存されていました。

動画には複数の女子生徒の顔が映っており、警察は被害に遭った女子生徒たちの親に連絡しました。親たちは、子どもが盗撮被害に遭ったことを知り、法定代理人として被害届を提出しました。警察官が女子トイレを現場検証した結果、動画の内容と女子トイレの状況、さらに被害届の内容が一致したことから、余罪が立件されることとなりました。

事例③

事例の三つ目は、ショッピングモールで買い物中の女性のスカートの中を隠し撮りしたところ、監視にあたっていた保安員に現行犯逮捕され、その後、駆け付けた警察官にスマートフォンを押収されたというケースです。

スマートフォン内には公衆浴場の脱衣所で女性の裸の姿などを盗撮した動画が保存されていたことから、警察官から追及され、盗撮した公衆浴場を素直に自供。その後、公衆浴場の防犯ビデオ映像などから、動画に記録された日時に犯人が脱衣所に侵入したことが判明したことから余罪が立件されました。

盗撮の余罪がある場合のNG行動

ここでは、もし盗撮の余罪がある場合にやってはいけない行動について解説します。

安易に黙秘権を行使する

まず、闇雲に黙秘権を行使して余罪を自供しないことです

黙秘権とは、話したくなければ話さなくてもよいという権利です。憲法で認められた重要な権利であり、黙秘権を行使したことで不利益な取り扱いを受けることも許されてはいません。

前述の通り、警察が盗撮の余罪を立件するには、盗撮の日時と場所を特定する必要がありますが、「日時」については画像のExif情報(デジタル画像に付与される撮影日時や撮影機器などの情報)を調べれば判明することが多いですが、「場所」については盗撮画像や動画を見ただけでは特定できないケースも多いです。そのため、余罪について聞かれた場合に黙秘権を行使することで余罪での立件を回避することが可能です

しかしながら、スマートフォンやカメラには、画像にGPSデータを埋め込む機能がついているものもあり、この場合は画像データの分析で容易に盗撮場所が特定されてしまいます。また、盗撮映像に被害者の顔が映っており、その被害者が会社の同僚や学校の生徒など加害者の知り合いである場合には、警察の捜査により被害者が特定され、被害者への聞き取り調査から盗撮場所が特定される可能性が高いでしょう。

このようなケースで余罪を否認すると厳しい追及を受けることは目に見えていますし、余罪の捜査を理由に身柄拘束期間が長期化するおそれがあります。余罪の追及についてどのように対処してよいかわからないときは弁護士に相談した方がよいでしょう

証拠隠滅を図る

次に、盗撮した画像や動画を消去するなどの証拠隠滅を図ることです。

盗撮現場で取り押さえられそうになったり、その場から逃走している最中に、盗撮に使用したスマートフォンやカメラに記録された余罪を含む盗撮データを削除する方がいます。しかし、警察はデジタル・フォレンジックという電磁的記録の解析技術を利用して、消去したデータの復元が可能です。証拠隠滅を図った行為は、捜査機関の心証を悪化させ、処遇に悪影響を及ぼす恐れがあります

さらに、盗撮事件で逮捕されずに在宅捜査となった場合に、余罪の盗撮データを消去する行為を行うと、証拠隠滅のおそれがあるとして逮捕される可能性もあります

盗撮事件で余罪がある場合の対処法

最後に、盗撮事件で余罪がある場合の対処法は次の通りです。

  • ①謝罪文を書く
  • ②被害者と示談を成立させる
  • ③再犯防止措置を講じる
  • ④弁護士に相談する

謝罪文を書く

まず、被害者と面識があるなど、盗撮の被害者が誰かわかっている場合は、被害者に謝罪をすることです。

ただ、盗撮の加害者からの謝罪を直接受け入れてくださる被害者はほとんどいないといってよいでしょう。そこで、被害者に謝罪したい場合は弁護士に依頼し、弁護士を介して謝罪した方がよいでしょう。この場合、通常は弁護士から謝罪文を書くよう言われます。謝罪文を通じて謝罪の意思を伝えるのが第一歩です。弁護士に依頼した場合は、謝罪文の書き方も指導してくれます

被害者と示談を成立させる

次に、これも被害者がわかっている場合に限りますが、盗撮の被害者と示談交渉を行い、示談を成立させることが重要です。

示談交渉がうまく進み、盗撮の余罪で立件される前に示談が成立すれば、立件を免れることができます。これは、示談金の支払いを条件に被害届を出さないことに合意してもらえるためです。また、立件された後であっても、示談を成立させることができれば、不起訴となる可能性もあります。示談金の支払いを条件に、被害届を取り下げてもらうことに合意してもらえるからです。

もっとも、被害者への謝罪と同様に、盗撮の余罪で示談交渉を行う場合は弁護士に任せるべきです。自ら被害者に示談交渉を申し入れても、ほとんどの場合、断られることが多いです。示談を成立させることができれば、刑事事件を回避したり、不起訴となるなど有利な結果を得やすくなります。したがって、示談交渉を円滑に進めるためにも、弁護士に依頼することをお勧めします。謝罪と示談交渉はセットで行うべきです。

再犯防止措置を講じる

次に、盗撮の被害者がわからず、謝罪や示談交渉ができない場合には、再犯防止に向けて取り組むことが重要です。

スマートフォンでの盗撮が常習となっている場合、スマートフォンや携帯電話を持たないことも一つの方法です。現実的ではない場合は、盗撮に関する治療が終わるまでなどと期間を区切ったり、適切な人に監督してもらって使用時間を限定することも考えられます。その他、家族などの監督者の下、盗撮専門の病院に定期的に通院したり、カウンセリングを受けることも有効な手段でしょう。これらの取り組みは余罪に限らず、本件を含めた事件全体の対処法となり、再犯のおそれがないと判断されたときは不起訴や執行猶予付き判決などの有利な結果につながりやすくなります

弁護士に相談する

次に、盗撮事件に関しては、弁護士に相談することが重要です。

前述のとおり、被害者に謝罪したり、被害者と示談交渉を行うには、弁護士の力が不可欠です。特に、余罪が多数ある場合には、本件の示談交渉に並行して複数の被害者との示談交渉を進めるために、盗撮事件における交渉スキルや処理経験が豊富な弁護士の支援が必要です。盗撮の被害者への謝罪や示談交渉を考えている際には、早めに弁護士に相談しましょう。また、被害者への謝罪や示談交渉が難しい場合でも、再犯可能性がないことを検察官や裁判官に効果的にアピールするためには、弁護士のサポートが欠かせません。

まとめ

盗撮の余罪が多数ある場合は、ない場合に比べて刑事処分や量刑が重くなる可能性があります。状況によっては、最悪、懲役実刑になる可能性も否定できません。盗撮の余罪が複数あり、対応にお困りの方は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

当事務所では、盗撮事件の不起訴や執行猶予の獲得に実績があります。親身かつ誠実に、弁護士が依頼者を全力で守りますので、盗撮の余罪が多数ありお困りの方は、ぜひ当事務所の弁護士までご相談ください。

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