
執行猶予付き判決を受けると、刑務所に入ることなく社会で生活を続けられます。結婚や引っ越し、就職も原則として自由で、これまでと変わらない日常を送れます。
一方で、「執行猶予中は何が自由で、何に注意すべきか」「就職や資格で不利にならないか」「何をすると執行猶予が取り消されるのか」と不安を抱える方は少なくありません。とくに執行猶予中に再び罪を犯すと、執行猶予が取り消され、猶予されていた刑と新たな刑を合わせて服役することになります。執行猶予期間中に最も避けたいのが、この取り消しです。
この記事では、執行猶予中の生活に詳しい弁護士が、次の点をわかりやすく解説します。
- 執行猶予中の生活でできること・できないこと(結婚・引っ越しなど)
- 就職や資格に影響はあるか・会社にバレないか
- 執行猶予が取り消されるのはどんなときか
- 執行猶予期間が満了した後はどうなるか
なお、執行猶予中の生活に不安のある方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談へお気軽にご連絡ください。
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執行猶予中の生活でできること・できないこと
執行猶予が付いても、これまでと変わらない日常を送る分には、生活そのものが大きく制限されることはほとんどありません。結婚や離婚、引っ越し、国内旅行は執行猶予中でも自由に行え、婚姻届や転居届の提出に執行猶予が影響することもありません。これまでの仕事を続けることも、新しく就職することもできます。執行猶予中の方を監視したり、行動を逐一報告させたりする仕組みも、保護観察が付いた場合を除いて存在しません。
もっとも、有罪判決を受けたという事実は前科として残るため、いくつか注意したい点があります。まず海外旅行は、渡航そのものが禁止されるわけではありませんが、執行猶予中はパスポートの発給が制限される場合があり、申請書の「刑罰等関係」欄で前科を偽ると旅券法違反になります。渡航先の国が前科のある人の入国を認めないこともあるため、海外を予定している方は早めに準備と確認を進めましょう。前科がある場合の海外旅行やパスポートの取り扱いは、「前科があっても海外旅行に行ける?パスポートは取得できる?」で詳しく解説しています。
また、就こうとする職業や取得を目指す資格によっては制限を受けることがあります。以下では、生活上とくに確認しておきたい「就職」と「資格」について説明します。
執行猶予中でも就職・転職はできる?会社にバレる?
執行猶予中でも、就職や転職をすること自体に法律上の制限はありません。日本では執行猶予期間中の就職を禁止する法律はなく、雇用主に対して執行猶予中であることを自分から申告する法的な義務もないため、原則として希望する仕事に就くことができます。
ただし、賞罰欄のある履歴書の提出を求められたり、面接で前科の有無を直接尋ねられたりした場合に、事実と異なる回答をすると問題になります。執行猶予中であることを偽って入社し、後に会社に発覚すると、経歴詐称を理由に懲戒解雇される可能性があります。前科があることでの就職への影響について詳しく知りたい方は、「前科があると就職できない?様々な疑問に弁護士が解説」をあわせてご覧ください。
資格や職業によっては制限を受けることがある
公務員や警備員、医師、弁護士など一部の職業・国家資格では、有罪判決を受けたことが欠格事由(その資格に就けない事由)とされ、執行猶予の期間中は取得や就業が認められないことがあります。自分の目指す資格が対象かは、「前科で資格制限を受ける対象資格の一覧表」で確認できます。なお、これらの制限は、執行猶予の期間を問題なく終えれば原則として解除されます。
執行猶予が取り消される行為と注意点
執行猶予中の生活で最も注意すべきなのは、執行猶予の取り消しにつながる行為を避けることです。執行猶予が取り消されると、猶予されていた刑と新たな刑を合わせて服役することになり、刑務所での生活が長期化します。ここでは、取り消しの典型的な原因と、日常生活での注意点を解説します。
再犯による執行猶予の取り消し
執行猶予期間中に再び罪を犯し、拘禁刑以上の実刑判決を受けると、執行猶予は必ず取り消されます。たとえば拘禁刑3年・執行猶予中の方が新たに拘禁刑2年の実刑を受けると、合わせて5年間服役することになります。
※拘禁刑とは、2025年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑が一本化された刑罰です。
また、再犯で罰金刑を受けた場合にも、裁判所の判断によって執行猶予が取り消されることがあります。執行猶予中に再犯したらどのような流れになるのか、取り消しを避けるにはどうすればよいかについては、「執行猶予中に再犯したらどうなる?取り消しを防ぐ対処法」で詳しく解説しています。
交通事故・交通違反に注意
免許が有効であれば執行猶予中でも運転できますが、再犯のなかでも身近なのが交通事故です。駐車違反やスピード違反程度なら反則金や罰金で済むことが多い一方、人身事故や飲酒・無免許運転などの重大な違反は、起訴されて実刑につながることがあります。その場合は執行猶予も取り消されるため、執行猶予中はこれまで以上に慎重な運転を心がけてください。
過度の飲酒に注意
酔いは理性的な判断力を鈍らせるため、痴漢や不同意わいせつ、暴行・傷害といった犯罪へ衝動的に走ってしまうことがあります。お酒が引き金となる事件は後を絶たず、飲酒運転は重大な交通事故にも直結します。
もともとお酒が絡む事件で執行猶予となった方はもちろん、ストレスの発散としてお酒に頼りがちな方も、執行猶予中はお酒との付き合い方を見直し、外での深酒は控えるよう心がけましょう。
薬物・万引きなどの依存症に注意
薬物、飲酒、万引き(窃盗症・クレプトマニア)、性的な問題行動などに依存傾向のある方は、とくに注意が必要です。自分では気づかないうちに依存に陥っており、強く決意していても衝動を抑えられず、同じ種類の犯罪を繰り返してしまうことがあります。
裁判の過程で医師や弁護士から依存症を指摘された場合は、それを素直に受け止め、専門の医療機関への通院や自助グループへの参加を続けることが再犯防止につながります。一人で克服するのは難しいため、家族や周囲の協力を得ながら取り組むことが大切です。
とくに気をつけたいのが、自己判断で治療を中断しないことです。判決前から専門機関で治療を受けている方のなかには、執行猶予付きの判決が出た途端に気が緩み、治療をやめてしまう方がいます。
しかし、治療はご自身の健康のためだけでなく、再犯防止のためにも欠かせません。医師から治療を終えてよいと判断されるまでは、自己判断で中断せず、継続して通院するようにしてください。
保護観察の遵守事項に注意
判決の内容によっては、執行猶予に保護観察が付くことがあります(執行猶予中の方が再度の執行猶予を受けた場合は、必ず保護観察が付きます)。保護観察は、保護観察官や保護司の指導・監督のもとで社会内での更生を図る制度で、月に1~2回程度、保護司のもとへ通って生活状況を報告するなどの遵守事項が定められます。
遵守事項として定められるのは、健全な生活態度を保つこと、面接の求めに誠実に応じて生活状況を正しく申告すること、届け出た住居に居住すること、転居や7日以上の旅行の前に許可を得ること、などです。これらに違反し、その情状が重いと判断された場合は、執行猶予が取り消されることがあります。定められたルールは必ず守りましょう。執行猶予が取り消される具体的なケースと、取り消しを防ぐための対策については、「執行猶予の取り消しとは?具体例と取り消しを防ぐ3つの対策」をご覧ください。
執行猶予期間が満了した後はどうなる?
執行猶予期間を、取り消されることなく無事に経過すると、刑の言い渡しそのものが効力を失います。これにより、法律上は前科がないものとして扱われ、資格制限は解除され、就職の際に前科を申告する必要もなくなります。
ただし、まったく以前と同じ状態に戻るわけではありません。執行猶予付きの判決も前科である以上、その記録自体が消えるわけではなく、満了後に再び罪を犯すと、前科があることが量刑上不利に考慮され、実刑が選択される可能性が高まります。とくに満了から間もない再犯や、同じ種類の犯罪を繰り返した場合は、その傾向が顕著です。執行猶予期間が過ぎても気を緩めず、慎重な生活を続けることが大切です。
執行猶予中に逮捕・再犯してしまった方は弁護士にご相談ください
執行猶予中の生活は原則として自由ですが、再犯や交通事故、保護観察の違反など、執行猶予の取り消しにつながる行為だけは避けなければなりません。取り消されれば、猶予されていた刑と新たな刑を合わせて、長期間服役することになります。
もっとも、万が一執行猶予中に事件を起こしてしまっても、諦める必要はありません。不起訴を獲得できれば執行猶予は取り消されませんし、要件を満たして再度の執行猶予が認められれば、服役を避けて社会生活を続けられる可能性があります。こうした結果を得られるかどうかは、逮捕直後からの弁護活動の早さに大きく左右されます。
「執行猶予中に逮捕されてしまった」「家族が執行猶予中に罪を犯してしまった」という状況は、本人もご家族も強い不安を抱えるものです。すでに警察から連絡が来ている場合は、対応が遅れるほど不利になりかねません。
当事務所は、執行猶予の取り消しを回避するための弁護活動に多数の実績があります。依頼者の不利益を最小限に抑えるため、弁護士が迅速に動きます。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

