
※本記事は当事務所が実際に解決した事例をもとに作成しています。依頼者のプライバシー保護のため、氏名・年齢・具体的な状況等については一部変更を加えています。
事案の概要(相談前の状況)
状況:パパ活相手から調査会社を使って身元を調べ、会社や家族にパパ活をしていることを知らせると脅され、性的行為を強いられている。
Aさんはお小遣いを稼ぐために、パパ活相手を探しておりました。
ある日、マッチングアプリで見つけたBさんの条件が良かったことから連絡を取り、やり取りを始めました。
Aさんは最初から性的行為を伴うパパ活はしないと告げており、Bさんもそのことを理解している素振りを見せておりましたが、突然態度を急変させ、性的行為を要求してきました。
Aさんが断ると、Bさんは、要求に応じないのであれば、調査会社を利用してAさんの身元を調べたうえ、パパ活をしていることを職場や家族に全て話すと脅してきました。
Bさんは自らについて、六本木に住み、お金には困っていないとAさんに説明しておりました。
Bさんの話を聞いていたAさんは、それだけの財力がある人間であれば何をしてくるか分からないと不安になり、Bさんの要求に応じることにしてしまいます。
Bさんからは、自分ではなく、まずは練習として後輩と性的行為をするよう指示があったほか、後輩はAさんの練習に付き合うのだから、会う度に報酬として数万円渡すこと、また、後輩の希望する高価品を購入するよう指示がありました。
間もなくすると、Bさんの後輩を名乗るCさんからAさん宛に連絡がありました。
AさんはBさんの指示に従い、Cさんと会って、性的行為に及び、毎回数万円のお金を渡しました。
また、Cさんの希望に従い、高級時計1本、パソコンやタブレットなどを購入して渡しました。渡した物品の総額は300万円以上となっていました。
Aさんは、Cさんにお金や物品を渡し、貯金を使い果たしてしまいましたが、Cさんからはさらにもう1本高級時計が欲しいと連絡があり、BさんからもCさんの希望に従って時計を購入するよう指示があったため、困り果てて弊所に相談に来られました。
弁護士の対応と解決への流れ
Aさんから時系列で、現在までの事実経過を伺いました。
また、BさんやCさんとのLINEのやり取りも全て拝見をしました。
確信は持てませんでしたが、最初からBさん自身が全く表に出てこないことやなぜかCさんの要望に応えるという状況が続いていたことから、BさんとCさんは同一人物なのではないかと感じました。
そこで、Aさんに対して、BさんやCさんの身元特定に繋がる情報の有無を確認したところ、両名とはLINEでやり取りをしており氏名や住所・電話番号は分からず、また、金品も会った時に手渡ししているので、預金口座などの情報も把握していないとのことでした。
このままではBさんやCさんの特定ができないため、Aさんには、まず最寄りの警察署に被害相談に行くようアドバイスをしました。
Aさんはすぐに警察に被害相談に行きました。警察の見解は、強要罪や恐喝罪に該当し得るというものでしたが、LINEのやり取りだけで確実に犯罪に該当するとまでは言えないことから、現時点で介入することはできないとのことでした。
警察からは、新たな請求については無視をして、過去に渡した金品については、身元が分からない以上は諦めてはどうかという話もあったようです。
しかしながら、弁護士や警察に相談をして少し落ち着きを取り戻してきたせいか、Aさんは諦めきれませんでした。何かできることは無いかと考え、再度、弊所に相談に来られました。
BさんやCさんの身元に繋がる情報はありませんでしたが、1点だけ接点がありました。現在でもCさんから高級時計の要求があることです。
過去に金品を渡した際は、必ず喫茶店で会って、直接渡していました。おそらく今回も直接の手渡しになるだろうと考えられたため、Cさんを呼び出してもらい、その場でCさんの身元を把握できないかトライする方法を提案しました。
もちろん、Cさんを強制的に拘束したり、身分証明書を出させたりすることはできませんし、最悪逃げられてしまうリスクもありました。
その点を説明したうえ、Aさんの意向を確認すると、出来ることは何でもやってみたいとのことでしたので、弊所で対応を引き取ることになりました。
Aさんには、BさんやCさんの指示や希望に従うふりをしてもらいながら、直接会う日を調整してもらいました。
あまりに素直に指示や希望に従うと怪しまれてしまうため、お金を工面するのに時間がかかっていることや、これ以上、金品を渡すのは困難であるため、これで最後にして欲しいと考えていることなどを伝えてもらいました。
Bさんは、これで最後にすると応じ、具体的な日時と場所を指定してきました。
Bさんから指定された日、Aさんと早めに集合し、指定された喫茶店を確認しました。比較的小さな喫茶店ではありましたが、駅から離れていることもあり、客はまばらで、近くの席に座って会話を録音することもできそうでした。
弊所の弁護士は喫茶店で待機をすることとし、Aさんにはできれば弊所の弁護士の隣の席に座って欲しいと伝えました。
暫く待っていると、店にAさんと若い男性が入ってきました。おそらくCさんでしょう。運良くも、弊所の弁護士が座っていた席の隣だけが空いており、Aさん達は隣に座ることになりました。
暫くAさん達の様子を横目で確認していると、Aさんが鞄から空の高級時計の箱を取り出し、Cさんに渡そうとしているのが確認できました。
CさんがAさんから箱を受け取ろうとした瞬間、立ち上がり、Aさん達の座っているテーブルに向き直りました。速やかにAさんから依頼を受けた弁護士である旨、Cさんに伝え、話を聞きたいと申し入れました。
意外にもCさんは素直に応じてくれました。
弊所から、Bさんが存在するかどうかは不明だが、少なくともBさんの行為は強要罪や恐喝罪に該当すること、Bさんが存在するならばCさんも共犯関係にあると考えられること、Bさんが存在しないのであれば、Cさんの行為が強要罪や恐喝罪に該当すること、いずれにせよAさんは被害者であり、Bさんらの不法行為により損害を被ったこと、ついては金品全ての返還を求めることを伝えました。
Cさんからは、Bさんが存在するかどうかの説明はなかったものの、受け取ったものは全て返還するので許して欲しいとの回答がありました。
そのため、Cさんに身分証明書を出してもらって身元を確認し、その場で、渡した物品の相当額に弁護士費用等を加えた、400万円超を分割で弁済する旨の合意書を作成し、取り交わしをしました。
その後、支払が滞ることを懸念していたのですが、合意書の通り、Cさんから弁済があり、本件は終件となりました。
解決結果と弁護士のコメント
回収額:400万円超(物品相当額+弁護士費用等)
解決方法:相手方との直接交渉により合意書を締結、分割弁済で全額回収
パパ活をきっかけに出会った相手方から、騙されたり、脅されたりというご相談・ご依頼は比較的多くございます。
騙されるケースでは、約束したお金が足りないなどの理由から支払を後払いにして欲しいと言われ、そのまま逃げられてしまうという手口が多いかと思います。
脅されるケースは深刻で、身元に関する情報を知られた後、パパ活をしている事実を家族や知人、職場に拡散されたくなければ要求に応じるようにと迫られるのが、代表的な手口となります。脅迫によって性行為を強いられるケースについては「脅されてセックスさせられた・迫られた場合の対処法と相談窓口」で対処法を詳しく解説しています。
いずれにせよ、相手方の身元に関する情報を把握できていない、または身元に繋がる情報がないことから、要求を突っぱねることは容易ですが、一度支払ってしまったお金を取り戻すことは容易ではありません。
本件でも相手方の身元に繋がる情報が全く無かったことから、当初は諦めざるを得ないと考えておりましたが、幸いにも相手方を呼び出すことができ、さらに身元の確認が出来たことから、お金の回収に結びつきました。
パパ活における被害については、残念ながら、警察の積極的な介入は期待できないところがございます。相手方の身元が全く把握できないケースではもちろんのこと、相手方の身元に繋がる情報を保有する場合でも、性的関係を伴うパパ活の場合には、いわゆる売春行為に該当するため、警察の態度は及び腰となります。
一番の対策は、パパ活をしないことです。
それでも、やむを得ずパパ活に関わり、トラブルになってしまった場合には、事態が深刻化する前に弊所にご相談ください。被害の回復は一般的に難しいところがございますが、被害の拡大については、対応の余地がございます。
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この記事の監修者
脅迫・恐喝被害の解決に豊富な実績を持つ。一般社団法人 詐欺・不当要求対策協会の代表理事として、不当要求対策の研究・啓発活動にも取り組んでいる。「警察沙汰にしたくない」「家族や会社に知られたくない」といった被害者特有の事情に寄り添い、粘り強い交渉で解決に導く。他の事務所で断られた案件にも積極的に対応。

