脅迫の慰謝料相場はいくら?示談交渉による慰謝料額の事例も紹介
  • 脅迫の加害者に慰謝料請求したいけど相場はどのくらいだろう…

この記事ではこの悩みを解決します。

年間2000件以上の恐喝・脅迫の相談を受けている法律事務所の弁護士が、「脅迫罪の加害者から幾らの慰謝料を貰えるのか」の目安を解説していきます。

およそ3分ほどで読めますので、脅迫加害者に精神的苦痛に対する損害賠償(慰謝料)を払ってもらいたいとお考えの方は最後まで読んでみてください

記事を読んでも問題解決しない場合は弁護士に気軽に相談しましょう。

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脅迫罪の慰謝料相場はいくら?

脅迫罪の慰謝料相場は、一般的には数万円~100万円以下となります

以下で示す判例①~③を見れば、単発的(あるいは少数回)の脅迫であれば上記の慰謝料相場内に収まっていることがわかります。

脅迫による慰謝料請求が争われた裁判例
判例事案の概要慰謝料額
判例①
熊本地方裁判所
令和元年5月22日
熊本の県立高校の女子高生がいじめにより自殺し、遺族が加害生徒に慰謝料を求めた事案です。加害生徒が被害者に対し、LINEで、「レスキュー隊呼んどけよ」と送信したことを脅迫行為であると裁判所は認定した事案です。約11万円
判例②
東京地方裁判所
平成13年12月18日
芸能プロダクションのグラビアアイドルが男性と交際していることに激高した社長が、自分も当該アイドルに恋愛感情があることを伝えたうえ、「最初、殺してやろうと思った」「俺はあらゆる手段を使うよ。人生終わると思うよ。幸せはないよ」「君の人生ぐちゃぐちゃになるよ」などと脅した事案です。30万円
判例③
大阪地方裁判所
平成27年7月2日
大阪市の特別養護老人ホームで入居者男性が数分おきにナースコールを繰り返したことに腹を立てた男性ヘルパーが、その入居者をたたいたり、「お前、死ね、殺すぞ」等の暴言を吐いたため、その被害男性が運営法人に慰謝料を請求した事案です。60万円

ただし、脅迫行為の悪質性が高い場合や、反復継続して行われたような場合には慰謝料が高額になる傾向があります

例えば、以下で示す判例④、⑤のような悪質かつ繰り返し行われたストーカーによる脅迫事案では、200万円~300万円の慰謝料額が裁判で認められています。

脅迫による慰謝料請求が争われた裁判例
判例事案の概要慰謝料額
判例④
東京地方裁判所
平成13年4月27日
躁鬱病の大学教授が、ほとんど会話すら交わしたことのない女学生と自分が相思相愛であるとの妄想にとりつかれ、追試名目で女学生を自宅に呼び出して求婚し、その後1日に数十回の電話や女学生の自宅に訪問するなどしたことが脅迫行為として認められた事案です。女学生は恐怖から神経症を患っています。250万円
判例⑤
大阪地方裁判所
平成12年12月22日
客の男性が、飲み屋を経営している女性に、「気持ちが抑えられないから襲うかも」と脅迫めいた言葉を口にしたり、店への入店を断られているのにもかかわらずつきまとい行為を続けました。女性が裁判所に、面談禁止の仮処分を申し立て、「つきまとわない」とする内容の和解が成立したのに、男性はそれを反故にして被害女性の自宅周辺をうろついた事案です。300万円

脅迫罪の示談交渉による慰謝料事例

上では、脅迫罪の民事訴訟で裁判所によって下された慰謝料額を紹介しました。

では、裁判を介さずに、示談交渉で慰謝料を請求した場合はどの程度の額が支払われるのか。

以下は、弊所が脅迫被害者から依頼を受けて加害者との示談を成立させた時の慰謝料額のケースです。

示談交渉による脅迫罪の慰謝料事例
事案の概要慰謝料額
煽り運転をされたので、信号待ちの際に被害者が車から降りて注意しに行ったところ、「ちんたら走ってんじゃねーぞ。殺すぞ」と煽り運転の男から脅された事案。男は妻子ある会社員。約120万円
電車内で被害者が背負っていたリュックが男に当たったことで揉め事になり、電車を降りた後に駅のホーム上で「常識をわきまえろ。突き落とすぞ」と脅された事案。男は国家公務員。約230万円

お気づきかと思いますが、単発的な脅迫事案にもかかわらず慰謝料額が相場よりも高くなっています

会社員や公務員は警察に逮捕されて有罪になれば懲戒解雇や懲戒免職の恐れもあります。

弁護士に刑事告訴されるのを避けるためになんとかして示談を成立させたいと考える加害者も多く、裁判で争うよりも示談交渉の方が支払われる慰謝料額が高くなることもあります

脅迫罪の量刑は?初犯の場合でも懲役刑になることはある?

まとめ

脅迫罪の慰謝料相場は、単発的な脅迫行為のケースだと数万円~100万円以下、脅迫行為の悪質性が高い場合や継続的に行われた場合は200~300万円のケースもあることをお伝えしました。

ただし、不倫や交通事故と違い、脅迫罪の慰謝料について争われた裁判例は少ないため明確な相場が形成されているとは言い難い状況です。そのため、本記事で紹介した脅迫罪の慰謝料相場はあくまでも目安と考えてください。

脅迫の加害者への慰謝料請求をご検討の方は、まずは気軽に弁護士に相談してみましょう。

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