
メールやLINEで送られた脅し文句でも、内容によっては脅迫罪が成立します。面と向かって言われたときだけでなく、テキストメッセージやスタンプであっても、犯罪として扱われることがあるのです。
「画面越しのメッセージで本当に罪になるの?」「冗談のつもりだった場合は?」「証拠はどう残せばいい?」と、どう受け止めればよいか分からず不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
- LINEやメールでの脅しは脅迫罪になるのか
- 冗談やスタンプでも罪に問われるのか
- 脅された証拠の残し方
- 脅迫を止める5つの対処法
この記事では、脅迫・恐喝事件に強い弁護士が、脅迫罪が成立する条件や、冗談・スタンプで罪になるケース、被害に遭ったときの5つの対処法をわかりやすく解説します。
なお、こうした脅迫にお困りの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談へお早めにご連絡ください。早期対応が結果を左右します。
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メール、LINEでも脅迫罪が成立する
脅迫罪とは、相手やその親族に危害を加えると告げて(害悪の告知)、人を脅す犯罪です(刑法第222条)。例えば、「殺すぞ」「殴るぞ」「監禁してやる」「車を破壊してやる」といった発言がこれにあたります。
脅迫罪が成立するかどうかは、次の3点で判断されます。
- 害悪の矛先が相手本人またはその親族に向けられていること(恋人や友人など、本人・親族以外に向けた告知は原則として対象外)
- 生命・身体・自由・名誉・財産のいずれかに対する害悪であること
- 一般人が畏怖する(恐怖を感じる)程度の告知であること
法定刑は2年以下の拘禁刑、または30万円以下の罰金です。なお、拘禁刑とは、2025年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑が一本化された刑罰です。
「殺すぞ」「殴るぞ」のように脅迫罪にあたる言葉の具体例は「脅迫罪になる言葉・ならない言葉は?成立要件と刑罰を解説」で詳しく解説しています。
一方で、「ふざけるな」「どうしてくれるんだ」といった単なる抗議や、法的措置をとると伝えるだけの正当な権利行使の予告は、原則として脅迫にはあたりません。どこからが脅迫罪になるかは、言葉の強さそのものよりも、害悪の告知といえるかどうかで線引きされます。
被害者にしてみれば、これらの言葉を面と向かって言われようが、メール、LINE(そのほか、SNSのメッセージや手紙、電話、ネットでの書き込みも同様です)で送られてこようが怖いことに変わりはありません。そのため、メール、LINEでも脅迫罪は成立します。
実際、LINEやメールを使った脅迫でも、脅迫罪として加害者が逮捕された事例は報道されています。たとえば、SNSで知り合った10代の女性に対し「絶対お前のこと殺すからね」などのメッセージをLINEで複数回送信したとして、20代の男が脅迫の疑いで逮捕されたケースが報じられました(出典:BSS山陰放送 2024年11月)。また、知人女性の携帯電話に「あなたのこと殺したらごめんね」などと書かれた脅迫メール2通を送ったとして、30代の会社員の男が脅迫の疑いで逮捕されたケースも報じられています(出典:NBC長崎放送 2026年4月)。メッセージの文面がそのまま証拠として残るため、対面での脅しよりも事実関係を立証しやすい面もあります。
冗談で送った場合でも脅迫罪になるの?
なる場合もあります。
例えば、元カレが元カノに対し、「付き合っていた時のエッチな写真をSNSにアップしちゃおうかなぁ~」と冗談のつもりでメールやLINEを送ったケースを想像してみて下さい。
送った本人は冗談のつもりでも、客観的に見て、送られた元カノは怖い思いをするはずです。
また、脅迫罪は、相手が実際に怖がったかどうかではなく、一般人であれば怖がるであろう文言を相手に伝えた時点で成立します。
仮にこのケースで元カノが怖がらなかったとしても、「怖くはなかったけど腹立たしい」などと考えて警察に被害届を出せば、元カレは脅迫罪で逮捕される可能性はあるでしょう。裸や性的な画像・動画を拡散すると脅された場合の対処法については「裸の写真をばらまくぞと脅迫された人が知っておくべき法律と対処法」をご参照ください。
LINEのスタンプやメールの絵文字でも脅迫罪になる?
スタンプや絵文字であっても、脅迫罪が成立する可能性はあります。
脅迫罪が成立するための相手を怖がらせる手段は、言葉や文字でなくてはならないというきまりはありません。
例えば、もめ事を起こしている相手から、刃物を持った人物のスタンプや、拳銃の絵文字が送られてきたら一般人は畏怖するのが普通でしょう。
LINEのスタンプに「殴るぞ!」「殺すぞ!」のような文字が併記されていれば、より強い脅迫メッセージとみなされます。
復縁を迫ったことで脅迫罪になる?
復縁を迫る過程で脅迫罪に問われるケースもあります。
例えば、復縁の拒否に対して、「交際時の性的な動画をネットに拡散する」「不倫関係にあったことを家族にバラす」と示唆するメールやLINEが良い例でしょう。
そのほか、「復縁が無理なら一緒に死にたい」「なにをしてしまうかわからない」といったメッセージも、内容によっては脅迫罪に問われることがあります。抽象的な言葉だけでは害悪の告知にあたらないのが原則ですが、復縁を迫る経緯や過去のやり取りとあいまって、相手の生命や身体に危害を加えることをほのめかすものと受け取れる場合には、脅迫罪が成立し得るためです。
また、もし脅迫罪に該当しないとしても、繰り返しこのようなメッセージが送信されてきた場合は、ストーカー規制法違反として、警察による警告や禁止命令、逮捕もあり得ます。元交際相手からの脅迫への具体的な対処法については「元カレ・元カノからの脅迫をやめさせる6つの対処法と5つのNG行動」もあわせてご確認ください。
送信者と受信者の関係性やこれまでの経緯で判断される
LINEやメール(スタンプや絵文字)の送信で脅迫罪が成立するかどうかは、送信者と受信者の関係性やこれまでの経緯を加味して判断します。
例えば、いつも互いにふざけ合っている親しい間柄であれば、「てめぇ~殴るぞ」「ぶっ殺す」というメッセージを送っても脅迫罪には該当しないでしょう。一方、格別親しい関係でないのに同じ文言のメールやLINEを送れば脅迫罪になる可能性はあります。
また、その脅迫文言の書かれたメッセージだけでなく、その前後のメッセージの内容も重要です。冗談交じりのやり取りの最中に送ったものと、言い争いや別れ話の最中に送ったものとでは相手の受け止め方が違うため、前者は脅迫罪に該当しなくても後者だと脅迫罪になり得ます。
なお、自分が感情的に送ってしまい、後から相手に「脅迫だ」「通報する」と指摘された立場でも、内容によっては脅迫罪に問われることがあります。その場合は追加の連絡をいったん控え、やり取りを消さずに残したうえで、早めに弁護士へ相談してください。
メールやLINEで脅迫された場合の対処法
メールやLINEで脅迫された場合は、以下の5つの対処法を検討しましょう。
- ①返信をしない
- ②ブロックしたり、メルアドやLINE IDの変更を行わない
- ③証拠の収集・保存をする
- ④警察に被害届の提出、または刑事告訴をする
- ⑤穏便に解決したい場合は弁護士に依頼する
①返信をしない
LINEやメールでアナタを脅してきている時点で、相手はアナタへ強い敵意や怒りを向けている可能性があります。
下手に返信して相手を刺激すると余計にエスカレートした行動に出ないとも限りませんので、脅迫メッセージへの返信は避けてください。反論したい気持ちがあっても、まずは距離を取ることが安全につながります。
②ブロックしたり、メルアドやLINE IDの変更を行わない
脅迫してくる相手をブロックや受信拒否で遠ざけようとすると、かえって相手の感情を刺激してしまい、家に来られて直接的な加害行為をされるなどのリスクも考えられます。
LINEでブロックされたのかを調べる方法はありますし、メールの受信拒否をすると携帯キャリアによってはエラーメッセージが送信者に返されて気付かれます。メルアドを変更した場合も同様です。
怖い気持ちはわかりますが、解決するまでは、「返信もしないけど拒否(ブロック)もしない」姿勢を貫くことが身の安全のためには大切です。
③証拠の収集・保存をする
メールやLINEでの脅迫は、送信者が自分の端末からメッセージを削除しても受信者側の端末には残るため、証拠の確保はしやすいといえます。
受信した脅迫メールやLINEは端末にそのまま保管しておくとともに、万一消去してしまった場合に備えて全てのやり取りをスクリーンショット(スクショ)で画像保存しておきましょう。
送信日時やメールアドレス、LINEのトーク履歴やニックネームなど、いつ・誰から送られてきたのかがわかる状態で保存することがポイントです。出会い系などのアプリで知り合ったきっかけの場合には、加害者のアカウント情報がわかるプロフィールページ等も保存しておくと、警察が犯人の身元を特定するのに役立つ場合があります。
どのような資料が証拠として有効かは「脅迫罪の証拠となる5つのもの!証拠がない場合はどうすればいい?」で具体的に紹介しています。
④警察に被害届の提出、または刑事告訴をする
加害者を処罰して欲しい、身に危険が迫っているので早急に身柄を確保して欲しいといった場合は、警察に被害届を出すか、刑事告訴をするのがよいでしょう。被害届や刑事告訴の具体的なメリット・出し方については「恐喝・脅迫の被害届を出す3つのメリットと出し方をわかりやすく解説」をご確認ください。
その際、証拠がないと警察が動かないことも多いため、メールやLINEで脅された証拠を持参しましょう。脅されるに至った経緯を時系列でメモにまとめて持参すると、担当警察官が被害状況をスムーズに理解する手助けとなります。
⑤穏便に解決したい場合は弁護士に依頼する
警察沙汰にはしたくない、自分も弱みを握られていて警察に頼れない、でも脅迫のメールやLINEをストップさせたい。その場合は、脅迫や恐喝被害に強い弁護士に相手との交渉を依頼しましょう。警察に相談しづらい事情があるときの対処法は「脅された時の対処法は?恐喝・脅迫被害の相談先も弁護士が解説」でも解説しています。
弁護士を通じて脅迫行為を止めるよう交渉し、それでも相手が応じなければ刑事告訴に踏み切ることもできます。逮捕・勾留(逮捕に続く身柄拘束)され、検察に起訴されて刑事裁判にかけられれば拘禁刑もあり得ます。その場合、前科もつきますし、会社を解雇されて家庭を失うことにも繋がるでしょう。
メールやLINEでの脅迫にお困りの方は弁護士にご相談ください
メールやLINEで送られた脅しでも脅迫罪は成立し、冗談やスタンプであっても処罰の対象となり得ます。被害に遭ったら、メッセージを消さずに証拠を残したうえで、警察や弁護士への相談を検討してください。
脅迫を放置すると、要求が次第に過激になったり、実際の加害行為に発展したりするおそれがあります。弁護士が間に入れば、加害者との直接のやり取りを遮断したうえで、法的手段を背景にした交渉で脅迫をやめさせることが期待できます。相手と顔を合わせずに解決を目指せる点も、当事者だけで抱え込むより安全です。
「メッセージが止まらず怖い」「警察に相談したいが、自分にも弱みがあって動けない」と、一人で悩みを抱えている方もいらっしゃるかもしれません。メールやLINEでの脅迫は証拠が残りやすく、早い段階で専門家に相談するほど、打てる手は多くなります。
当事務所は脅迫・恐喝事件を、被害者側・加害者側のどちらの立場からも数多く扱ってきました。双方の事情を知るからこそ、ご相談者にとって現実的で最善の解決策をご提案できます。事情に深く配慮しながら対応しますので、全国どこからでもご利用いただける無料相談を、お気軽にご利用ください。
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この記事の監修者
脅迫・恐喝被害の解決に豊富な実績を持つ。一般社団法人 詐欺・不当要求対策協会の代表理事として、不当要求対策の研究・啓発活動にも取り組んでいる。「警察沙汰にしたくない」「家族や会社に知られたくない」といった被害者特有の事情に寄り添い、粘り強い交渉で解決に導く。他の事務所で断られた案件にも積極的に対応。

