こういったことで悩まれていませんか?
示談の必要性があるということは、当事者間で何らかのトラブルが生じたことが前提ですし、それを金銭で解決するのが示談であるわけですから、感情的な発言や金銭要求の言葉が出てくることは自然な成り行きとも言えます。
しかし、結論から言うと、示談交渉の場であっても、相手の言動によっては脅迫罪や恐喝罪になり得ます。
ここでは、年間2000件以上の脅迫・恐喝被害の相談を受けている法律事務所の弁護士が、
- ①示談交渉が脅迫や恐喝になり得るケース
- ②示談相手から脅されたらどう対処すべきか
につき、わかりやすく解説していきます。
示談相手のどんな言動が脅迫や恐喝になるのか、被害に遭ったらどう対応すべきか、詳しく知りたい方は最後まで読んでみて下さい。
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目次
示談交渉と脅迫、恐喝でよくある3つの疑問
以下では、これから示談交渉しようとしているけれども、脅迫、恐喝されそうで怖いという方からよくいただく疑問についてお答えしてまいります。
示談交渉で脅迫、恐喝されることはある?
話の内容、進捗具合、相手・あなたの態度しだいなどによっては脅迫、恐喝されることはあります。
では、いかなる場合が脅迫、恐喝に当たるのか、相手を脅迫罪、恐喝罪に問えるのか確認していきましょう。
たとえば、職場の同僚同士で居酒屋に飲みに行き、あなたが男性同僚と口論となって同僚に暴行を振るい怪我をさせたとします。
あなたは暴行の事実を認め同僚に暴力を振るったことを後悔して反省しており、同僚に示談交渉を持ちかけたところ、同慮の代わりに同僚の父親と示談交渉することになりました。
そして、あなたは同僚の父親と示談交渉を進めていたところ、示談金額などをめぐって折り合うことができず、業を煮やした同僚の父親から「あんたの明日はないよ」と言われたとします。
この場合、父親を脅迫罪(刑法222条)に問える可能性があります。
脅迫罪は、あなた又はあなたの親族の生命・身体・自由・名誉又は財産に対して害を加えることを告知すること(害悪の告知)によって成立する犯罪です。
(脅迫)
第222条
1.生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2.親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
父親の「あんたの明日はないよ」という発言は、「あなたの命はないよ」、「明日は生きてられないよ」という趣旨の発言と解することができます。
つまり、父親の発言は「生命(又は身体)に対する害悪の告知」に当たり、父親を脅迫罪に問える可能性があるというわけです。
次に、父親から「こちらの言うとおりに支払わないと、あんたの明日はないよ」と言われたとします。
この場合、父親を刑法の恐喝罪(刑法249条1項)に問える可能性があります。
(恐喝)
第249条
1.人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
恐喝罪は、暴行又は脅迫を用いて人に財物(お金など)の交付を要求(恐喝)し、その暴行又は脅迫によって畏怖した相手から財物の交付を受けることによって成立する犯罪です。
父親の「明日は生きてられないよ」という発言が脅迫に当たることは前述のとおりです。
また、父親は「こちらの言うとおりに支払わないと」と発言しているとおり、あなたにお金を交付するよう要求していることが分かります。
以上から、父親を恐喝罪に問える可能性があるというわけです。
なお、同僚はあなたに対して示談金の支払いを請求できる権利を有しているわけですから、お金の交付を要求すること自体は正当行為といえ、犯罪が成立しないのは当然のことです。
しかし、たとえ金銭の支払いを求めることができる権利を有していたとしても、それを盾に違法なやり方で取り立てを行ってよいというわけではありません。
判例(最判昭和30年10月14日、東京地裁昭和52年8月12日、東京高判昭和57年6月28日)でも以下のように述べられています。
脅迫、恐喝まがいのことをされた場合に切り抜ける方法は?
まずは、相手に譲れるところと譲れないところの線引きをはっきりさせることです。
また、そのために一般的な基準、相場を知っておくことも必要でしょう。
示談交渉で一番揉めるのは示談金の金額ではないでしょうか?
あなたは「30万円が妥当」と考えていても、相手から「50万円」、あるいは場合によっては「100万円」などとあなたの想定をはるかに超える金額を提示されることもあるでしょう。
しかし、あなたが一度、示談金を30万円と決めた以上は、まずはその主張を貫くことです。
途中で、あなたの主張を変えると、相手からその隙をつかれてどんどん要求がエスカレートしていく可能性があり、収集がつかなくなります。
あなたが頑なな態度を示しても相手も引かない場合は、なぜ相手がその主張をするのか、主張の裏付けとなる証拠の提示を求めましょう。
証拠による裏付けのない主張や不十分な証拠による主張には、基本的に応じる必要はないといえます。
また、示談交渉の際の道具や警察に被害届を提出する際の証拠とするため、相手の発言を録音しておくことも大切です。
≫恐喝・脅迫の被害届を出す3つのメリットと出し方をわかりやすく解説
相手との会話を録音した証拠の存在を相手に伝えるかどうかは判断が難しいところですが、弁護士に示談交渉を依頼した際には、弁護士がその証拠を使って円滑に示談交渉を進めてくれる可能性は高くなるといえるでしょう。
≫脅迫罪の証拠となるものとは|証拠が無い場合はどうすればいい?
暴力団風の人との示談交渉の進め方は?
すぐに交渉を打ち切り、弁護士に依頼することです。
暴力団風の人と直接交渉することは、あなたにとって心理的、精神的にも相当な負担です。
また、ただでさえ、あなたは犯罪を犯したという弱みがあるわけですから、その弱みに付け込まれて不当な条件を飲まされる可能性があります。
最悪の場合、何らかの犯罪に巻き込まれ、あなたの命に危険が及ぶおそれすら出てきます。
この点、弁護士に示談交渉を依頼すれば、今後一切、暴力団風の人と交渉を行う必要がなくなり、心理的・精神的に楽になります。
また相手と対等な立場で、様々な方法を駆使して適正な内容・形式で示談を成立させてくれる可能性が高いです。
示談成立後の逆恨みが怖いけどどうすればよい?など、示談交渉とは直接関係のないことについても相談できるのも心強いです。
≫ヤクザとトラブルになって脅された場合の対処法と頼れる相談先
≫ヤクザの名前を出すと脅迫罪になる?一般人がヤクザを騙る場合は?
まとめ
あなたが示談交渉で脅迫、恐喝されたと思う場合は、話がこじれている可能性が高く、それ以上交渉を継続しても話がまとまらない可能性が高いといえます。
悪質な場合は、あなたの方から警察に被害届を提出することも視野に交渉しなければなりませんが、対応を誤ればあなたが警察に被害届を提出されるおそれもあるという難しい状況に置かれます。
示談交渉にお悩みの場合は、はやめに弁護士に相談されることをお勧めします。
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