
メンズエステでの軽率な行為が刑事事件に発展してしまった50代会社員の解決事例をご紹介します。お客様は施術中にセラピストに対して不適切な身体接触を行ってしまい、警察による事情聴取を受け、起訴の可能性に直面していました。管理職という立場から職を失うリスクがあり、また高校生の娘を持つ父親として家族への影響を何より恐れていらっしゃいました。当事務所では迅速な示談交渉により被害者との合意を成立させ、最終的に不起訴処分を獲得することができました。家族や職場に知られることなく、お客様の社会的地位と家庭生活を守ることができた事例です。
※プライバシー保護のため、ご相談内容の一部に変更を加えています。
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【ご依頼までの経緯】メンズエステでお触り行為、警察による事情聴取を受け起訴の可能性
50代前半の会社員の男性(以下、Aさん)からのメンズエステでの迷惑行為に関するご相談でした。妻と高校生の娘がいらっしゃる方で、今回の件が家族に知られることを何より恐れていらっしゃいました。
Aさんは渋谷区内のメンズエステを月に2~3回程度利用しており、特定のセラピストを指名していました。そのセラピストは20代前半の女性で、いつも丁寧な施術をしてくれるため、Aさんは密かに好意を抱いていたとのことです。当日も通常通りその女性を指名し、施術を受けていました。
施術中、セラピストがオイルマッサージを行っていたところ、Aさんは「いつもより距離が近い」と感じ、つい出来心でセラピストの太ももに手を置いてしまいました。セラピストは驚いて「やめてください」と言いましたが、Aさんは「大丈夫、大丈夫」と言いながら、さらに手を上に滑らせようとしてしまいました。
セラピストは明らかに嫌がっており、「本当にやめてください!」と強い口調で制止しました。その時になってようやく我に返ったAさんは、「すみません、つい…」と謝罪しましたが、セラピストは「施術を中止します」と言って施術室から出て行ってしまいました。
数分後、店長が施術室に入ってきました。「お客様、当店のセラピストに対して不適切な行為があったと報告を受けました」と厳しい表情で告げられました。Aさんは「申し訳ありませんでした。つい魔が差してしまって…」と謝罪しましたが、店長は「これは許される行為ではありません。警察に通報いたします」と断言し、その場で110番通報をしました。
約10分後、警察官2名が到着しました。Aさんはその場で簡単な事情聴取を受け、セラピストからも被害状況について聞き取りが行われました。現行犯逮捕はされませんでしたが、後日警察署に出頭するよう指示されました。
後日、Aさんは所轄警察署に出頭し、詳細な事情聴取を受けました。
帰宅後、Aさんは在宅事件として捜査されていることに大きなショックを受けました。これまで法的トラブルとは無縁の生活を送ってきただけに、刑事事件の被疑者となったことが信じられませんでした。
最も恐れているのは、この件が大きな問題に発展することでした。家族や職場に知られてしまえば、今まで築き上げてきた全てを失うことになります。管理職という立場もあり、もし会社に知られれば職を失う可能性も高く、家族にも多大な迷惑をかけることになります。
また、管理職という立場上、もし有罪判決を受けるような事態になれば、懲戒解雇は避けられません。高校生の娘もおり、父親の不祥事が娘の将来に影響することを考えると、夜も眠れない日々が続きました。
検察庁からの呼び出しがいつあるのか、起訴・不起訴の判断がいつなされるのか、全く見通しが立たない状況に精神的に追い詰められていました。示談交渉の必要性は理解していましたが、一般人であるAさんには被害者との直接交渉は不可能でした。
Aさんは自分の軽率な行動を深く後悔しており、セラピストに心からお詫びしたい気持ちでいっぱいでしたが、何より起訴を避けて家族や職場への影響を最小限に抑えたいとの一心で、刑事事件に詳しい弁護士に依頼したいと考え、当事務所にご相談に来られました。
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【弁護士の対応と結果】示談交渉により不起訴処分を獲得
Aさんからの相談を受けた弁護士は、起訴を避けて、家族や職場への影響を最小限に抑えることを最優先とした対応方針を検討しました。
まず、弁護士はAさんの行為が東京都迷惑防止条例(痴漢行為等)に抵触する可能性があり、場合によっては不同意わいせつ罪等の刑法犯に問われるリスクもゼロではないことを説明しました。しかし、セラピストは口頭で制止したのみで、強い物理的抵抗がなく、その後の行為も短時間で自ら中止したことなどから、悪質性が高い事案とは言い切れない状況も考慮すべき事案でした。
刑事事件においては、被害者との示談の成否が、起訴・不起訴の判断に大きく影響することをAさんに説明し、早期の示談交渉の重要性を強調しました。
弁護士はAさんの代理人として、まずメンズエステ店に連絡を取り、Aさんが深く反省していること、セラピストに心から謝罪したいと考えていることを伝えました。その上で、セラピストの被害感情を和らげ、示談交渉に応じてもらうための環境を整えることに注力しました。一般的に、このようなケースで被疑者が直接被害者と交渉することは非常に困難であり、感情的な対立を招きやすいことから、弁護士が間に入ることは不可欠でした。
交渉の初期段階では、店舗側はセラピストの精神的ショックが大きいことを理由に、200万円という高額な示談金を要求してきました。
しかし、弁護士は、今回の事案における行為の内容、セラピストの被害状況、そして類似事件における過去の示談相場などを踏まえ、適正な示談金額の範囲内で解決を目指すべきであると毅然と主張しました。
交渉の結果、店舗側およびセラピストは、Aさんの深い反省と弁護士の誠実な対応を評価し、最終的に50万円の示談金の支払いで合意に至りました。
※示談金額は事件の内容、被害の程度、当事者の状況等により大きく異なります。本事例の金額が全ての類似事件に適用されるものではありません。
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示談書には、Aさんが示談金を支払うこと、セラピストが被害届を取り下げること、今後一切の金銭請求やAさんへの接触を行わないこと、そして本件に関する秘密保持義務を双方に課すことが明記されました。
示談成立後、弁護士は直ちに示談書を検察庁に提出し、示談が成立したこと、Aさんが深く反省し社会的制裁を受けていることなどを詳細に報告しました。
その結果、検察官はこれらの事情を総合的に考慮し、Aさんを不起訴処分としました。
これにより、Aさんは前科が付くことを避けられ、家族や職場に今回の件が知られるリスクを最小限に抑えることができました。Aさんは「先生のおかげで、人生をやり直すチャンスをいただけた」と深く感謝し、安心して日常生活に戻ることができました。
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