
「拘留」と「勾留」。どちらも「こうりゅう」と読むうえ、ニュースや日常会話でも入り混じって使われるため、「結局この2つは何が違うのか」とわからなくなってしまう方は少なくありません。報道で「拘置」という言葉まで登場し、混乱に拍車をかけています。
先に結論をお伝えすると、拘留は有罪判決を受けた人に科される刑罰、勾留は逮捕された人を捜査のために拘束する手続きです。刑罰なのか、それとも手続きなのか。ここが両者を分ける決定的な違いです。
この記事では、刑事事件の解決実績が豊富な弁護士が、次の点をわかりやすく解説します。
- 拘留と勾留は何が違うのか
- 拘留とはどんな刑罰で、期間はどれくらいか
- 拘留が科される犯罪とは
- 逮捕や勾留だけで前科はつくのか
なお、ご自身やご家族の身柄拘束についてお悩みの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談へお気軽にご連絡ください。
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拘留と勾留の違い
「拘留」は有罪判決を受けた人を刑事施設に収容して身体の自由を奪う刑罰であり、「勾留」は逮捕した被疑者を捜査のために一時的に拘束する手続きです。同じ身柄拘束に見えても、その目的と根拠はまったく別のところにあります。
両者の違いを整理すると、次のようになります。
| 拘留(こうりゅう) | 勾留(こうりゅう) | |
| 法的な位置づけ | 刑罰(自由刑の一種) | 捜査・裁判のための身柄拘束 |
| 科されるタイミング | 有罪判決の確定後 | 逮捕後から判決前まで |
| 期間 | 1日以上30日未満 | 起訴前は逮捕とあわせて最大23日間 |
| 前科 | つく | 勾留だけではつかない |
| 根拠となる法律 | 刑法 | 刑事訴訟法 |
身体を拘束するという外形こそ同じですが、拘留は罪を償わせるための刑罰、勾留は逃亡や証拠隠滅を防いで裁判を成り立たせるための手段、という根本的な違いがあります。だからこそ、勾留された人でも、その後に不起訴や無罪となれば刑罰としての拘留が科されることはありません。
ひとつ豆知識を挙げると、どちらも「こうりゅう」と読むため、法律実務では「拘留=てこうりゅう」「勾留=かぎこうりゅう」と呼び分けて区別することがあります。また、新聞やテレビで見かける「拘置(こうち)」は勾留を指す報道用語であり、刑罰である「拘留」とは別物です。ここを押さえておくと、ニュースの理解もぐっと深まります。
拘留とは
拘留は、刑法が定める刑罰のうちのひとつです(刑法第9条)。有罪判決を受けた人を1日以上30日未満のあいだ刑事施設(刑務所や拘置所)に収容するもので(刑法第16条)、数ある刑罰の中でも拘束期間がもっとも短い部類に入ります。実際に何日収容するかは、裁判官が事件ごとに判断します。
(刑の種類)
第九条 死刑、拘禁刑、罰金、拘留及び科料を主刑とし、没収を付加刑とする。
(拘留)
第十六条 拘留は、一日以上三十日未満とし、刑事施設に拘置する。
2 拘留に処せられた者には、改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うことができる。
※拘禁刑とは、2025年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑が一本化された刑罰のことです。
刑罰は、受刑者から奪う法益の種類によって、生命刑・自由刑・財産刑に大きく分けられます。
- 生命刑:絞首の方法で受刑者の生命をはく奪する刑罰(死刑)
- 自由刑:刑事施設に拘置する方法で受刑者の自由をはく奪する刑罰(拘禁刑・拘留)
- 財産刑:金銭を国庫に納付させる方法で受刑者の財産をはく奪する刑罰(罰金・科料)
拘留はこのうち自由刑に分類されますが、同じ自由刑でも拘禁刑とは扱いが異なります。まず、拘留に執行猶予を付けることはできません(執行猶予の対象は「3年以下の拘禁刑」または「50万円以下の罰金」とされており、拘留は含まれません)。そのため、在宅のまま起訴され、判決の日まで普段どおりの生活を送っていた人であっても、拘留の判決が確定すれば刑事施設に収容されることになります。
刑務作業についても、拘禁刑のように強制されることはありません。ただし、2025年6月1日施行の改正刑法によって、拘留でも「改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うことができる」と定められました(刑法第16条第2項)。
拘留が科される犯罪
拘留は罰則の中でも軽いものに位置づけられるため、ごく限られた罪にだけ定められています。多くは「拘留又は科料(科料は1,000円以上1万円未満を徴収する財産刑)」という形で、もっとも軽い部類の罰として置かれています。代表的なものは次のとおりです。
| 刑法 | 公然わいせつ罪(刑法第174条) | 6月以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料 |
| 暴行罪(刑法第208条) | 2年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料 | |
| 侮辱罪(刑法第231条) | 1年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料 | |
| 軽犯罪法 | 第1条1号~34号までの罪(21号は削除) | 拘留又は科料 |
| 酩酊者規制法 | 著しく粗野又は乱暴な言動をした罪 | 拘留又は科料 |
こうして見ると、拘留が定められているのは、社会生活の秩序を軽く乱す程度の行為が中心です。重大な犯罪に拘留が用意されていないことが、次に述べる「拘留が滅多に使われない」理由にもつながっています。
拘留が科されるのは年間ごくわずか
拘留を定めた罪は存在しますが、実際に拘留の判決を受ける人は驚くほど少ないのが実情です。法務省の検察統計調査「審級別 確定裁判を受けた者の裁判の結果別人員」によると、確定判決で拘留となった人数の推移は次のとおりです。
| 年度 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 |
| 拘留された人の数 | 5人 | 5人 | 6人 | 5人 | 1人 |
全国でも年間数人という水準です。これほど少ないのには、いくつかの事情が重なっています。ひとつは、そもそも拘留を選択刑とする罪自体が、拘禁刑や罰金を定める罪に比べて極端に少ないこと。もうひとつは、判決前の勾留が長引けばその身柄拘束で事実上の決着がついてしまい、あらためて短期間の拘留を科す意味が薄れることです。さらに、求刑する検察官の側も、拘留ではなく科料や罰金を選ぶ運用が定着していると考えられます。
勾留とは
勾留とは、被疑者または被告人を、裁判官の判断で一定期間、警察署の留置場や拘置所などに拘束する手続きです。被疑者は起訴される前の人、被告人は起訴された後の人を指します。勾留の目的は、逃亡や証拠隠滅を防ぎ、刑事裁判への出頭を確保することにあります。つまり勾留は、刑罰である拘留とは違って、裁判を成り立たせるための手段にすぎません。
逮捕されてから勾留に至るまでは、おおむね次のように進みます。
- 逮捕後、警察は最大48時間以内に事件を検察官へ送致する(ごく軽微な事件は「微罪処分」となって釈放されることもある)
- 送致を受けた検察官は、24時間以内に勾留を請求するか被疑者を釈放するかを判断する
- 検察官の勾留請求を裁判官が認めると、請求した日から最大10日間勾留される
- やむを得ない事情があると認められれば、さらに最大10日間まで延長される
ごく軽微な事件では、検察官に送致されず、警察の判断だけで手続きが終わる微罪処分となることもあります。微罪処分の要件については「微罪処分になる7つの要件とは|前科・前歴はつく?弁護士が解説」で詳しく解説しています。
この間に検察官が起訴・不起訴を決めるため、逮捕から処分が決まるまで最大23日間も身柄を拘束される計算になります。なお、起訴された後は被告人勾留へと切り替わり、期間は原則として2か月、その後も必要に応じて1か月ごとに更新されることがあります。
勾留の期間や、早期の釈放に向けてできることについては「勾留とは?拘束期間や要件、勾留回避・早期釈放のための方法」で詳しく解説しています。
拘留と前科の関係
拘留は有罪判決にともなって科される刑罰ですから、言い渡されて確定すれば前科がつきます。期間が短くても、前科であることに変わりはありません。
ここで取り違えやすいのが「前科」と「前歴」の区別です。前科は、裁判で有罪と判断された記録を指します。一方の前歴は、逮捕されたり捜査の対象になったりした記録で、有罪が確定する前の段階のものです。つまり、逮捕や勾留をされただけでは前科はつかず、前歴にとどまります。拘留の場合は有罪判決を経ているため、前歴ではなく前科として残るわけです。
前科が残ると、就職活動で履歴書の賞罰欄への記載を求められた際などに、不利に働くことがあります。職業によっては、前科が資格取得の欠格事由になる場合もあります。たとえば法令で「拘禁刑以上の刑」を欠格事由と定める資格について、拘留はこれには当たりませんが、前科という記録が残っている事実そのものが審査で考慮される可能性は否定できません。拘束日数が短いからといって、安易に「影響はない」と考えないほうがよいでしょう。
よくある質問
拘留と罰金は、どちらが重い刑ですか?
法律上は罰金のほうが重い刑とされています。刑法は刑の重さの順番を「死刑・拘禁刑・罰金・拘留・科料」と定めており(刑法第9条、第10条)、罰金は拘留より上位に置かれています。身体を拘束される拘留のほうが体感としては重く感じられるかもしれませんが、法律上の序列では罰金が上回ります。
留置と拘留はどう違いますか?
「留置」は、身柄を拘束された状態を広く指す言葉で、特定の刑罰や手続きの名前ではありません。逮捕後や勾留中に警察署の留置場で身柄を拘束されている状態も「留置」と呼ばれますし、罰金を納められないときに労役場へ収容される「労役場留置」のように、別の場面でも使われます。これに対して拘留は、刑法に定められた刑罰そのものを指す点で異なります。
拘留と拘禁刑(懲役)は何が違いますか?
どちらも刑事施設に収容する自由刑ですが、期間と扱いが違います。拘禁刑は1か月以上の拘束で、刑務作業や指導が行われ、要件を満たせば執行猶予を付けることもできます。これに対して拘留は1日以上30日未満と短く、執行猶予を付けることはできません。なお拘禁刑は、2025年6月1日施行の改正刑法によって、それまでの懲役刑と禁錮刑を一本化した刑罰です。
拘留・勾留でお悩みの方は弁護士にご相談ください
拘留は有罪判決による刑罰、勾留は捜査のための身柄拘束であり、両者は性質も生じる場面もまったく異なります。とくに勾留は、逮捕の直後から最大23日間にわたって身柄を押さえられるため、ご本人だけでなくご家族も大きな不安を抱えることになります。
勾留の段階では、弁護士が早い時期から動くことで、釈放や不起訴に向けた働きかけができる場面が少なくありません。身柄拘束が長引くほど、仕事や学校、日常生活への影響も広がっていきます。「家族が逮捕された」「このまま勾留されるのではないか」といった状況では、できるだけ早く相談することが、その後の結果を大きく左右します。
当事務所は刑事事件を数多く取り扱ってきた実績があり、依頼者の不利益を最小限に抑えるため、弁護士が迅速に対応します。全国どこからでもご利用いただける無料相談を設けておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
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この記事の監修者
刑事事件の弁護に注力する法律事務所の代表弁護士。逮捕回避・早期釈放・不起訴獲得・示談交渉など、被疑者・被告人の権利を守るための迅速な弁護活動に豊富な実績を持つ。痴漢・盗撮・暴行傷害・薬物事件・性犯罪など幅広い刑事事件に対応し、24時間体制で依頼者とそのご家族を全力でサポートしている。

