
援助交際をきっかけに脅迫や恐喝の被害に遭っても、被害者自身が児童買春などの法律に抵触している可能性があるため、警察に助けを求められないケースが大半です。
「相手の要求どおりにお金を払い続けるしかないのか」「警察に相談したら自分が逮捕されるのではないか」と不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、援助交際で実際に起こりうる詐欺・脅迫トラブルの手口、被害者が抵触しうる法律、そして警察に相談できない具体的な理由について、脅迫トラブルを数多く解決してきた弁護士がわかりやすく解説します。
なお、援助交際に関する脅迫・恐喝被害について早急に対応したいとお考えの方は、この記事をお読みいただいた後、全国どこからでもご利用いただける当事務所の無料相談をご利用ください。
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援助交際で遭遇する3大詐欺・脅迫トラブル
援助交際をきっかけに詐欺や脅迫トラブルに遭ってしまうケースは、大きく分けて以下の3つです。それぞれ見ていきましょう。
「これは児童買春だ。警察に行くぞ」と脅迫される
出会い系サイトやマッチングアプリ、SNS、LINEなどを通じて援助交際として性行為をしたところ、「児童買春で警察に行かれたくなかったら金を払え」などといって脅迫され、お金を払わされるトラブルが多くなっています。
ネット上では援助交際のことを、「円光」「サポ」「円(\)」「パパ活」などの隠語で呼び、未成年の女子の利用者も少なからずいます。たしかに、最初から18歳未満の児童であることを知りながら援助交際をする人もいますが、ケースとしては稀です。
女の子から児童ではないと聞いていたり、話の流れからそう思い込んでいたところ、行為後に「じつは18歳未満」などと打ち明けられ、それが発覚した途端に脅迫されるケースのほうが圧倒的に多いのが実情です。
しかし、被害者になる成人男性側も、援助交際をしているという後ろめたい気持ちがあるため、なかなか被害が顕在化せず、延々と金をむしりとられる事態に陥ることもあります。
出会い系やマッチングアプリで脅迫された場合の対処法については「出会い系で脅迫や恐喝された人は必見!状況別、脅しへの4つの対処法」で詳しく解説しています。
援助交際狩りのターゲットにされる
援助交際をした相手の女性が男性とグルになり、援助交際の相手を脅迫したり暴行したりする「援助交際狩り」も、頻発する詐欺・脅迫トラブル被害事例のひとつです。
「今すぐ会えます」などと掲示板に書き込みをし、カモとなる男性が引っかかったら「これからすぐ会いましょう」などといって誘い出します。大抵は、人気のない公園などを待ち合わせ場所に指定します。
男性が来たら「電話がかかってきたからちょっと待ってて」などといってその場を離れます。そして男性が1人になったところに、複数人の男が現れて、「俺の女に手を出すつもりか」などと言って脅迫してきます。
第三者の男性が出てくる美人局
美人局の被害も典型的な援助交際での詐欺・脅迫トラブルのひとつです。
援助交際を目的に女性と会い、性行為を行った後で、「旦那にバレた」などと女性から連絡があったり、そこから夫と名乗る男性が介入してきます。
女性と会っている場所に直接居合わせることもあります。そして「うちの妻に手を出したな」「お前の会社に全部バラしてやる」などとまくし立て、穏便に済ませてほしいなら金を払えと迫ってきます。
相手の行為は恐喝罪という犯罪行為となりますが、このような詐欺的手口に対して、男性も援助交際をしているという罪悪感や、バラされたら大変なことになるという焦りから、夫と名乗る男性の言うままにお金を払ってしまうことがほとんどです。
美人局の具体的な手口や対策については「美人局とは?6つの手口と特徴・被害にあった時の対処法」で詳しく解説しています。
援助交際に関連した法律
援助交際の相手やその関係者が脅迫してくる場合、脅しのネタとして利用されるのは、"被害者の法律違反"であることがほとんどです。
そこでここでは、援助交際をした人がどのような法律に抵触している可能性があるのかを解説します。
出会い系サイト規制法
出会い系サイト規制法は、利用者間でのトラブルが多発し、特に未成年の児童(18歳未満)が犯罪に巻き込まれる事件が多いことを背景に制定されました。主に未成年の児童を保護の対象とし、出会い系サイトの業者やプロバイダ、成人の利用者を規制する法律となっています。
ここでは利用者に対する規制について紹介します。
利用者に対する規制
出会い系サイト規制法では、利用者に対して以下の内容について規制しています。
- 児童を相手に交際や性交渉などを求める書き込みの禁止
- 有償で児童に対して性交渉や交際の相手になるように求める書き込みの禁止
- 児童の出会い系サイトの利用を禁止
このように、児童に対して、援助交際を誘う書き込み(売春を誘引する書き込み)のほか、お金の話には触れずに単に性行為を誘う書き込みも罰せられます。
なお、実際に児童と性行為をしたかどうかに関わらず、違反した場合は100万円以下の罰金が科されます(同法6条、33条)。
児童ポルノ禁止法
児童(18歳未満の子供)は性的判断能力が未成熟であり、大人から性欲の対象にされて心身ともに傷つく可能性があります。
そのため、18歳未満の児童を対象とした「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」が制定され、必要に応じて改正を繰り返しています。
この法律は、通称「児童ポルノ禁止(規制)法」と呼ばれていますが、ポルノだけではなく買春行為も禁止しています。具体的にみていきましょう。
児童買春
18歳未満の児童に対する買春について、本法律で規制されています。この法律で規制される以前は、児童福祉法や淫行条例などによって規制されていました。
- 対価を払い、または払うことを約束して、児童と性行為や性交に類似する行為を行う
- 自分の性的好奇心を満たす目的で児童の性器などを触ったり、または児童に触らせること
この法律はまさに援助交際を規制する目的で制定されたものです。対価とはお金のほかに物でもよく、プレゼントをあげたり、飲食代を奢って性行為にもちこんだ場合も同法が適用されます。
児童買春をした場合、5年以下の拘禁刑、または300万円以下の罰金という刑が科されます(同法4条)。
※拘禁刑とは、2025年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役刑と禁錮刑が一本化された刑罰のことです。
児童ポルノ
18歳未満の児童との性行為、他人の性器を触っている様子、裸になっている様子、こういった姿態(児童の姿)が収められた動画や画像が「児童ポルノ」にあたります。
これらをインターネットに流したり、他人にデータを販売したり、撮影したり(製造)、所持するといった行為をすると児童ポルノという犯罪にあたります。
つまり、援助交際の相手に性行為や裸の写真や動画を撮影させてもらったり、盗撮したりすれば、"製造"したことになります。
製造した場合の罰則は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。
青少年健全育成条例(淫行条例)
淫行条例とも呼ばれる青少年健全育成条例は、国ではなく地方公共団体で定められた条例です。そのため、各地方公共団体によって条例の内容が異なることもあります。
その内容の多くは、青少年(18歳未満)とみだらな性交やそれに類似する行為を行ったことを規制しています。
淫行条例の一番の特徴は、条例違反となる要件に「対価の供与」が入っていないことです。すなわち、間にお金を介さずに単に児童と性行為などをした場合でも、条例違反になるということです。
例えば、援助交際の相手を探していたところ、無料で性行為に応じてくれる女の子が見つかって行為に及んだとしても、18歳未満であれば淫行条例に抵触します。
そもそも無料で身体を提供する児童がいた時点で、「援交狩りではないのか。男性が登場して脅迫されるのではないか」と疑ってかかるべきです。
児童福祉法
児童福祉法の歴史は古く、1940年代の後半、戦後には制定されていました。児童福祉法は、児童を保護するためにいろいろな行為を禁じていますが、特に問題となるのは児童淫行罪についてです。
児童福祉法34条1項6号では「児童に淫行させる行為」を禁じていますが、この「淫行させる」は、児童と第三者を淫行させることのほかに、自分と淫行させることも含むと解されています。
児童買春や淫行条例との違いについてはこのあと解説します。
児童淫行罪が成立した場合の罰則は、10年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金又は拘禁刑と罰金の併科となります(同法60条1項)。児童買春や淫行条例よりも遥かに重い罰則となります。
児童買春・淫行条例・児童福祉法の違い
児童買春と淫行条例、児童福祉法は、それぞれ児童の性行為やそれに類似する行為について規制しており、違いがわかりにくいものです。
実際の現場でも、逮捕当初の罪名と捜査を進めた結果成立する罪名が変わるということもあります。これらの犯罪について、どのような違いがあるのかを解説します。
利益の供与があったかどうか
最も大きな違いは、性行為などに対して「対価の供与」があるかという点です。児童買春にあたる場合は、対価の供与が必要ですが、児童淫行罪や淫行条例違反は、対価の供与がなくても成立します。
援助交際は3つの法律に抵触する可能性がありますが、この3つの犯罪は同時に成立するわけではなく、より重い罪である児童買春が成立すれば、淫行条例違反で罰せられることはありません。
では、児童淫行罪についてはどうでしょうか。以下で解説します。
心理的に児童に影響を及ぼしているか
児童福祉法の児童淫行罪が成立するには、判例では、行為者と児童との間に、親と子供、教師と生徒、あるいはそれに準ずる関係があって、それが児童の心理に作用して性行為等をさせられる状況が必要となります。
両者の間に対等な関係がなく、児童に対してある程度支配的な立場にある者が性行為等をすれば、児童淫行罪が成立するのです。
親子間のケースはあまり耳に入ってこないと思いますが、教師と生徒との間で性行為が行われてニュースになることは少なくありません。
教師が生徒に対価を支払った(つまりは援助交際)か否かに拘わらず、生徒と性行為をすれば児童淫行罪という児童買春よりも重い罰則(10年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金又は拘禁刑と罰金の併科)で処罰されることになるのです。
一般的な援助交際は、ネット上で知り合った見知らぬ人との間であることがほとんどですので、児童淫行罪が適用されるケースは考えにくいでしょう。
警察に相談したり被害届を出せない理由
援助交際はスマホやネットで相手とつながって気軽に始められることから、ついはまってしまう人が少なくありません。
女性の中には、単純に売春行為でお金を稼ぐことが目的の人もいますが、そうではなく、引っかかった男性を詐欺的手口で脅迫して長期的に金銭をむしり取ろうと考えている悪質な女性もいます。
ですが、援助交際で詐欺や脅迫の被害に遭ったとき、多くの成人男性は警察に相談したり被害届を提出することを選択しません。
それはなぜでしょうか。ここではその理由について詳しく説明したいと思います。
実際に、警察に相談できない状況で弁護士が介入して解決に至ったケースについては「未成年との淫行で300万円を恐喝されるも0円で解決した事例」でご紹介しています。
マスコミに実名報道される危険性が高い
援助交際の相手女性は18歳未満の未成年であるケースが多く、お金を払って性行為やそれに類似した行為をすることは児童買春にあたり、犯罪となります。
性行為に至らなかった場合でも、刑罰は「5年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」と、かなり重い刑が設定されており、もし逮捕されれば、マスコミによって実名報道され、前科がつく可能性も極めて高まります。
また、援助交際や児童買春の加害者は「未成年を相手に卑劣な行為をした男」という社会的イメージが強く、もしも実名報道されてしまえば、社会的に失うものは計り知れません。
実際に芸能人をはじめ、多くの人が「未成年と性行為をした」として実名で報道され、社会から抹殺されています。「実は脅迫の被害に遭っていた」という事実が、援助交際をしたという事態の大きさにかき消えてしまうこともあるのです。
会社をクビになるという二次的トラブル
もしも児童買春や不同意わいせつなどの罪で逮捕されてしまったら、最大で23日間身柄を拘束されてしまいます。
その間はもちろん日常生活を送ることはできませんので、会社も休まなければなりません。援助交際で脅迫被害に遭っていたとしても「児童買春で警察に捕まったから会社に行けない」という事態が起きてしまうのです。
普通に働いている間はあまり目にする機会がありませんが、会社の就業規則には「このような場合は従業員を解雇できる」という解雇事由について明記されています。
そこでは必ずと言っていいほど、刑事事件トラブルに関連した条項が明記されています。
その文言は会社によってさまざまですが、「刑事事件をおこしたとき」「有罪判決が確定したとき」「起訴されたとき」「逮捕されたとき」などの定めがあります。
会社は、援助交際をして逮捕されてしまった従業員を適法に解雇することができるのです。単なる解雇ならば家族も納得してくれるかもしれませんが、援助交際トラブルが原因で会社をクビになったとなると、それでもサポートしようとしてくれる家族は少ないかもしれません。
マッチングアプリを通じた脅迫・恐喝トラブルが実際にどのように解決されたかについては「マッチングアプリで脅迫・恐喝された男性が解決に至った実例」をご参照ください。
参考:従業員が逮捕されてしまった場合、それを理由にクビにすることは可能か
児童買春の罪自体が重い
先ほども記載したとおり、援助交際をして児童買春で有罪になったとすると、5年以下の拘禁刑か300万円以下の罰金と、刑罰がかなり重いのが特徴です。
性行為をしただけでなく、体を触ったというような性行為に準じる行為をしただけでも「児童買春」にあたります。
また、一般的に脅迫や暴行などの被害に遭った被害者に対しては、世間は優しいものです。
ところが、援助交際の挙句に脅迫トラブルに遭い、多額のお金を相手に脅し取られたとしても、世間は「援助交際をする方が悪い」「同情の余地がない」という意見に傾きがちです。
脅迫という被害を受けているにも関わらず、加害者としての扱いも受けかねないのが援助交際の詐欺・脅迫トラブルです。脅迫・恐喝被害に遭った場合の具体的な対処法や相談先については「脅された時の対処法は?恐喝・脅迫被害の相談先も弁護士が解説」で詳しく解説しています。
「18歳未満と知らなかった」では済まされない
援助交際をして警察に逮捕され、実名報道されてさらに大きなトラブルになっているケースをテレビや新聞などで見かけることがありますが、中には「18歳未満だと知らなかった」とコメントをしている人もいます。
ある行為が犯罪として成立するためには、客観的な行為があるだけでは足りず、故意と呼ばれる「犯罪を行う意思」が必要です。
とすれば、相手の年齢が18歳未満だと知らなかったなら、児童買春の故意がないので逮捕されること自体がおかしいのではないかと思ってしまいます。
しかし、この故意というのは「明らかに18歳未満だと知っていた」場合だけではなく、「もしかしたら18歳未満かもと思っていた」ような場合にも適用されます。
援助交際の相手が制服を着てきた場合はもちろんのこと、外見や言動から未成年である可能性が高いと思っていたような場合は、「知らなかった」では済まされないのです。そして、援助交際で脅迫してくる相手もそこを突いてきます。
実際に、逮捕された多くの人が「18歳未満とは知らなかった」と警察に話しますが、2024年の検察統計によれば、児童買春・児童ポルノ禁止法違反で逮捕され検察官に送致された409件のうち、勾留請求されたのは381件、勾留が許可されたのは356件でした。
つまり、逮捕された人の約87%が勾留に切り替わっているのです。
逮捕されると最長72時間以内に検察官へ送致され、勾留請求が認められればそこから最大20日間の身柄拘束が続きます。一度逮捕されてしまうと恐ろしい事態になることがわかります。
援助交際をきっかけとした脅迫被害でお悩みの方へ
本記事では、援助交際で起こりうる美人局や援交狩りなどの詐欺的手口、関連する法律と刑罰の重さ、そして被害者が警察に相談できない理由を解説しました。
援助交際に端を発する脅迫・恐喝は、被害者側にも法的な問題を抱えているケースがほとんどです。だからこそ、警察ではなく弁護士に相談し、ご自身の立場を守りながら解決を図ることが重要になります。相手の要求に応じ続ければ被害は際限なく拡大しますが、弁護士が介入することで相手に法的リスクを認識させ、要求を止めさせることが可能です。
「誰にも相談できない」「すでに何度もお金を払ってしまった」「相手からの連絡が止まらない」という状況であれば、一人で抱え込まず、できるだけ早く専門家にご相談ください。
当事務所は脅迫・恐喝トラブルを専門的に取り扱っており、援助交際に関連する複雑な事案についても数多くの解決実績があります。全国どこからでも無料でご相談いただけますので、現在の状況を整理し今後の対応を検討したいとお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。
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この記事の監修者
脅迫・恐喝被害の解決に豊富な実績を持つ。一般社団法人 詐欺・不当要求対策協会の代表理事として、不当要求対策の研究・啓発活動にも取り組んでいる。「警察沙汰にしたくない」「家族や会社に知られたくない」といった被害者特有の事情に寄り添い、粘り強い交渉で解決に導く。他の事務所で断られた案件にも積極的に対応。

